有城くん奮闘記(リメイク版)   作:icy tail

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第32話

俺達は教室を出てみみみ達のところへ向かう。

合流すると、ハイテンションな2人が挨拶を交わしている。

元気で何よりだ。

 

「さらに人が増えてるーっ!?」

 

「ちぃーっすみみみ~!」

 

「ういっす竹井ぃ!」

 

「葵もちーっす!」

 

「え?チーズ!?」

 

「いやいや違うっしょ!葵チーズ好きすぎだよなぁ!?」

 

「あはは、間違えた。ちーっすだね、竹井」

 

「お前ら元気だなぁ」

 

「あっ!楓!」

 

「よぉ。部活お疲れさん」

 

「うん!ありがと!…ってゆうかなにこの集まり?先週も来てたよね?」

 

「まあ、たまの状況をどうにかしないとって感じの会議してたって感じ」

 

「あー、そっか…」

 

孝弘が俺達の集まりの説明をすると、葵の顔に少し影が射した。

あんだけ気にすんなっつったのにまーだ気にしてやがんなぁ。

まぁ、友達思いなのは良いことだけどよぉ。

 

「いやだとしてもさ!なんで日に日に増えてってんの!?」

 

「まあ、チーム友崎がまた増えましたってことで」

 

「ちょっと待て、これ俺のチームだったのかよ」

 

「なぁに言ってんだぁ。当たり前だろぉ」

 

「発起人は文也だろ?」

 

「い、いや…まあそうかもしれないけど」

 

「頼むぜぇ。リーダーよぉ」

 

「い、いやリーダーって…」

 

困惑しながらも、割りと満更でも無さそうな文也。

そんな話をしながら学校を出て駅までの道を歩いている。

話題は当然、紺野のことになる。

 

「にしても、エリカも飽きないよなぁ」

 

「うーん、あの無駄な体力はなんだろうね?」

 

「あそこまでいくとよぉ、頭イカれてんじゃねえかって逆に心配になるわぁ」

 

「辛辣だな…。まあなんにせよ、負けず嫌いっつーか、意地張りすぎっつーか」

 

「そうだよね。…なんとかしないと」

 

本当に葵はよぉ…

そうして帰り道を歩いていると、唐突に花火が葵に質問をした。

 

「葵はどう思う?」

 

「…そうだね。…花火は、自分を変えたいって思ってるの?」

 

「…葵?」

 

「あ、ううん。ごめん、ちょっと気になって!」

 

やっぱり自分が何とかしないといけないと言う気持ちが抑えきれないのだろう。

まぁ、ここはちゃんと言っとかないとなぁ。

 

「なぁ葵ぃ」

 

「楓…。なに?」

 

「葵が勘違いしてる様だから言うけどよぉ。葵は花火が変わるなんて思ってるんだろ?だが、人の本質なんてそう簡単に変わるもんじゃねぇぞ?」

 

俺は、葵のそもそもの間違いを正すために話し始める。

案の定だが、葵は紺野のせいで花火が変わることが許せないらしい。

感情が溢れてしまっている。

 

「でもっ!花火は!花火は悪くないのに!エリカのせいで花火が変わる必要なんて!」

 

「だからよぉ。そこから間違ってるってんだ。花火はなぁ…『成長』しようとしてんだよぉ」

 

「っ!」

 

「俺だってよぉ、あのくそ陰険ヤローに屈して自分を曲げようってんなら怒鳴り散らしてでもとめるだろうなぁ。けどよぉ…花火は違うぜ?なぁ、花火ぃ?」

 

「うん。葵、心配してくれて、私のために悩んでくれてありがとう。でもね…私は、紺野なんかに負けたくない。いつまでも守られてるなんて嫌だ。だからね、強くなりたいの」

 

花火は力強く言って見せた。

葵は少し心配そうに、けれど嬉しそうに花火を見ている。

 

「…花火」

 

「だからよぉ…」

 

葵の気持ちも分からなくはないが、花火が自分で変わりたいって本気で思ってんだ。

だから、俺達はそのサポートをする。

俺は、葵の頭に手をのせて優しく撫でながら言った。

 

「俺達で手助けをしてやろうぜぇ。花火がまっすぐ成長できるように。なぁ?友達想いの葵さんよぉ」

 

「…あー!!!もう!!!1人で悩んでたのがバカみたいじゃん!」

 

「本当にお前はよぉ。この前ちゃんと無理すんなって言ったのになぁ。人の話はちゃんと聞けよぉ?」

 

「それはっ!う、うるさい!」

 

「おいおーぃ。みんないるのに素が出てるぞぉ」

 

「…はっ!?」

 

こうしてチーム友崎がまた1人増えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習を終えて家に帰り、寝る支度をして布団に入った。

俺は携帯を操作して、LINEの花火の対策会議トークグループを開く。

 

「んー。おっ、動いてんなぁ…取り敢えず、『悪いな、待たせた』っと」

 

孝弘の提案で夜にグループ通話で会議をすると提案があったため、皆が俺に時間を合わせてくれたのだ。

俺が送信すると、すぐに既読が着き返事がくる。

 

『楓!お疲れ様!』

 

『おつー。それにしても…楓がきた時のたまの食い付きが半端ない!笑』

 

『水沢うるさい!』

 

『へいへい。そんじゃ早速…あれ?文也は?』

 

『既読はついてんな』

 

『すまん。流れに乗り損ねた』

 

『なんだそれ!笑』

 

『まぁ、揃ったみたいだし始めっかぁ』

 

『だな』

 

数秒後、着信が鳴った。

グループ通話のため、参加ボタンを押す。

 

『ういーす』

 

「うす。ちゃんと繋がったなぁ。花火と文也はどーだ?」

 

『き、聞こえる!』

 

『うん。聞こえるよ』

 

どうやら、皆繋がったようだ。

花火の声が上擦っていたのが気になったが大丈夫そうだ。

 

『とりあえずなにから話そーか』

 

『あ、そしたらさ…たまちゃん、録音された音声聞いてみた?』

 

『うん、聞いたよ』

 

まずは、文也の提案で録音していた音声のこと。

俺も1通りの説明を受けているから知っているが、自分の声ってちゃんと聞いたこと無いから分かんないよなぁ。

話を進めると、竹井と自分との違いは分かったが、あのまんまの竹井の真似をするとなると変になってしまうのではないかと言うことらしい。

 

「まぁ…終始テンションの高い花火ってのも見てみたいけどなぁ」

 

『ええっ!?楓!?』

 

『ははは。確かに。なんか想像つかないし見てみたいな』

 

『俺もかな』

 

俺の言ったことに孝弘と文也も同意したことによって花火が焦っているのが分かる。

電話の向こうで恥ずかしいのか、唸っているような声も聞こえる。

 

「それか…猫キャラなんてどうだ?語尾ににゃあとか付けて喋ったりよぉ。たまだけになぁ」

 

『くくっ…楓容赦ねえな!大丈夫か?たま?』

 

『…』

 

『あれ?たまちゃん?』

 

続け様に俺が言うと、孝弘が笑いながらツッコミをいれてくる。

だが、花火からの返答が来ず、不思議に思った文也が確認のために呼び掛けた。

皆が黙り、耳をすます。

すると…

 

『…にゃ、にゃあ…?』

 

「がはぁっ!?」

 

『…おお。ビックリした』

 

『ぐふっ…た、たまちゃん!?』

 

まさかの花火からの奇襲。

楓には効果抜群だった。

 

『えーっと、どう…だった?』

 

「ぐっ…!か、かわいかっ…じゃねぇ!ま、まぁ良かったけど禁止だな!」

 

『ん?禁止?どうして…』

 

「禁止!だよな?孝弘?」

 

『あ、ああ…禁止だな』

 

必死な俺にたまらず引き下がった孝弘。

電話の向こうでは苦笑いをしていそうだ。

こんなことがありながらも、話は一応纏まった。

要は、この人と言えばコレみたいな感じでイメージを浸透させて誰からも愛されるようなキャラを定着させられれば定石だろうと言うことになった。

そうして、話は終わる。

 

『じゃ、今日のところはこんな感じか』

 

『そうだな。とりあえず明日の休み時間は集合って感じで』

 

「りょーかいだ」

 

『俺も行ける時は毎回行くようにするわ』

 

そうして話していると、花火が申し訳なさそうに言った。

 

『……ありがとね』

 

「おうよ…まぁ、花火が前を向いてる限りいくらでも協力するからよ、ゆっくりやりゃあいいさ。歩きづらいなら風避けにでもなるし、立ち止まっちまうなら背中だって押してやる」

 

『楓…』

 

俺がそう言うと、続くように文也が言った。

 

『そうだよ!気にするな!』

 

『そーだよたま~!!元気出さなきゃっしょ~!!』

 

追い討ちを掛けるように孝弘が竹井の真似のような喋り方で花火を励ます。

そーいや真似なぁ。

ここは俺の特技が役に立つかも知れんな。

 

『あはは。2人もありがとね。もう元気出す!』

 

もう立ち直った後だが、俺はさらに追い討ちをかける。

竹井の声で。

 

「たまが元気になって良かったなぁ!」

 

『竹井ももう分かったって!…って竹井!?』

 

『あ、あれ?竹井も参加してたっけ?』

 

『いや…誘ってない筈だけど…』

 

「俺だけ仲間外れとか酷いよなぁ!俺にも手伝わせてほしいっしょ~!…なーんてな」

 

明らかに混乱している3人に対して俺は最後だけ普通の声に戻してネタバラシをした。

 

『ええっ!?今の楓!?』

 

『怖っ!似すぎだろ!』

 

『ク、クオリティーが…』

 

「まぁ、隠し芸ってとこだぁ」

 

そんなこんなで本日の電話での会議は終わった。

電話を切り、ひと息つく。

 

「…いやー。まじであれはヤバかった」

 

思い出すのは花火の奇襲攻撃。

攻撃ではないのだが…

 

「耳元であれは…。はぁ、寝れなくなりそうだから思い出すのはやめだ」

 

俺は頭を降って無理やり気持ちを落ち着かせて目を閉じた。

寝れっかなぁ…。

花火も電話を終えた後、同じ様な状態になっていたのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 




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