有城くん奮闘記(リメイク版)   作:icy tail

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第9話

選挙は終った。

結果はやはり日南が勝った。

友崎がみみみを手伝っていたようだが、あれは仕方がなかったのかもしれないな。

少なくともみみみ以外にあそこまで日南と張り合えるやつはいないだろう。

それ以前に張り合おうともしないだろうな。

まぁなんにせよみみみを支えている人はちゃんといるみたいだな。

それにしても…

俺はますますこいつらの事を気に入ってしまったみたいだ。

日南に本気で勝ちにいっていた友崎とみみみにも、友達でありながらも、一切容赦なく勝ちにいくことのできる日南と水沢にも。

 

「友崎」

 

「ん?有城どうした?」

 

「おつかれさん。やっぱすげぇよお前」

 

「っ!そう…かな?」

 

「周りは結果が全てって言うだろうな。だけどよぉ、本人にしかわからない、一緒にやったやつらにしか共有できない感覚ってのもあるだろうさ。それをみみみから引き出したのはお前だろうよ。まぁ次があれば俺も手伝うから一緒に頑張ろうや…文也」

 

「お、おう!ありがと!…ん?」 

 

俺が急に名前で呼んだことに遅れて気づいた文也はなにが起きたか分からないと言った様子だった。

その後、いつも通りの日常に戻ると思っていたが…まだなんかあるみたいだなぁ。

みみみと日南の間になんかがあるってことか。

俺は最近一番みみみに関わっていた文也に話を聞きに行った。

 

「文也。ちょっといいか?」

 

「ん?どうした?」

 

「みみみは大丈夫なのか?明らかに無理してるみたいだけどよぉ」

 

「あー。それなんだけどさ、選挙で日南に負けてからさらにやる気だしてるみたいでさ…」

 

「そうか…。あのよぉ、また何かやってるんだろ?俺も手伝わせて貰えねぇか?」

 

「えっ!?な、なんで!?」

 

「まぁ…こないだの選挙とか見ててよ…何か胸が熱くなったってかよぉ。俺も力になりたいってな」

 

「…そっか。ならお願いするよ」

 

そうして、俺は文也を手伝うことになった。

まずは、なぜみみみがここまで日南と言う存在にこだわるのか。

2人の間に何があったのかを探ることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み。

俺たちはみみみと同じ中学だった生徒がクラスにいると知り、話しにきていた。

文也はちらちらとこちらを見ているが、俺はあくまでも手伝いだ。

取り敢えず自分で話しかけろよ?

 

「あ、あのー、松下さん」

 

「……えーと、とも、ざきくん?」

 

話しかけたのは同じクラスの松下だ。

たまにみみみと話しているのを見るから間違いないだろう。

 

「よぉ。急に悪いな、松下」

 

「有城くんも?どうしたの?」

 

俺も松下に声をかけて、本題にはいる。

 

「えっと。松下さんって、みみみと同じ中学だった?」

 

「…?うん、そーだけど」

 

「あのよぉ、みみみと同じ部活だったやつ知らねぇか?後輩とかでもいいからよ」

 

「えーっと………あ!後輩に1人いたかも!確か…」

 

「山下さん?」

 

「あっ!そうそう!その子!みみみの舎弟やってた!」

 

「舎弟…」

 

「くくっ…みみみらしいなぁ」

 

松下からは有益な情報を得られたようだ。

選挙の時に推薦人をやっていたあの元気な子が同じバスケ部だったらしい。

俺たちは松下にお礼をいって1年の教室に向かった。

教室の前に着くと、文也が顔をひきつらせながら立ち止まってしまっている。

ちょっと荷が重そうだな。

 

「ここは俺に任せろ」

 

俺は文也の肩を軽く叩いて、躊躇なく教室の扉を開けた。

視線が一斉にこちらに向くが気にせずに一番近くにいる女子生徒に声をかける。

 

「ちょっと悪いんだけどよ、山下って子を呼んでほしいんだが」

 

「…は、はい!ゆ、由美子ー!」

 

急に声をかけられてビックリしたのか、一瞬止まっていたがちゃんと呼んでくれた。

 

「はーい!あっ!有城さん!どうもっす!」

 

「おぅ。ちょっといいか?」

 

「はいっす!」

 

そして、山下を連れて教室を出る。

教室の中ではなにかわーきゃー言っているようだが…何か変な勘違いされてるかもなぁ。

まぁ…いいか。

取り敢えず教室の前で待っていた文也と合流して話を始める。

 

「ん?友崎さんも?どうしたんすか?」

 

「ああ。選挙の時はおつかれ」

 

「こちらこそおつかれっす!それで、今日はどんな用っすか!」

 

「あのさ…中学の時のみみみと日南ってどんな関係だったのか、知りたくて」

 

「えっと、それはどういう?」

 

「え、えっと…」

 

「あの2人ってライバルっぽいだろ?中学の時はどうだったのか気になっちまってよぉ」

 

文也が準備不足で視線を彷徨わせているのを確認した俺は、それっぽい理由を言って先を促す。

 

「そーいう事っすか!それなら私に任せてください!バスケ部時代の先輩のことは、私が一番詳しいですから!」

 

こうして、山下から色々と話を聞いて教室に向かって歩きなから文也と話をしている。

 

「自分よりもすごいと理解しているからこそ勝ちてぇんだろうな」

 

「そう…だね。みみみには頑張ってほしいけど…」

 

「ああ。多分みみみはこだわりすぎて極端に視界が狭まってるんだろうな。それを気づかせてやるのが俺達の役目ってとこだろうよ」

 

こんな話をして教室に戻り取り敢えず今日の行動は終わった。

俺は学校以外では練習のために時間がとれず、文也に任せっきりになってしまっていたができることをフォローする等をして時間が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

あれからちょくちょく気にかけて行動はしていたが…遂に決定的な出来事が起きた。

教室に夏林の驚くような、悲しげな声が響く。

 

「え、なんで…?」

 

「いやー、なんだろ、まあいろいろあるんですよ!」

 

「みんみ、ホントに辞めるの?」

 

遂にこうなっちまったか…。

みみみの気持ちが切れちまうな。

そう思っていると…

 

「それ、ホント?」

 

「うん、ホントだよ!ごめん葵!けどいろいろ考えたんだよね!体力の、限界っ!」

 

日南は悔しそうな表情でみみみの話を聞いていた。

話を聞いている限り誰も悪い訳じゃないみたいだ。

でもこれがみみみの本心ではないだろう。

俺にできることは…

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、放課後。

 

「たまーっ!ごめん今日は先帰るね!」

 

「…えっと」

 

夏林があんなになるのは見たことない。

少しまずいな。

…今だなぁ、今しかない。

俺はみみみが帰ってしまう前に行動に移す。

 

「文也ぁ!」

 

そう言って俺は文也を見る。

覚悟決めろよ、文也。

俺は力強く頷いた文也を伴ってみみみの方に向かっていく。

 

「み、みみみ!」

 

「みみみちょっといいか?」

 

「え?」

 

「…一緒に帰らない?」

 

「…え?」

 

急な出来事にぽかーんとしてるみみみ。

その間に俺は夏林に手招きする。

とことこ寄ってきた夏林をみみみの視界に入れて…

 

「帰ろうぜ、もちろん夏林もいれて、4人でだ」

 

「私、今日部活サボる」

 

クラスの一部のやつらは小さい声で悪口などを言っているみたいだ。

本当にそうゆうのは頂けない。

流れを壊すわけにはいかないためとりあえず睨んどく。

そして…

 

「ごめん、ちょっとここは友崎達の勇気に免じて、4人で帰らせて!」

 

よし、まずは成功だ。

文也の方を見てみると、さっきまでのいい顔はどうしたんだぁ?

お前も当事者だぞ。

とりあえず文也の背中には喝をいれといた。

 

 

 




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