ハーモニクサーD×D   作:無玄

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第3話

という訳でリアス・グレモリーの下僕となった俺。べ、別にあんな美人の下僕なら大歓迎とか思ったわけではないぞ!うん。で、その後何やかんやあって契約取りして来いと魔法陣に放り込まれた。そして現在俺を――正確には小猫嬢だが、他の呼び出しと被ったので俺が代役として行くことになった――呼び出した人間の前に居るわけである。

 

「うぃーっす。小猫嬢の代役で来ました新人悪魔です。自分で言っておいてなんですが、新『人』なのか『悪魔』なのか?」

 

「いきなり現れて何訳のわからないことを言ってるんだ?」

 

と、俺の目の前に現れたのは……いや、逆か。俺が彼の目の前に現れたんだからな。ってそんなことはどうでもいい!痩せ型の不健康そうな男だった。

 

「で、小猫ちゃんは来れないと?」

 

「うん。」

 

俺の言葉にがっくりと項垂れる痩せ型の男。そこまで落ち込むとは余程小猫嬢に会うのを楽しみにしていたのか……。すいませんね、俺なんかで。

 

「まぁ、挨拶がわりに。」

 

俺はいつも懐に忍ばせている紙切れを差し出す。傍から見たら名刺交換かなにかに見えるだろうか。

 

「ん?『福引券』?」

 

「それ持って福引会員に話しかければ福引をやらせてもらえます。会員は色々な所に隠れてるんで探してみるのも面白いかと。」

 

そこで一度区切る。そして続ける。

 

「そんなわけでやってみますか?」

 

こう見えて俺は福引会員No.3だ。世界中に福引を広めるため、たまにこうやって活動しているわけだな。今後も、悪魔の仕事のついでに福引を広めていこうかなっと。

 

「うーんと?このリングを止めるのかな?」

 

そう言って痩せ型の男は『第五の鍵』のところでピッタリと止めやがった。

 

「大当たり!いきなり鍵を取るなんてお兄さん筋が良いよ!」

 

「そ、そうかな?」

 

いきなり大物を取るとは……ええい、もってけ泥棒!

 

「福引券1枚につき1回までという制限があるから、今日はこれまでね。もっとやりたいなら、その辺を探してみると福引券が落ちてたりするよ。」

 

と、福引界の社交辞令が済んだところで本題に入る。

 

「改めて自己紹介させてもらうと、新人悪魔の兵藤一誠だ。趣味は福引、特技はフュージョン。」

 

「森沢です。……ってフュージョンだって!?」

 

フュージョンという単語を聞いた瞬間目を輝かせた。え?何?この人フュージョンのこと知ってんの?

 

「ちょ、ちょっと見せてもらってもいいかな?」

 

「え?ああ、良いっすよ。」

 

ということでとりあえずアモンにフュージョンする。ぶっちゃけ人に見せるためだけにフュージョンするのは結構辛いものがあるな。

 

「以上です。」

 

「このパチモノめ!」

 

いきなりキレた。何故に?

 

「フュージョンってのはなぁ!こう!一見恥ずかしいポーズをとって、失敗するとバカみたいな姿になるものだろう!」

 

「それドラグ・ソボールのフュージョンじゃねぇか!」

 

話を聞いてみれば漫画の技かよ!俺も好きだけどねドラグ・ソボール。完全版全巻揃えてるけどね。でも漫画とごっちゃにされるのは何かこうしっくりこない。

 

「そうでなくても、ライオンが変形するとか、それがステルス爆撃機と新幹線とドリル付きの戦車とラストフュージョンするとかさぁ……。」

 

「それは勇者皇ザオザイザーだろ!」

 

DVDBOX持ってるけどね。ごっちゃにされるのはしっくりこないんだよ!

 

「君、話に付いて来れるのか?」

 

「男ならば当然でしょう。」

 

なんか急に真剣な顔になったな。真っ直ぐこっちを見据えてきて、こう……ウホッな展開になりそうな雰囲気だ。あ、ちなみに俺はそっちのケはないからね。知り合いのレスラーもどきのヒーローもどきとは違うんです。

 

「語ろうかッッ!」

 

いきなり手を差し出してきた。俺は迷わずその手を取って握手した。

 

「ハイッッ!」

 

結局、一晩中語り合っていたら夜が明けてしまった。やべ、契約取れてねぇ。

 

 

 

 

 

「すみませんでした。」

 

契約も取れずに無様に帰ってきた俺は、真っ先に部長に土下座しに行った。

 

「ごめんなさい、どう反応していいかわからないの。」

 

部長は厳しい表情を浮かべながら森沢さんのアンケートを見ている。やっぱまずかったか?

 

「とりあえず依頼者からの評価はとてもいいんだけど……。」

 

「これはどういうことなの?」

 

木場や小猫嬢も苦笑している。問題はそう、最後に書かれた一文だろう。

 

『福引、すごく楽しかったです。第五の鍵は宝物として大切にします。』

 

「この福引って何かしら?それと第五の鍵?」

 

部長が真剣な顔で尋ねてくる。思わず目をそらしたくなるが、真面目に答えなければならない場ということで思いとどまる。

 

「それはですね……」

 

俺は部員全員に福引について話した。俺が福引会員であることも、景品のことも含めて、全てだ。

 

「仕事のついでに福引を広める。ね……。」

 

「ダメだというなら次回以降やめます。」

 

せっかく見つけたいい宣伝方法だと思ったんだがなぁ。と思っていると、部長が思いがけないことを言ってきた。

 

「いいえ、むしろどんどんやりなさい。」

 

「は?」

 

まさかの推奨。え?悪魔の仕事ってそんな適当でいいの?

 

「その福引で依頼者から評価を得られるのなら、それを辞める理由はないわ。契約と福引、ギブアンドテイクって感じでいいと思うわ。」

 

予想外の高評価。うーん、悪魔ってよくわからん。

 

「でも、次はちゃんと契約をとってきてね。」

 

「う……頑張ります。」

 

 

 

 

 

で、また依頼者の元へ転送されたワケだが……。これはどうしたものか。

 

「いらっしゃいにょ」

 

どこぞの人形の服の仕立て屋が好みそうなボディビルダー風の大男が今にも破れそうなゴスロリ衣装を着込んで、あろうことか猫耳までつけている。正直に言おう。ここまで来るともはや一種の芸術を感じる。さすが変態国家日本!

 

「あ、あのさ……悪魔を召喚しましたか?」

 

カッ!という効果音が聞こえたような気がした。うん、気がしたんだ。

 

「そうだにょ。お願いがあって悪魔さんを呼んだんだにょ。」

 

そしてこの語尾。『にょ』ってお前……。

 

「ミルたんを魔法少女にして欲しいにょ。」

 

名前はミルたんというらしい。願いは魔法少女になることか。うーん。

 

「魔法なら何とかなるだろうけど。」

 

「本当かにょ!?」

 

目を少女漫画のようにキラキラさせながら上目遣いでこっちを見てくる。やめて、そんな目で見ないで!

 

「この紋章をこうやってはめて、呪文を唱えれば……」

 

試しに回復の魔法(キュア)を見せる。本来俺にはフュージョンがあるから使わないんだけど、使えないわけじゃないから教えることにした。本音を言えばとっとと終わらせて帰りたいんだ。

 

「おおー!この前怪我した足の痛みが消えたにょ!師匠、ありがとうだにょ。」

 

ミルたんはかなり筋がよく、僅か10分でキュアオールまで覚えた。しかもいつの間にか師匠と呼ばれている。一体どうなってるんだ……?

 

「ねぇ、つまらないことを聞くようで悪んだけどさ。何でそんな魔法少女になりたいの?」

 

「それは話せば長くなるにょ。」

 

いきなり語りだした。じ、地雷だったか?

 

「あれは数年前の夜のことだったにょ。その日私は登山をしていたんだにょ。その帰りに嵐が来て、運悪く遭難してしまったんだにょ。その時に私を助けてくれた人が、魔法少女だったんだにょ。そのかっこよさに惚れて、いつしか自分も魔法少女になりたいという憧れに変わっていたんだにょ。」

 

「へ、へぇ……。ちなみにその魔法少女ってどんな人だったの?」

 

「いい人だったにょ。魔法少女としての心構えを教えてくれた先生だにょ。『魔法少女たるもの、ステッキの一つも持たないといけないニャ』と言ってこのステッキをくれたんだにょ。」

 

あれ?なんか知り合いにそんな喋り方する人(?)がいたような……?

 

「先生は甘いものが好きだったにょ。ケーキやゼリーをよく食べていたにょ。先生のステッキは一族に代々伝わる物だって言っていたにょ。」

 

嫌な予感がどんどんデカくなるなー。

 

「ねぇ、もしかしてその人桃色のコウモリに変身したりしなかった?」

 

俺の予想が外れていてくれと願う中、俺の言葉に目を見開いて驚くミルたん。すごく怖いです。

 

「師匠は先生を知っているのかにょ?」

 

うわ、予想通りだったよ……。

 

「うん、わかった。把握した。もういいです。」

 

最後に福引だけさせて、俺はそのまま帰った。ミルたんが当てたのはティッシュだった。

 

 

 

 

 

「一応契約は取ったのね?」

 

「ハイ。」

 

今度は土下座ではなく普通に立っている。前回のような失敗はしないよ。そもそも前回は依頼者の魂が弱すぎただけだし。

 

「で、例によってこの一文なんだけど。」

 

『紋章魔法が使えるようになって嬉しいんだにょ。福引は悔しかったんだにょ!次回は景品をとってやるにょ!』

 

「紋章魔法とは何かしら?」

 

例によって洗いざらい話す羽目に。毎度毎度アンケートに丁寧に答えすぎだろ依頼者。

 

「そんな便利なものがあるのね。」

 

「正直要らないんですがね。」

 

フュージョンあるし。……今はほとんど力失ってるけど。

 

「今回も福引は好評のようね。」

 

「今回は外れでしたけどね。」

 

今回ミルたんが当てたのはティッシュ。つまりハズレだ。だが、ハズレだからといって後悔することはないんだよね。このティッシュはウェールズに住む初代会長、つまりじっちゃんが魔術と科学を究めて生み出した至高の一品らしい。

 

「ここまで評価が高いと気になるわ。私も福引をしてみようかしら。」

 

「最初の一回はタダで出来ますよ。」

 

数年前より、俺の提案で最初の一回はタダということになった。福引を広めるための苦肉の策ではあったが。

 

「チャレンジするわ。」

 

部長は目を瞑って意識を集中する。数秒後、目を見開いて針を止めた。俺は針の示す先を見て絶句する。まさか……これは!

 

「いきなり『心眼』大当たりー!」

 

一発で心眼を引いた。マジかにょ……もとい、マジかよ!?やばい、口癖が移りそうだ。

 

「いきなり最高の景品を取っていくとは、流石は部長。」

 

「当然よ。」

 

腰に手を当て、部長は得意そうな顔をして言い放った。俗に言うドヤ顔だな。

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