青年と少女のマルチプル・オンライン 作:グラハムさんとピンクマ
明日人の部屋…
チュンチュンッ…
休日の朝、外では雀が鳴いており、明日人はそれを目覚まし代わりに目を覚ました。
明日人「ん、、、フッ」
咲月「うぅ〜ん、、、」
朝起きてすぐに鼻で笑ってしまった理由は、咲月が明日人の胸の中で幸せそうな顔をして眠っていたからだ。
そんな顔されると嬉しくて笑っちゃうよ。
咲月「んん、おはよ、、、」
明日人「おはよ。よく寝れた?」
返事を聞きながら明日人は咲月の頭を撫でる。
咲月「うん。えへへ、朝起きてすぐに明日人に撫でてもらうの好き♪」
明日人「俺も咲月に触れるのが好きだよ」
咲月「うぅ、朝から恥ずかしいよ」
照れながらも咲月は明日人と額同士をコツンと優しくぶつける。
リビング…
明日人「それにしても驚いたよ、咲月と瑠璃が声優デビューするなんて」
明日人は朝ご飯を食べながら咲月と話す。因みに凛はマルチプル・オンラインにログインしており、瑠璃はまだ寝ている。
咲月「スカウトされたと言っても、オーディションを合格しなきゃいけないらしいんだよね。まだそこらへんのこと分かってないから不安だけれど、頑張るね!」
明日人「うん、頑張れ」
頑張る咲月をしっかり応援する為、明日人はまた咲月を撫でた。
咲月「でも、本格的に声優さんの仕事が始まったら一緒に学校行ったり、お出かけすることが少なくなるかも、、、」
明日人「そっか、、、それは寂しい」
そうなると出席日数とかどうなるんだろう。何かしら学校側か事務所側が補助してくれるのかな?まぁそれよりも、咲月と一緒にいる機会が減るかもってのは嫌だな。
明日人「それなら、今からどこか買い物とかに行こう」
咲月「え、いいの?明日人、最近疲れてるんじゃ」
明日人「大丈夫だよ。それに、咲月をデートに誘いたかった、ってのが1番の理由、、、」
明日人は途中で恥ずかしくなり声が小さくなる。
咲月「明日人、、、うん、行く!」
大通り…
明日人と咲月は手を繋ぎながら街中を歩く。様々な店は休日ということもあり混んでいる。通り道は空いてるだけでも良しと言うべきか。
咲月「明日人とのデートは楽しいな♪」
明日人「まだ始まったばかりだけど楽しんでるのならいっか」
咲月「フフッ♪あっ、私あそこに行きたい!一度行ってみたかったんだ〜」
そう言って指をさされた方向を見る。そこはおしゃれそうな喫茶店だった。
明日人「よし行こう」
店に入り、明日人はいちごタルトと紅茶、咲月はフレンチトーストと紅茶を注文してからパラソル付きのテラスに座る。
明日人「そういえば、どうして声優のスカウトを受け入れたの?」
咲月「あ、そういえば言ってなかったね」
咲月は先に運ばれてきた紅茶にミルクを入れてから答える。
咲月「私の夢っていうのと、小泉さんに憧れてたから」
明日人「あぁ、ひよりんか」
『小泉妃愛』、通称『ひよりん』、、、誰もが知っている人気声優の1人だ。あの方の声は俺も好きだから憧れるのは分かる。
明日人「確かにひよりんの声は魅力的だからね」
咲月「うん、私もひよりんのような声優さんになりたくてスカウトを受けたんだ♪」
明日人「咲月ならきっと有名になれる」
咲月「ありがと♪」
咲月を自信付けていると頼んだケーキが運ばれてきた。
明日人「よくよく考えて思ったんだけど、もしかして恋愛禁止だったりは、、、?」
咲月「それは大丈夫、事務所が機密情報として扱ってくれるみたい」
咲月は小声で言った。
良かった、それならありがたい。
その後も明日人と咲月はデートを楽しみ、その1日はあっという間に終わってしまった。
午後23:00、咲月の部屋…
暗い部屋にランプの灯り1つの中、明日人と咲月は会話する。
咲月「あ〜あ、、、楽しかった1日が終わっちゃうなぁ」
咲月は明日人の肩にもたれかかりながら言う。
明日人「また時間が合えば一緒に行こう」
咲月「明日人がそういう風に言ってくれるなんてちょっと以外、インドア派だと思ってたもん」
明日人「確かにインドア派だけど、咲月とどこかに行きたいって気持ちの方が強いから。あ、でも、咲月が疲れてたらあれだから言って」
咲月「うぅん、多分だけど言わない。明日人と同じようにどんな時でも、2人一緒なら疲れが吹き飛ぶ気がするんだ♪」
楽しい会話をしつつ、咲月は明日人を寝かしつけるかのようにベッドに共に横たわる。
咲月「そういえば伝え忘れてたことが、、、」
明日人「声優関連?」
咲月「そう、朝にオーディション受けるって話はしたけど、月曜日にっていうのを言い忘れてた」
明日人「平日かぁ、学校の先生には伝えてる?」
咲月「伝えたよ。賛否両論だったけど、最終的に行かせてもらえることになったの」
ランプの灯りを消した後、明日人と手を繋ぐ。
明日人「あ、そうだ、俺も聞きたいことがあった」
咲月「何々?」
明日人「その事務所、新社?」
咲月「そうみたい、設立する為に最低5人の新人声優を集めてるんだって。養成所から初めさせられるみたいだから苦労するかもね」
咲月は苦笑いしながら答えた。
咲月「うぅ、寝る前なのに話したいことが沢山出てくる、、」
明日人「大丈夫だよ。咲月が疲れなければ」
咲月「ありがと。それで、声優の道をテーマに、養成所の光景をラジオで放送するみたい。いや、テレビだったかな、、、?」
おぉ、これは養成所での勉強も気が引けないな。咲月はしっかりしてるから問題ないだろうけど。仮に何かあっても最低限瑠璃が支えてくれる。
明日人「はぁ、咲月はまた一段と大人になっていくのに、俺は何も変わってないな」
咲月「明日人もよく頑張ってるよ。いっそのこと私だけが働くってのもいいくらいに」
明日人「い、いや!ニートは俺が耐えられない!」
咲月「うんうん、明日人ならそう言ってくれると分かってた♪」
すると咲月は明日人を抱き寄せ、明日人の顔を胸に埋めさせた。
咲月「とにかく、今日は楽しかった。また一緒にデートしようね」
明日人「うん、そうだね」
そしてそのまま明日人は咲月の温もりを感じながら眠った。
、、、視線も共に感じながら。
咲月の部屋のベランダ…
瑠璃「へぇ、、、」
凛 「身体能力を活用してまですることですか?」
明日人と咲月が一緒に寝ている所を凛と瑠璃は窓の外から見ていた。
瑠璃「だって気になるでしょ?普段の明日人は咲月の前ではどんな感じなのかって」
凛 「だからと言って『でんちゅー』に登って咲月さんのベランダに飛び移るなど、、、」
瑠璃「なんだかんだ言って凛もここまでついてきたから同罪よ」
凛 「くっ、、、言い返す言葉がありません、、、」
しばらくしても、凛と瑠璃は部屋の中にいる2人を見守り続けた。
ピンクマ「ハミクリの誘惑に抗えなかったぁ。クロスオーバーとR-15タグに甘えすぎたかな?まま、知ってる人はサプライズ?として、、、」