戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

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凄い勢いで考えてしまったシンフォギアの二次創作を書こうと思った…………。後悔も反省もしてないが、感想や評価は欲しいと思うぜ!(恥さらし)


無印&プロローグ
もう一つの世界へ


ある日、人類は新たな技術を手に入れた。唐突で困惑するだろうが、人類の進化に繋がる未知の技術を。

 

 

事の発端はある博士による実験の最中。回収された古い時代の武器の欠片を戦車に組み込むという、話に聞けば荒唐無稽な実験だった。多くの科学者も何を馬鹿な事をと鼻で笑い、どうでもいいと思っていた。

 

 

 

しかし、実験は恐ろしい結果を見せた。欠片を埋め込まれた戦車は凄まじい力を発揮し、通常の何十倍の戦果をもたらした。それは神話で語られるような力だったという。

 

 

その実験の主導者であった、ノワール・スターフォン博士は他から回収した武器の欠片を使っても同じ事が起こると分かり、未知のエネルギーが兵器を強化させたと判断した。彼は未知のエネルギーを持つ古い時代の武器を─────『魔剣(ロストギア)』と命名した。

 

 

この事実に世界中の国が注目した。その力に魅力性を感じたのだろう。それぞれの国が代表者と高名な科学者排出し、とある計画を推し進めることになった。

 

 

 

 

 

 

────【魔剣計画】、ロストギア・プロジェクトと。

人類の科学の集合体(ナノマシンなどの機械学)と魔剣を融合させ、最強の戦闘兵器を造り出す。それにより人類から戦争を根絶し、真の平和を生み出すもの。それが計画の目標だった。

 

 

多くの人々がこれに喜び、【魔剣計画】と国々を賞賛した。その計画が成功すれば世界は手を取り合って平和に生きられる。もう何も恐れることなく、争いも起こらないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、実態は違った。

本当の【魔剣計画】の真実は、人々が知るにはあまりにも恐ろしく、人道的とは言えない所業をしていた。

 

 

人間の脳と脊髄、身体の部位にマイクロチップと欠片を接合し、適合した人材────『魔剣士(ロストギアス)』を生み出すという実験。これはあまりにも確率的にも難しく、最初の被験者であった百人全員が死亡したのだ。

 

 

これを不味いと思った国々はその情報を隠蔽し、成功の為に数十万人の被験者を集めた。戦争孤児や誘拐、世界中の人々から秘密裏に必要ない子供を高値で買い取る────『不要児童(ノッドコール)』たちを使い、ノワール博士を騙して実験を行わせたのだ。

 

 

 

 

表側には明かせないような非人道的な実験を繰り返し、多くの被験者たちは死ぬしかなった。

 

 

 

結果、成功した『魔剣士(ロストギアス)』は五十人。しかし正常に動けるのは十九人程度。その中で戦闘能力を測定しても、世界を滅ぼせる程の力を持つ個体は、三人ほど。彼等を中枢として、【魔剣計画】は次なるステップへと進む────筈だった。

 

 

 

 

その三人の内二人、序列一位と序列二位が『魔剣』を越える『聖遺物(デュアルウェポン)』の融合実験中に故意の暴走。【魔剣計画】の研究者の大半を殺戮し、世界から姿を消した。だがそれだけでは終わらない。

 

 

失敗を反省した彼等は厳重に、序列三位に『聖遺物(デュアルウェポン)』を融合させ、これに成功する。その報告の最中、序列三位に脱走された。

 

 

手引きをしたのはノワール博士だった。彼は【魔剣計画】実行に必要な重要書類を抹消し、彼と共に逃走。研究者たちと資料の喪失により、【魔剣計画】は続行不可能となり沈黙した。

 

 

 

表だって彼等を探すことは出来ない。もしそうすれば、全てが明るみになる。数十万人の子供たちを実験に使ったという事実と、世界中の国家が秘密裏とはいえそれに協力したという二つの事実。これが世間に広がれば、世界中が大混乱となり、大国の一つや二つが滅びる可能性が高い。

 

 

 

故に世界中の国々と【魔剣計画】は秘密裏に二人を捜索した。【魔剣計画】の重要人物であるノワール博士と序列三位の『魔剣士』無空 剣(むそら つるぎ)の身柄を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欧米の山奥にポツンと施設があった。

そんなに人気が無いのもあるが、簡単には行けないような道なので進むのに一苦労があったりする。滅多な事があっても立ち入ることは有り得ない、そんな場所を。

 

 

だからこそ人々はここにあまり寄り付かない。そもそも、その施設は原子力などの研究が多いので、好きで近づく人間はいないのだ。

 

 

 

しかし、その施設の入り口前の木の上に、一人の青年が潜んでいた。黒い服装に口許をマフラーで隠した、銀に近い髪。両腕にガントレットと脚も同じように固めてある、クールと言った雰囲気の青年。

 

 

彼の名は無空 剣(むくう つるぎ)。【魔剣計画】の成功体、序列三位の『魔剣士』。埋め込まれた『魔剣』は《グラム》、『聖遺物』は《■■■■■》。他にも複数システムがあるらしいが現在封印中なので使用はすることは無い。

 

 

 

 

「────施設に到達、周囲をセンサーで索敵する」

 

剣は冷静に状況を特定し、腕に取り付けられた装置を操作する。少しの間赤い光が点滅していたが、すぐに緑の光へと変わった。

 

彼は落ち着いた様子で口を開いた。周りの状況を手に取るように分かった如く、スラスラと。

 

 

「ゲート付近に警備ロボットが二体、個体名 『デトロンNr-14』。それ以外の防衛装置は無し、ゲートが施錠されてると見える。…………博士」

『─────ふむ、今から解除コードを送ろう。一般研究者のコードだ、警備員の者だとすぐに気づかれるからな』

 

博士と呼ばれる男性の声が彼の耳のイヤホンから聞こえる。少し低めで歳のいった男の声だとよく分かった。

 

 

名は、ノワール・スターフォン。【魔剣計画】に協力していたが、真実を知るや否や剣と共に逃走した科学者。秘密基地に隠れ過ごし、彼のサポートをしている。

 

 

 

 

 

周囲を動き回る二機の距離が狭まった途端、剣は枝を蹴り跳躍した。警備ロボットの不意を突くように真上から、小さなワイヤーを二本打ち込む。

 

それは首筋の駆動部に入り込み、二機の動きを抑制する。

 

 

「───!?」

 

「悪いが少し眠ってろ、ここを動き回ってるだけ夢でも見てな」

 

ワイヤーを離した途端、二機の警備ロボットは普通に周囲を回り始める。このロボットは視覚内の温度や動きに反応し敵を見つけるモノ。だからこそ先程まで動いてた時の情報を連続して流させて、反応しないように仕組む。

 

 

似たような景色だけを見続けるロボを無視し、ゲートの前に立つ。施錠されてるが、右手で電子ロックに触れてコードを送り込む。中央ゲートはすぐに開いた。

 

 

 

「博士、施設に侵入した。マップと例のモノの場所を頼む」

 

『この先を左に六メートル、一階のエレベーターから五メートルの重要書類室を右に、そこの掛けられた厳重警備の先にある』

 

堂々と廊下を進む彼に敵に見つかる心配はない。その反応はすぐに探知できるので、警戒する必要はない。何度か危ない所はあったが、人間は機械よりも死角を取りやすいので簡単に進める。

 

 

 

陰からとはいえ、世界中から狙われている彼がこの施設に侵入する理由は一つ、

 

「情報が正しいなら────今回のは『聖遺物(デュアルウェポン)』だったな?」

『運搬記録や情報からして間違いない。今回の『聖遺物』は《グロウズフィール》、コードネームは「聖杯」だ』

 

かつて実験に使われていた『聖遺物』、それがこの施設に運ばれていたのだ。目的は実験、これを子供たちに使い『魔剣士』へと作り替える。

 

 

 

彼、いや彼等はその為にこの施設に侵入したのだ。その『聖杯』を破壊し、出来る限り実験を行えないようにする為に。

 

 

最適なルートを通りながら、彼は目的の部屋の前まで来た。厳重ロックも博士によれば簡単に開く、剣は堂々と部屋に入り中央にあるものをすぐに見つける。

 

 

複雑な機械、その中心に掲げられるように設置されている───純金で作られた杯、使いようによれば世界すら滅ぼしかねないモノを。

 

 

 

「これが『聖杯』、か。話に聞いてたより小さすぎないか?」

『どうやら元のサイズを縮小させたらしい、それでも脅威である可能性は変わらない、解析したまえよ』

 

 

了解と呟き、黄金の杯に手の伸ばす。直では触れずに表面上の情報だけを脳内へとまとめる。『聖杯』のもたらす効果と力、それによる世界への弊害を。最後の情報を得ようとしてた、その時だった。

 

 

 

 

 

バギンッ!!

 

情報を入手していた(つるぎ)の腕が歪んだ。まるでPC上でのノイズのような黒い破れ目が発生する。

 

突然の事に困惑し距離を置こうとするが、それは許されない。黒い渦に動きを制限されていた。ビキビキ! と広がり始め、剣を呑み込もうとする。

 

 

「ッ!?博士!!」

『これ───は、な───だ!?─────座標、い──────空間に、多大な、───負荷、が!?』

「クソ!?空間干渉系のモノか!?」

 

自棄糞気味に叫ぶが、事態はそれだけでは済まなかった。警報が響き渡り部屋の扉が固められる。この異常現象を察した、警備ロボットたちが来るだろう。数の差では追い込まれて捕まってしまう。

 

 

 

(少なくとも───コイツだけは破壊するッ!!)

 

覚悟を決めた(つるぎ)はもう片方の腕を振るう。漆黒の金属が空中から出現し、彼の腕を纏う装甲となる。手の甲の部位から光の刃を出現させ、目の前の杯に目掛けて突き立てる。

 

 

光剣は『聖杯』を貫き破壊した。それと同時に黒い渦は激しい閃光となり、彼の視界を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十もせずに、数十機の警備ロボットが部屋に辿り着いた。対人用の武装を展開し、部屋の中へと入っていく。侵入者を排除せんと動き出したが、

 

 

 

 

中には誰にもいなかった。物音一つもしない静寂に警備ロボットたちは戸惑うが、現実は変わらない。

 

どれだけ探しても、『聖杯』の破片どころか、壊したと思われる人物も消失していた。不可解な現象に警備ロボたちの自己判断機能は困惑していたが、この事を上層部への報告を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界が戻ったと思えば知らない場所にいた。的確に言い表すと都市にある建物の間にある路地裏。ゴミなどが置いてあるから確かなのだろう。

 

数秒、呆然としていた彼の思考もすぐに覚醒する。目の前の状況に困惑しながらも。

 

 

「─────っ、ここは!?」

 

慌てた様子で彼は路地裏から飛び出す。そこは近代的な街だった。それでも、人々が賑わっている平和な世界。

 

しかしさっきまでの状況とは似つかわしくない光景。文明的と言うか無機質な研究施設に侵入し、『聖遺物』を破壊した直後だったのだ。

 

 

───もしや破壊出来ていなかったのか? という嫌な予感がするが、彼はすぐさま取るべき行動を取る。

 

 

 

「…………クソ、こんなの始めてだ。博士、聞こえるか」

『─────あぁ、それと少し問題が発生した』

 

奇跡的とも言うべきか博士との通信も繋がった。よく分からない状況で孤立してるのは不味いからこそ、サポーターである彼の連絡を聞けるのは現状良い事実だ。

 

しかし博士の声も暗い。何かあった、そう察した彼は「問題?」と聞き返した。重苦しい様子で博士は答える。

 

 

『モニター上から君の位置が消失した。………魔剣(ロストギア)の状態は?』

「正常だ、小さな問題は一つもない」

『ふむ、ならばいい───にしても、これは噂に聞いてた座標転送のせいか?まさかそんなものが実在していたとはな………』

 

 

真剣に感心したといった様子の博士を放っておき、剣は周囲を見渡す。

 

建物の看板や店の名前、道を歩く人々の言語から周囲の状況を確認する。僅か五秒で確信したと言わんばかりに博士に言う。

 

 

「現在地は日本だ、何処の街かはまだ分からないな。よし、周囲にGMセンサーを使う。解析を頼むぞ、博士」

『……………ふむ、任せたまえ。今確認する』

 

 

そうだなぁ、と周りの街中を見てみる。近くの店にあった新聞の内容をチラリと目で追うが、二つ程度おかしい事があった。

 

 

【魔剣計画】の話は全く無いのだ。最近のニュースや新聞では世界規模でのデモ、『魔剣士解放』の話で持ちきりだったというのに。表記事に堂々とあった筈だが、いつの間に消えたのだろう?

 

そしてもう一つ。新聞に妙な言葉が載っていたのだ。『ノイズ』とかおかしな単語、これには剣も首を傾げるしかなかった。音楽や機械系統の言葉だった筈だが、ノイズ被災者というのは一体どういう意味か。

 

 

すぐ横を談話中の少女たちが通る。正直大した反応はしなかった、問題はその内容にあった。

 

 

「さっきの人混みの話、聞こえたか?風鳴翼…………ツヴァイウィングって言うアイドルらしいが」

『ツヴァイウィングか、私もアイドルの趣味はあるが聞いたことが無いな。先の一般人の様子から相当の人気があると見えるが………』

「ますます分からないな、ここは本当に日本か?」

 

正しいことを調べる事は出来ないので、しぶしぶ納得するしかない。

 

自分たちは知らないが、周りでは当たり前となっている常識。趣味として読んでいたライトな小説の異世界転移みたいなものを想像させてくる。

 

────実際そうだったりするのだが、それに気づくのはだいぶ時間がかかる。そう思っていた最中だった。

 

 

 

 

 

 

直後、遠くの方から誰かの悲鳴が響き渡る。更に続くように悲鳴や震動が巻き起こる。辺りの人々も喧騒をし始め、慌てて避難を行う。

 

突然の事に困惑する暇もなく、彼は通信機に向けて叫んだ。

 

「ッ!?───博士!」

『解析完了した!付近の街中の空間内に複数の反応が発生…………何だこれは?情報に無い存在だ、該当する個体が記録には見当たらない!?』

「クソッ!新種の生物兵器の実験か!一般人でも巻き込む気なのか!?」

『分からん!だが危険なのは確かだ!急ぎ現場に向かいたまえ!』

「───了解!!」

 

慌てふためく人混みの中を風のようなスピードで突っ切った。一般人たちは驚愕していたがそれら全てを無視して目的の場所へと急ぐ。

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

────Balwisyall Nescell gungnir tron──

 

 

 

「…………歌?」

 

少女の音色が風に乗って、耳の奥まで響いてきた。心が染みるような歌声は剣の考えを思わず止めるまでにいく。胸の奥から反応するように、大きな鼓動が響いていた。

 

 

 

 

意識を取り戻したのは、歌が消えた直後。少し離れた場所で何かが起きたのだ。身体の奥底にある物の破片が反応し、神経に伝達する。

 

 

(エネルギーが発生した────これは、『魔剣(ロストギア)』か!?いや、少し似てる…………どういう意味だ!?)

 

 

自分達『魔剣士』と同じ反応、それに彼は警戒する。自分が知っている情報にはない─────未知のものだったからこそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「───はぁぁ!!」

 

目の前に沸き上がる生命体 ノイズを殴り飛ばしたのは、一人の少女、立花響だった。しかし彼女の姿は普通のものではなく、何処かのヒーローのような戦闘スーツらしき物を身に纏っている。

 

困惑してるのは響も同じだった。心の奥底から聞こえてきた歌に身を任せた途端、この姿になり、ノイズを相手に出来るようになった。

 

 

「まだだ!まだ戦わないと!」

 

数の差に呻きそうになる響が強く声をあげる。彼女の後ろには逃げ遅れていた女の子がいるのだ。だからこそ退けない、絶対にノイズを進ませはしない。

 

 

 

 

 

直後、眼前が弾け飛んだ。まるで花火のように目の前のノイズが連続して炸裂した光景だった。

 

 

「……………え?」

 

勿論響の仕業ではない。彼女はこんな事、出来る訳がない。

 

ヒュンヒュン! と空気を切る音が続く。視線を動かすとブーメランのようなエッジが回転していた。そして、いつの間にか何処かに消える。

 

 

 

「──────よし、これで十分か」

 

 

ガッ! と少し離れた場所に瓦礫に足をかける誰かがいた。マフラーをかけ、片目に長い前髪がかかった青年が。

 

 

ノイズの群れを容赦なく排除したマフラーを着込んだ謎の青年。彼は不審そうに周りを見渡し、響を見ながらこう聞いてきた。

 

 

「─────何だ、この状況は?」

 

 

 

 

 

 

やれやれ、と言いたい感情を押さえ込んだ。目の前にある状況を理解できずにいるが、誰が敵か味方は判断できる。取り敢えず、剣は当事者らしき人間に聞いてみることにした。

 

 

「正体不明の生物兵器の所に来てみれば……………女の『魔剣士(ロストギアス)』、か。情報には載ってないな、新しい奴か?」

 

「ろ、ロストギアス……?」

 

「ん?何を呆けてる、お前自身よく知ってるだろ」

 

それでも首を傾げる少女に剣はより深く目を細めた。剣呑な雰囲気を剥き出しにしながら、彼は冷静に思考を回している。

 

 

(…………少し痛めつければ口を割るか?いや、愚行だな。この様子だと本当に何も知らない可能性が高い)

 

 

が、すぐに止めることになった。建物の影から何かが現れたからだ。それはついさっき潰したノイズと同じ姿をしたもの。一匹ではなく、複数の群体を成していた。

 

 

 

「────ノイズ!まだいる!」

「ノイズ?…………へぇ、こいつらがか」

 

改めて見ると興味深いと色々な個体の姿がよく分かる。カエルのような形をしたモノや、アイロンのような手をした人型の個体。どれも大して強そうではないが、群れることに特化したモノなのかもしれない。

 

 

ノイズ達も剣に一切に注視する。先程、自分達の仲間を殺した事に警戒でもしてるのか、全ての個体が連携をするように囲もうとしてきた。

 

 

 

「駄目!貴方も逃げて!」

 

「─────ふん、安心しろ」

 

それを見て叫ぶ響に、剣は笑いながら前髪を払う。閉じていた右眼を空気に露出させて彼は宣言して見せた。

 

 

「俺はこういう荒業に馴れてる─────最強の魔剣士(ロストギアス)だ。

 

 

 

 

 

魔剣(ロストギア)、《グラム》 起動!!」

 

 

彼の声に呼応するが如く右眼が翡翠の光をもたらす。すると彼の全身から複数の漆黒の金属が浮かび上がり、分解しながら彼の身体に纏われる。

 

 

機械のように変形しながら、彼の姿が変わっていく。背中に二本の大剣のような羽を取り付け、全身を黒い鎧が纏った─────彼女たちの言うシンフォギアとは違う、それよりも機械的で謎の力が宿っているような神秘的なもの。

 

 

 

最後に、剣の口元を装甲が覆う。まるでマスクのように装着され、両側面をボルトのようなもので固定される。

 

 

 

首元に残ったマフラーを撫でるように払い、剣はノイズ達の前に立つ。両指の骨を鳴らしながら余裕と言わんばかりの態度を見せていた。

 

 

 

 

「さぁ、覚悟しろよ。ゲテモノども、跡形もなく消し飛ばしてやる」

 

 

 

二、三歩で先頭のノイズとの距離を狭める。そのまま速さを殺さずに鋭い蹴りを打ち込んだ。バゴン!! とノイズの一体が吹き飛ばされ、そのまま灰のように消失する。

 

意外に弱いと思ったが、すぐに数が多いと考えを正した。鬱陶しさに舌打ちを隠そうとせず、聞こえの良い音で指を鳴らす。

連動するように背中の黒剣が駆動音を響かせながら動く。ズシン! と双剣が肩へと乗っかったと思うと、

 

 

 

「─────『魔剣双翼(ガードラック)』!」

 

ギャルン !! と。勢いよく二本の剣が射出された。ワイヤーに繋がれた二つは風を切るような速度でノイズたちを殲滅する。

 

 

必死に抵抗しようと弾こうとする個体も逃げようとする個体もいたが、意味を為さなかった。

 

 

弾こうとしても変則的に軌道を変え、死角から急所を穿つ。

 

逃げようとしても、より素早く距離を縮めて串刺しにする。

 

 

 

「おいお前!後ろに下がってろ!」

「お前じゃないです!私は!立花響!です!」

「そうか!立花響!さっさと引っ込んでろ!このガラクタどもに巻き込まれたいか!?」

 

 

だがそれでも圧倒的な数で迫ってくる敵ほど面倒なものはない。拳で殴り穿ったり脚で蹴り抉るが、一人では追い込まれていくのも時間の問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

────Imyuteus amenohabakiri tron────

 

 

 

また新しい歌声が響き渡る。突然バイクに乗って現れた女性が光に包まれると響という少女と同じ姿へと変わる。

 

見事な動きで着地するや否や手に持っていた刀でノイズを斬っていく。それを見ていた剣は、先程聞こえてきていたある単語を聞いてしまって動けずにいた。

 

 

 

(アメノハバギリ…………他の魔剣(ロストギア)だと!?馬鹿な!『あれ』はあいつと適合してたはず!)

 

 

剣自身も理解が追いつかなかった。何故なら彼が知るアメノハバギリは『魔剣』の一つ、自分のよく知る後輩がそれと適合してたからこそ、他の誰かがそれを使っている光景が信じられなかった。

 

 

「………訳が分からない、何がどうなってるんだ」

 

戦いながら思わず呟く剣は、自身が混乱してるという事実を理解していた。ノイズという未知の生物兵器、そして自分の情報にも無い『魔剣士(ロストギアス)』らしき少女達。

 

 

 

しかし分からない事よりも、敵の殲滅が先と判断する。剣は思考を回しながらもノイズの排除を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズの排除を終えた剣達。これで平和的な解決に行くわけがなかった。

 

 

青い髪をした女性、いや少女か?その人物が刀を構えながら、此方に歩いていた。その警戒は剣へと向けられている。

 

 

 

「貴方達を拘束します、抵抗しないように」

「……………まさかとは思うが、俺が素直に頷くとでも?」

 

剣の言葉と同時に女性の刀を握る力が入る。何時でも攻撃できる構えだというのはよく分かった。

 

 

それに対して剣は構えすらしない。その気になれば逃げることも倒すことも可能なのか、冷静に周囲へ目を向けていた。何なら素手で圧倒する事も可能だった。

 

 

 

ジリッ と空気が焼ける感覚に陥る。互いに殺気を向け合う剣と剣士こ女性、二人から少しだけ離れた響は激しく困惑していた。

 

 

 

だが、その戦いが行われることはなかった。理由は止めたからだ、この場にはいない人間が。

 

 

『(………剣くん、ここは素直に受け入れたまえ)』

「(博士?何故だ、理由が不明だが)」

『(私達はあの生物についても知らない。彼女は知っている可能性が高い、知るべきことがあるなら抵抗せずに従うべきだろう)』

「(─────了解)」

 

脳内に響く通信に剣は不承と言わんばかりの様子で答える。そして女性を前に両手をあげて降伏の意を示した。その途端、近くに黒塗りの車が止まる。そこから出てきたスーツの男たちが後処理をしていた。そして、此方に近づいてくる数人を見据えながら、彼は両手を大きく挙げた。

 

 

「分かった、抵抗はしないと約束する。さっさと連れていけよ」

 

 

両手に掛けられた手錠の感覚に、剣はやれやれと息を吐く。そうして車の中へと乗せられていった。

 

 

 

この世界に来てからおよそ数十分後の出来事。あまりにも短く、物語は進み始めていた。




まずは解説。

『魔剣士』とは

無空剣の世界──仮称『L』 世界で造り出された最強の戦闘兵士の呼称。扱いはシンフォギア装者の強化版のようなもの。


超常的な力を有する神話や伝説上の武器 『魔剣(ロストギア)』の断片を体内に埋め込み、機械やナノマシンなどの現代科学の最高峰の技術を組み合わせる為に──『アビス』の力と融合させる事で造り出される。


現時点で正常と仮定されている『魔剣士』は十九人。彼等は一人だけで国同士の戦争を終わらせる事が出来ており、その情報だけで戦争をしていた国は自滅する程。



シンフォギアとの共通点は多く、同種類の可能性も高い。




ps.主人公達『魔剣士』も装者の皆に引けを取らない程凄惨な過去があるぅ…………。主に【魔剣計画】と自分が原因だけど(←諸悪の根源)
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