表裏一体な僕のヒーローアカデミア   作:魚屋三太郎

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処女作です。
温かい目で見てください。


入試

「兄さん!兄さん!死なないで!死んじゃやだよ!」

 

「はは、ジキル俺は死なねぇよ。いつだってお前と一緒にいてやるからよ、だから泣くなよ。俺は最高のヒーローになるんだからこんなとこじゃ死な……ごふっ」

 

兄の口から大量の血液が流れ出す。兄が流れていく。

 

「やだ!やだ!きゅーきゅーしや!まだなの!まだ!」

 

「おいおい、ほんとーに死ぬみたいじゃねぇか。だから……」

 

兄は最後まで僕を励ましていた。兄だって痛いはずなのに、苦しいはずなのに、だけど最後まで弱音を吐かずに僕の前から姿を消した。僕を庇って死んだのに恨言一つも言わずに死んでしまった。

 

小学生1年の夏の日僕は双子の兄を亡くした。

 

ーーーーー

 

「今日は俺のライブへようこそーー!!!エヴィバディセイヘイ!!!」

 

あれから8年僕は鍛えた、鍛えてこの場に立っている。兄の遺志を継ぐために。

 

『雄英高校』

 

ヒーロー育成機関の最高峰であり、数々の有名プロヒーローを輩出している由緒正しき学校。そのために必死になって勉強して体を鍛え上げた。しかも教師が現役のヒーローだ。ヒーローになるためにこれほど最適な場所はない。

 

『おいおい、イェーイって言うのが礼儀じゃねーのかよ?こいつら全員いい子ちゃんかよ。あーやだやだこれだから勉強ばっかしている頭でっかちは』

 

「ハイドうるさい」

 

『うるさいってなんだよ。うるさいってあーあ、これが可愛い可愛い弟とは信じられねぇよ。兄さん〜って言ってたのに』

 

「試験内容聞き逃す」

 

『へーへー、黙っとけばいいんだろ。じゃ、必要が有ればよべよー』

 

「はぁ」

 

僕の脳内で会話が終わった。

溜息をつく。兄が死んでから1週間ほどたって、兄は僕の中に出てきた。死んだはずなのに生きていたのだ。だけど、母や父に伝えても悲しいんだなとしか言われなかった。悲しい訳がない。だって兄はここにいるのに僕の頭の中で生き返ったのに……。

 

「演習場には仮想敵を三種(・・)、多数配置してありそれぞれの攻略難易度によってポイントを設けてある。各々なりの個性で仮想敵を行動不能にしポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ。勿論!他人への攻撃などアンチヒーローな行為はご法度だぜ⁉︎」

 

ヒーロー、プレゼントマイクが説明する。ふむふむ、ポイントを稼ぐのか思ったより簡単そうだな。だが、プリントには四種って書いてるなこれは何だ?まっ、説明が無かったらその時はその時で対処すればいいか。そう思った時に

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

生真面目そうな受験生が立ち上がる。

 

「プリントには四種の敵が記載されています!誤載であれば、日本最高峰たる雄英に於いて恥ずべき痴態!!我々受験者は、規範となるヒーローのご指導を求め!この場に座しているのです!!ついでにそこの縮れ毛の君!先程からボソボソと……気が散る!物見遊山のつもりなら即刻、ここから去り給え!」

 

うん、質問ありがたいけど凄い剣幕だな。凄い真面目そうだ。

 

『ははは!お前と気が合いそうだお勉強仲間だ。』

 

黙ってるんじゃないのかよ……。チラッと注意されたやつの方を見ると必死に周りに謝罪をしていた。まっ、仕方ないか。

 

「オーケーオーケー受験番号7111君、ナイスお便りサンキューな!四種目のは0P。そいつはいわばお邪魔虫。ス○パ○マ○オやったことあるか⁉︎あれのド○スンみたいな奴さ!各会場に一体所狭しと大暴れするギミックさ!」

 

「なるほど避けて通るのか……」

 

『おー!すげ、まじでゲームじゃん。いいねいいね!』

 

兄も大喜びみたいだ。

 

「有難う御座います。失礼しました!」

 

真面目くんはその回答に納得したようで御礼を言い着席をした。

 

 

「俺からは以上だ。最後にリスナーへ我が校から校訓をプレゼントするとしよう、かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った……『真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者』だと!更に向こうへ――『Plus Ultra』!!それでは皆、良い受難を」

 

そう言ってプレゼントマイクの説明が終わった。うん、それにしてもいい言葉だなPlus Ultra。昔の偉人はいい事を言う。

説明が終わり各々割り当てられた試験会場へと進む。……てか敷地でかくない?

 

『いやぁー、流石天下の雄英高校様だなぁ。施設に金掛けてるしでけぇ。ワクワクしてきたなジキル?』

 

「うんワクワクしてきた」

 

試験会場に着くと圧倒された。所狭しとビルが立ち並びまるで都会の用だ。

 

「何だよこれまるで街じゃん」

 

他の受験生も驚いてるようだ。確かにこれは驚く、たかが受験の為にここまでするとは流石雄英だ。

 

『ひゃっひゃっひゃっ!馬鹿だ!馬鹿だぞ!おいジキル!雄英こんなの受験のために作ったのかよ!やっべー!規格外だぜー!なんだよコレ!笑えてくるなぁ!!』

 

「うん、その気持ち悪い笑い声やめて」

 

だけど兄は辞めることなく笑い続ける。くっ、本当に不愉快だ。テンションが下がっていく。ま、それでいいか(・・・)

 

「さて、いつ始まることやら」

 

「はいスタート」

 

「え?」

 

プレゼントマイクの声がいきなり聞こえてそう言った。スタートって言った?え、嘘。

他の受験生もびっくりして立ち往生してる。

 

 

「……どうした⁉︎実戦にカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れ!賽は投げられてんぞぉ!?」

 

「え、ええええーーー」

 

とりあえず走る、走る。

 

いきなりそんなこと言われても、ああ、本当にテンションが下がる。

 

そしてテンションが下がったことにより思考がクリアになる。まだだもっと下げるんだ。思い出せ中学時代の黒歴史を!好きな子に振られたあの日を!

 

そしてそれを思い出すとテンションが更に下がる。

 

僕の個性『ローテンション』

自分のテンションが下がれば下がるほど思考が速くなり、研ぎ澄まされる。クソみたいな個性だ。

 

「もうやだ帰りたい。穴があったら入りたい。しんどい、ほんとやだ」

 

だけどこれは試験。ゆっくりとだけど思考は巡る。走っていると小さなロボットに出会う。

 

「1P敵」

 

「標的発見……ブッコロス!!」

 

僕は手に持った石ころを投げる。狙った通りに関節に石が挟まり一瞬だが1P敵の動きが止まる。それを見逃さずにすかさず蹴りでカメラを壊す。

 

『相変わらず、華がねぇな!もっと派手にやれよ』

 

「うるさい邪魔しないで」

 

敵を的確に、最小限の労力で壊す。足りない思考が足りない。思い出せ黒歴史!ラブレターをみんなの前で朗読されたあの日を!そして場を見ろ!

敵を倒し少しだけ高揚したテンションを僕の黒歴史で押し潰す。上がるな。下げろ、下げろ、下げろ!!

 

「あらかた片付いたな。ポイントも貯まったし」

 

『はははははははは!いやぁ笑った笑ったお前本当にやべえな。表情もう死んでるんじゃねぇのか?』

 

「お気に召したようで何よりだよクソハイド」

 

『兄ちゃんにそんな口聞いていいのかなぁ?』

 

「いいんだよ」

 

そんな軽口を叩きあっていると大きな地響きが鳴る。そしてビルを割って出てきたのはすごくデカいロボットだった。これがステージギミック。0P敵⁉︎

 

「おい、嘘だよな」

 

『あははは、雄英は受験生殺すつもりだろコレ』

 

とりあえず逃げるか?

 

『おい、ジキル』

 

「なんだよハイド」

 

『代われ。お前ばっかり楽しんでるんじゃねぇよアレは俺にやらせろ』

 

「……はぁ分かったよ兄さん」

 

眼鏡を外す。僕の意識は遠くなる。

 

「はぁぁぁぁ!キタキタキタキタキターーーーーーーーーー!!」

 

ハイドは僕の着ていたジャージの上を脱ぎ捨てる。

 

「俺!参上!」

 

昔一緒に見ていた特撮ヒーローのセリフを口に出す。

そして0P敵へと向かい走り出す。

 

個性『ハイテンション』

自分のテンションが高くなればなるほど身体能力が強化される。

これが兄の個性だった。

 

だからこれが使えるからこそ僕の中に兄が生きているんだ。

 

「おい!そこの手がめっちゃあるムキムキのやつ!力ありそうだな!俺を飛ばせ!!」

 

「何言ってる⁉︎危ないぞ!」

 

「そんなの百も承知だ!!だからこそぶっ飛ばす!ヒーローは逃げねぇ!下がらねえ!泣き言言わねぇ!!」

 

「……分かった。やろう」

 

そして兄は1人の受験生の腕に乗り飛んだ。

 

「いいね!いいねぇぇぇぇ!!!テンションぶち上げだぜ!!行くぜ行くぜ!!必殺奥義!!【テンション100%!スーパーパンチ!!】」

 

拳を振り抜く。そして0P敵はぶっ飛んだ。

 

ははは、やっぱ凄いわ。うん、やっぱり兄はヒーローだ。僕のヒーローだ。本当にぶっ飛ばすとは……。

 

そしてハイドは綺麗に着地をしてイェーイと自分を飛ばした受験生とハイタッチをする。

 

「ひゃあ!気持ちよかったぁぁぁ!やっぱり漢はこうでなくちゃな!」

 

『本当に飛ばすとは思わなかったよ』

 

「あ?これがヒーローだろ!」

 

『はいはい流石です。お兄様』

 

「やめろよ!」

 

「終了!!!!!!」

 

プレゼントマイクの声が響き渡る。終わったのか。うん、丁度いいね。

 

「おい、良ければ名前教えてくれるか?」

 

「ん?」

 

さっき飛ばしてもらったムキムキから話しかけられる。

 

「あ、俺か。うん、そうだな。俺は表裏(ひょうり)ハイドだ!……とじゃなくて、表裏ジキル」

 

「ん?そうか俺は障子、障子目蔵だ。もし合格したら共に学ぼう表裏」

 

「応よ!!」

 

握手をお互いにする。これが本当は僕の場所じゃ無い。兄の場所なんだ。僕が奪ってしまったから。だから、ダカラボクガヒーローニナラナイト。

 

僕たちの受験は終わった。

 

 

 




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