「見るだけじゃなくてあの人達と打ってみてぇな……」
オレの名前は進藤ヒカル。
死んでから佐為とまた逢うことができて1000年。
たまに現世を見てはずっと佐為と囲碁を打っていた。
幸せな時間だった。
けれど碁打ちのサガには勝てなかった。
やっとヒカル達に追いついた現世の棋力。
何度か佐為と現世を覗いては話し、覗いては話しを繰り返していたが遂に言葉に出てしまった。
ボソッと小さく呟いた言葉だったがどうやら佐為に聞こえてしまったようだ。
「えぇ。私もあの者たちと打ってみたいです」
優しい目をしつつもしっかりとヒカルの眼を真っ直ぐ見ながら佐為は答える。
「佐為も?」
佐為も同じことを思っていた事に少しびっくりするヒカル。
少し考え込んで視線を落とす。
ヒカルは思いついたように佐為に人差し指を立てながら提案した。
「じゃあさ。一緒に生まれ変わろうぜ」
「一緒に……生まれ変わる?」
佐為は全く予想していなかった。
ただヒカルと一緒に居たくて少し我慢していた。
それが生まれ変わっても一緒なら話は別だ。
「えぇ!! 生まれ変わりましょう。一緒に!」
佐為はヒカルの腕に飛びついて目一杯の喜びを表現しながら答えた。
「よーし! そうと決まれば生まれ変われる場所に行こうぜ」
「えぇ。もちろん」
ヒカルと佐為は生まれ変わる為の部屋に入っていく。
テレビと紙が所狭しに置いてある。
テレビの隣や上に資料が置いてありその資料を手に取ってパラパラとめくる。
「こちらは初めてですか?」
入ってすぐ受付にいた女性がヒカル達に近寄りながら声を掛ける。
「は、はい」
いきなり横から話しかけられた為少し驚いて開いていた資料を閉じた。
視線を女性に向かせ説明を聞く。
「今この部屋にあるのが今年にご妊娠される方々です。来年以降はあちらの部屋です。こちらの資料はご両親となる方の経歴や目的が書かれています。テレビに映ってるのはその方のお顔ですね。気に入った方が居ましたらその資料をあちらの転生受付にお見せ下さい。あなたのやりたい事とマッチすれば転生出来ますよ」
「「はぁ。ありがとうございます」」
ヒカルと佐為は声を揃えてお礼を言うと少し離れた場所にあるテレビ前に移動する。
「この人、優しそうですね」
佐為がテレビに映った微笑んでいる女性を見て近寄っていく。
資料を見始めたのでヒカルも周りを見渡し、気になるテレビの前に移動して資料をパラパラとめくる。
何となく早く生まれたい気持ちがあったためか2人とも今年生まれる部屋だけで探す雰囲気がある。