戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

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おい!しないシンフォギアとか書いてるのに日常みたいなの書かない奴がいるらしいぞ!見つけ出して石投げてやれ!!


───え?あ、私!?いや、違います!止めてください!……あ、すみません!石投げないで………待って、止めて──────



…………アホみたいな事は止めて、本編に入ります。


絶唱しないシンフォギアみたいな幕間 3

軟禁生活から数週間、微妙な空気(前話を読むことを推奨)の中、突如弦十郎からの呼び出しがあった。すぐさま部屋へと向かう響だが、その足取りは何処か嬉しそうに感じられる。

 

それも当然か、と剣は思っていた。何故なら行動制限とされていた部屋から解放されたのだ。それが意味する事実には、ほぼ全員が気付いていた。

 

 

 

 

軟禁生活の解除、つまりようやく日常に戻れるらしい。喜ぶ響と冷静ながらも嬉しさを見せる翼。後、剣は前と同じくクリスと同じ家に済むことになった。もう何故!? とか言うのは止めた、素直に受け入れようと思う。

 

 

 

「司令、それよりもだ」

「む、どうした剣君」

「聞きたいことがある。俺達が行動制限中にあった出来事について、詳しくだ」

 

 

その場の空気を一閃するように、剣が切り込んできた。それについて、映像越しのノワール博士も同調する。

 

 

『まぁ君なら知りたがっていたと思っていたさ。まずは何を知りたい?』

「────櫻井女史と虹宮タクトの状況と、その後の()()について」

 

 

剣の言葉に、響達が息を飲む。無理もない、彼は何の躊躇いもなく核心に触れようとしているのだ。

 

 

櫻井了子と虹宮タクト、片方はフィーネに身体を乗っ取られ、もう片方はフィーネの共犯者として少なからずの人間を殺戮した。

 

 

だからこそ、敢えて()()という言い方をした。フィーネという存在がいない以上、誰かが罪を背負う必要がある。それはきっとあの二人の方がいい、何故なら彼等に死んでほしい人間もいる筈だからだ。

 

 

どんな残酷な答えも受け入れるといった様子の剣に、弦十郎は顔を引き締める。司令官として冷徹に、事実を伝えることにした。

 

 

 

「了子君は未だ意識がない。あの槍による副作用……哲学兵装の影響だろう。手は尽くしているが、目覚める見込みは今は見られない」

 

「博士、あの槍に使われたのは…………」

『「ハルパーの大鎌」、不死殺しに使われたとされる大鎌。フィーネの魂だけを殺戮する力を助長していたものの筈だ。他にも、概念的に魂を殺戮する機能が仕込まれていた』

「それじゃあ、了子さんは──!?」

 

 

あの正体不明の槍─────面倒なので魂殺しの槍(ソウル・ブレイカー)とでも呼んでおこう。剣は視認した時からあの槍を情報としてコピーしていた。博士や二課にそれを全面的に提供し、櫻井了子の治療に使わせた。

 

 

しかし、それでも状況は変わらない。

それは当然だと、自分自身があっさりとしていた。あの槍に関するデータ、表面上の情報を基づいたものだ。きっとその中身はパラドクスのような構造を読み解けないものの筈だ。

 

 

ならば────表面から分からないのであれば、内部構造をよく知る者から聞けばいい。

 

 

 

『───エリーシャ、奴の研究資料があれば解析は難しくない』

「…………なら好都合だ。奴をころ───倒すついでに目的が出来た。無力化して、奴の持つ研究データを抜き取るだけだ」

 

 

剣からしたら積年の仇を追う理由が出来たのだが、そんなに満足している訳ではない。あくまでも、奴を殺すのが目的ではない。奴の持つ秘密のファイルを奪うのが、櫻井了子の治療を早く済ませる方法だ。

 

 

だが、同時に懸念を口に出す者もいる。

 

 

「そう簡単にいくでしょうか?もしエリーシャ博士が資料を抹消していたら………」

「いや、それは有り得ない。あの男は全てのデータを確保して自分の手元に置いている。その方が、安全だからな」

 

 

そう、不安を述べる緒川だったが、剣はエリーシャの事を知っている。奴に育てられ、奴によって兵器へと改造させられたのだ。奴が────全ての研究を無駄だとは思わず、研究データを暗号化させて保存したICチップを─────大事そうに自分で持ち歩いている事くらい。

 

 

これから明確にやる事が出来た。

そう思えば楽だろうが、相手は仮にも大勢の子供を人体実験に使い平然としている怪物だ。自分達が普通に追いかけて捕まえられるのであれば苦労しない。

 

 

だが、此方もそう簡単に諦めるつもりはない。奴が何かをするとしても、それを叩き潰して、簀巻きにしてでも捕らえておく。その事を脳裏に入れて、次の話に耳を傾ける。

 

 

 

 

「タクト君についてだが、少し面倒な事があってな」

「……………」

 

 

虹宮タクト。無空剣の掛け替えのない親友……………ではない、もう一人の方だ。離反した剣を相手にするべく【魔剣計画】に造り出された人工魔剣士。人格は別種のものだが容姿は彼の知る親友と瓜二つ、相対しただけで無空剣を追い込む為の姿形ちをした機械兵器。全くと言って、その話に笑える要素は存在しない。

 

 

問題は、彼がこの世界で起こした問題だ。フィーネの配下としてリディアンと二課を襲撃し、数十人の死傷者を生み出した。それが全員自衛官等だったから良いという事はない。それでも罪は罪。人を殺しておいて裁かれない事など有り得ない。

 

 

 

………だが、そんな事は他の連中からすれば建前に過ぎないだろう。彼等が本気で思うのは、タクトへの恐怖。たった一人で国を滅ぼせるとされる魔剣士の真価は(手加減していたとはいえ)地上の街を、壊滅状態にまで追い込んだ。

 

 

和解したからといって、その力が実在してるのならば、破壊を望むのが普通だ。処刑、いや死刑にされてもおかしくはない。

 

 

 

が、弦十郎の告げた言葉は少しばかり予想外ではあった。

 

 

 

 

 

 

「─────彼の身柄は我々が預かることになった。特務二課は彼、虹宮タクトを拘留する事を義務付けられた」

 

 

 

「………………何?」

 

 

一瞬だけ、耳を疑った。今までの彼の考えを覆すような事実。しかしすぐさま有り得ないと首を横に振った。そんな事を日本政府ならまだしも、各国が認めるはずがないと。

 

 

その答えも、大人達は簡単にに答えた。

 

 

「実は俺の兄貴が手回しをしてくれてな。タクト君に罪を償わせるのは当然として、死刑にまではさせないようにしてくれた。その後は彼の入るべき刑務所なんだが………」

『彼ほどの実力を有する者は、どんな監獄だろうと意味を為さない。脱走されて被害を増やしたくないから、彼を倒せる────私達に身柄を拘留させる事にしたらしい。

 

 

 

 

実際は脱走されたら自分等の面子が汚れるから、押しつけてきたというのが正しいがね』

 

 

剣からすれば、やはりかという感じだった。まぁよくよく考えれば街一つを吹き飛ばした人間兵器を好き好んで捕縛したいとは誰も思わないだろう。そう考えれば、この件は最善とも言える。

 

 

 

しかし話を聞いていた少女────響だけは曇った表情を浮かべていた。

 

 

『本来なら、まだマシな方だよ』

 

 

そんな彼女に、ノワール博士は諭すように言う。

 

 

『米国にとって彼はフィーネの忠実な配下、彼女の情報を詳しく知っていると見られるのが普通だ。勿論、米国との取引の内容も。……………そんなものが露見したら、米国は確実に混乱状態に陥る。だからこそ、最初は米国は彼の死刑を求めていたさ』

 

 

その事実は、拘留していたタクトの口から話されたものだ。ノワール博士は秘密裏に米国に対してその情報を用いてタクトの死刑を取り止めるように脅し………交渉したのだ。

 

 

『そんなに気にかけるなら後で会いに行くと良い』

「えぇ!?良いんですか!?」

『構わんさ、幸いにも彼の拘留から二週間経っている。その間も彼は何も抵抗はしなかった。だからこそ、面会しても文句は言わんさ。むしろ会ってくるといい、きっと面白い事になるよ』

「…………凄い顔をするよなぁ、アイツ」

 

 

態度の悪い青年の不機嫌な顔を脳内に思い浮かべ、面倒そうに呟く。彼の知る親友と同じ姿なのに、性格は相反するような感じだ。だからこそ凄い複雑になってしまう。

 

 

 

「問題はそれだけじゃない」

「どういう事ですか?叔父様」

「米国の要求はタクト君の死刑だけではなく、他にもあった」

「それは?」

 

 

躊躇いもなく、剣はその内容の開示を求める。弦十郎は渋りながらも、その事実を口にすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

「米国の要求は────剣君の身柄、そして彼の持つ技術だ」

 

 

 

少女達の言葉を失う横で、剣は静かに眼を伏せた。やはり、これも予想の範疇であった。自分の正体が明かされれば、その力を欲しがる者も現れる。

 

 

 

が、こうも大々的に身柄を求めてくるとは思わなかった。どさくさに紛れて魔剣士の技術すらも欲しがっていると見える。

 

 

 

「彼等の主張曰く『シンフォギア装者ならまだしも、彼女等を軽々しく圧倒できる存在を、一国が管理して良いものか。彼の価値はこの世界を揺るがすと言っても過言ではない。シンフォギア装者と共に彼を戦力とする日本には、平和への懸念がないのか』………と」

「んな事!単なるこじつけだろうが!! 」

 

 

米国の言い分に激しく憤るクリス、他の二人も同じような考えらしい。正論ではあるが、本心からの言葉ではないだろう。

 

 

要するに日本が強い力を手に入れる事を恐れていると思われる。だからこそ、シンフォギア装者ではなく、無空剣の身柄と彼に関する知識について要求していた。

 

 

「それじゃあ、剣さんは………」

『心配いらないよ。そこは私や色んな大人達が頑張ってくれてねぇ?彼と君達も、普通に生活できるよ』

 

 

 

心優しく微笑むノワール博士から、詳しい話を聞かされた。

 

 

 

今回の米国の要求、無空剣と魔剣士(ロストギアス)のデータについては、様々な外的影響によって取り消される事になった。

 

 

 

一つは、無空剣の存在が世間に明かされた事。彼が“ルナアタック”の直後、一般人からノイズを護った事。に情報統制がされていたが、それでも世間一般では全ての事を上塗りする程、有名になった。

 

 

 

────ノイズを倒せる、『魔剣士(ロストギアス)』という存在。多くの人々は彼を新たな英雄と呼び、ネット上で物議を醸した。日本政府も隠蔽しようとしたが、誤魔化しきれないと判断し─────結果的に聖遺物関連を秘匿した状態で、彼を公認することにした。

 

 

日本中から、ノイズを倒し───“ルナアタック”を終わらせた英雄とされた剣は、民衆から支持を受けることになった。それにより、米国の要求が通りにくくなったのは当然だろう。

 

 

もし、米国が彼の身柄と力を強引にでも奪おうとすれば、日本中や他の国が黙ってはいない。日本へ抗議していた国々も、米国への不満を剥き出しにするであろう。

 

 

 

 

 

二つ目は、日本内部にいた有力な政治家や二課の『後ろ楯』の努力らしい。多くの政治家や先程司令の話に出てきた『兄貴』…………翼の父親である人物も助力していたらしい。

 

 

無空剣を奪われる訳にいかない、そんな風に日本国内が何とか米国の要求に抗議を続けていたらしい。

 

 

 

そして、終いにはノワール博士の脅し。もしそれ以上要求をするのならば、フィーネと米国の取引の全貌を明かすと脅迫を仕掛けたらしい。

 

 

その間、ノワール博士を暗殺しようと米国は動いていたが、見つかるはずもない。そもそもノワール博士はこの世界ではなく、全く別の世界にいるのだ。結果的に、米国は大人しく自分達の要求を取り下げるしかなかった。

 

 

 

 

そうして、剣達は何とか平和な未来を掴み取れた───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────それで?詳しく聞いても構わないか、司令」

 

 

その後、軟禁生活から解放された少女達が一足先に外を向かうのを見ながら、剣は弦十郎と共に廊下を歩いていた。

 

勿論、話しているのはただの世間話ではない。むしろ真剣な話だ。これからの事に成り得る、とてつもなく重要な。

 

 

 

「………やはり、君も勘づいていたか」

「普通に考えておかしいと思った。米国が日本の政治家の発言をそう簡単に聞き入れる筈がない。何十人が動いていたとしても、戯れ言として無視することも出来るんだからな」

 

 

自らの持論から、彼は疑いをもって一つの疑問を提示する。

 

 

「俺が知りたいのは、米国を牽制できる存在についてだ。この国の総理大臣………いや、影の支配者か?奴等相手に対等に動ける奴がいるんだろ?」

「それを知って………どうする気なんだ?」

「世界中全部が味方だなんて、楽観視はしてない。怪しい相手を警戒するのは当然の事だ」

 

 

彼は、人を無闇に疑うことは止めようとしていた。しかしそれは、善意を疑う事を諦めたのであって、善意の中に紛れ込む悪意を疑うことは止めてはいない。

 

 

「確かに、君の懸念通りだ。君を庇ったのは兄貴達だけではない。むしろその相手が頼りでもあるが、同時に厄介でもある」

「────ソイツは?」

 

 

 

 

 

「風鳴訃堂。俺達風鳴一族を束ねる長であり、日本を裏で動かせる人物だ」

 

 

風鳴という名。それを聞いても剣は驚きはしなかった。むしろ、その名前は聞き覚えが………というよりも、見たことがあった。

 

 

 

「知っている。二課の初代司令だった筈だ、イチイバル喪失の件で辞職した筈だが……………」

「それでも権限は簡単に失われんさ。現に今でも俺達二課や国としての権威を軽く動かせるんだからな」

 

 

厄介だな、と息をつく。この言い振りからして風鳴訃堂には最大限の警戒が必要だろう。まぁ政治的や軍力的に国を動かす力があるのならば、きっと剣の弱点を狙ってくる可能性の方がある。

 

 

その老人が何を望んでるかは知らないが、無空剣やタクトを保護した理由に検討は………………すぐに、判明した。

 

 

 

「───魔剣士(ロストギアス)の力か」

「厳密には、魔剣士最強である………君の力だろうな。ただの魔剣士ではなく、その中で最強クラスの君を求めている。その力を手にする為なら、何だってするぞ。『日本の守護』と題目を打ってな」

 

 

要するに、無空剣達を日本を護る戦力としたいのだろう。自分達、魔剣士(ロストギアス)は一人で国を滅ぼせると称される───それを複数、味方につけられるならどれだけ価値があることか。

 

 

 

 

「関係ない」

 

 

しかし、それを踏まえて剣はアッサリと吐き捨てた。弦十郎の言葉から、風鳴訃堂という老人は只者ではないと思うが普通だ。しかも言葉を濁している彼の様子から、因縁というものがあるのは確かだろう。大方、同じ風鳴の名を冠する翼とも。

 

 

 

 

「今現在は俺の身柄を日本に置かせるのに助力するんだろ?なら勝手に利用させるさ、権力が強い奴が勝手にしてくれれば、不都合は特にないしな」

 

 

 

だが、と彼は付け足した。

相手が司令や翼の家族であろうと関係ない。自分を戦力として付け狙うだけなら精々利用させて貰う。だが、自分が守るべき居場所にまで手を出そうとするのであるのならば─────

 

 

 

「─────その時は、遠慮無く叩き潰す」

「………………その必要はないさ」

 

 

冷徹な青年の決意を、弦十郎は呼び止めた。青年は少しだけ振り返り、近くの壁に背中を預ける。弦十郎はそれに対して両目を伏せ、自らの拳を握り締める。

 

 

 

強い決意を漲らせ、一人の大人が覚悟を決めていた。

 

 

 

「あの人が手を出すのなら─────まず俺が止める」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

二課の仮設本部。地下に用意された部屋の一室。

 

 

仮設本部ではあるが、設備は充実している。一般的に住めるような個室もあれば、犯罪者を捕らえておく為の個室も用意されている。

 

 

今回、響達がそこに訪れていたのは、そこに拘留されてる事になっている青年との対面に来たのだ。

 

 

 

「…………チッ」

 

 

部屋の中に閉じ籠っていた相手は、誰かが来たのに気付きベッドがら起き上がる。そして部屋の内部を公開するように並べられた鉄格子越しに訪れてきたであろう客人達を目にして、舌打ちを放つ。

 

 

 

立花響は気になったように、部屋の中にいる相手に声をかけた。

 

 

 

 

 

「タクトさん、元気ですか?」

「…………何でお前らが来てやがる、特にそこの馬鹿が」

 

 

不愉快そうに、純白の身体を持つ魔剣士 虹宮タクトは吐き捨てる。しかしその四肢も体格も全てが機械で補われた義肢や義体に過ぎない。サイボーグ、人型自立魔剣兵器、それが彼の正体であった。

 

 

 

 

「ええっと………お見舞い、だったり?」

「違ェわ馬鹿。一応こんな待遇だがオレは犯罪者だぞ?何でお前らが簡単に会いに来てんだよ」

 

 

部屋の中を見渡して、彼は不機嫌そうに呟く。鉄格子のある個室ではあるが、普通の刑務所よりも遥かに充実している。何ならプライベートルームという、犯罪者には相応しくないような部屋までもが用意されてるくらいだ。

 

 

 

「で?オレについての話は詳しく聞いたろ、それについて不平不満でも宣う気か?」

「タクトさんは………それで、良いですか?」

「良いもクソもあるか。オレが何人の人間をこの手でぶち殺したと思ってやがる」

 

 

問い掛けてくる響に、タクトはやはり棘のある口答えだった。彼からすれば、彼女の事を敵としていた為、どのように振る舞えば良いか分からないのだろう。だからこそ、敢えて突き放すかのような事を言う。

 

 

しかしそれでも、立花響は簡単に離れようとはしない。

 

 

 

「………分かりました。じゃあ私、何度も会いに来ます。今度は未来や、皆と一緒に」

「…………好きにしろ」

 

 

顔を見ることなく、吐き捨てる。響もそれなのに、嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

それから、響の横から入った剣は、タクトに処分の事などを詳しく話した。自分が拘留されるだけで済んだことには、明らかに不快そうにだった。

 

 

だが、彼ははぁーっと溜め息を漏らすとどうでも良さそうに話を切り換えてきた。本人としては一々他の事に頭を使うつもりはないのかもしれない。

 

 

「そういやだが、お前ら今シンフォギアを纏えるか?」

「あ?なんだよ突然」

「気になったことがあんだよ、とっとと歌え。歌って変身しろ」

「全く、好き勝手言ってくれるわね」

 

 

ほらほら、と急かすタクト。因みに剣には「邪魔だから此方来い」とか言われたから、鉄格子を軽く蹴り飛ばした。近くに立っていたタクトが吹き飛ばされたのを見て、少しだけスッとした。

 

 

そんな事をしてる間に、三人がシンフォギアを纏い終わったらしい。インナー姿の三人に、タクトは「へー、間近で見るとそういう風なんだな」と変な所に興味を抱いていた。

 

 

「よし、横に並べ。風鳴翼に立花響、雪音クリスにだ」

 

 

そうして、三人を横に並ばせる。左から翼で、響、クリスという順番だ。

 

 

「ふーん、なるほどね………」

「?なるほどって何が──────」

「シンフォギアつーもんについてのデータだよ。やっぱこうして見ると、俺達と普通に似てるんだよな………まぁ、ついでに面白いネタが見つかったがなぁ」

 

(ネタ?─────あ)

 

 

そこで剣は全ての意図に気付いた。タクトが何故わざわざギアを纏わせたのか、そして何故彼女達を並ばせたのか。

 

 

直接言うのは気が引けるので、比喩として言うと身体の部位の問題だ。左から順番に、どんどんと大きくなっててる。

 

 

そしてタクトは左から右へと視線を向け、左側に立つ翼に眼を向ける。他の二人もそうされてる間に完全に理解したらしい。翼も一瞬首を傾げていたが、横の二人を見返して、ようやく気付く事が出来た。

 

 

「こう見て思うんだが…………可哀想だな先輩」

「…………………おい貴様何処見て言ってる」

「いや、ねェ? ほら? 後輩達ばかりだし、お辛いかなァーって…………………………フハッ」

「───ッ!!」

「待て待て。冷静にれ翼」

 

 

最後の嘲笑を受け、翼は鉄格子に掴みかかる。剣は肩に手を置いて落ち着かせるが、今の彼女にはあまり通用しない。

 

 

流石にタクトの言葉は残酷すぎた。アレはもう、火に油を注ぐに十分だ。まぁ、それ以上の火力を上げそうになる事も考えられるが。

 

 

剣が取り抑える中、響とクリスが翼を励まそうとする。

 

 

「落ち着いて翼さん!タクトさんなりの心配ですよ!」

「立花こそ止めないで!私はあの男を斬らなければならないわ!あんな風に馬鹿にされたのよ!ここで引き下がる訳にはいかないのよ!?」

「ま、まぁ仕方ねぇよ先輩……………元気出せって」

「それは侮辱と取るぞ雪音ぇぇぇぇ!!!!」

 

 

…………(かえ)って火力が大きくなった。剣は頭が痛くなる中、牢獄の中でニタニタと嫌な笑みを浮かべる青年を少しだけ睨み付ける。

 

 

「タクト、翼に謝れ。流石に言い方が悪いぞ。事実だとしても、それを煽るように言うとは…………」

 

 

「あん?オレは胸の事なんて一言も言ってねェんだが」

 

 

そう言われて、翼はハッとしたようだった。確かにタクトは胸の事だと言明していない。つまり、確実にそうだとは言えない。

 

 

 

…………と、本人は言いたいのだろうが、剣からしたら『何を言ってるんだお前は』という気持ちだった。視線も明らかにそこを見てたし、含みのある言い方をしたのも彼だ。

 

 

 

しかし翼はどうやら信じてるらしく、明らかに狼狽えていた。それを見て、タクトは嫌らしく笑う。最早その顔からは悪意しか感じられない。

 

 

「あのさぁ、オレだって割とマシな人間性はしてるんだぜ?人の事を気遣う事だってちゃんとさぁ。けどよぉ、何もオレだって人のことを馬鹿にするような性格はしてねぇんだぜ?」

「クッ…………そうね、考えすぎたようね。勘違いしてしまってすまなかったわね」

「気にすんな、事実だし」

「────やっぱりそうではないかっ!!?」

 

 

 

あーぁ、やっぱりだよ(呆れ)最初からコイツ、この為の事を考えてた。ふと、今更剣は疑問に思った。

 

 

────コイツ、こんなに感情豊かだったか? と。

 

 

 

「表出ろ貴様!そのふざけた口を聞けんようにしてやる!」

「じゃあこの鉄格子を通ってこいよ。入れるだろ?立花響や雪音クリスと違って、うっっっっっっっっすーい装甲盤が特徴的な風鳴翼さんなら、鉄格子だって難なくスーッと抜けれるしなァー?」

「貴様ァァァァァァァッ!!この部屋諸とも叩っ斬ってやろうかァァァァァァァッ!!」

「翼を煽るなタクトォォォォォォォ!!!…………ってぇ!?待て待て待て待て待てぇ翼ぁ!ギアを纏うな解除しろ!!ここで解き放つ気かぁぁぁあああッ!!!」

 

 

慌てて全員で翼を取り抑えた。それでもがむしゃらにギアを纏い、怒りの籠った歌で相手を切り捨てようとする翼。が、流石に三人相手(一人は格上)に抑えられては攻撃できないらしく、すぐさま翼を連れてこの場から離れることにした。

 

 

その光景を見てケラケラと腹を抱えて笑うタクト。剣は彼の姿を見て、本気で殴り飛ばしてやろうかと考えた。

 

 

結局この後、剣達四人は騒ぎを起こした事で司令から説教を受けることになった。理不尽だったが、まぁその場にいたので大人しく受け入れていた。

 

 

 

 

ついでに元凶であるタクトも司令から締められた。本人は返り討ちにしようとしたが、ボコボコだったらしい。後で「アレは人間じゃねぇ」と愚痴ってたのを聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

『…………君はこれから、鉄格子の中で過ごすつもりなのか?』

『……………聞いてどうする』

『俺達は、君を犯罪者にしたくて捕まえた訳じゃないぞ』

『ハッ!面白い綺麗事だな!あの馬鹿と同じだ!……いや、そういやアンタはあの馬鹿の師匠だったか。そりゃあ似たような事言うのも無理はねぇか』

『………』

『オレは別に仲良しこよしなんてするつもりねぇよ。やりてぇならやりてぇ奴等だけでやりゃあいい、ともかくオレはご免だ』

『…………』

『───まぁ、オレは所詮存在意義を失った兵器だ。お前らにとって捕虜であり、もしもの時に使える兵器でもある』

『…………君は』

()()()()()()()()()使()()。アイツらが動けねぇ時とか、戦わせる訳にはいかねぇ時、オレを兵器として動かせ────例えば、アイツらには出来ねぇ事、「()()()」とかな』

『ッ!』

『分かるだろ?アイツらは綺麗な奴等だ、腐った闇や悪意に触れてたとしても、人の命を簡単に奪おうとは思わねぇ。だが、この先の敵は人間だったりする。アイツらが出来ねぇならどうすると思う?─────アイツが、無空剣がそれをやるぞ。汚れさせねぇようにな』

『────』

『分かってんのかは知らねぇが、無空剣なら絶対やる。アイツは前よか救われたみたいだが、まだ完全じゃねぇ。アイツはまだ、過去に囚われてる。アイツらが血に汚れるくらいなら、自分が兵器である事を選ぶだろうよ。

 

 

 

 

 

忘れんなよ、人間が不完全じゃねぇように、無空剣(アイツ)も完璧じゃねぇ。いずれ限界が来て、ブッ壊れる時がくるかもしれねぇ。そうならねぇようにするのは、オレでいい。血に汚れた、オレだけでいい』

『─────強いな、君は』

『………………ンな訳あるかよ、馬鹿が』




…………色々と雑かもしれませんが、土下座するしかない。これ以上書いてると何時に出せるか分からなくなると思ってしまった。



“ルナアタック”ですが、ノワール博士の手によって元凶はエリーシャだという事にしました。端的に言うと擦り付けです。恨みとかありますので。


タクトは二課に拘留という事になりました。まぁ、出てくるとすれば適当な話し合いとか、人手の足りない時とかですね。


そろそろ、次章 G編へと移行しようとします。色々と原作とは違うところが多い二次創作ですが、これからもよろしくお願いします!!



あと、感想や評価、お気に入りなども!是非!!
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