来者の巴   作:彩加

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第3話

「ヒカル! 起きないと遅刻するわよ。今日は登校日じゃなかった?」

 

ヒカルが生まれて12年。この春、中学生になる。

母親が階段下からヒカルの部屋がある2階に向かって大声で叫ぶ。

 

「そうだ! 今日は学校に行かないと行けないんだった」

 

ヒカルは急いで起き上がって着替え、階段を駆け下りる。

 

 

 

現在、AR技術も発展したため普段は自分の部屋からオンラインで授業を受ける。

授業も仮想学校で受けるため友達ともアバター越しで会う。

だからと言って月に何回かは実際に集まるため昔の校則は健在で制服だってある。

学校自体もあるが目的によっては一般の人も利用する体育館等を借りて集まるのだ。

 

今日は入学式、体力測定、顔合わせを兼ねての登校日。午前中で終わりだ。

 

遅刻しない範囲で食べれるだけ朝ごはんを口に含む。

 

「ヒッヘヒハフ」

 

ヒカルは口いっぱいにご飯を入れたまま話したため上手く母親には伝わらなかったが、食事の席を立ち玄関に向かおうとする。

 

「ちょっと! 時計忘れてるわよ」

「! サンキュ」

 

再度テーブル横に充電してあった時計を腕にはめて玄関に向かう。

 

 

 

「行ってきます」

「はい、行ってらっしゃい」

 

改めてヒカルはそう言って外に出た。

 

 

駐車場の隅にある1人用の卵型バイクを引っ張り出す。

乗り込むとエンジン部分に腕時計を近づけた。

 

起動音がして光る。

 

『本日4月8日、8時48分。乗車認証、、、完了。進藤ヒカル、入学式会場まで9分です。シートベルトをしたら発進します』

 

ヒカルはアナウンスを聞いてシートベルトを締めるとバイクはゆっくりと走り出した。

 

 

自動で会場まで安全に連れてってくれる今のバイクや車に免許は不要だ。

必要なのは腕時計と手のチップで、本人確認と目的地の確認のみだ。それすらもある程度自動でスケジュールが入っているので時計をかざすだけで勝手に目的地まで運んでくれる。

チップも生まれてすぐに入れられるので痛みもないし、触ると分かるが別にこれと言って気にする事もない。

 

 

 

体力測定もある今日は体育館への集合だったらしい。

会場に着くと新入生は奥の大ホールに行くように張り紙が貼ってあった。

 

ヒカルは指示に従って奥の大ホールに入っていく。

 

「こちらの機械に時計を近づけて」

 

受付にいた先生らしき人に声をかけられる。

時計を近づける。

 

「今年入学の進藤ヒカル君ね。先に体力測定をした後、学校に移動してクラス毎のオリエンテーションよ。そのまま進んで空いてる場所に行って測定して」

「はい」

 

言われるままに測定していく。

1度機械に時計をかざしてから測定するとその値が勝手に記録される。

 

 

 

「これで終わりだね。学校に移動して」

「はい」

 

全て終わったみたいだ。男性の先生が学校への移動を促し、またバイクに乗り込む。

 

 

 

学校に着くと、外のトラックにクラス分けが貼ってあるのを見つける。

 

「1組か・・・」

 

自分の名前を見つけたため1年1組のクラスに移動する。

 

「ヒカル! やっと会えましたね」

 

学ラン、艶のある長めの黒髪、顔立ち整ったクラスメートらしき人物がヒカルに話しかける。

 

(こんなヤツ、小学校でいたっけ?)

 

少し考え込むヒカルだったが小学校の友人に心当たりはない。

 

「誰だっけ? 小学校、同じだったっけ?」

「え! ヒカル、私のこと覚えてないのですか? 佐為ですよ。藤原佐為!!」

「……藤原…佐為?」

 

名前を聞いても記憶がない。

 

「悪い! 覚えてねぇわ」

 

ヒカルは少し悪びれた表情で佐為に謝る。

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