「はっ、はっ、はっ」
いま俺は毎朝の日課をしているところだ。
「ふぅー。今日もいい朝だなぁ!」
今は朝の6時。
毎朝、5時半に起きて早朝のトレーニングをしている。
はじめは辛かったが慣れてくるとこれをしないと1日が始まらない気すらしてくるから不思議だ。
よし、休憩終わり。もう少し走ろう。
・
朝の日課を終えて家に帰りシャワーを浴びて学校に向かった。
教室に着いたのは8時丁度。
皆がきはじめるのは8時20分頃だ。
「ちーっと早かったなぁ…寝ますかねぇ」
俺は自分の席に着き、顔を伏せる。
するとすぐに意識が離れていった。
少し時間がたち、周りのざわめきで目が覚めた。
「…んぁ?ふぁ~。よく寝たなぁ」
大きく延びをしてると。
友崎が後ろを向いて話しかけてきた。
「有城」
「ん?友崎か。どうした?」
友崎は思い詰めた顔で言ってくる。
緊張しているのか、はたまた…
「い、今大丈夫?」
「おーぅ、いいぞ。てかよぉ…俺って怖いか?」
なんかすごく気になった事もあり、直球で聞いてみることにした。
「な、なんで?」
「なんでって言われてもなぁ。めっちゃキョドってるから怖いのかと…」
「ち、違う!こうゆうのあんまり慣れなくて緊張しちゃって…」
怖がられてないようで良かったけど…。
んー。まぁ無理してる感じはしてたが…。
友崎も変わろうと頑張ってるのか。
俺も見習わなくちゃなぁ。
「そうか。まぁお互いに頑張ろうな」
「う、うん?」
俺の言ったことがよくわからなかったのか少し混乱している友崎。
意外と表情豊かで面白いな。
まぁ今はそんなことよりも…
「てか。なんか話あったんじゃねぇの?」
「あ!そうだった!ちょっと一緒に来て欲しいんだけど」
「はいよ。水沢のとこか?」
「うん。そうだよ。じゃあ行こうか。」
そう言って水沢の席に向かう友崎の後ろについて行く。
前を歩く友崎を見ていると、結構猫背が目立つ。
ちょっと気になるな。
そう思ってるうちに水沢のもとに着いた。
「水沢」
「ん?友崎に有城か。どーした?てかなんで友崎はそんな深刻そうな顔してんだよ!」
笑いながら言う水沢。
やっぱ気になるよなぁ。
本人は気づいてないんだろうけどよ。
「え?し、深刻?」
「俺に話しかけてきた時も同じような感じだったぞ?」
「あ、あー。さっきの…」
「ってゆうかなんだ?緊張してるっていうかそんな感じ?肩の力抜けよ!」
そう言って友崎の肩をたたいている水沢。
俺もさっきちゃんと指摘した方が良かったか?
「あ、そうじゃなくって。昨日の飯?の話」
「あーはいはいそれね」
「俺と有城と水沢と日南と、あと1人って話だったじゃん?」
そう言う話になってたのか。
途中聞いてなかったから知らなかったな。
「そーだな」
「それ、泉誘おうかなとおもってるんだけど、ど、どう?」
んー?ちょっと待ってくれ。
泉って誰だ?
知らない名前が出てきたな。
「…まぁ、別にいいけどさ」
まずいな。
これは言っておかないとな。
「あのよぉ…ちょっといいか?泉ってどちら様?」
「えっと…」
友崎は困ったように自分の席の方に視線を向け、水沢は口押さえてプルプルしている。
俺は何か面白いことを言ったのか?
そうやって頭を悩ませていると、友崎が言いずらそうに口を開いた。
「えーっと…泉は俺の隣の席なんだよね…。だから有城の斜め前」
「マジか…。自分で言うのもなんだが…失礼極まりねぇな」
おーぅ、これはやっちまったかな。
泉が来るんならこれは話すべきではないぞ。
「くくっ。まぁ転校2日目だからな」
「もう覚えたから大丈夫だ!」
「ぶふっ!わざわざ言わんでいいだろ!」
あ、水沢が吹き出した。
ちょっとひどいんじゃないか?
泉って友達じゃないの?
まぁ俺が悪いんだけど。
「はぁー、笑ったわ!泉誘うのはべつにいいけどさ」
「ほんと?そ、そしたら後で俺がさそっとくわ」
おー、言いよったな。
やっぱり友崎は変わるために何かをしているみたいだ。
水沢も何かに気づいた様子でニヤリと笑いながら言った。
「友崎さぁ。なーんか、やってるよな?」
「え?」
水沢は友崎の頭を指差して続けた。
一番気になる部分なんだろう。
「いや、おかしいと思ってたんだよ!その髪型、明らかに最近切るとこ美容院に変えてるもんな?セットしてねーのがもったいないもん、それ」
水沢はお見通しだとでも言うように続ける。
「えっと、わ、わかるのか」
「当然だろ!…しかも結構うまいな。ほら、俺将来美容師目指してるからさ、そうゆうのにはちょっとうるさいわけよ」
「へ、へえ」
自分の夢を堂々と言えるってのはすごいな。
しかも美容師か。
もうすでにそれっぽい雰囲気だしな。
ここは俺も乗っかっとこうか。
「水沢に美容師はぴったりだな。俺は部活引退したら少し髪伸ばすからその時は頼んでいいか?」
「おっ!まじ?有城は元がいいからやりがいあるな!任せてくれ!」
ちょっと照れ臭いが、なんか嬉しいな。
言って良かった。
「それよりもだ!いままでド陰キャだったお前がなぜかここにきて美容院に行きだす!かと思えば葵やら泉やらみみみやらと仲良くしだす!なんか喋り方も明るくなってきてる!んで極めつけには泉のことを自分で誘うだ?こんなもん偶然ですまされるわきゃねーよな?」
本当にこいつは良いやつだな。
ちゃんと人のことを見てる。
「う…」
友崎は図星のようで反応に困っている。
だが…なんか少し嬉しそうなのはなんでだろうか?
「ま、簡単に言って、陰キャ脱出大作戦ってわけだろ?けどなんつーか、行動的すぎるっつーか、お前だけの考えでやってることとはおもえないんだよなあ。実際、なんかあるっしょ?もしかして有城が手伝ったりしてる?」
と言って俺を見てきた。
が、俺じゃぁない。
「いや、違うぞ。そもそも、俺も陰キャみたいなもんだしな」
なんか、何言ってんだって顔で見られてるんだが。
友崎まで変な目を向けてくる。
「有城は陰キャじゃないだろ!気の抜けた喋り方するけど姿勢良いしモテそうだし、バリバリのスポーツマンだろ?」
「ふっ。俺を舐めすぎだぜ水沢。休みの日の前日はオールでアニメ観賞会を開いてんぞ俺はよぉ。もちろん1人で」
俺は誇らしげに、むしろ自慢気に言った。
友崎はなぜか嬉しそうに、仲間を見るような目に変わっている。
「陽キャでオタク…新しい」
「はぁ?なんだそれ?ってか友崎もなに感心してんだよ」
「えっ!?ど、同志だなあと思って…」
「なんだそれ!まぁ…恥ずかしげもなく言ってる時点で陰キャではないと思うぞ?最近はオタクに理解ある人増えてるしな。俺もそうだし」
「そうなのか?まぁ…この話はこの辺で良いとして友崎が何かしてるって話だよなぁ?」
「あっ、そうそう!んで、まとめると…
先程の話から一転、俺と友崎は黙って言葉を待つ。
そして、水沢は友崎を指して言った。
「脱オタの本でもよんだな!!」
ぶふっ、なんちゅう顔してんだ友崎のやつ。
面白すぎるぞ。
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