戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

3 / 65
特異災害対策機動部二課

黒塗りの高級車で輸送されている剣。久しぶりの手錠の感覚に落ち着きながらも、冷徹な目で確認する。

 

 

カシャ、と目の色が切り替わる。感情の無いガラスと化しているのに、車内の誰も気づいてない。彼もわざわざ説明するつもりもなく、手錠を詳細に観察する。

 

 

 

────材質に構造、使われた技術までも。的確に丁寧に読み取っていく。『魔剣士』として与えられた機能を使い、情報をまとめあげる。

 

 

 

(なるほど、普通の物と同じだ。この世界は特質な技術はやはりシンフォギアというものだけか。いや、他にも異端技術と呼ばれるものがあるかもしれないな)

 

 

心の中で結論付けた剣。彼はそれだけを終えると情報を機械端末へと記録しておく。

 

 

(…………そして、次に人物情報だ)

 

 

 

自分の隣に座り、手錠とこの空気に困惑する立花響。確認した性格からして相当のお人好し。扱いやすくもあり、制御しにくい人物像だと心中で述べる。

 

 

そしてもう一人、青い髪の女性。聞いていた話が正しければ、風鳴翼。『ツヴァイウィング』と呼ばれるアイドルの一人らしい。しかし立花響を見る視線には敵意らしき複雑な感情が見える。その理由を、聞こうとは思わなかった。

 

 

 

最後の一人、爽やかな笑みを浮かべる黒服の運転手の男性───緒川と名乗っていた。この男性はただの職員と判断するのは早計だと思う。しかし動きが一般人のそれと違う、軍人か格闘家かもしれない。

 

 

「あ、あの………少し良いですか?」

 

「─────俺か?何の用だ?」

 

「えっと………私、名前を聞いてなかったから……」

 

困惑して聞いてきた響にポカンとしていたが、剣はすぐに納得した。彼女から名前を教えて貰ったと言うのに、自分は伝えていなかった。

 

 

彼女からしても不服だったかと考える。だが響はそんな事は気にしておらず、ただ何を話そうか分からなかっただけなのだが、剣もやはり気付かない。

 

 

「無空剣だ、自己紹介は聞いたからいらないぞ。立花響」

「立花響って、なんか言いにくくないですか?」

「………そうか?だが名前で呼ぶのも失礼だと思うが」

 

い、いや!私は大丈夫ですよ! と答えてくる響にふぅんと剣は思い馳せる。そう言うのならば仕方ない、受け入れようかと思っていた。

 

 

 

 

直後、車が停止して外へと出る。ようやく目的の場所かと剣は思ったが、すぐに違うと判断した。

 

 

どうやら学校らしい、それも女子校ときた。同時に彼等の拠点が何処にあるのか、すぐに検討がついた。

 

 

 

「───地下施設への移動手段、その為のエレベーターか」

「はい、色々と事情があるので………」

 

 

緒川からの言葉を受けて、剣はふぅんと興味を失くす。そうして見つめていた壁に────突然、何らかの違和感を抱いた。目の前の壁や天井、エレベーターの至る所まで。

 

 

(………?このエレベーター、何か感じるな?特別なエネルギーらしき物が……………一体なんだ?)

 

 

心の奥底から膨れ上がってくる衝動。何処かで感じた事のある力らしきエネルギーに、剣は顔に出さずに静かに反応する。

 

 

そうして少しの時間が経ち、ようやくエレベーターの扉が開かれる。従わされるように続いて行き、廊下を歩いていく。

 

 

歩みが止まったのは、ある扉の手前だった。どうやらここが目的の場所らしい、そう確信した剣は両手に力を込める。何時でも手錠を破壊できるように。

 

 

 

 

(………何があるか分からない、出てきた瞬間攻撃を受けることを想定しておくか)

 

それが、彼の在り方の一つだった。『魔剣士』という戦闘タイプである以上、どんな状況でも油断せず最悪を想定しておく。

 

 

だからこそ、

 

 

 

 

 

鼓膜を叩く爆音が響いた時は、剣は思わず動きかけた。そうならなかったのは、それが何なのかすぐに気付けたからだ。

 

 

パーティー用の、クラッカーが炸裂する音。それと同時に大声が重ねられた。

 

 

 

 

──特異災害対策機動部二課へようこそ!!

 

 

 

 

「…………は、あ?」

 

一斉に声があげられる。剣が困惑したのも当然、警戒していた相手からいつの間にか歓迎されていたからだ。しかも周りを見渡すとパーティーのようになっている。

 

 

見た目からして全員が研究者や普通の職員らしい。彼が見てきた研究者や職員とは、全然雰囲気が違い過ぎて、不安に思う。彼等、本当にここで働いているのか?と。

 

 

 

ポカン………と、唖然とするしかない響と剣の二人。そんな彼等の前に一人の男性が出てきた。

 

 

引き締まった筋肉を有する大柄な男性。その体格で正装をしているが、服が破けないか心配になってくる。同時に剣は、全神経を男性の動きに向けた。

 

 

 

 

───この男は、ヤバイ。

見ただけでその危険性がよく分かる。自分の『魔剣』でも大したダメージを与えられない所か──────『切り札』にも追い付いてくるだろう。もしそうなれば、絶対に勝率は少なくなる、そう感じた剣は目の前の男を激しく警戒していたが、

 

 

 

 

「ようこそ、立花響君!そして君は………「無空剣だ」うむ、剣くん。我々は君を歓迎しよう!」

 

 

活気のある笑顔で、迎えてきた。響は勿論の事だが、剣はテンションが着いていかないと困惑する。

 

 

先程からもそうだが、何故か思い通りに物事が進まない。いや、進まなくても良いのだが…………予想と全く反しすぎて、此方が戸惑ってしまうのだ。

 

 

 

お陰で剣は既に疲労していた。ペースが上手く掴めない事を不思議に思いながらも、パーティーを行っていた。

 

途中、自分に興味津々な研究者に質問責めにされた時が一番疲れた。キチンと受け答えできた自分を褒めて欲しいと柄に無く思う。

 

 

 

 

その後、風鳴司令が事情を知りたがっていた響にしていた説明を剣は片耳で記憶していく。聞き流しているように見えて、ちゃんと読み取っていた。

 

司令達の所属する組織、特異災害対策機動部二課はノイズの討伐を目的としており活動している。それを叶える為に必要なのが聖遺物を使ったあの鎧、シンフォギアシステムらしい。

 

 

 

(歌がトリガーか。俺達『魔剣士』とは色々と違うらしいな)

 

 

魔剣(ロストギア)』と違う、この世界での技術。そう考えれば、もう一つの『アメノハバキリ』を所持している点も納得がいく。

 

 

しかし、全く別種の物とは決められない。何かしらの接点があると考えてしまう。これはやはり『魔剣士』としての性なのだろうか?

 

 

 

「響君に話は終わった………………少し良いだろうか、剣君」

 

そう考えていた最中、弦十郎が声をかけてきた。響への説明は終えたらしく、剣に用があると思われる。

 

 

大方、自分についての事だというのはすぐに分かった。

 

 

 

「我々は先程君の事を調べてさせてもらった。しかし、『無空剣』という名前は存在しなかった。過去の履歴にも、戸籍にも」

「だろうな、アンタの言う通りだ」

 

 

即答された事に驚いたのか、どういう意味だ? と聞いてくる。途端、難しそうな顔をして黙り込んだ。説明の仕方に悩んでいたのだ、どのように話せば理解できるだろうか、と。

 

 

 

 

『────ふむ、一人で説明は難しいだろう。私も手を貸すよ剣くん』

 

直後、近くにあった機材から加工された音声が流れた。それだけではなく映像を映すであろう画面には白衣の男性の姿があった。

 

 

突然現れた謎の人物にその場の全員が身構える。そうしなかったのは状況が分かっていない響と理解している剣の二人だけだった。

 

 

 

そして、剣だけは深呼吸をして声を出す。何故ならその声の主こそが、自分が唯一信頼できる大人だからだ。

 

 

「安心しろ、この人は俺の協力者だ。………訳あってこの場に姿を見せられないんだがな」

『フフフ、そういうことだ。是非とも頼むよ、風鳴司令』

 

 

肩を揺らして静かに笑う────その顔は疲労がある。どうやら何か大忙しだったらしい、大方自分の事だと剣は考えながら心の中で博士に謝罪する。

 

 

途端博士が周囲に目を配るとゆったりとした声で、

 

 

『あぁ、そこのオペレーターの諸君。この施設、内側はまだしも外部からの侵入可能ルートが僅かにある。そこを後で提示するから潰しておくといい』

 

「は、はい!」

 

『挨拶が元気でいいね、私の知る研究者は陰湿というか暗いから。そんな風に明るい声は滅多に聞かないよ』

 

 

否定はしない、剣は思ったが口には出さない。それよりもまず、重要な話をするべきだと考えていた。

 

 

 

『さて、私は何処にいるかと聞かれたら答えられない。そもそも、私は何処にもいない…………………“この世界”には』

 

「この世界、だと?」

 

 

 

 

 

「俺たちは別世界の人間だ。来たのはついさっき、あの街中だ。そこの立花響と出会う直前だな」

 

 

 

今度こそ、全員がざわめき出す。無理もない、目の前にいる学生ぐらいの年齢をした青年が、自分は別世界から来たと言ってきたのだ。普通、そう簡単には信じられない。

 

 

そう考えていた剣の懸念は、あっさりと外される。

 

 

「………別世界ってのがあるとはな、正直凄い話だ」

「信じるのか。自分で言うのもなんだが信憑性の低い話だぞ」

「しかし、君の力はシンフォギアと似ているが違う。そんな物はこの世界に存在してないだろう。それに、嘘をついてるようには見えないからな」

 

 

思わず言葉を失った。

嘘をついてるようには見えない。そんな言葉を───信じて貰えたのは初めてかもしれない。いや、例外もあったが、大人からそんな風に信じられるのが少々意外だった。

 

 

「…………俺は、いや俺たちは元の世界では逃走しててな。ある組織から追われてたんだよ」

『まぁ私たちが追われるような事をしたのは事実だ。だが、あの組織にいるつもりもなかったからなぁ』

 

 

二人して言っていると、弦十郎が眉をひそめた。

 

 

「その組織とは?」

 

「【魔剣計画】、俺たちの世界で世界的に有名なものだった。人類を守るための重要計画、それを動かす機関ってな。そして俺は、その組織によって作られた」

 

 

彼は静かにそれだけ語った。自らを作り出したと同時に────全てを奪ったあの組織の表面的な情報を。裏で行っていた非道な行いと自分達『魔剣士』についての正体を伏せる形で。

 

 

博士は一瞬唖然としていたが理解してくれたのか何も言わなかった。その優しさに躊躇しかけたが、すぐに態度を整えて説明を続ける。

 

 

『魔剣』、彼は自分にあるその力を全員に説明する。シンフォギアと同じように神話や伝承の武具を使ってるのだが、『魔剣士』は『魔剣』と現代科学の融合をしているという話を。

 

 

「俺の『魔剣』は《グラム》、神代の遺産ってヤツだ。カテゴリーは『超戦闘型』、近接や遠距離などに対応してる」

 

立ち上がり剣は手袋を脱ぎ捨てた。手の甲に浮き出た結晶が光に反射したように輝く。トントンと指で叩き、その力を示すように。

 

 

「あの時の変身は《ギアフォーム》という。一応封印が掛けられててな、ファースト、セカンド、サードってある。前に見せたのはファーストだな」

「………なるほど、だがその姿でいるのには理由があるのか?」

「段階が上がる度にその力は上昇していく。力を押さえられずに圧倒的な力で巻き込む可能性があるからな」

 

 

要するに力のセーブ。

彼等は戦闘兵器として開発されたが、決して大量は破壊兵器ではない。核爆弾のような火力を、小型爆弾のように小さくしようとするのと大して変わらない。

 

 

 

「『魔剣』の強みは他ならぬ、深域同調だ」

 

 

説明の最中、剣は自らの左顔に掛かった前髪を払う。そこにあったのは眼ではなく、義眼らしきもの。宝玉のようにキラキラと光るそれは─────魔剣グラム、そのコアだった。

 

そして何度も閉じたり開いたりする自らの右手を見下ろし、説明を続ける。

 

 

「未知のテクノロジーを中和し、その力と同調する。科学と魔剣が融合できた唯一の特徴だ」

「………それがノイズを倒せるのに関係してるのかしら?」

「さぁな。俺もそこまで詳しくはない」

 

 

適当に呟く様子から、嘘ではないのはすぐに分かる。剣自身、強化されただけの存在。研究者達のようにその構造やシステムなど分かる者なんてそう簡単にいない。

 

 

 

例外は、一人いる。魔剣士ではなく研究者で、剣の協力者である人物。

 

 

 

『………これは私の推測だが、よろしいか?』

 

画面越しからノワール博士が話に加わってきた。彼も魔剣計画の一任者だが、誰よりも事実を知っている訳ではない。『魔剣士』の秘密すらしらなかったぐらいなのだ。

 

 

 

しかし、『魔剣』の第一発見者である人物だからこそ、仮説じみた推測が為し得たのだろう。

 

 

 

『位相差障壁とやらは物理法則の枠組みを越えてると言う。それは彼の宿す魔剣も同じ、我々の技術では理解し得ない未知の法則が働いているのだ』

 

 

「つまり、剣君はノイズの位相差障壁を何事もなく貫通することが出来るのか!?」

『炭化が効かないのも、同じ未知の領域にある魔剣の力が作用してると考えるべきだろう』

 

 

事実を口にした弦十郎と他の皆が言葉を失う。

ノイズと同じ、もしくは上位の法則に存在する魔剣の力はノイズを滅ぼす為にあると言っても過言ではない。

 

 

「俺たち『魔剣士』は序列という順位をつけられた。更に序列上位にはもう一つの極秘実験が行われていた。

 

『聖遺物』又の名を《デュアルウェポン》、それと適合する実験をな」

 

 

話を聞いていた面々が考え込む中、翼が質問してきた。

 

「…………聖遺物、貴方が持つ『魔剣(ロストギア)』との違いはあるのか?」

「お前達の世界での完全聖遺物とやらが、俺達の世界での聖遺物に当たる」

「なるほど、理解は出来た」

 

あっさりと、受け答えする彼女に剣は一瞬気になった。どうやらこの堅い性格が彼女の表向きらしい、そう判断はしても口には出さない。

 

 

 

「俺は序列三位、唯一『聖遺物(デュアルウェポン)』と適合が成功している実験個体だ。

 

残念ながら、詳しく話すことは出来ない。俺の『聖遺物(デュアルウェポン)』の情報は秘匿されてる。俺の口から開示は不可能だ────■■■■■、このように言語がバグるからな」

 

会話の途中で剣の言葉がイカれた。意識的ではなく、自然に話していたがその内容は彼等には届かなかったのだ。まるで彼の中にいる『機能』とやらが、妨害しているように。

 

 

 

後、色々と『魔剣士』に関する説明をして終わった。特に聞かれる事は無かったが、最後にと言うように弦十郎は響と剣に声をかけてきた。

 

 

 

「ノイズの脅威は未だ消えていない、ノイズは俺達では相手できない。倒せるのは奏者と魔剣士である剣君だけになるだろう」

 

 

まぁ、無理もないと思う。触れた相手を炭化させる存在なんて普通の人間では太刀打ち出来ない。こういうのは本業だからこそ、十分なのだ。

 

 

 

「その力、人々の為に役立ててはくれないだろうか?」

 

 

結論から言うに、勧誘だろう。シンフォギアと魔剣を有する二人にノイズを倒して欲しい、と。

 

 

響は剣より先に答えた。誰かの助けになるのなら構わない、そう答えた少女に剣は何も口出しはしない。彼も自分の意思を伝えるまで。

 

 

 

「───分かった、貴方達と手を組む事を拒む理由は無い。ノイズ殲滅に協力しよう」

「感謝する………本来守るべき君達にこのような役割を強いるのは認められないが」

「力と意思のある奴が自ら戦場に出る。それは自然の摂理だ、誰にも否定することは出来ない。

 

 

 

最も、『魔剣士(俺達)』は例外だ。戦争や殲滅の為に生きてる存在だからな」

 

 

最後の呟きは、ものすごく小さい声音だった。蚊の羽音と同じくらいの、聞き取れない声。

 

 

それを聞き取ったのは、この場において数人。近くで聞いていた風鳴弦十郎、緒川という男性、そして櫻井了子の三名のみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、無事解散となったが、剣には衣食住の問題があった。

 

 

泊まる場所の問題は、付近のホテルに泊まるという事で解決した。資金は風鳴司令達が優遇してくれるので特に問題はない。

 

 

彼は現在、そんなに高くない普通くらいのホテルの一室に泊まっていた。ベッドに腰掛けながら彼は通信で博士と話していた。

 

 

「────ずっとここにいる訳にもいかないしな、早く帰る手筈を決めないと」

『……………本気で言っているのか?』

 

意思を表明するが、通信越しの声は重かった。警告するかのように、心配する色が滲んでいた。

 

 

 

「俺は本気だ、博士。【魔剣計画】を止めるのは俺達の最優先事項の筈。中止されてるであろう今だからこそ動くべきだろ」

 

彼の目的、彼の願いは【魔剣計画】を終わらせること。しかし中止という生半可な形は認めない、完全撲滅させなければならない。他ならぬ、自分自身の手で。

 

 

『しかし、今のところ【魔剣計画】は行われる様子は無い。あったとしても世界中が止めるだろうさ、特に君は十分に戦ったのだから休めばいい』

「しかし、博士」

『こちらでは、君の居場所はなかった。だが私は、そちらの世界なら、君は受け入れられると思っている』

「……………」

『幸せになりたまえ、剣君。君は努力のしすぎで疲れているだろう、休むと同時に君自身の未来を掴むといい』

 

 

ブツッ! と通信は途切れた。相手側が切ったと判断した剣は、深い息を吐いた。深呼吸するように息を整える青年は、

 

 

 

「……………無理ですよ、きっと」

 

窓から曇り無い空を見上げ、ポツリと言葉を漏らす。虚空へと吸い込まれる程小さな声は誰にも理解されることがない。

 

 

 

「彼女たちも俺を知ったら─────きっと恐れる」

 

どんな事にも恐怖を抱かない魔剣士、彼は心から怯えるような目をしていた。

 

 

『化け物』、自分に向けて叫ばれた言葉。心を傷つけるのには十分な力を誇るそれが、別世界の住人である彼女達からも向けられるかもしれない不安。

 

 

────それでも

 

 

共には戦う、しかし決して心を許さない。もしかすると、いずれは呼ばれてしまう日が来るのであれば、そう呼ばれる可能性があれば、心を開くことは絶対に無いだろう。

 

 

────それでも

 

 

 

 

────もしかすれば、きっと。彼女達は自分を受け入れくれるのではないか?

 

 

 

「…………笑えない話だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中の部屋。

個室の中で何者かがパソコンを叩いていた。画面に写るのは二人の人物の資料、それを見据えて何者かは息を漏らす。

 

 

「融合症例一号 立花響と、別世界から来た最上位の『魔剣士』無空剣か………研究対象としては興味深いが、計画の邪魔だな。早い段階でどうにかしたいが……………どうするべきか」

 

 

その二人、響はともかく、剣については情報はあまり知れ渡ってはいない筈だった。何故なら彼は秘匿された存在、彼自身の頼みで情報は上に位置する人間にも知らされていない──────最重要機密と言っても過言ではない資料を、何者は確かに所有している。

 

 

その二人に厄介だと顔をしかめる何者、何とかしようと知略を働かせていたが、

 

 

 

『───失礼、考え事の最中だったかな?』

 

パソコンの画面にそんな文字が浮かぶ。その人物は咄嗟に驚き、周りを見渡した。

 

 

しかし誰もいない、ここは個室で監視カメラのようなものは存在しない。だがこの文字は的確にその人物に反応を伺ってきている。

 

 

「何者だ?一体どうして私の事を知っている?」

『単刀直入に言う。力を貸してあげようか』

 

 

突然の事に、くだらんと吐き捨てそうになった直後。

 

 

画面に新しい何かが送られてきた。それは複雑な設計図と動画みたいなもの。再生してみると、巨大な兵器の実験が行われている。

 

ピタリと動きを止めて見入っていた。人の、いや人類の科学で生み出すには数百年もかかりそうな代物。創作上の物だと言われれば納得してしまいそうだが、

 

 

 

『我々が造り出した兵器、そちらにある完全聖遺物とやらに比べれば、まだまだ未熟であるが足止め程度には役に立つだろう』

 

未熟、足止め程度。

二つの言葉と目の前に提示された情報に、何も言えなくなった。この世界にある軍事力全てを超越している。何ならシンフォギアに近づけると言ってもいい。

 

 

 

あまりにも怪しすぎるが、乗らない訳にもいかなかった。むしろ好都合、その人物は顔も見えない何者かの誘いを受けようと考える。

 

 

 

『君にこの一式を貸そう………これの使い方は任せるよ、有意義に使いたまえ』

 

「…………何故私に手を貸す。理由があるのか」

 

 

魔剣(ロストギア)、これを聞いて分からない訳ではないだろう』

 

 

これを知るのは自分を含め数少ない。世界にすら秘匿されてる程の重要情報、それを知っている存在からの連絡。

 

つまり、自分と同じなのだろう。企みを働かせ、実行ようとしている者と。

 

 

 

『別に君の邪魔をするつもりはない。だが彼を殺すのは遠慮して貰おう─────代替わりの無い個体、次なる領域に進む為の鍵だからな』

 

ふむ、と静かに値踏みする。

正体すら分からない怪しい存在などの手助けは不要でもあるが、わざわざ敵を増やすのも良いとは言えない。むしろ悪手、ならば余計な事をしない方がいいだろう。

 

 

無言に対して、承認したと判断したのか文字は続く。カチカチと羅列が並び上がる。

 

『場所は指定してくれたまえ、「これ」はそこに配置する。

 

 

 

 

 

では活躍を期待しよう、先史文明の巫女』

 

その人物にとって重要な単語を残し、メールは消失した。逆探知は何故か出来なかった。そうしようとした時にはアドレス自体がネットワーク内の残滓として浮かぶだけ。例え、詳しく解析しても情報は見つからないだろう。

 

 

 

 

 

────-LOSTGEAR=Project-─────【魔剣計画】と。

 

 

そう残された文字がすぐさま消失する。それを目にした人物は冷静に場所の座標を打ち込む。作業を終えると誰かに連絡を送り始める。

 

 

誰であろうが、何であろうが構わない。使えるものは利用して見せる。

 

 

世界の垣根を越えた────闇の中での暗躍が、容赦なく始まろうとしていた。陰謀と陰謀が絡み合い、動き出そうとする。

 




魔剣「あ、宿主(マスター)に干渉してきたな。お前ら殺すわ」
ノイズ「ひぇ」

的な力の構図です。ノイズの位相差障壁は魔剣士にも有害ですが、融合してある魔剣が完全に無効化します。だって融合した人間が死ぬと自分も消えるので、自己防衛的なもんですよ。





…………《グラム》(剣の『魔剣(ロストギア)』)などの一部は例外ですけど。


因みに剣さんの実力は装者の方々以上です。最強の切り札に相手出来るのは───────OTONA代表格の方ですかね。今の状態なら秒で負けますが(剣の方が)



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。