合宿が終わり夏休みも終盤、今俺は試合のために某体育館にきている。
ちなみに、今日の試合で全国に行けるかが決まる。
こっちに引っ越してきてからはなんだか調子がいい。
まぁ、最近は楽しいからなぁ。
あいつらとの時間が精神的にも良い具合に作用しているみたいだ。
「…うし!行くか!」
顔を両手で張り気合いを入れて歩き出す。
普段の気の抜けた表情はなく、獰猛で好戦的な笑みを浮かべている。
「調子は上々!負ける気がしねぇ!」
その言葉通り危ない場面もなく決勝まで駒を進めた。
・
side 日南葵
私は今1人で某体育館にきている。
あらかじめ聞いておいた楓の試合を見るためだ。
心臓が大きく音を上げているのを隠して歩を進める。
「よしっ!行こう!」
とりあえず、席を確保してルールの確認を行う。
「へぇ~。思ってたよりルールとか多いんだ」
うん!もう大丈夫!あとは待つだけだ!
私は負けず嫌いだし、勝負事は好きだからやっぱりこの雰囲気は好きだ。
特に、柔道なんて本当に個人種目。
信じれるのは自分だけだ。
つくづく興味が湧く。
そうこうしていると、試合が始まった。
「えーっと、楓の試合は…。あっ!あそこで始まる!」
そうして会場に出てきた楓を見て大きく心臓が跳ねた。
いつもの楓と何もかもが違う。
雰囲気、表情、声の質も大きさだってそうだ。
遠くにいるはずなのに熱が伝わってくる。
心臓の音が回りの人に聞こえているのではないかと思うほど鳴っているように感じる。
「本当にずるいな…。こんなにチョロいつもりはなかったんだけどなぁ…。はぁー。もう…認めるしかないよね」
そして、次は決勝戦。
楓は負けないだろう。
素人の私が見ても頭ひとつ抜けていると思う。
多分、私は興奮していたんだと思う。
気がついたら叫んでいた。
「がんばれー!!!楓ー!!!」
うん。もう認めた。
私は、日南葵は有城楓が好きだ。
sideout
次は決勝、全国を決めに行くか。
相手は強い。当たり前だ。
でも…俺は負けねぇ!
顔を張って気合いを入れる。
「両者前へ」
そして始まる直前…
「がんばれー!!!楓ー!!!」
ははっ!こりゃあかっこ悪いところは見せられねぇな!
たしかに受け取ったぞ葵!
そして…
「はじめっ!」
その合図とともにいつも以上に気合いをいれた。
「っしゃぁー!!!」
あぁ!本当にっ!負ける気がしねぇなぁ!
・
試合は思っていたよりもあっさり終わった。
いつも以上に気合いが入っていたのは言うまでもないが、体が軽かった。
結果を言うと全国は決まった。
そして今は、着替えて帰るところだ。
更衣室を出て、入り口の方へと歩いていると…
「ん?待っててくれたのか」
葵が入り口の所で壁に寄りかかっている。
多分、俺を待っていてくれたのだろう。
それにしても…目立つなぁ、やっぱり。
「葵」
「あっ!楓!」
「来てくれたんだなぁ。声、届いたぜ」
「えっ!?///う、うん!///」
「まぁその…なんだぁ…。ありがとうなぁ」
「ふふっ。楓が照れてるのなんて珍しいね!」
「まぁいままで1人でやって来たからなぁ。応援してくれる人がいるってのはいいもんだなぁ。…いや、葵だからなのかもなぁ」
「か、楓!?///な、なに言って…///」
「んー?聞こえてたかぁ?まぁなんにせよ…嬉しかった」
「う、うん!」
「そんじゃあ帰るかぁ。待っててくれたんだろぉ?送ってくぞ」
「うん!行こっか!」
本当に、ありがとなぁ。葵。
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