戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

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強襲するモノ達

炭化した塊が、塵へと消える。消失したノイズの残骸を見据え、剣は眼を細めていた。

 

 

 

(………飛行型か。ただの能無し、ではない。目的があってここを狙ったな。大方、俺か………クリスか)

 

背中の有線ケーブルと繋がった黒剣が凄まじい勢いで戻っていく。肩にある接続部に機械的な音ともに繋がり、収納される。

 

 

飛び散ったガラス片を踏み歩き、近くで呆然と固まる店員に声をかけた。

 

 

「全員を避難させろ、ノイズが来る」

「はっ、え?…………で、でもさっきのは──」

「────問題ない。俺が相手してるうちに、早く避難させろ」

 

 

続くようにガラスが割れる。

先程のような一枚ではなく、連続して粉々に周囲に散乱する。勿論、今のは剣がやった訳ではない。

 

 

 

突っ込んできたのは、ノイズだった。先程のような飛行型とは違う────明らかな量産型。

 

 

ノイズという脅威を目にした他の客達も今になって自分達の危機を理解したらしく、パニックになるのはすぐだった。慌てて逃げ出そうとする客と、青ざめながらも誘導しようとする店員達。

 

 

一つの出口に殺到する彼等に、ノイズも平然と群がってくる。この状況は袋小路と言うべきなのかもしれない。別々に逃げるのが最適なのだが、今の彼等にそれを求めるのは酷だ。

 

 

「一般人を巻き込みさえすれば、俺をどうにか出来るっていう考えか。やり方はどうであれ、実行してみせた事には評価するべきだな」

 

 

だが、と剣は否定する。

 

普通ならばこの戦術は有利に働いただろう。相手が普通の警官や、特殊部隊でも変わらない。この場にいたのが自分ではなく、響や翼といった装者でも動きを制限されていたに違いない。

 

 

 

 

 

 

しかし、忘れてはならない。

唯一この場にいる、無空剣は何者か─────別世界で、何と呼ばれていたか。そもそもの話、彼がどんな存在なのかを。

 

 

 

 

「…………この程度で、俺を何とか出来るとでも?」

 

最強の魔剣士。

序列筆頭候補でありながら行方不明の一位と二位、その二人がいなくなった後も魔剣士最強という名を不動にしてきた青年。

 

 

そんな彼が、ノイズ如きに遅れを取る筈なんてなかった。たった数秒で全滅させられた灰の残滓が、それを証明することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………しまった、失策だったか」

 

 

そう呻いたのは、彼がノイズを片付けて数秒の事だった。戦い(最早蹂躙の領域だったが)を終えた直後に、よくよく考えて思い出したのだ。

 

確か、二課の存在自体が秘匿されていた事を。シンフォギアという物も同じで一般人に見られる事は禁じられているのだ。

 

 

 

数秒の間、首を捻っていたが、

 

 

 

「──────問題ないか」

 

まぁこちら側の聖遺物を露見させた訳でもないから問題ないだろ、と適当に納得する剣。それで良いのか、と響や翼、二課の面々は口にしていた事だ。

 

 

 

あくまでも二課は聖遺物関連を明るみに出すことは出来ない。『魔剣士(ロストギアス)』、無空剣はその枠組みに当てはまる事はない。

 

 

─────実際に、人命よりも聖遺物を優先することなど剣からしたらクソ食らえな考えだ。もしやれと口頭で言われたら喜んでソイツに反逆することだろう。一切の迷いも躊躇もなく。

 

 

 

事後処理に関しては後にする事にして、今はやるべきことに専念しようと行動を起こした。

 

 

「…………」

 

店の外へと避難している人々の顔を確認して、剣は顔をしかめる。さっきまで一緒にいた少女の姿が見当たらない。

 

ノイズに巻き込まれたのは有り得ない。ノイズが人を襲う前に既に殲滅を終えていたからだ。

 

 

(自分だけ逃げ出した………じゃないな。クリス自身、自分が狙われてると考えて移動したのか。向かったのは、さっきのノイズを操ってたヤツ─────フィーネとやらだな)

 

 

そもそも、彼女はそんな性格ではないだろうと確信している。僅かしか話していないが、あの子は根からの悪人ではない。むしろ利用されてる感じが見て取れた。

 

 

放っておく事など出来るはずがない。

 

 

「悪いが、少しいいか?」

 

困惑していた集まりに声をかけると驚いた声をあげられた。何でもノイズを相手に無事なことに驚きしかないらしい。

 

 

「あ、貴方はさっきの人!? ノイズ相手に無事だったんですか!?」

「まぁな。それよりも聞きたいことがある」

 

何でしょう? と首を傾げる男性店員。先程会ったばかりの人物だと気付きながらも、剣は質問をした。

 

 

「女の子を見なかったか?銀色の髪をした女の子を」

「………人混みの中でしたから、よく分かりません。もう少し、分かりやすい特徴はありませんか?」

「おっぱいが大きくてスタイルが良い」

「見ましたね、あっちに行きました」

 

 

即答だった。

一秒も掛からない程の速さ。

男性店員が真顔と共に指差した方向を確認し、彼はなるほどと頷く。何故よりによってスタイル関連で即答したのかは言わないでおく。自分も似たような事になる可能性もあるから、仕方ない。仕方ないものは仕方ない。

 

 

やるべきことを再確認すると剣は走り出した。人混みの中を縫うような、閃光の勢いで。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

森の奥へと、走る。

どれだけ走ったかクリスは把握してなかった。息切れしかけた所で、自分が広場に辿り着いた事に気付く。

 

 

彼女は呼吸を整えながら、大きな声を張り上げた。

 

 

「フィーネ!ここにいるんだろ!答えろよ!フィーネェ!!」

 

 

 

「聞こえてるわよ、クリス」

 

返答はすぐに帰ってきた。暗闇の中から、姿が浮かび上がった。

 

容姿からして金髪が目立つ大人の女性。全身を黒い帽子や黒い服にサングラス───黒一色に包み込んだ違和感しかない姿をした女だった。

 

 

その女は片手に何かを持っている。杖らしきもの。かつてクリスがノイズを呼び出す時に使用していた武装だ。

 

 

ファミレスを襲撃したノイズも、それを使って呼び出したのだろう。フィーネ、そう呼ばれた女性をクリスは見据える。

 

 

「………何で、ノイズを放ったんだ?」

「貴方の為でもあるのよクリス。魔剣士なんてものから逃げるには、ああするしかないじゃない」

「その為に?わざわざその為に、無関係な奴らを巻き込んだのかよ!?」

「別に気にする事かしら? 相手はあの魔剣士よ、普通に戦っても勝てないのは分かる話でしょう? だから、『()()』は必然な犠牲よ」

 

 

簡単に言って見せた。ノイズに人を襲わせるのが必然なものだと。

 

しかし、そんなことが、納得できる訳ない。

 

 

「あたしは、争いを失くしたかったからあんたの言う通りにしてきた! 戦うのだって歌うのだって承知だった!けど、あれが、あんな事が必要だって言うのかよ!?」

「……………そう。貴方の言いたいことは理解したわ」

 

クリスの叫びに、フィーネは静かに言葉を含む。彼女の言わんとしてることを、理解したのだろう。その上で溜め息を吐き──────一言、

 

 

 

 

 

 

「ならもう終わり。貴方は用済みよ、クリス」

 

 

さっきまでの優しく語りかける声が一変する。冷徹な声音と共に視線すらにも侮蔑が浮かんでいた。

 

 

「『カ・ディンギル』も完成間近済み。無空剣を倒す為の兵器、『アルビオン』と『カラドボルグ』も私の手にあるの。あとクリス、不安定な貴方が消えれば全部完璧なのよ。代わりである兵器は既に動かしてるからね」

「…………何だよそれ」

 

 

思わず笑いそうになるクリス。彼女にとってフィーネは恩人だ。自分に力を与え、助け出してくれた張本人。

 

まさかその人物から、こんな風に切り捨てられるなんて思いもしなかった。

 

 

 

「そうそう、貴方のやり方じゃあ争いなんて失くせないわ。精々火種を一つ潰して、二つ三つ増やすくらいよ」

「あんたが、言ってくれたじゃないか!痛みも、ギアも!あたしに与えてくれたものが───」

 

無視して、フィーネは杖を掲げた。光と共にノイズが多く生み出される。無謀であるクリスを囲むように、陣を作っていく。

 

 

「私の計画を叶える為よ。最後くらいは役に立てるんだから、喜んでも良いのよ? 憐れなクリス」

 

嘲るようにフィーネは告げる。後はノイズを襲わせてクリスを殺せばいい。抵抗しようがしまいが物量に叶うはずがない。だからこそ、彼女はクリスが死ぬのを見届けるだけにするつもりだった。

 

 

 

 

 

 

 

しかし実際、そうなることはなかった。

 

 

 

木々を間を、漆黒が駆け抜ける。尋常の無い速度のまま、それはクリスの周囲をただ疾駆した。それだけで、ノイズが消し飛ばされる。だが多くはそうなっているのではなく、斬撃によって無数に切り裂かれていた。

 

 

炭化した灰が消えていく中、漆黒の影はクリスの前に立つ。首に巻かれたマフラーを直し、現れたら青年は敵を見上げる。

 

 

 

「………やってくれたわね」

「───なぁ」

 

青年は嘆息し、フィーネを見上げる。不愉快そうに、腹立たしいという苛立ちと見下したような軽い失望を隠すことなく。

 

 

「これも、計画通りってヤツか?」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「えぇ!?ノイズが出現してすぐに消えたんですか!?」

『あぁ!最初はファミレスに複数の反応があったが、数十秒でロスト。更に離れた森林広場でも同じ現象が見られた。現場にいた剣くんが撃退してくれたのだろう。急ぎ彼との合流を頼むぞ!』

「合点承知!」

 

連絡を受けて、現場へと急行する為に走り出す響。道を駆けていく中、無線から端末音が鳴る。すぐに取ると連絡してきたのは意外な相手だった。

 

 

 

『もしもし、聞こえてるかね?響クン』

 

ノワール博士。無空剣の保護者(本人曰く)である科学者の男性。響も何度か話した事があるのだが、こうやって連絡をもらうことは一度もなかった。

 

 

「ノワールさん!? どうやって通信に?」

『────悪いが、あまり大きく反応しないでくれ』

 

そして、博士は囁くように言う。遮られた事など気にする間も無く、知りもしない情報を教えられた。

 

 

『君に近付いてる反応がある。なり振り構わず、君へと接触しようとする動きだ。あと少しで接触してしまうだろう』

「え!?もしかして……」

『いや、違う!違うのだ!この反応はシンフォギアでもネフシュタンでもない。だが、有り得ない!ただでさえこの世界で有り得ない、『彼』の──────ガガガガガガッ!!』

 

 

そこで通信は途切れた。壊れたというよりも電波障害で切断されたらしい。

 

 

あれ程までに狼狽える博士の様子は、初めてだった。しかも気になることを言っていた。この世界では有り得ない、反応………………それは一体?

 

 

 

「おーい!響ー!」

 

そう思ってると、突然声をかけられた。足を止めて周囲を見渡すと、ある少女の姿が見えた。

 

 

「……未来?」

 

小日向未来。

響にとって何より心を許せる、大切な親友。そして先日、真実を話すべきか悩んでいた少女だった。彼女は響を見つけると嬉しそうな笑顔と共に駆け寄ってくる。

 

響も一瞬笑顔で応えようとしたが、すぐに思い出した。

 

 

 

あまり正体が判明しない反応。

それが、あと少しで響と接触すると。

 

 

「未来!来ちゃダメだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────見つけたぜぇッ!!!」

 

声がした。

雷のように轟き、響き渡る声が。

それを耳にした響と未来は、ハッと上に眼を向ける。声がしたのは、他ならぬ─────上空だったからだ。

 

 

 

 

飛来した。凄まじい程の速度で、地面に直撃した。周囲の木々が風圧に揺れ、中には抉られるものもある。

 

 

響は何とか持ちこたえたが、衝撃波を直に受けた未来が吹き飛びそうになる。

 

 

「!未来!」

 

咄嗟に、響が彼女に手を掴み、抱き締める。それ故に、未来は薙ぎ払われる事なく無事だった。

 

 

しかし安心することは出来ない。不安そうな未来を庇うように立ち、響は爆心地のある場所に眼を向ける。

 

 

 

周囲に漂っていた砂塵が消え去る。内側からの膨大な圧力が全方位に吹き飛ばしたのだ。クレーターの中心に立つモノの正体が、明らかになる。

 

 

 

「へい!へいへいへい! 会いに来たぜ融合症例一号!その動きは『アルビオン』からの情報とは違うな!自ら鍛え上げてたってヤツか?中々に成長速度も高い!これに関してもマスターへ報告しておくべきだな!」

 

 

相手は男だった。しかし、ただの男ではない。先程の破壊行為がそれを証明している。

 

身に纏うのは純白のメタリックな鎧。中世の物とは明らかに違う、響達の纏うようなシンフォギアに近いものだ。

 

そして、響が一番注視したのは顔。元気そうな笑みを浮かべているが、翡翠の瞳は無機質な光を灯している。機械が、人間の真似事をしてるような不気味さがある。

 

 

 

同時に響にとって聞き逃せない言葉を相手は口にしていた。『融合症例一号』、確かそれはネフシュタンの鎧の少女が口にしていた─────自分の別称ではなかったか?

 

 

「ひ、響?あの人知り合いなの!?」

「………、」

 

 

知ってる訳がない。

無論、赤の他人であることには変わりなかった。なのに、青年に対する違和感が拭いきれない。

 

 

何か、似てるのだ。姿や喋り方が、ではない。雰囲気といった、上手く説明出来ないが────

 

 

(あの人、剣さんと似てる………?)

 

 

ギョロリ、と瞳が向けられる。ホログラムや何らかのグラフが浮かび上がる眼を開き、笑みを消さずにいる。機械に近い感じた人間味が入り雑じった、怖気の走る笑顔を。

 

 

「経過は良好。どうやら融合が少しずつ進んできてるようだな。このまま融合を進ませると不味い事態になると思うが──────結論、放置。その事象に関しては計画に大きな支障はないと見た」

 

機械的な言葉の羅列を口にする声に強弱はなかった。

 

 

ガシャン! と金属が擦れる音を響は耳にした。

 

 

 

男が取り出したのは巨大な金属の塊だった。サンドバッグのように背中の留め具に固定されていた重量兵器。男は金属の塊の下にある装置を踏み抜くと同時に金属の塊が大きく開き、射出された武器を手に取った。

 

 

分厚いと同時に幅が細い剣。何らかの特別な金属が使われてるのか、虹色のように光る刀身が特徴的な武器。

 

 

笑みを絶やさずに男は腰を深く落とす。しかし、それも一瞬。

 

 

「ならば、次は実力を見るとするか───────なッ!!」

 

その時、響は信じられない現象を目にした。男はたった一振、剣を振り上げた。虚空を薙いだだけで、何も起こるはずがない。

 

 

 

 

なのに、切り裂かれた。響と未来、二人の周囲に容赦のない斬撃が発生したのだ。コンクリートやアスファルトの地面に大きな切断跡が残されていく。

 

 

 

たった一撃でこれだけの連撃を与えた。それ自体が衝撃的だが、注視するべきはそこではない。

 

 

響たちと男の距離は十数メートル以上も開いている。何らかの力を用いなければこんな事は不可能な筈だ。つまり、あの男は力を有している。物理現象を歪めるほどの未知の力を。

 

 

「問題を確認」

 

ふと、男は笑みを消す。先程のような活気のある様子から一転、機械のようなものへの切り替わる。

 

そんな機械的な態度からでも分かる────落胆と疑問が響に向けられる。シンフォギアを纏わない、纏えなかった響に。

 

 

「ここまで攻撃をされていれば、シンフォギアを纏う確率が大きい。しかし現に纏おうとしない。何故?何故?何故?」

 

この男は知ってるのだろうか。響が、親友を巻き込んでいいのか悩んでいることに。ここでシンフォギアを纏えば秘密が露呈され、未来もこちら側へと干渉してしまう。それを恐れたからこそ、彼女はシンフォギアを纏うことを躊躇していた。

 

 

 

しかし、それを男が許す筈がない。意図が読めなかった男は瞬時に結論を組み上げる。

 

 

「────ああ、なるほど」

 

 

ドロリと濁った瞳が、捉える。響が何とか庇っていた未来に。機械的な眼光が注視されていた。

 

 

()()()()()()()、戦えると見た」

 

姿が消えた。そう判断してしまったのは無理もない。実際には高速で移動した事など、気付ける筈もない。

 

 

 

「………え?」

 

そして、小日向未来は目にした。自分の前に男が立っているのを。呆然とする彼女に男は持っていた剣を大きく振り上げている。

 

 

小日向未来はそれを、スローモーションで感じられていた。自分を殺そうとする刃が迫り来るのを目にして、彼女は思わず両目を塞ぎ──────

 

 

 

 

 

 

───Balwisyall Nescell gungnir tron♪

 

 

歌が響き渡る。直後、男に振り下ろされた剣が停止する。いや違う。その前に、未来の前に誰かが立っていた。

 

 

他ならぬ、立花響だ。しかし今は無防備ではない、シンフォギアを身に纏っている。だからこそ、男の振るった剣を受け止めることが出来た。

 

 

「はぁぁぁっ!!」

「っ、と! 危ない危ない!」

 

勢いよく踏み込み、殴りつける。剣で弾きながら後退した男は笑みを深める。その様子からして、口笛すら吹きかねない。

 

 

 

しかし、今の響はそんな態度を気にすることはない。それどころの問題でもある。

 

 

 

 

「…………響?」

 

呆然と、未来が見つめてくる。それは親友の姿が未知のもあるだろう。

 

 

 

────隠してきた全ての事が、露呈されてしまった。それが意味する事実は無慈悲に、響の両肩へとのし掛かってくるようだった。

 

 

「────、未来………ごめんっ」

 

そう言うしか出来ない事に、彼女は後悔する。どうやって、取り返しのつかない事に苦しむしかなかった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

(…………見られた!未来に、見られたっ!)

 

 

何とか距離を引き離そうとする響は唇を強く噛み締める。今の心境を言葉で表せることが出来ない。もし過去に戻れるなら、響はどんな苦しみだって味わえる。

 

 

『──お前の親友だ。他ならぬお前が近くで守ってやるべきだろ。距離をとっておくよりも、近くにいてやる方が俺個人としても良いと思う。大事な友情を失うより、マシな筈だ』

(ごめんなさい剣さん!意見してくれたのに、ダメでした!ちゃんと言うことも伝えることも出来なかった!)

 

 

 

少し経って走るのを止めた。十分戦えるくらいの場所のある広場に着いたのだ。他の人もいない、巻き込む心配なんてない。

 

 

 

「ハハッ! 収集された情報とは顔つきもオーラも違うな!風鳴翼と比べれば大したことのない、未熟だって聞いてたんだが!もう普通にやり合える覚悟があるのか! なら、気にすることなんてないよなぁ?」

 

「………ッ!」

 

そんな風に語りかける気軽な声で響は判断した。この男は、未来を殺そうとしていた。何てことのない、響にシンフォギアを纏わせて戦うように仕向ける為に。

 

 

 

拳を握り直す響に、男は指を鳴らす。片手に持っていた剣を金属塊に差し込みながら、やはり笑う。

 

 

「『アルビオン』からの記憶で把握してる。融合症例一号、お前はアームドギア、もとい主要武装を有していない。それをカバーする為の格闘術、近接戦闘型なのは承知してる。遠距離を用いた狙撃や射撃を扱うのが基本だろう。

 

 

 

 

だがオレは、オレ達は違う。戦闘スタイルには相性がある。銃を使って撃ちまくってたヤツも、武器もねぇ素手のヤツにボコボコにされて負けるって事例があるくらいだしな。なら取るべき手段は、同じ近接戦闘特化!知ってるか? 同じ戦い方だからこそ、付け入る隙ってものがなくなるもんだぜッ!! ハハッ!!」

 

 

武器を捨てて、響と同じく拳を握り締める男。そして彼は意気高揚と名乗り上げた。自分自身の存在を隠すことなく、むしろ明らかにする為に。

 

 

 

「オレはタクト、虹宮タクト。【魔剣計画(ロストギアプロジェクト)】によって造り出された新世代個体(リニューアルナンバー)の試作段階兵器。モデル=カラドボルグ。

 

 

 

 

 

 

 

対序列三位、無空剣の為に実現された擬似的魔剣士《リメイクロストギア》・プロトタイプだ!」




オリキャラ出てきたよ………原作から少しブレるよ……展開早すぎるだけじゃなくて、余計面倒な事にしてくれたよぉ…………。


ていうか普通に書くのが難しい。原作通り書いて良いのかと悩む一方オリジナルを増やすのは怖いことこの上ない。


因みに、このタクトさんは初登場ではありません。存在だけはだいぶ前から語られてます。
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