人探し屋の少女は何を思う   作:旅たまご

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気づいたら前回の更新からほとんど一ヶ月経過してました。ホントごめんなさい。


次回の更新は早めにしたいと思います。
(できるとは言ってない)

今回は途中から一人称に変わります。


5 危険

合格した受験者が塔から出る。リゼは試験官の話を聞くのが面倒とは感じていたが、4次試験の説明なのでネテロ会長の時とは違い、一応真面目に聞くことにした。

3次試験の試験官は周りの受験者に4次試験の説明をするため、受験者達の前に出る。目を細めニヤニヤと笑っているので「タワー脱出おめでとう。」と口では言っているが、素直に賞賛している様には見えない。むしろ嫌味か煽っているようにしか感じない。

ガラガラ、と音をたてながら小さな箱をのせた台が運ばれてくる。

 

「これからクジをひいてもらう。」

 

試験官の言葉に一部の受験者の間で動揺が広がる。

クジで何を決めるのか。そう受験者が呟いた言葉を聞き取ったのか、試験官はより一層笑みを深めている。

 

「このクジで決定するのは、狩る者と狩られる者。

この中には24枚のナンバープレート。すなわち今残っている諸君らの受験番号が入っている。」

 

試験官の言葉を聞いた直後、リゼは自身の服につけていたナンバープレートを隠した。もちろん周りにバレないように素早く。

 

 

狩る者と狩られる者。その試験官の言葉が正しければ4次試験では、多分誰かに狙われるということ。まあその予想が合ってなくとも、ナンバープレートを隠してもデメリットは無い。

正直に言ってしまうとあまり負ける気はしない。……ある2人を相手にしない限りは。

 

1人はもちろんヒソカ。ゴンの様に見逃される場合もあるが、それは将来的に強くなると判断される時だ。私ではその可能性は高いとも言いきれない。やっぱりそんな危険な賭けをしたくは無い。

 

もう1人は301番の……本名かは分からないが、ギタラクルという受験者だ。顔や服の至る所に針を刺していて、見た限りでは誰とも話そうとしていない。というか誰も話しかけようとしない、というのが事実だが。カタカタと不気味な音を鳴らしているし。ヒソカくらい実力も高く、見逃される気はしない。

少し特徴的な人物(変人)が集まりやすいハンター試験でも、ギタラクルに話しかけようとする様な馬鹿(命知らず)はいなかった。

 

 

試験官の話を聞きつつ、頭の中でリゼがそんな風に考えていると、カードをひく順番がリゼにまわってきた。これで自分が狙うプレートが決まるらしい。

 

(44番と301番になりませんように。)

 

リゼはこれが運頼みと知りつつも、そんなことを願わずにはいられなかった。リゼは頭を振って、とりあえず考えないようにすると、箱の中に手を入れてカードをつかんだ。そうしてゆっくりと、リゼは自身がひいたカードを見てみると、

 

301

 

つい先程思い浮かべた番号が、クッキリと書かれていた。

 

半ば諦めた様な顔で、手元のカードを握り潰して虚空を見続けているリゼを不思議に思ったのか、次に紙をひくゴンが通りすがりにリゼを見ているが、リゼは特に反応しない。

 

 

(……まだ方法はある、はず多分……)

 

時間が少したち、全員がカードをひき終わると少しずつリゼは頭がまわるようになった。まだ打開策はあると信じて考え始める。無い時は多分、リゼは諦めて来年のハンター試験を受けるだろう。

 

「それぞれのカードに示された番号の受験者が、それぞれの獲物(ターゲット)だ。奪うのは獲物のナンバープレート。」

 

リゼは先程、試験官の話を聞くのが面倒だと思っていたのとは裏腹に、今は真剣に試験官の話を聞いている。一言一句聞き逃さない様に聞いているせいなのか、若干睨んでいるように見える。

 

「自分の獲物となる受験者のナンバープレートは3点、自分自身のナンバープレートも3点、それ以外のナンバープレートは1点、最終試験に進むために必要な点数は6点。

島での滞在期間中に6点分のナンバープレートを集めること。」

 

試験官の話を聞き終わると、リゼはゆっくり息を吐き出した。少し面倒だがまだ方法はあると安心して。

 

 

♦ ♦ ♦ ♦

 

 

"自分と同年代なんて珍しい"、そんな軽い理由で二人と話した。ちょうどいい暇つぶしになる、そう思って1次試験では話していた。

思えばゴンがヒソカに目をつけられたとき、二人をすぐに避けていれば良かった。

そうすればクラピカと知り合う可能性は低く、こうして悩まされることも無かったんだ。

 

キルアが暗殺一家の一員だったこと。知ったときは驚いたが、特に問題は無い。世界最高の暗殺者は快楽殺人者ではないのだから、依頼がない限りは狙われることはないだろう。

 

今回、ゴンの獲物(ターゲット)はヒソカになったこと。本人の口から聞いたので間違い無く。これもまだ問題はない。自分には関係なく、目をつけられることのないようにすれば良いのだから。

 

別にこの二人に問題はない、とも言いきれないがまだこちらの二人の方が安全だったかもしれない。

 

一番の問題はクラピカだ。

4次試験が行われる島へ船で向かっている最中のこと。ゴンとキルアに話しかけられて面倒だと思いつつ、適当に返事をしていたときだった。

 

 

♦ ♦ ♦ ♦

 

 

「リゼは何でハンター試験を受けたの?」

 

いきなり話題が変わってゴンがそう聞いてきた。軽い理由で受けたから、特に嘘をつく必要もなかった。だから普通に答えようとして、

 

「ただ──」

 

口を開いた瞬間だった。

 

「それは私も興味があるな。」

 

クラピカが話に入ってきた。何で興味があるのかは分からなかったけど、クラピカは特に危険な人物だとは思っていなかったから、このときは別に気にしなかった。

 

「期待してるほど大層な理由じゃないと思うけど。

ただ単にライセンスがあれば便利だし、あとはハンターの資格をもっていた方が会いやすい人がいるから。

職業柄、色んな人を覚えているほど都合が良いからね。」

 

人探し屋をするには、より大勢の人間を覚えて損はない。いつ、誰が、誰を探すために依頼するのか分からないのだから。

ハンターの資格をもっていた方が会いやすい人物。これはネテロ会長やそれぞれの試験官などがいい例だろう。ハンターに会うのなら自分がハンターになった方が楽だ。

 

「職業柄?リゼって何の仕事なんだよ?」

 

見れば私に尋ねてきたキルアだけでなく、ゴンとクラピカも興味がありそうにこちらを見ていた。

言わなきゃよかったかもしれない。そう思ったが顔には多分出てないだろう。

このまま秘密には出来そうにないので、とりあえず話が聞こえる位の距離にヒソカがいないかを確認する。

ヒソカに聞かれると色々と苦労する、というか変装している意味が無くなる。まあ現在ほとんど意味をなしておらず、今更な気もするが。

 

「人探し屋。誰か見つけたい人がいたら連絡してみて。料金次第で請け負うから。」

 

周りに聞こえずらいように声を潜めて言うと、何故かキルアがゴンを見ていた。

誰か見つけたい人でもいたのだろうか。でも人の話は最後まで聞けよ、そう文句を言いそうになった。ゴンは少しの間悩んでいたが

 

「リゼには悪いけど、やっぱり親父はオレの力で探すよ。」

 

しっかりと、そう言い切った。

ゴンなりの覚悟が決まっているのだろう。瞳は揺るぎなく真っ直ぐだった。

ゴンの事情も父親も全く知らず、何の話かも分からないし、興味もそこまでないが、とりあえず大切だということは伝わった。

というかリゼには悪いけど、って何だろうか。ゴンの父親を見つけられるとも言ってないし、協力するとも言ってない。

 

 

 

「……それは、誰でも探すことはできるのか。」

 

意外にも次に口を開いたのはクラピカだった。何でか知らないがこちらも真剣な雰囲気を出している。何となく怒っている気もするが、何かしただろうか。

何で?そう尋ねようと思ったが、一先ず質問に答えることにした。

 

「"誰でも"は無理だけど、ある程度なら大丈夫だと思うよ。」

 

「そうか……」

 

ゴンとキルアも珍しく真剣な表情をしているのがやけに気になる。この二人は事情を知っているのだろうか。

何故か分からないがこの話を聞くな、と警告が聞こえる気がした。ただの勘だが、自分にとって絶対に嫌な話だという確信があった。

 

 

 

 

「……幻影旅団を探すことは可能か?」

 

 

 

ビシリと音がしそうな程、自分が石の様に固まったのが確かに理解できた。は?と素で返さなかっただけマシだ。

 

幻影旅団、表情を見るに冗談では無い。クラピカは本気で言っている。

 

「……答えるなら、

一応 可能 だよ。にしても何で……」

 

よりにもよって探すことのできる幻影旅団なのか、その言葉は形にならず息が吐き出されるだけだった。クラピカに並々ならぬ事情があることは察せる。

例え馬鹿だと思っても口に出したら怒ることは分かっているつもりだ。

 

「クルタ族は知っているか?」

 

「……知ってる。昔、幻影旅団(蜘蛛)に狙われて──」

 

滅亡し(殺され)た。

幻影旅団に関係していたから忘れてない。しっかりと記憶がある。

 

クルタ族がもっている、世界七大美色の一つの緋の目。

クルタ族は怒りで目を(あか)く染める。緋の目の状態のまま殺害すると、その色は半永久的に保たれる。

オークションでも、頭部からくり抜かれた状態の緋の目を、数回見かける事があった。人体収集家には高く売れるからだろう。

私は眼球を見ても別に綺麗とも思わず、緋の目を買う意味が全く分からなかった事を覚えている。まあずっと分からないままで良いと思うけど。

 

話が逸れたが、クルタ族の生き残りであるクラピカが望んでいるのは───

 

「"復讐"はオススメしない、ってもやめる気はないか。」

 

私の言葉にクラピカは重く頷いている。

私が言ってやめるくらいの覚悟なら、もう既にやめている。たとえ死ぬとしてもクラピカは復讐をしようとする。でもせめて自分の実力くらい分かってから妄言を吐いて欲しい。

 

「まあクラピカの事情は分かったけど、"今は"無理だよ。

……ああ、私が言いたいのはどっちも。復讐にしても幻影旅団の居場所にしてもね。」

 

今は、と繰り返し強調して言えばしぶしぶといった表情で、睨みつけるのはやめてくれた。確かに悔しいのは分かるが、私にあたるのはやめろと言いたい。

 

絶対に今のままでは無理だ、これは確実に。怒らせるつもりは無いので言わないが、クラピカでは私にも勝てないだろうから。

けれど、もしも幻影旅団への復讐のためだけに全てをかけるなら、未来の話だが成功する可能性は結構ある。幻影旅団全員は無理だと思うが、数名は殺害できるだろう。

 

別に止めようなんて思って無い。復讐で死んだとしても本人が望んだことなのだから、勝手にしろとは思う。

だけど私を巻き込んでほしくなかった。私は別に幻影旅団に恨みがある訳でも無いんだから。

私が幻影旅団の居場所を教えて、クラピカの幻影旅団への復讐が半ば成功して(途中で終わって)しまったら。矛先が私に向かないとも言いきれない。そんな未来は想像したくない。

 

「……戦う相手との相性は考えないとしても、少なくともヒソカとまともに戦えるくらいにはならないと無理なんじゃない?

それぐらいの実力になったら居場所も教えるから。…………料金次第だけど。

 

最後の言葉が聞こえていたのか分からなかったが、顔が引きつらないように意識しながら笑みを浮かべる。

私の安全の為に復讐やめてくれないかな。そんな叶いっこない、自分でも馬鹿だと思うような願いを隠して。

ゴンとキルアはせめて何かを話してほしかった。少しくらいは真剣な空気が緩和されそうだったから。

 

 

♦ ♦ ♦ ♦

 

 

と、いうことがあった。

この後、滅茶苦茶に焦って一周まわって冷静に考えることができた。考えることができただけで、4次試験がスタートしそうな今も良い解決策は見つからない。

 

関わるのを避けるのは、人探し屋の連絡先教えたから無意味。というかいきなり対応が変わると変に思われる。

クラピカを殺すのは、ゴン達が犯人を探すだろう。これはバレた後ゴン達を殺さないように追い払うのが面倒。うっかり殺すと私がヒソカに殺されそう。

クラピカだけ金を積まれても依頼を受けない、となるとクラピカ自身が怒りそう。

幻影旅団の居場所が分かるって言ったから、もう嘘がつけないし。

それに、まだ実力不足だと言うのにも限界がある。確かにクラピカには才能と覚悟があるのだから。

 

もうクラピカが復讐を失敗することを願うしかない気がする。

あとはクラピカが幻影旅団を全員殺せれば───これは有り得ない。

 

もしものときは、世界中逃げまわれば大丈夫……とも言いきれない。私と似た、誰かを探すことに長けている奴もいるだろうし。何より疲れる。

 

 

クラピカの様に死んでも成し遂げたい事は全く無い。寧ろ死にたく無い。きっと誰より生にしがみついている。死にたく無いのは普通な考え方な気がする。普通何てものはよく分かっていないが。

 

誰に何を言われようと、変えるつもりは一切無い。だからどんな事があっても、クラピカに巻き込まれて死ぬなんて御免だ。

私はどれだけ意地汚く、何かを犠牲にしても生きていたい。きっと惨めに死ぬよりかは絶対にマシなはずだから。




レオリオが空気……すまない。


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