有城くん奮闘記(リメイク版)   作:icy tail

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第33話

電話で会議をした翌日。

俺と文也は登校して席についてから会議をしている。

 

「やるべきことは見えてっからなぁ」

 

「そうだね。あとは…情報収集ってところかな…あ、ちょっと行ってくる」

 

文也はそう言って、教室に入ってきたみみみのところに向かった。

何か思いついたのだろう。

 

「俺は花火のとこにでも行きますかねぇ」

 

俺は席を立ち、花火の席に向かった。

まぁ、花火のモチベーションを維持するために紺野の好きにはさせらんねぇわな。

そうして、花火と話ながら朝のホームルームの時間になり席に戻った。

 

 

 

 

 

・

 

 

 

 

休み時間。

俺と花火と文也は会議場所として校舎外れの階段の踊り場に来ている。

 

「そーいや、文也よぉ。みみみと話してたが何か進展はあったのかぁ?」

 

「その事なんだけど…」

 

「うん。どうだったの?」

 

俺が唐突に聞くと、文也は携帯を操作しながら話し始める。

 

「具体的な隙って言うか…イメージの浸透にうってつけかと思ってさ。コレ」

 

そう言って見せてきたのはお笑いの動画だった。

 

「ほぉ。そう言う…」

 

「えっと…これ?」

 

「ちょいと見ててくれ」

 

「うん…?」

 

俺はある程度理解したが、花火ははてなマークを浮かべている。

まぁ、実践あるのみだよなぁ。

俺は文也に耳打ちをして再現をして見せる。

緊張した様子の文也が深呼吸をしてから、どこか白々しい感じで言った。

 

「あれ?なんか、ここちょっと狭くない?」

 

「いやそれ俺の体が大きいから!俺の体が大きいから狭く感じるだけだっての!」

 

そして、俺がツッコミをいれる。

まぁ、少し前に流行ったお決まりのパターンだよな。

限定的だけど。

 

「…とまぁ、こんな感じだなぁ」

 

「ぷっ…う、うん…!」

 

「たまちゃん?そんなに面白かった?」

 

「い、いや…楓のスイッチのオンとオフの切り替えが…ぷっ、お、面白くて…!」

 

「いや、そっち!?」

 

そんなこんなで、残りの時間でこの流れを練習することになった。

初めは恥ずかしがっていた花火も、何回かやっているうちに少し慣れたみたいだ。

その後、休み時間の度に集まり練習をして昼休みになった。

 

「いやあ、わるいわるい。結局ぜんぜん来れなくて」

 

やっとこっちに顔を出せた孝弘が謝りながら踊り場にやってきた。

 

「まあ、水沢は中村グループの固定みたいになってるもんな」

 

「わるいな。…それで、今日の特訓のほうはどんな感じ?」

 

時間は有限と言うことで早速本題に入る。

特訓の成果を孝弘は花火に問いかけた。

 

「えーっとね…どうかな?楓」

 

「ん?…先生、出番だぞ」

 

俺が説明してもいいんだが、せっかくだからリーダーにふった。

 

「せ、先生?俺…だよな?」

 

「他に誰がいるんだぁ?」

 

「あ、ああ。取り敢えずーーー」

 

急に話をふられた文也は顔をひきつらせながらも、これまでの休み時間のことを話した。

 

「ほーん。大分…ってかほぼできてんじゃん。喋り方も表情も」

 

「へっへーん!すごいでしょ!」

 

話をした後に、孝弘がたまの竹井モードを見せてくれと言うことで軽い会話のようなことをしている。

そして、特訓の最終段階とも言える問題の話になった。

 

「まああとは、もっとお決まりのパターンみたいのがあればベストなんだろうけど…俺はまだなかなか思いつかなくてな」

 

「ああ、それなんだけど…」

 

「おっ、なんか思いついたな?」

 

「いや、思いついたって言うよりも、丸パクリなんだけど…」

 

そう言って文也は俺と花火に視線をやってきた。

んじゃ、やりますかぁ。

 

「オーケー。花火、やるぞ」

 

「う、うん!やってみる!」

 

花火は深呼吸をして俺に合図を送ってきた。

それを確認して俺は口を開く。

 

「あれ?おい、花火!そんな離れてちゃできるもんもできねぇぞ?」

 

「いやそれは私の背が低いから!遠くにいるように見えるだけ!遠近法!」

 

俺がとぼけたような口調で言うと、花火がツッコミをいれる。

 

「あー、わるいわるい!…ってか花火の制服のリボンなんかでかくね?」

 

「それも私の背が低いから!大きく見えるだけ!錯覚!」

 

本当はここで終わりなんだが…アドリブいきまーす。

 

「ん?ありゃ?花火?おーい!どこ行ったー?」

 

俺はわざと少し目線を上にして、遠くを眺めるようにする。

花火の表情は見えないが、さぞ混乱していることだろう。

 

「…こんなのあったっけ…?」

 

花火の不安そうな声だけが耳に入った。

笑いそうになるのを堪えて、続ける。

 

「おっかしーなぁ。さっきまでいたんだが…」

 

「え、えっと…こ、ここにいる!おーい!」

 

花火はぴょんぴょん跳ねながら自己主張をしている。

うん。かわいい。

ちらっと文也のほうに視線を向けると少し顔をひきつらせながらこっちを見ていた。

まぁ、急なアドリブで花火が大丈夫かを心配してんだろーな。

 

「あれ?声は聞こえるんだが…」

 

「むぅ~。楓!下!下にいる!」

 

そして、ようやく俺は目線を下げ花火を視界にいれた。

 

「おー!いたいたぁ!どこ行ってたんだよ!」

 

「ずっといた!ってかそんなにちっちゃくないもん!」

 

もん!ってなんだよ…かわいい。

…やべぇな。

もう少し自重しないと、つい口に出しちまいそうだなぁ。

取り敢えず、1通りの流れが終わった。

 

「…とまぁこんな感じだ。花火、おつかれさん」

 

「うぅ~。アドリブなんて聞いてない!」

 

急にアドリブをいれた俺に非難の目を向けてくる花火の頭を撫でながらなだめていると…

 

「おー、よしよし。そんな怒んなって」

 

「そ、そんにゃ…そんなんじゃ騙されない!」

 

花火が噛んだことによって、俺は昨日の電話のことを思い出し思わず口に出してしまった。

慌てて口を塞ぐも、既に花火の耳に届いてしまったようだ。

 

「ぶふっ!…かわいい…はっ!?」

 

「か、かわっ!?///」

 

顔を赤くしている花火を見て、俺は気まずくなり顔をそらした。

全くもって初々しい場面ではあるが…他にも人がいるんだよなぁ。

 

「なぁ、文也。俺たちは何を見せられてんだ?」

 

「…俺も分からん。あんなの台本にないし。取り敢えず、ブラックコーヒー欲しいかも」

 

「奇遇だな。俺もだ」

 

「「…はぁ」」

 

外野から見ていた2人は顔を見合わせてため息をついたのだった。

 

 

 

 

 

 

・

 

 

 

 

 

「よしっ!そんじゃ…」

 

「よしっ!じゃねえだろ。なんだったんだよさっきのは」

 

先程の一件が終わり、見ていた2人が俺たちの方に寄ってきた。

何事もなく、話をしようとする俺に孝弘が自然とツッコミをいれる。

 

「いや~調子のったら事故った的な?」

 

「なんだそのアホみたいな理由は…はぁ、なんか最近になって楓に親近感がわいてきたわ」

 

「俺も。とんでもないすごい人って思ってたけど意外と弱点多いし」

 

「今さら気づいたのかぁ?まぁ、取り敢えず話を始めんぞ」

 

こうして話が始まった。

楓も人より飛び抜けた才能を持っているが、普通の一学生なのだと気づいた2人であった。

 

 

 

 

 

 




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