文也の部屋に入って会議が始まるかと思われたが、皆がそれぞれ思い思いの行動を始めた。
「なにこれ!めっちゃコントローラー入ってる!?」
「あ、それはこう、アタファミの練習で使えなくなったコントローラーで…」
「へぇ。こんなに使い潰せるもんなのな」
「まあ、2~3年あれば、このくらいは」
「へ、へぇ…やっぱ友崎ってそのへんガチなんだね…」
「おう、まあな」
「なんつーか。お前やっぱり、変なやつだなあ」
「まあなぁ。でも、なにもないよりずっといいと思うぞ」
「そ、そうかな…?」
そんな話をしていると、1人だけ話しに加わらずに真剣な顔でコントローラーをさわっている日南が目に入った。
「葵。なにしてんのぉ?」
一瞬びくっとしたがすぐに持ち直して言った。
「これ捨てるのもったいない…主婦の血が騒ぐ…!」
「ははは!なんだよそれ!葵そんな節約趣味あったのか?」
日南はごまかしているつもりのようだが、隠す必要はないと思うんだけどなぁ。
さっきの表情は本気だったろうに。
ここは1つ。
「でもたしかにこれはすごいよなぁ。本気って感じでよぉ…なぁ?葵」
そう言って俺は葵の隣に座り顔を覗き込む。
「…ん?私そんなこと言った?」
「葵もそう思ったんじゃないのかぁ?」
そうやって真っ直ぐ見つめる。
もちろん逃がすつもりはない。
「んー、たしか「どうなんだ?」…に」
誤魔化させないぜぇ。
すると、徐々に目線が泳ぎ始め顔が赤くなってきた。
あと一押しかと思っていると…
「え、えっと…///」
「はい!そこまで!そろそろ会議始めようぜ!」
そう言いながら孝弘が俺と葵の間に入ってきた。
まぁここまでかぁ。
「へーぃ。悪かったなぁ葵ぃ」
俺はそう言って葵の頭をポンポンと優しく叩いた。
「…っ///」
おっ、珍しいなぁ。
何かしら返してくると思ったんだが。
されるがままだぁ。
ちなみにみみみはそんなことそっちのけでAVを探していたので…
「みみみ。今どきはパソコンのファイルとかにカモフラージュして隠したりするみたいだぞぉ」
「そうなの?友崎!パソコン見せて!」
「え、ちょっ、やめっ」
なんてこともあったなぁ。
文也の絶望した顔には笑わせてもらった。
分かりやすすぎだろぉ。
・
そして今度こそ会議が始まる。
ことはなく…今は俺と文也がアタファミで対戦をしている。
「はぁ!?んだそれっ!?…ちょっ、あぁ…」
「…ふぅ」
普通にボッコボコにされた。
俺が思ってた10倍は強いんだけど…。
「結構自信あったんだがなぁ」
「まぁ…中村よりは強いよ。一機削られたし」
「有城も十分強いでしょ!?友崎を基準にしたらダメじゃない!?」
悔しそうにしながら言う俺に、みみみがつっこむ。
そうだとしても悔しいんだよなぁ。
まぁこのまま終わるつもりねぇけどよ。
「悔しいぜ…だが、やられっぱなしは趣味じゃねぇんだ。文也、もちろん初代持ってんだろ?」
「初代?◯4のやつ?あるけど…」
絶対に文也が乗ってくる誘いかたをしねぇとな。
「あぁ。それなら勝てっから持ってきてくれ」
「………分かった」
そう言って文也は押し入れから初代のアタファミを引っ張ってきた。
他の3人はありがたいことに静観してくれるみたいだった。
まぁ、普段とは雰囲気の違う文也が気になるんだろうけどな。
多分少しイライラしてるだろうし。
そして、俺はコントローラーの具合を確かめ準備完了だ。
「んじゃ、始めっか」
俺の合図で対戦がスタートした。
・
「くっ…!」
「甘ぇ!これで…終わりっ!」
「くぅっ…!負けました…」
俺が文也の操作するキャラの最後の1機を削り、俺がストレートで勝った。
にしても…
「こっちも強ぇのな。正直ビックリしたぜ」
「…まぁ、アタファミを始めるにあたって初代も結構やりこんだからね」
「ふぅ…まっ、流石にこっちはな。一応、中1の時に父さんとペア組んで日本3位になったからよ」
「ええっ!?それは強いわけだよ。また挑戦していい?」
「もちろんだ。俺もまた挑戦するわ」
そう言って俺達は固く握手を交わした。
そんなことをしていると、静観していた水沢が話しかけてきた。
「日本3位ってのにはビックリだけど…うんうん。楓もオタクを名乗るだけはあるよな」
対戦が終わり、ひと息ついていた時に何の気なしに孝弘が言った言葉に食いついたのが約2名。
葵とみみみだ。
「えっ!?有城ってオタクなの!?」
「タカヒロ~?嘘はいけないよ~?」
「ばっか!本当だかんな!なぁ?楓?」
「ん?まぁ、結構筋金入りだと思うぞ?漫画とかラノベなら…この部屋にある分の3倍くらいは持ってるぞ」
「「ええっ!?」」
「ほらな?」
そんなに驚くことだろうか?
ちゃんと数えてはないが500は軽く越えてるだろうな。
2人は信じられないといった顔で見てくる。
「まぁ、俺から言わせりゃオタクだからなんだって話な訳よ。俺はオタクを馬鹿にする奴は大嫌いだから…もし馬鹿にするやつがいたら、背負い投げで頭からコンクリに落とします」
「「「「それはやめたげて!」」」」
そんなこんなで会議を始めることになった。