戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

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「未来っ!剣さんっ!何処ですかぁーーっ!?」

 

 

 

完全に崩壊した工場施設。その残骸の探す少女達がいた。響と翼、そしてクリスの三人は突然崩壊したこの施設へと急いで向かった。この場で何かがあったのは確かだ。行方不明となった小日向未来、そして彼女を探していた剣も、きっとここで何かがあったのだろう。

 

 

 

「………クソッ、何がどうなってんだよ!」

「ノイズではない。なら、これは何が起こったのだ?話に聞いていたフィーネの切り札、『アルビオン』とその『魔剣士』か?」

 

困惑して吐き捨てるクリスの横で、翼は冷静に考えてそう答えた。クリスの方は、信頼している剣の安否が不明である事に焦りを覚えて始めている。同じように翼も、一見落ち着いて見えるが、自分の口にした予測が違うとは気付いている。

 

 

彼等のような圧倒的な破壊が少ない。どちらかと言うと、彼等よりは被害が少ないのだ。魔剣士である彼と戦っていた割には、建物が一つだけ失われただけなのだから。

 

 

 

『───彼等の反応が不明だ。響くん、連絡は出来るか?』

「はい!今やってみます!」

 

通信に答えると、響は無線機とは違う、携帯電話を取り出した。無線機を近くにいた翼が受け取り、自分の親友へと連絡を取ろうとする。

 

 

二課に保護されていた未来は所持品を回収されていたが、何者かが襲撃してきた時には携帯電話も失くなっていたという事実は確認できている。なら、もしかすれば未来が持っていたのでは、と淡い期待で電話を描ける。

 

 

だが、それから十秒ほど経つが、電話は反応しない。

 

 

 

 

「…………駄目、()()()()()()()()()! 剣さんの方もですよね!?」

『あぁ、何故か分からないが彼からも連絡が来ない。民間人である小日向くんの身柄の何処かは分からない。その中で、一つだけは確信できる』

 

 

 

重苦しい声で、弦十郎は告げる。

 

 

『二人は意図的に狙われている。しかも俺達に手を出せないようにこのような妨害工作までしてだ。彼等は俺達に合流しようにも出来ない状況下にあるのかもしれない』

「それじゃあ……未来は」

『剣くんといるのならば、無事だろう。だが少しずつ追い込まれていくのは確かだ。彼も逃げに徹するという事は、相手は彼すら手に負えない可能性がある』

「ならばこそ、やるべき事は決まっています」

 

 

そう答えると、翼は腰にかけた無線機をクリスへと手渡す。突然の事に目を見開く彼女に、淡々と話した。

 

 

 

「立花は東方面を、私は西、雪音は北を頼む。何かがあればこれで連絡しろ」

「っ!何であたしが────」

「無空を探すのなら、それが最善な手段だ。例え私達を信用できなくても、無空の為に手を貸してくれ。助けたいのは、私達も同じだ」

 

覚悟のある言葉に、クリスは沈黙して頷いた。不服ではあるが、賛成であるのは確かなのだろう。

 

 

それぞれの考えのもと、立ち去っていく二人の姿を響は見つめる。未だ刺々しいが、クリスとの距離を縮めたいと純粋に考えているのだろう。

 

だが、それは今重要な思考ではない。

 

 

「じゃあ、私も早く探しに行かないと────」

 

 

マイナスな考えをしないように、と。響はそう言うとすぐさま東方面の場所を捜索することにした。

 

 

しかし、東方面といっても彼等の隠れる場所など見当がつかない。手当たり次第に探そうかな、と考えていると。

 

 

 

 

 

 

────こっちだよ

 

 

 

 

 

「………え?」

 

思わず動きを止めた。声は自身の真後ろから響いてきた。しかし、人の気配は周囲からは確認できない。誰も、この場にいない。

 

 

 

 

「今のって…………」

 

困惑しながらも、響は後ろを振り返る。建物ばかり並ぶ街中だが、逃げ込んだりするのに使うとは思えない。どちらかと言えば、人気の無い森林地帯か、山奥とかだろう。

 

 

しかし響は、街中へと歩みを進める。

先程囁いてきたと思われる声、その指示に従うように。

 

 

 

その声の主が誰なのか響は分からない。いや、翼やクリス、二課の皆が聞いても同じ結果になるだろう。ただ一人、この世界の人間ではない者はその声の主を知っている。

 

 

無空剣、その声の本人こそが彼にとって重要な人物でもあるからだ。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

剣が逃げ込んだのは、街中にある廃ビルの中だった。使われてないのが理由でもあるが、周囲には人も少ない。だからこそ、彼は少女を連れてここに隠れていた。

 

 

灯台下暗し、と言う。隠れるのなら森ではなく、人混みの中だ。被害を被らない相手なら駄目だが、エリーシャはそういうのを把握する人間だ。

 

暴れれば自分の居場所を増やしてしまう以上、彼は他の誰かに気付かれないように剣達を追跡しなければならない。

 

 

 

 

「───ッ、ぐ」

「大丈夫ですか!?今すぐ手当てを──」

「必要ないッ、下手に触るな!かえって怪我するぞ!」

 

腕の装甲を解除すると、黒い結晶でズタボロだった。肌を傷つけ、肉にまで食い込んだ棘の鉱物は小さいながらも、凶器として特化した鋭さがあった。

 

本来なら、すぐに取り除くべきだ。しかし、彼は裂傷した腕を見つめ、

 

 

(奴はこれを無限に再生すると言っていた。だとすると、俺から引き剥がすと再生する可能性も有り得る。だが、逆も然り。可能性としては半々か)

 

 

これが剣の懸念だった。破片は今、彼の体内に食い込んでいる為、脅威である再生は行えない。もし体の外へとこの欠片が出てしまえば、瞬時に再生して黒い獣へと戻ってしまう恐れがある。

 

 

 

 

(────取らなければ治らない!)

 

ポケット、正確には用具入れからピンセットを取り出す。そして、肌から突き出た破片を摘まみ────強引に引き抜いた。

 

 

 

ブチィッ! と生々しい音と共に、破片の一つを取り出す。強引に取った為、少しばかり肉片が付いた乱雑な処置になってしまった。小さい悲鳴が聞こえるが、作業中であった剣は意識から反らしておく。

 

 

そして、今度は腕ではなく、破片へとピンセットを伸ばす。慎重な手付きで、結晶の断片に付着した自身の肉を剥がす。

 

 

今度こそ綺麗になった結晶を見下ろし、剣は警戒しながらもピンセットで摘まみ上げる。

 

 

 

(再生は…………しない。確信した、奴の『果てなき深淵』にはコアが存在する。それも特定の範囲内に限定された機能か。なるほど、ミクロサイズの破片から再生する事はある)

 

 

性能としては不足してる、と言えばそうだろう。しかし『果てなき深淵』はそれ故に再生に特化したタイプだ。

 

 

範囲内だけの増殖と再生を繰り返す機能。屋内など制限されてしまう環境下───所謂このような場所では、余計に戦いにくくなる。

 

 

そう考察していると、剣はある事に気付いた。

いつの間にか何処かに移動していた少女が帰ってきたのだ。手に入れてきたであろう包帯を伸ばし始めて。

 

 

「……何をしている?」

「包帯は何とか見つけてきました。消毒は出来ないですけど、これで今は何とか出来ます」

「不要だ。俺だけで出来る」

「手伝わせてください!怪我してるのに無茶ばかりしないで………私も出来ますから!」

 

 

凄い気迫で押し通してくる少女に気圧され、剣は承諾した。今は大人しく強引な治療を受けることにする。

 

 

時間は掛からなかった。包帯に包まれた自分の片腕が普通に動くことに安堵し、

 

 

 

「悪い………助かった」

 

 

少女に軽い感謝を述べながら、剣は包帯の片腕をコンクリートの石材にゆっくりと置く。ふっー、と力を抜いて呼吸を落ち着かせる。

 

 

そして、近くで何をするべきか悩む少女に剣はちゃんとした形ではないが頭を下げた。

 

 

「…………悪かったな」

「え?」

「俺のせいだ、俺が巻き込んだ。あいつがお前を連れ拐ったのも、俺を誘き寄せる為だった。だから───悪い。全部俺の責任だ」

「そんなの………」

 

困ったように言って、ハッと彼女は顔を上げた。そしてポケットから携帯電話を取り出すと何処かへと電話をしようとする。

 

 

 

だが、小日向未来が番号を打ち込む前に、剣がそれを止めた。怪我をしている腕を庇い、窓の外を覗き込みながら。

 

 

「連絡は止めておけ」

「どうして、ですか?」

「奴は俺達と他者の通信を意図的に阻害させる。一度でも連絡すれば奴は俺達の場所に当たりをつけて、本格的な数で追い込んでくるぞ」

 

 

思えば、彼女を保護しようとした時もそうだった。エリーシャは連絡網から標的である自分達だけを阻害させ、集団から孤立させる。孤立した彼等が、誰かに助けを求めようとした痕跡を探し出し、そこを隙へとする。

 

 

他者に助けを求めようと連絡したとしても、返ってくるのはノイズ音だろう。そして一時期でも連絡を行おうとすれば、エリーシャは反応を読み解き、場所を的確に編み出していく。

 

 

 

(今はジッとしておこう。奴の『果てなき深淵』とて完全じゃない。大暴れしないのはそれが理由だろうからな)

 

 

そうして二人は向き直る。体育座りをする少女の前で膝を立てて座っていた剣は少しだけ思い悩む。

 

 

静寂が続くのも困ると判断し、声をかける事にした。

 

 

 

「無空剣だ。あの時以来だな」

「ええっと、小日向未来です。あの時はどうも」

 

 

その発言から、ようやく剣は確信を得た。彼女は響の親友である人物なのだ。あの心優しい少女の支えとなってきた、とても必要な意味を持つ少女。

 

 

「小日向未来、お前が響の親友で合ってるよな?」

「ど、どうして分かったんですか!?」

「響から聞いた。あいつも少し悩んでいたらしくてな」

「………じゃあ剣さんも」

「あぁ、機密とされている二課の協力者だ。正規のメンバーじゃない。響や翼と違って、実際に所属してる訳でもないからな。………そもそも、もう無関係だ」

 

 

それだけ言うと、そうですかと笑って納得してくれた。ある程度気になる事があった筈なのに、何も聞かずにくれたのは素直に助かった。

 

 

だが、このまま黙っていれば良かったのに、

 

 

「悩みがあるなら話してみろ。溜め込んでおくよりかは、楽になるかもしれないぞ。だが、無理強いはしない。自由に決めればいいさ」

 

 

もう無関係だと言ったのに、何故こう言ったのか。それは剣本人も理解が出来なかった。ただの気紛れ、気の迷いの一つだろう。最近こういうことが多いな、と思うが、無駄に考えるのは止めた。

 

 

 

「私の話、少しだけ聞いてくれますか?」

「────もとより、そのつもりだ」

 

 

その後、小日向未来は吐露した話を黙って聞いていた。彼女と響は二年前にあったコンサートでの事件のより前から親友だった。生存者の一人として迫害されていた響を、傍らで支え続けていたらしい。

 

 

 

それで、自分も同じような扱いをされる恐れもあったのにも関わらず。彼女はそれでも懸命に、努力し続けていた。

 

剣には、真似できるだろうか? ただ人間と違うと石を投げられただけで疑心暗鬼になり、勝手に見捨てた気になっていた愚か者。救うことも出来ず、ただ周囲に悲劇をばら蒔くだけの────どうしようもない、最低な存在。

 

 

 

きっと、自分には出来ない。その点で言えば、彼女は無空剣よりも強いのだろう。

 

 

 

「私…………響の友達でいられないっ」

「…………、」

「頑張ってる響が好きで、真っ直ぐな響が好きで……なのに、私は今の響を応援できないっ!」

 

 

だが、彼女はあまりにも優し過ぎた。親友を想うがあまりに、自分の知らない間に命の危険の狭間で戦うことが怖かったのだ。

 

 

人助けという立花響の在り方を望まない自分は、もう仲良くなんて出来ない。一緒にいることが出来ない。

 

 

 

 

 

そんな彼女の想いを聞いて、剣は溜め息を漏らした。呆れるような一息。しかし、目の前の彼女に向けてではない。

 

 

 

 

どちらかと言えば、自分自身に向けた自嘲の意味合いを。

 

 

 

「ったく、響といい小日向といい………どうしてこうも擦れ違うんだ。これが一般的な親友の関係なのか?俺にはよく分からないが」

 

こめかみを押さえながらそう呟くと、未来は不思議そうに首を傾げた。そして、気になった事を口に出す。

 

 

「友達と喧嘩したりしないんですか?」

「普通の環境じゃなかったからな。一般的な友情ってのと同じかは俺にも分からない」

 

 

自分達が普通とは欠け離れた環境下だった事もあり、剣は自分独自と思っている考えを口にする。

 

 

「意見が食い違う事はあった。けどあいつは自分のやりたい事を貫き通すってばっかで…………俺の話を聞きやしない。何なら俺の方がガキみたいに我が儘ばかりで、あいつに迷惑をかけてな──────その度あいつは、ゴリ押ししてきた」

 

 

嘘ではない。

彼にとって、親友────虹宮タクトはそういう人間だった。自分の衝動で人を助け、ボロボロになっても笑顔でいる。自分が助かったことより、他人を助けられたことに心の底から喜ぶ本質。

 

 

 

「一回、話し合ってみたらどうだ?」

「えっ!?」

「自分の気持ちをぶつければいい。俺達もそんな感じだ。配慮なんかせず遠慮もせずに、自分勝手な奴等ばかりだしな」

「……………」

「………まぁ、人の事を言えない奴の戯れ言だ。適当に流してくれればいい」

 

 

え? と今度こそ気になったように未来は顔を上げた。先程の意味合いを聞こうと口を開こうとした。

 

 

 

直後、爆音が響き渡る。

予想からして、車両の爆発だろう。しかしあまりにも大き過ぎる。距離からして遠くではない、むしろここから近すぎるくらいだ。

 

 

 

「つ、剣さん!」

「………」

 

不安そうに声をかけてきた未来に、彼は静かにするように目線を送る。剣はすぐさま顔を険しくすると、近くに立て掛けられていた鏡を砕き、その破片を窓に調節して設置する。真下、ビルの入り口を覗き込めるように。

 

 

わざわざこうするのは、自分自身で姿を現さない為だ。様子を伺う為に隠れ家から姿を出すのは外法だから。

 

 

 

剣がその鏡の破片に目を向けると、ちょうど真下が綺麗に見えた。そして、そこにいる人影も目に映った。

 

 

 

 

 

 

「────エリーシャ」

 

 

入り口に立ち塞がる白衣の男は、屈折した視線に気付いていない。それどころか、堂々と廃ビルの中へと足を踏み入れていく。

 

その周囲には、黒い獣が駆け回っていた。多分予想だが、このビルの周囲に配備されているのかもしれない。普通なら人が気付いて騒ぎになるかもしれないが、奴の事だから何らかの処置はしているのだろう。

 

 

 

「あの野郎、ここに当たりをつけたか。さっきの爆破も、ここを塞ぐバリケードを破壊する為だったんだろうな」

 

 

『果てなき深淵』はともかく、エリーシャは生身の人間。しかも彼は非戦闘員であり、バリケードを突破する力はない。故に、強引なやり方を使うことにしたのだろう。

 

 

居場所がバレようと問題ない。後は袋小路となった無空剣を抑えればいい。そういう自信が垣間見えてくる程のやり方だ。

 

 

「────音がしなくなったら、ここから離れろ。それまではここで待機していろ」

「剣さんは?」

「…………ケリを着けてくる」

 

 

 

 

返事を聞かずに、剣は部屋から出ると、床を容赦なく踏み抜く。コンクリートの床を一瞬で崩落させ、上階から一階へ落下していく。

 

 

 

 

 

 

 

トッ……、と着地した剣の目の前には、目的の相手が立っていた。因縁の敵である白衣の男、エリーシャは小さく笑う。自身の周りに、蠢く闇の大群を侍らせながら。

 

 

 

「─────随分とまぁ、平然と出てくるとはねぇ。私の狙いが君だと理解してないのかな?」

「───────お前を倒す、その為に来ただけだ」

 

 

それを聞いたエリーシャは、顔を僅かにしかめる。ポケットから出した片手で頭を掻きながら、彼の発言を嘲笑う。

 

 

 

「私を倒す?殺すの次は倒すときたか。前にも言ったが、君には出来ないよ。なんせ私には君を殺す『武装』がある。どう足掻いても無意味、無価値なのだよ。理解が出来ないのかな?」

「少なくとも、この世界の皆を巻き込むつもりはない」

「へぇ、覚悟を決めちゃったのか。まあそれも僥倖」

 

 

言葉にする挑発に応じる様子は見られない。

そこまで聞いていたエリーシャは笑みを消し、無表情へと化す。

 

 

冷徹、無感情で目の前の()()()を睥睨し、つまらなそうに命じた。

 

 

「ならばここで挫けろ、成り底ないの兵器。貴様にはそれこそが相応しい末路だろう?」

 

 

目の前の相手を嬲り殺しにしろ、無言の命令を伝えようとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

────Balwisyall Nescell gungnir tron──

 

 

歌が聞こえた。

何度も聞いてきた歌が、耳に入ってくる。鼓膜を叩いて響いてくる音色や歌声に、思わず聞き入っていた。敵と相対している中、それは戦闘中の対応としてはいけないが、彼にとっては

 

 

 

まず最初に飛び出したであろう、黒い獣も怪訝そうになる。感情など感じられるようには見えないが、首を傾げている途端。

 

 

 

一撃が、炸裂した。

容赦ない拳が、黒い獣の顔に命中する。結晶で出来た頭は薄氷のように砕け、胴体は勢いに乗せられるように吹き飛ばされていく。

 

 

 

エリーシャは眼を剥く。

自分の獣、『果てなき深淵』の耐久力は弱い方に部類する。しかし今の一撃は一般人のものではない。鍛え上げられたものだ─────魔剣士のように。

 

 

剣は振り返らない。

先程の一撃を穿った相手が誰だか理解してるからこそ、彼はニヤリと薄く笑う。待ちわびていたというように。

 

 

 

 

 

立花 響。

ガングニールを纏い、彼女は魔剣士の初めての窮地を救ったのだ。何の因果か、最初の出会いと関係があるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………なんだそれは」

 

 

響の姿を見て、エリーシャは瞠目して硬直する。唖然としていた片方の瞳が徐々に光を帯び始める。

 

───自分の知らない、未知の物への好奇心へと。

 

 

「歌を、歌っているのか?それでエネルギーを生じさせて、聖遺物を────いや、見ただけでは分からないが、これは素晴らしい!魔剣士と似て非なるもの、これは素晴らしい!あぁ、データを取りたい、あれを調べてみたい!!今すぐ精密機器を用意して、あれの基本構造や他の物質への影響について!詳しく解析してみたいッッ!!!」

 

 

狂喜に身を震わせるエリーシャ。恍惚と言った、シンフォギアへの興味が尽きない様子で、彼は笑みをより一層深める。

 

 

彼にとって、魔剣こそが至上である。それ以外のものは魔剣の価値を優れさせるものに過ぎない。だが、エリーシャは魔剣士創造者である以前に科学者だ。

 

 

 

 

「…………」

 

剣は自分の隣に駆け寄ってくれた少女の顔は見ない。見る資格はないと感じているのもある。責任があるからこそ、

 

 

 

 

「…………奴はエリーシャ。俺の世界の人間で、俺を追ってここまで来た。小日向未来を連れ拐ったのも奴だ」

 

目の前の仇敵を睨みつけながら、そう告げた。内容に彼女は驚いたようだった。けれども、剣は無視して言葉を続ける。

 

 

 

「俺は、誰にも頼るつもりはなかった。自分が巻き込めば、お前らが不幸になるかもしれない。そんな戯れ言を信じて、自分だけで出来ると傲慢に決めつけた」

 

 

響が倒した獣は、すぐに再生していく。他の獣達も群れを成して、二人を囲んでいった。

 

 

「このビルの中に小日向未来がいる。俺一人じゃ奴の操る武装には有効打になれない。助ける為には、助力が必要だ」

 

 

自分勝手だとは思っている。我が儘だとは理解している。いつもそうだった、自分が強いからというのを理由に他人を守り続けていた。

 

 

魔剣士という強い存在であるからこそ、他人を守るべきであると。他人に頼るなんて有り得ないと、独自の考えを持って生きてきた。

 

 

 

だが、現在は違う。

 

 

 

 

 

「悪い。あいつを倒すために、お前の力を貸してくれ」

「───────はい!」

 

 

心なしか、答えてくれた声は嬉しそうだった。

相手はノイズというよく知る脅威ではなく、未知の敵だ。なのに響は恐れることなく、共に戦うことを快諾してくれた。

 

 

 

 

初めて、人を頼った。

共に戦ってほしいと、口にしたのは初めてかもしれない。過去でなら絶対に有り得ない事に、剣は僅かに微笑んだ。

 

この状況では許されないことだと理解しながら、確かに。




………構成能力が雑すぎるかもしれない………。どうしよ、どうしよ………。特に普通の会話シーンの表現とかどうすればいい!?どうすればいいんや!?



オリジナル展開って難しいなぁ───(何度目かの挫折)まぁ、ちゃんと原作には沿ってくのでご安心を。


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