人探し屋の少女は何を思う   作:旅たまご

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三週間に間に合った……
ネーミングセンスには期待しないでください……ホントに。





13 治療中

つい先日のように、また私は二人の部屋に訪れた。但し今回は全てゴンが原因だ。

苛立ち混じりに足で蹴ってドアを開ければ、そこそこに広い──と言っても造りは私の部屋と同じだ──部屋の中と椅子に座ったキルア、そして腕にギプスをつけたゴンがいる。

 

「頭大丈夫?腕の前にそっち治してもらったら?というかハンター試験でも腕折ってたけど、学習しないね。」

 

「うぅ、だって……」

 

「だっても何もない。自分が思うままに行動するのは良いけど、周りに迷惑かけるなよ。」

 

「スゲー、リゼにまともな説教されてる。」

 

「どういう意味か聞いてもいい?」

 

睨むとキルアは目を逸らした。二人には確かに文句ばかり言ってる気もするが、別にまともなことを言っていない訳ではないはずだ……多分、あまり自身はないけど。

 

「そもそも纏だけ覚えたからって勝てる訳ないでしょ。相手は念を鍛えた期間も経験も()()()()()実力も上。才能だけで勝てるほど甘くないことくらい理解出来ない?」

 

溜息をつくと、何故か二人はキョトリとした顔でこちらを見ていた。

 

「何?」

 

「褒めてんのか説教してんのか分かんねーから。つーか、リゼが誰かを褒めるのは滅多にねぇだろ。」

 

「あんな雑魚の実力を見誤らない程度には、私の目は良いと思うけど。」

 

そう、雑魚なのだ。ゴンが戦って全治四ヶ月の怪我を負った相手でも雑魚だ。なんならカストロより弱いだろう。

ゴンが顔を殴りたいのはヒソカだろう。せめてアイツ……ギドだったか、相手に怪我を負ってるようでは夢のまた夢だ。

 

そう伝えるとゴンはより落ち込んだ。落ち込むくらいなら最初からしなければ良かったのにな。死んだら全部終わりなのに。

どうせウィングにも叱られるだろうし、このくらいにしておくか。足音が近付いて来たし、多分ちょうどウィングが来たんだろう。

 

まあ、ウィングの説教もそこそこに長かったので割愛する。

要約すると、腕が治る二ヶ月間──本当は四ヶ月だがキルアが嘘もついた──念に関わるな。纏の修行をしていないか確認するために、誓いの糸を結びつけておく……と、大体こういう話をしていた。

 

「ああ、そうだ……もし良ければズシの修行を見学してもいい?」

 

「ズシのですか、それはどんな理由で?」

 

「暇だから。私は当分試合をしないつもりだし、趣味と呼べるようなものも特にない。要は退屈なんだよ。もちろん、特に口出しはしない……別に嫌ではなかったらの話だけど。」

 

私には趣味がない……修行を趣味とするのだったら別だ。本は読むけどただ知識を得るためだけだから、好きでやってる訳ではない。修行を見ていたってそこまで面白くもないが、少しくらい退屈を紛らわせることは出来るだろう。

 

「そうですね……ズシに時々手本を見せてくれるなら良いですよ。リゼさんの年は勉強になりますから。」

 

「分かった、ありがとう。」

 

多分場所は前行った部屋で良いはずだ。あそこにいれば偶然ヒソカに会うこともない。ゴンが治るまでの数ヶ月、ゆっくり過ごさせてもらおう。

 

 

♦ ♦ ♦ ♦

 

 

あまりにも時間があまったので、一応料理をしてみた。酷くもなく、特別美味しいという味でもない。微妙だ。

面白くはないので趣味にはできないな。今度は菓子でも作ろうか。そう考えながら皿を洗い終わったときだ。携帯が振動した。

ちなみに音はどうでもいいから初期設定のままだ。

 

画面にはとある名前が映っていた。気分が一気に急降下する。それでも無視ということにもできない……嫌だが仕方ない。

 

「はい、今回はどのような内容ですか?」

 

『ウボォーギンを探してくれ。報酬はいつも通りで。』

 

「分かりました。」

 

さてはまた携帯壊したな。あの脳筋。というか図体デカすぎて携帯使えるのか?絶対サイズが合わないだろ。

 

探し人(フィンダー)

対象について

名前はウボォーギン。

性別は男。

幻影旅団のメンバーで、No.11。強化系。

 

これ以上は追加しなくて良いか。変に加えて間違ってたらデメリットが多いし。

 

「###共和国の北西にある■■市。中央にある大通りの、宝石店の隣にあるホテルの最上階の8号室にいます。」

 

『分かった。礼を言う。』

 

「では、またの利用をお待ちしてます。」

 

嘘も方便だ。当分声は聞きたくない。今ので半分くらいオーラ減ったし、神経使うし。たかが一分程の会話だが、それでも疲れるものは疲れる。それにどうせ対象が動いたら報告しないといけないから、能力は発動し続けている。オーラはこれ以上消費することはないが、頭の中に常に情報が送り込まれている感覚が嫌だ。

 

フィンダー……突き止める人。ネーミングセンスなんて知ったことではない。自分の感性が大事なんだこういうのは。

能力は先程使った通り。誰かの居場所を突き止める。

相手の情報が多い程オーラの消費量が減り、反対にその情報を間違うか私と比べて実力が高い程、消費量は増える。あとは顔を写真か実際に見て覚えていないと探せない。死人も同じく無理だ。

ずっと発動し続けても、オーラを消費するのは最初だけ。但し同時に二人まで。だいたいこんな感じ。

 

『人探し屋』はこうして成り立っている……あともう一つ能力はあるけど。ただ、人探し屋以外で使うかと問われると微妙なものだ。明らかに戦闘向きではない。利便性に重きを置いている。まあ、世界を範囲に鬼ごっこをするなら、とても使い勝手がいい能力だと思う。

あ、あとカストロと相性がいいのはこういう理由だ。分身にしろ瞬間移動にしろ、私には居場所が分かるのだから。もうカストロに使う機会はないだろうけど。

 

ちなみに電話の相手はクロロ=ルシルフル。

クラピカが憎んでやまない幻影旅団(クモ)の団長だ。クラピカが知ったらまた怒るのだろう。暫く会ってないから、もしかしたら冷静に判断できるようになっているかもしれない。

こちらに依頼するのは、あちらも仕事があって団員を招集するときだけだから、そろそろ何かを盗むのだろう。今の時期だと、九月のヨークシンで行われる世界最大のオークションか。ああ、最悪だ。薄々分かっていたことだけど、キルアに着いていくなら私もヨークシンに行くことに……鉢合わせしないことを願おう。

 

頭を抱えながら窓を開けて外の空気を吸った。沈んだ気分も少しは明るくなってほしい。見渡す限り屋根ばかり。まあ200階だから当たり前のことだけれど。

ふと下の道路を見てみればやけに人が多い。そんなときは大抵誰かの試合が決まったときだけど……さすがに地上の声は聞こえない。

暇だし下へ降りてみるか。

 

一歩一歩近づくにつれて声が大きく聞こえてくる。人の波に呑まれそうだ。というか熱気がすごい。

なんとか騒ぎの中央まで行ってみると、あるチケットを売っていた。

ヒソカ対カストロ戦の。

どっちに賭けると通りすがりの奴に聞かれたけれど、勿論それはヒソカに決まっている。もし賭けるとしたらの話だけど。

そう思いながらチケットを買った。情報収集と暇つぶしには良いだろう。

 

「という訳で買って来たけどいる?」

 

「良いんすか?!自分、是非行ってみたいっす!」

 

「普段見させてもらってるお礼。それに一度能力者同士の戦闘は見ておいた方が良い。」

 

「ありがたく貰いますね。」

 

意外そうに見られたけど私も礼くらいはする。相手がまともであればの話だけど。ズシは真面目だし、ゴンのようにズレた感性をしているのではないし、キルアのようにひねくれてもいない。才能はあの二人には劣るだろうけど、それを差し引いても私の中で好感度は高い……二人が低すぎるだけか。

 

 

♦ ♦ ♦ ♦

 

 

そして試合当日。私はウィングとズシ、ついでにキルアと観戦しに来ていた。

ちなみにゴンはウィングに止められたらしい。腕が治るのに四ヶ月かかると言われていたはずなのに、一ヶ月で治したアイツはどんな体のつくりをしているんだろうか。そういえばハンター試験のときも回復するのは早かったな。

 

ああ、そろそろ試合が始まりそうだ。カストロがヒソカ相手にどれだけできるか。そして私のときには使わなかった能力を使うのか。実力次第ではヒソカに殺されそうだけど、本人は真剣な顔をしている。ヘラヘラ笑ってないだけ成長したということか。

 

開始の合図が鳴り、互いに動き始めた。攻防が続く中、カストロのまとっているオーラが増えた。能力を使う前兆だ。そのままヒソカに蹴り放ち、ヒソカはそれを回避──したはずだった。

カストロの脚がブレた。私から見てもヒソカは避けていたはずだったから、恐らくあれが能力なのだろう。

 

暫くすると本格的にカストロが能力を使い始めた。予想通り、分身だ。二人に増えた。一対二の構図をつくり出せるのか。分身に与えられたダメージも本体には関係ないみたいだけど、その分デメリットも多そうだ。

 

「あれも念かよ、何でもありすぎじゃね?」

 

「本人の能力次第でしょ、そんなの。それに言う程万能なものじゃない。」

 

制約も必要だから。今言っても全く分からないと思うけど。それにカストロのはあくまでも自分を増やすだけだ。圧倒的な実力差があれば問題ない。

そう考えてるうちに腕が飛んだ。もちろんヒソカの。長くオモチャと遊んでいたいのか完全に手を抜いている。はやく倒せばいいのに。

あ、もう一方も切られてる。ニコニコ笑ってるけど痛くないのか。メイクと相まってピエロらしいと言えばそうだけども。切られたはずの腕を繋げたように見せても面白くないのだから茶番にすぎない。

パフォーマンスなのか自分の腕から血塗れのトランプを取り出すし。ステージがどんどん汚れていく。

 

そろそろ飽きたのか、劣勢だった──本当は遊んでいただけだが──ヒソカがカストロを追い詰めていく。

戦闘中についた汚れは分身に再現出来ない。それを指摘されて動揺したのか動きが鈍る。だけどそれは一瞬のことで、深呼吸したカストロは分身を使ってヒソカに攻撃する。

冷静に判断できるようになったのは良いけれど、まだまだ詰めが甘い。カストロの体には、隠されたヒソカのオーラがくっついている。オーラが伸びている先にはトランプ。

終わりだ。

 

ヒソカの能力、伸縮自在の愛(バンジーガム)でトランプがカストロに突き刺さった。呆気なく死んだな。

 

 

♦ ♦ ♦ ♦

 

 

何週間か経過したある日。期限の二ヶ月間が過ぎたのでゴンも修業を始められるようになった。私個人としては騒がしいのでもっと後でも良かったけど。

そういうことで、二人は練の修業を始めた。その前にズシが凝をしたり他の選手が話しかけてきたりしたが、私個人としてはどうでもいいので割愛する。

凝は体の一定の場所にオーラを集め、練は平常時よりも多くオーラを練ることだ。練はその分スタミナ切れは早い。ちなみにズシは習得するまで合間合間で私が口出ししても暫くかかった。それをゴンとキルアは半日でコツを掴みかけている。ズシも複雑そうにしているが、こればかりは才能の差だな、諦めろ。

 

「そういえば、リゼのそれってどうやってるの?」

 

「それ?」

 

修業途中の休憩で、ゴンは何かを思い出したように私に話しかけてきた。指をさす先にはもちろん私。自分自身で体を見ても、いつものように微弱にオーラが立ち上って……ああ、そういうこと。

 

「これは絶の応用。念が使えない一般人でも普段から微妙にオーラは出てるでしょ。それと同じ状態にしてるって訳。まあ、要は周りに溶け込むためだよ。」

 

「確かに、言われてみれば……普段、兄貴みてーな威圧感はなかったな。」

 

強い雰囲気もなかったけど……と、キルアの呟きを私は聞き逃さなかった。思えなかったのではなく、私がお前等に思わせなかっただけだ。ムカついたので軽く頭を小突いた。

 

「絶だけ使ってちゃダメなの?」

 

「時と場合による。誰かを尾行したいときは絶。自分が念を使えないと、相手に思わせたいならこっちが便利。さすがによくよく見れば気づかれるけど。」

 

「すごい技術っすね……」

 

二人が視界の隅でやろうとしてるが、出来るはずがない。ズシを見習え二人とも。しっかり私の話を聞いているだろう。

 

「どうしてもオーラが調節出来ない……リゼ、何かコツとかないの?」

 

「特にない。体の精孔を全部ギリギリまで閉じるだけだから。慣れれば大丈夫になるはずだけど、最初は失敗しても仕方ない。」

 

というか一回で成功されると私が落ち込む。私だって一日でコレを出来た訳じゃない。使える程度になるのに半年はかかってる。

体からオーラを逃すイメージだ。纏みたいにまとってしまうと違和感からすぐに気づかれる。まあ、言わないけど。

 

「それがムズいんだっての……」

 

今回はキルアも悔しそうにしている。いいザマだ。そう思って鼻で笑ったら睨みつつも精孔をゆっくり閉じ始めた。まだまだ詰めが甘いな……というか練の修業は?私には関係ないので何も言わないでいよう。

 

「そういえば、コレの名前ってなんていうの?」

 

「さぁ?何となく練習し続けたら出来たから、名前なんて知らないよ。つけるのも面倒だったし。」

 

「じゃあオレ達で考えてみようぜ。いつまでも名前がないってのも不便だろ。」

 

「うーん、精孔を閉じるっすから(ヘイ)とか……?」

 

「あ、じゃあそれで。」

 

「早っ。こういうのってゆっくり考えるものじゃねーの?」

 

「結局オレ達何も言わずに終わった……」

 

ゆっくり考えたところで時間が無駄になるだけだ。どうせ名前にこだわっていたって何も変わらないのだから、閉で決まりだ。ブツブツと文句を言っているが知ったこっちゃない。それにキルアはともかくゴンにネーミングセンスはない気がする。

ところで……練の修業は?




ウボォーギンて携帯を間違って握り潰してそう(偏見)
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