戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

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蒼キ風鳴ル時/最強を決める刻

『────紫苑、貴方はね。■■家の末裔なの』

 

『■■家?それは何なのですか、母様』

 

『大昔に存在した、ある国を守る一族の名よ。でも、二つに別れて、世界の何処かに消えてしまった。私達の名字、フロウリングはその家の名を示すもう一つの言葉なの』

 

『────シオン、忘れないで。貴方は■■家の人間、たとえ私達はそうでなくても、貴方は必ず■■と再会する。その血に流れる使命に、魂を捧げないで生きてね』

 

 

■■紫苑────シオン・フロウリングは母からよく自らに流れる血を教えられてきた。自分は、とある一族の末裔であると。その血を忘れず、それでもその血の使命に身を委ねないで、自由に生きるようにと。病死した母は最後の最後まで、優しく語り掛けていた。

 

それから唯一の家族を失ったシオンは孤児として、『魔剣計画』に保護された。厳密には未来ある孤児としてではなく、人間兵器たる魔剣士を作る素体として。

 

度重なる人体実験と、血反吐を吐くほどの訓練の果てに────少年は魔剣士になることを選ばれた。しかし、少年はただの魔剣士ではなく、特殊なものにされることになった。

 

 

『────シオン・フロウリング。唯一に君にあったのは、魔剣グラムの適性。しかしそれも60%大。ただ消耗するには惜しい値だ。そこで、面白いことを思いついた』

 

『魔剣グラムを宿す魔剣士、無空剣はその成長性から序列三位へと至った。ヤルダバオトは、彼の強さに期待してる。彼の可能性を、量産したいと考えている────そこで考えたのが、グラムシリーズだ』

 

『無空剣を量産する為、グラムの欠片以外にも無空剣の遺伝子パターンを埋め込み、新たな魔剣士として造り出す。無空剣が万能型の一騎当千ならば、君達は一部の性能に特化したハイスペックモデルとして。ハイエンドモデルの無空剣の下位互換として開発される────君はその試作機、No.1として生まれ変わる』

 

 

灰色の人生、彩りなんてものは欠片もなかった。魔剣士と言う兵器に改造された自分の未来なんて、思い描いたこともなかった。

 

だからこそ、灰色に満ちた世界の中で────あの人の姿だけは黒く、それでいて光のように思えた。

 

 

『────アレが、無空剣。僕の元になった、序列三位』

 

戦場でミスをして追い込まれたシオンを救った、漆黒の魔剣士。人間離れした動きと戦い方は人並み外れたものであり、たった一人で敵を滅ぼし尽くした銀髪の青年は、シオンを見下ろす。その瞳に、シオン見入っていた。

 

冷たく無機質で、この世のすべてに絶望したような光のない瞳。だが、そんな暗闇の中で、彼は一つの光を見た気がした。

 

 

『────俺は、無空剣だ』

 

僅かな心配と不安。その中にあった優しさに触れ、シオンは理解した。この人は、兵器じゃない。自分達と同じ、一人の人間だ。不器用だが、差し出されたその手には、温かく、確かな心があった。周り全てを信用できなかったシオンにとって、彼こそが唯一の憧れであり、光であった。

 

 

『No.2…………オリジナルの、序列三位のこと知ってるか?』

 

『………確か、魔剣計画から脱走したんだよね』

 

『ああ、騙されてたって言う博士を連れてな。お陰で計画は中断、俺達はこの施設に閉じ込められて何ヶ月経った?もうウンザリだ』

 

『────それでも、奴等は研究を続けている。メタルエッジやアメリア………あの二人はもう壊れかけてる。今、ヴァンが慰めてるが、もう限界だと思う。剛毅果断、今こそ決めるべきだ』

 

『魔剣計画を、滅ぼすか────分かった、やろう。僕達の人生を、皆を弄んだ魔剣計画の悪逆を、僕達の手で終わらせるんだ』

 

 

同じグラムシリーズと共に魔剣計画の隷属を受けて数年、遂にシオンは他のグラムシリーズと共に魔剣計画に蜂起を仕掛けることに決めた。他の彼等にとっては復讐であったが、シオンにとってはある大義を以ての行為であった。

 

────これ以上、先輩を苦しませたくないという。そんな彼等のクーデターは、数日で鎮圧されることになった。

 

 

『────どういうことだよこれはッ!?アイツら、他の魔剣士は居ないって話だろ!?』

 

『………総統直下のクリファ、実働部隊。奴等こそが魔剣計画の切り札か。思慮分別、如何にする?シオン』

 

『ヴァン、蒼。メタルエッジと一緒にヴァレリーとアメリアを連れて逃げて────僕が殿を務める』

 

『……………すまない、シオン。必ず、我等の悲願を果たす』

 

 

施設を乗っ取り、クーデターを開始したシオン達であったが、相手の方が上手であった。クリファと呼ばれるモノの襲撃を受け、味方の内二人が倒れた。その状況下でシオンは、仲間を逃がすことを選んだ。

 

その結果────シオンは敗れ、捕らえられた。魔剣計画の手によって。

 

 

『────さて、シオン・フロウリング。他のグラムシリーズら無事だよ。他のセフィラ、魔剣士が手を貸したらしい』

 

『君を見逃すことも考えたが、組織やヤルダバオトから処理するように言われてね。仕方ないから、君に魔剣を埋め込ませてもらうよ。…………さぁ、君は何本で保つかな?』

 

 

捕らえられたシオン・フロウリングは排除されるはずだったが、有効活用しようというエリーシャの手により、更なる魔剣を埋め込まれた。本来、魔剣は複数埋め込むことは得策ではない。過剰な適合は肉体を、精神を破壊する。

 

────結果、シオンの意識は壊れ、廃人と化した。ソレを再利用され、シオン・フロウリングは戦場に立つことになった。己の意思や、精神を無視した形で。

 

 

◇◆◇

 

 

接続甲鐵(サブデバイス)自律戦尾(オートディステール)』の猛攻は激しく、一方的であった。ソレは自らの弱点を勘付かれたことによる、弾幕で圧倒しようという強硬策でもあった。

 

 

「クソッ!好き勝手に暴れ回ってッ!」

 

『だが最適解だ!アレからすれば自分を破壊されることは避けなければならない事態!敵ながら中々大したAIじゃないか!』

 

「褒めて!どーすんだよッ!」

 

 

銃弾の雨を浴びせるクリスはどこか楽観的なノワール博士に呆れ怒鳴る。その間にも、自律戦尾(オートディステール)は装甲から展開した刃を振り回し、周囲を切り裂きながら大暴れをする。

 

 

「デェェスッ!!」

 

「────ッ!」

 

【!────グオォォォオオオオオッ!!】

 

 

切歌と調が上空から連携し、其々遠距離攻撃であるブレードと刃の雨を飛ばす。飛来する斬撃の数々を浴びようとした自律戦尾(オートディステール)は咄嗟に顔を持ち上げ、敢えて頭部で受け止める────そして頭部の横に展開するブレードを勢いよく振り回し、大暴れする。

 

 

『────?今、暁クンの一撃に警戒した?』

 

「平然と受けられるなんて、骨が折れるデスよッ!」

 

「このままじゃ押し切れない…………こうなったら、LINKERを使ってでも………!」

 

「馬鹿!そんな無茶、あたしがいる前でさせる訳────」

 

『────いや、彼女達にも多少無理をしてもらおう』

 

 

LINKERの入った注射器を取り出す切歌と調の決断を、クリスが無理やり止める。しかし彼女達の無理を肯定したのはノワール博士であった。驚愕するクリスを余所に、ノワール博士は淡々とした様子を貫く。

 

 

「ノワール博士ッ!?アンタ、正気で言ってんのか!?」

 

『正気も正気。LINKERを使った絶唱でなければ、彼女達の力でなければ、アレは破れない。正論や正しさだけで彼は救えない。非道な大人、と幾らでも謗ってくれていい。自覚はある』

 

「とは言え、だッ!無茶や無理をしろって言うならあたしも我慢するし理解する!だがアイツらにまでソレをやらせる気は────」

 

『分かってる────だからこそ、一番危ない橋は君に渡ってもらう。それで構わないかな?』

 

 

◇◆◇

 

 

それからすぐに、自律戦尾(オートディステール)は相手の出方を伺っていた。無闇に攻撃して、集中砲火を受けるつもりはない。攻めてきた相手に有効打を与えて潰す────それこそが、自律戦尾(オートディステール)の戦術である。

 

 

【────ッ!】

 

最初に飛来した二人の少女、イガリマとシュルシャガナのシンフォギアを纏う幼子であった。二人が放つ攻撃をその身で受け止めながら自律戦尾(オートディステール)は最適解を放とうとして────違和感を感じ取った。

 

 

【……………?】

 

 

二人の動きに、先程までの本気を感じない。余力を残すような、敢えて時間稼ぎに徹するような動きに、自律戦尾(オートディステール)は明らかな違和感を感じてならなかった。

 

だからこそ、周囲への警戒を高めていた自律戦尾(オートディステール)は、その歌の存在に気付いた。

 

 

────Gatrandis babel ziggurat edenal♪

 

【ッ!!?】

 

 

雪音クリスの歌声、その声が歌うは────絶唱。命を代償として、絶大なフォニックゲインを一瞬にして放つ諸刃の刃たる一撃。絶唱であれば自律戦尾(オートディステール)に大ダメージを与えられる、与えられてしまう。

 

咄嗟に切歌と調を払い除け、自律戦尾(オートディステール)は歌の発生源を探る。二人にしては簡単に吹き飛ばされた気がしたが、人工知能の意識下にはない。目の前の脅威、絶唱を防ぐこと以外は、思考の外にある。

 

そして、歌の発生源を見つけ────自律戦尾(オートディステール)は瓦礫の山へと突撃する。絶唱を妨害するように、鋭い爪を突き立てながらそのまま瓦礫の山を噛み砕き、中にいるであろう少女ごと薙ぎ払った。

 

 

『────見事、嵌ったね。いや、嵌まるか。流石の絶唱は、AIならば警戒する。エリーシャならば、警戒するようにプログラムさせる』

 

しかし、その場に少女は居なかった。瓦礫の山を破壊し、自律戦尾(オートディステール)が押し潰したのは、一機の小さなドローンであった。ドローンのスピーカーから響く声は冷淡な男性の声が響く。

 

絶唱は、警戒した自分を誘き寄せるためのダミーであった。では何故そんな真似をしたのか、理解するより早く、悟るよりも速く────歌が鳴り響く。

 

 

「真上がガラ空きだぁッ!!」

 

────【GIGA ZEPPELIN】

 

【グオォォォオオオオオッ!!?】

 

 

クリスの怒号と共に振り注ぐクラスター弾の矢に、自律戦尾(オートディステール)は地に叩きつけられた。無数の爆発が全身に響き渡り、反応する余裕を失う。その間の僅かな隙を、クリスは逃さなかった。

 

「まだまだぁッ!!」

 

 

────【BILLION MAIDEN】

 

アームドギアをガトリングガンに変形させ、クリスは自律戦尾(オートディステール)の頭へと降りる。その頭部にガトリングガンの銃口を押し当て、至近距離から弾幕の嵐を叩き込む。爆音を超える勢いの破壊音に、竜は咆哮を響かせる。苦痛に呻く竜の鳴き声は、頭の装甲がひび割れたことで一層増した。

 

 

【グォォオオオオオオオ────ッ!!!】

 

「っ!くそ!」

 

『────クリスクン!』

 

 

勢いよく暴れ出した自律戦尾(オートディステール)により振り払われたクリス。地面を転がり、壁に叩きつけられた彼女に、自律戦尾(オートディステール)は怒りを叩き込むように口を開いて噛み付く。心配の叫びを上げたノワール博士の前で、竜尾の顎が壁へ食い込む。

 

────左右の顎から抑え込まれるクリスは苦しそうに顔を歪めながらも、不敵に笑う。それこそを狙っていた、待っていたと言わんばかりに。

 

 

「あたしを、噛んだな?この距離ならアームドギアを使えないと判断したかよ!」

 

【ッ!?】

 

「至近距離で受けやがれ!『アーマーパージ』だッ!!」

 

自律戦尾(オートディステール)の顎に噛み付かれたクリスはそう叫び、全身を纏うギアを爆裂させた。弾けたギアの破片がクリスの周囲へ、至近距離にある自律戦尾(オートディステール)へと放たれる。頑丈な外殻に守られた装甲とは違い、内側から浴びた竜尾は、今度こそ回避不能であった。

 

 

【────────ッ!!?】

 

 

正面から炸裂したギアの破片に、装甲を砕かれる自律戦尾(オートディステール)が怒号を上げて頭を上げる。のた打ち回ろうとしたその巨体に、ギアを失い素っ裸になったクリスが叫ぶ。

 

 

「今だ!お前等ッ!」

 

────Gatrandis babel ziggurat edenal♪

 

────Emustolronzen fine el baral zizzl♪

 

「────行くデスよ!調ッ!」

 

「────任せて、切ちゃんッ」

 

 

その隙を逃さず、LINKERによる絶唱を歌う切歌と調が同時に飛来する。巨大化したアームドギア、大鎌をブースターのようにして飛び上がる調。手足に纏うギアを巨大化させ、両手に大型の丸鋸を備えた彼女は────自律戦尾(オートディステール)の尻尾に斬り込む。上下から挟み込んだ丸鋸で斬り裂きながら、尻尾を完全に両断する。

 

 

【■■■■■■■■■ッッ!!!!】

 

「トドメ────デェェェェスッ!!!」

 

 

尻尾を分断され、ノイズ混じりの咆哮を響かせた竜尾に切歌はイガリマの鋭い鎌を放つ。振り下ろされたイガリマの大鎌は見事に装甲を割られた自律戦尾(オートディステール)の頭に突き刺さり、その内部にあるAIに確実なダメージを与えた。

 

今度こそ、竜尾は悶える余裕もなく、硬直する。爆散してイガリマの鎌を吹き飛ばした自律戦尾(オートディステール)はピクリとも動かなくなり、ゆっくりと地面に崩れ落ちた。

 

────その瞬間、一対一の戦場────翼によって抑えられていたシオンにも変化が生じる。

 

 

「『■■敵■■■■殺■■■■■僕■■■何■■■■────ッッ!!!??!!?』」

 

(────博士の予想通り、やはりシオン・フロウリングの意識はまだ残っている!制御装置の破壊で、出てこようとしているのかッ!)

 

 

頭を抑え、言葉にならない絶叫を響かせるシオン・フロウリング。制御装置の役割を担っていた自律戦尾(オートディステール)が破壊されたが、まだサブのレプタイル────仮面の制御装置が残っている。

 

仮面の破壊が優先だが、それだけではダメだと翼は理解していた。だからこそアームドギアを構え、迫る。

 

 

「────シオン・フロウリングッ!」

 

「『■■■■■■■ッ!』」

 

 

両腕の刃を振るい、戦わんとするシオンの声は怒りやら敵意やらが滲んでいる。恐らく彼が認識しているのは過去だろうか、翼を憎む敵の一人として誤認しているのだろう。無機質な戦い方に、怒りや殺意の感情が宿り始める。

 

それでも尚、風鳴翼は臆することなく斬り結ぶ。その合間にも、彼女は呼び掛けた。

 

 

「お前の事は、無空からよく聞いているッ!誰よりも優しく、誰よりも周りを大切にしていた、大切な後輩だとッ!」

 

「『■■、何■■■■■先■■ヲ■■■■』」

 

「そんなお前が、エリーシャの傀儡となるのを望むはずがない!奴に利用され、弄ばれているのだろう!支配され、操られることなど、人にあってはならない!ましてや、それを理由に死ぬまで戦わされるなどッ!」

 

 

斬り合いの最中の呼び掛けに、シオン・フロウリングは動揺を顕にしていた。思っていた通り、シオンの意識は確かに目覚めている。廃人化しているとエリーシャは笑ったが、恐らく意識が目覚めたのは剣との戦いによる影響だろう。だが、それでも彼の意識はまだ装置によって支配されていた。

 

 

「『違■、僕ハ■魔剣計画と戦って■■■今も戦ってル■■■僕は先輩ノ為■■■■皆ノ為■■■■■奴等と戦っテ■■■敵を■■■■■』」

 

 

目覚めたシオンの意識を支配する為、制御装置が取った判断は────洗脳催眠であった。シオンの意識に偽りの情報を、幻想を与えることで、彼が敵と戦うようにコントロールしていた。それは今も変わらず、彼は目の前の敵と戦っている────皆の為に、誰かの為に。無理矢理、意識を捻じ曲げられて、戦わせ続けている。その力を、利用され続けているのだ。

 

 

「『僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!

 

 

 

 

────■誰■カ■■助■■■け■テ■■』」

 

「────その言葉は、聞き届けた」

 

殺意と敵意の入り混じった雑音に混じる、その一つの声に翼は静かに頷く。両手で握る天羽々斬の刀を構え、突貫する。滑りながら放たれる一閃は、縦横無尽に放たれる変則的な刃を掻い潜り────シオンの顔を覆うバイザーだけを両断した。

 

 

「─────■■■■■■■ォ────ッッ!!!」

 

 

顔を抑え、シオンはその場に蹲る。制御装置は完全に破壊された。後は、彼次第であった。膝を付いて立ち尽くすシオンは微動だにしなかったが、突如頭を抱えて鳴り響くような声を響かせる。そして、その声に翼達が耳を抑えていた時には────彼の姿は消えていた。

 

 

「…………終わったのか?」

 

『ああ、そのようだ。だが、彼は…………』

 

「飛んでいったみたい………追わなくていいの」

 

「────いや、必要ない。今のシオンは、もう自由だ」

 

────行か、なきゃ

悲鳴を上げ、離れるその瞬間、何処かを見て告げた青い髪の少年の顔を、翼は見逃さなかった。何か放っておけないものを思い出したように、彼はそれを守るために向かったのだろう。少なくともその意思は紛れもないシオンの意思だと確信した翼は今回の戦いの勝利を、約束を果たせたことを今一度理解した。

 

 

◇◆◇

 

戦闘の様子を見届けたウェル博士は、慌てたようにフロンティアのブリッジへと逃げ帰る。フロンティアを操作してエレベーターを乗り込んだウェルは、苛立たしく両腕を握り締める。

 

 

「────クソッ!シオン・フロウリングまで倒されるなんてッ!」

 

その強さ、その戦闘力、何より無空剣への精神的動揺を誘う為の切り札であったシオンがやられた事実は、ドクターにとっても重いものであった。どうせなら何人かは始末して欲しかった、と悪態を吐くドクターはソロモンの杖を不意に見つめる。

 

ソロモンの杖では精々足止めにしかならない。アンチリンカーを使えば多少シンフォギアを止められるだろうが、肝心の無空剣には通じない。その事実がウェルの心に不安と焦り、苛立ちを募らせる。

 

 

「いや、まだだ………ッ!まだ僕には、使える手は残ってる………!こうなったら、マリアをぶつけて────」

 

 

その為にも急いでブリッジに戻ろうとするウェル。焦り切った彼だからこそ、気付かなかった。陰から覗く、何者かの視線────慎重にひた隠しにされた無機質な殺意には。

 

 

◇◆◇

 

 

戦いの最中、ブリッジ上にてマリアは立っていた。

黒いガングニールを纏う彼女が裂創ガングニールを歌い、フォニックゲインを高めていく。その場の────中継された映像を見る世界中の人々へと。

 

彼女は少し前に世界に、フロンティアの、自分達の本来の目的を明かした。飛来する月の落下から人々を守ろうとしたことを、テロリストとなった理由────米国政府や一部特権階級による隠蔽があったことも。その上で、彼女は頼み込んだ。自らの歌で世界を歌う、その力を貸してほしい。

 

 

『────月は地球人類より相互理解を剥奪するため、カストディアンが設置した監視装置。ルナアタック、エリーシャ博士の手で一部不全となった月機能を再起動できれば公転軌道上修正可能です』

 

『貴女の歌で、世界を救いなさい…………ッ!』

 

 

ウェルが離れた直後、吐血するナスターシャは通信越しにマリアに語り掛けた。厳しくあるようで、それでいて優しい恩師の、母代わりの彼女の言葉は、揺らぎかけていたマリアの心を奮い立たせた。

 

 

(セレナが助けてくれた、ガブリエルが捧げた私の命で誰かの命を救ってみせる────それだけでセレナの、ガブリエルの、私が救えなかった皆の死に報いられるッ!)

 

 

マリアが誰かの為に戦うと決意した、妹の死。そして、フロンティアに立ち、悪の道を貫いてでも世界を救うと決意させた────あのエージェントの自己犠牲。二人の、自分が救えなかった命に報いるには、彼らの為になるにはそれしかない、とマリアは歌い、唄い、詠い続けた。

 

だが、結果はあまりにも無情である。

 

 

「月の遺跡は依然沈黙────私の歌は誰の命も救えないというの…………セレナ……」

 

 

どれだけフォニックゲインを高めても、月の遺跡は起動すらしない。自らの歌に全力を、全てを出し尽くした。にも関わらず、遺跡を動かすには届かない。やはり自分ではダメなのか、自分には世界を救う資格すらないのか。

 

しかし、折れかけた彼女を諭す声がまだあった。

 

 

「マリア、もう1度月遺跡の再起動を────」

 

「無理よッ!私の歌で世界を救うなんて…………ッ!」

 

「マリア、月の落下を防げる最後のチャンスなのですよ」

 

諦めかけて、精神的にも弱り果てたマリアの弱音に、ナスターシャは諦めずに語り掛ける。その彼女の声に、マリアは思わず見上げる。そうだ、その為にここまでやってきた。なのに自分だけが諦めて良いのか、揺らいだ心を奮い立たせんと立ち上がる。

 

 

────その瞬間。

 

 

「こぉんの────ばかちんがぁッ!!」

 

「うッ────あぁッ!?」

 

 

立ち上がったマリアの顔を、勢いよく殴り飛ばしたのは駆け付けたウェル。裏拳と言えど、ネフィリムの細胞に変質した腕の一撃は────メンタル的にも弱っているマリアを吹き飛ばすには充分だった。

 

地面に転がるマリアに、ウェルは荒く肩を揺らしながら感情的に吐き捨てる。

 

「月が落ちなきゃ好き勝手できないだろ!そんなことも分からないなんて、馬鹿な女だなぁッ!」

 

『マリアッ!』

 

「あ?やっぱオバハンか。まあマリアがあんな事すんのは、アンタの入れ知恵とは思ったよ」

 

 

突然聞こえたマリアの悲鳴に、ナスターシャが心配の声を上げる。その声を聞いたウェルは何が起こったのかを大体悟ったらしい。苛立たしそうな彼の様子には、かつて教授と呼んだ礼儀正しさは感じない。あるのは自分の野望を邪魔する者への侮蔑と苛立ちであった。

 

 

『お聞きなさい!ドクターウェル!フロンティアの機能を使って収束したフォニックゲインを月へと照射し、バラルの呪詛を司る遺跡を再起動できれば────月を元の軌道に戻せるのですッ!』

 

「ゴチャゴチャ喧しいッ!そんなに遺跡を動かしたいのなら!アンタが直接月に行ってくればいいだろうがッ!」

 

 

制御盤を叩くウェルの怒声と同時に、フロンティアの一部区画────ナスターシャのいるエリアが、打ち上げられた。ロケットミサイルのように放たれたソレは、凄まじい勢いで空へと昇り、月へと向かう。

 

 

「マム────マムッ!?」

 

「有史以来、数多の英雄が人類の完全支配を為し得なかったのは、人の数がその手に余るからだッ!だったら支配可能なまでに減らせばいいッ!月の落下は、手を汚す必要もないクリーンな手段!僕だからこそ気付いた必勝法ッ!────英雄に憧れるこの僕が!数多の英雄を越えてみせるッ!」

 

 

悲鳴を上げて呼び掛けるマリアを背に、ウェルは酔いしれるように叫ぶ。英雄への固執、ソレはどこまで独善的で、自分勝手なものであった。遂には人類を救うのではなく、減らすことで支配することまで画策し始めたウェル。ネフィリムの細胞を取り込んだことで、精神的にも聖遺物に引き寄せられたのか、あまりにもかつての彼が考えてるとは思えない破綻した思想と行動であった。

 

ナスターシャを空へと打ち上げられたマリアは、ナスターシャの死が完全に避けられないものだと悟る。理解したその瞬間、彼女は抑えきれない感情に支配され、槍を手にして立ち上がった。

 

 

「────ドクターッ!よくも、マムを!!」

 

「おいおい、手にかけるのか!フロンティアを動かせるのは、僕以外にはいない!この僕を殺すことは、全人類を殺すことだぞッ!」

 

「────それがどうしたッ!殺すッ!!」

 

「え、ええええええええッ!!?」

 

 

できっこない、と煽るように告げるウェルだったが、ナスターシャを殺されたようなものであるマリアには逆効果だった。大切な人を失った怒りと殺意のままに迫るマリアが本気だと悟り、情けない悲鳴をあげながらウェルはその身を庇おうとした。

 

────瞬間、マリアの掴む槍が何者かによって止められた。マリアと同じように、それよりも深い黒色のギアを纏う、青年の手によって。

 

 

「────間に合った………とは言えないな」

 

 

やっとブリッジへと突入した剣は、冷静に呟く。怯えるウェルを殺そうとするマリア、尋常ではない状況だったが、何があったのかはある程度理解した。

 

────ドクターがよほど警戒していたのか、フロンティアのブリッジに至る道は険しかった。無数に配置されたノイズの殆どは剣を足止めするようのものであり、至る所に自動防衛用のシステムも組み込まれていた。その全てを突破してきたわけだが。

 

 

「は、ははは────ハハハッ!よくやってくれましたよ無空剣!僕が死ぬことは、全人類の損失!世界を滅ぼすことと同義!だからこそ、マリアから僕を守るのは当然の────ぐげぶぉッ!!?」

 

「戯れるな、英雄未満の狂人」

 

 

この期に及んで煽り、調子に乗るウェルに冷たい目を向けた剣は一切の容赦なく殴り飛ばす。そのままマリアを押し返した剣は冷徹な雰囲気を身に纏い、ゆっくりと歩み寄る。

 

 

「こ、こんの────人に手を上げるなんてッ!暴力反対ですよッ!」

 

「無抵抗のマリアを殴った男が何を言う。自分はオーケーで他人は駄目とでも言う気か?英雄にしては器量が小さいな」

 

「ほざきなさい!無空剣!たとえシオン・フロウリングが居なくても僕にはまだソロモンの………杖が…………────あ、あれ?あれぇェッ!!?」

 

「大事に持っていた杖とは、これのことか」

 

 

好き勝手言いながらもソロモンの杖でノイズをけしかけようとしたドクターは懐をまさぐって、あるはずの物を必死に探す。だが何処にも見つからず困惑していると、呼び掛けた剣の方へ振り向く。彼の手には、先程までウェルの胸の中に隠していたソロモンの杖が握られていた。

 

 

「ど、泥棒ォ────ッ!人の物を勝手に盗るなんて、どんだけ手癖が悪いんですかァッ!!」

 

「お前に言われたくはない。元はと言えば、ソロモンの杖もネフィリムも盗品だろう。何を偉そうに」

 

ウェルの言い分に呆れてそう返す剣。クリスにこれ以上負い目や責任を背負わせるわけにもいかないので、最優先でソロモンの杖を回収しておいた。後は本人の身柄だけだ。

 

 

「────正直に言うと、お前には色々と思うところがあるだぞ。俺は」

 

「へ………?何です?いきなり」

 

「ノイズを使った暗躍の数々、それだけならば俺もそこまで敵意は無かった────だが、やり過ぎたな。お前のせいで響は何度傷付き、辛い目にあったか────それら含めて、思うところがある」

 

「────ひッ」

 

「見た所、フロンティアを操れるのはその腕だけだろう。一瞬でもあればお前の首を十回はねじ切れる。殺せないのならば、それ以外は出来ることも忘れるな」

 

「ひっ、ひぃいいいええええええええッ!!!」

 

 

一度殺す直線まで追い詰められたトラウマを想起させたのか、ウェルは腰を抜かして這いずるように階段を転げ落ちる。無空剣には勝てないと本能と経験から悟ったのか、ウェルはフロンティアの一部を操作して開けた穴から転げ落ちていく。

 

 

「チッ、逃げたか」

 

(とはいえ、ここまでは予定通り。後は座標を弦十郎さんに送っておけば勝手にひっ捕らえてくれるだろ)

 

舌打ちを吐き捨てながらも、内心では冷徹に思案する剣。ソロモンの杖を奪う際に殴り飛ばしたその時に発信機をウェルに取り付けている。その位置は既に弦十郎達に送信しているため、今の合間にも捕らえに向かっていることだろう。

 

敢えて逃がしたのは、情などではない。ネフィリムの力など無ければ殺すことすら思考に入れているレベルで、エリーシャの次に嫌いな相手でもある。そうまでして逃がしたのは、一対一で話し合う為である。

 

 

「邪魔をするな!無空剣ッ!」

 

「そういう訳にはいかない。お前に何があったのかまだ理解できていない」

 

「話すことも、理解し合う必要もないッ!マムはあの男に殺されたッ!だから私もヤツを殺すッ!」

 

「…………ナスターシャ教授が」

 

 

冷静に努め対話を望む剣に、マリアが敵意のままに叫ぶ。槍を握って告げる彼女の言葉に、剣は何があったのかは殆どを悟り、ナスターシャ教授────マリアにとって大切な人間の喪失を確信した。今の彼女は、捨て鉢になっているのだ。大切な人を守れず、目的を果たせず、自暴自棄になっているのだ。

 

 

「世界を守れず、役割も使命も果たせないッ!彼等に報いることが出来ないのならばッ!私も生きる意味なんてない────ッ!」

 

 

拒絶するように、マリアはガングニールの槍を振るう。突き立てるように放たれたその一撃に僅かに身構えた剣だったが、ふとその力を緩める。目を見開いたマリアの前で、ガングニールの槍先が剣の腹を突き刺した。

 

 

「────ぐッ」

 

「な、んで………避けないの………?貴方なら、それくらい出来たはず…………」

 

「────すまなかった。助けるだの言っていたのに、俺はやはり何も出来なかった。大事な時に間に合えなかった」

 

 

敢えてその身で受けるとは思わなかったのは慌てて駆け寄ったマリアが唖然としながら疑問を零す。ガングニールの槍を抜き、流れる血を止血しながら、剣はマリアに頭を下げる。自分がもっと早く来ていれば、間に合っていればよかった。にもかかわらず、何も出来なかったと。

 

 

「────気持ちは理解する。俺だって、多くの犠牲を背負ってきた。その中には、掛け替えのない存在もいた。家族のように、最も大切な片割れが、自らにとっての光を失ったあの感覚、胸の内に溢れる絶望や憎悪、激しい怒りや殺意は────並ならぬものだろう」

 

「…………」

 

「だが、それを理由にはさせない。お前が全てを諦め、失うことを認めていい理由にはさせる訳にはいかない。何より、お前はそうしてはいけない。マリア・カデンツァヴナ・イヴ────お前は、この道に進んではいけない」

 

怒りのままに、憎しみのままに槍を振るえば、衝動に身を任せてしまえば、きっと後悔する。一度でもそうなれば、後はもう戻れない。優しい彼女ならば耐えられない────怨嗟と修羅の道だ。

 

 

「それでも、立ち止まったとしても…………マムは、あの人は帰ってこない…………ッ」

 

「…………」

 

「あの人は、私の家族だったの。身寄りの無い私達を育ててくれて、今まで厳しく当たったのも全部私達の為だったのは分かってる。セレナを失って、マムも失った世界で、私は今までのように生きれられないッ!生きる意味を、持てないのよ………!」

 

「────切歌や調から、お前を助けてと頼まれた。あの二人がそう聞けば、きっと悲しむ」

 

「………あの子達が」

 

「二人の願いもあるが、俺がここに立つのはお前を助けたいという純粋な意志があるからだ。お前個人にも、私的な情を抱いてる」

 

 

膝を付いて涙を流すマリアの、怒りや憎しみを抑えたあとに出てくるのは、自らへの絶望と後悔。無力感に苛まれて自らの手を見下ろすマリアに、剣ら同じように膝を付いてその手の前に手を伸ばした。

 

 

「意味を持てないのなら、俺が手を差し伸べる。たとえ這ってでも、あの二人の元へ連れて帰る。もし世界や犠牲の全てを背負おうと言うのなら、俺が共に背負おう。お前にだけその重圧を背負わせ、放っておくわけにはいかないからな」

 

「………貴方は、どうして………そこまで────」

 

「お前の歌────その優しさに惚れ込んだ、と言うのは野暮か」

 

涙を拭ったマリアは差し出された剣の手をおずおずと見つめる。隻眼の瞳に映る揺るぎのない光に目を逸らしたマリアだったが、彼女は戸惑いながらその手を掴もうとゆっくりと伸ばす。その手を握ろうとしたその瞬間────彼女の真上に、光が瞬いた。

 

 

「────マリアッ!」

 

「きゃあぁッ!?」

 

 

咄嗟に剣が差し出した手を伸ばし、マリアの手首を掴む。勢いよく立ち上がらせた彼女を引き寄せ、剣は急いでその身を守ろうと庇う。直後、振り注いだ閃光が周囲を焼き払い、爆裂を引き起こした。

 

庇われたマリアは目を開き、思わず愕然とする。平然と自分を抱き抱える無空剣。彼の全身の至る所が熱で焼かれていた。即座に再生を始めるが、少なくとも無傷とも軽傷とも呼べるものではなかった。

 

 

「………無事か?マリア」

 

「わ、私は平気よ………でも、貴方の方が…………」

 

「これくらいは何ともない。それより、下がっていろ─────もういいだろ、いい加減出てきたらどうだ。如月刹那」

 

「────ふんッ」

 

 

上空から降りてきたのは、ロングコートの魔剣士 如月刹那。固有のアームドギアでもあるエクリプス・ビットを周囲に漂わせながら着地した刹那はつまらなさそうに見下ろしながら口を開く。

 

 

「感動的なショーをどうも────実にくだらなく、気分が悪いものだった」

 

「何故マリアを狙った。今の一撃、殺す気だったな」

 

「戦場で戦意を失う者など、俺には知ったことか。ましてや戦うことも出来ん、仇もマトモに取れない弱者なぞ────殺してやるのが慈悲だろう?」

 

戦意喪失したようなマリアに、刹那は侮蔑の眼差しを向けて吐き捨てる。彼女にそこまでの感情を向けるのは、誰かと重ねているせいに見えるのは気の所為だろうか。敵意を向けられるマリアを背に庇いながら、剣は刹那と睨み合う。

 

 

「今更になって動いたのは、何が目的だ?目的があるのなら隠れてやると思っていたが」

 

「もう叶ったようなものだ。後は消化試合────その前に、お前とは決着をつけておこうと思ってなぁ。序列三位」

 

「………そういうことか。俺を倒し、お前が序列に成り上がるのが狙いか?」

 

「『魔剣計画』の定めた数値などどうでもいい。俺の望むのは、全てを覆すほどの圧倒的な力────俺の力が最強に届くならば、それで構わん。元より、俺の野望を叶えるには、お前を超える必要があるからな」

 

「────マリア、自分の身は守れ。俺も、守り切れる自信はない」

 

そう言って、剣はマリアから離れて歩み出す。互いの顔を睨み、見据える魔剣士二人。彼等は互いに横に歩き始めながら、語り出す。

 

 

「安心しろ、後ろの雑魚には手を出さん。俺が望むのは、正面からお前を超えること。それだけだ」

 

「────安堵した。ならば勝率も見えてくる」

 

「ハッ、余裕か?序列三位。お前は今まで俺と対峙したことは無いはずだ。完全聖遺物を取り込み、適応したこの如月刹那は最早四位の枠組みを超克している────かつての数値ならば、お前以上の強さになっている」

 

「数値を当てにしないと言ったのはお前だろう。魔剣士のナンバーはあくまでも奴等の決めた表面上の数値。魔剣士の戦いは順位で決まるものではない────より強い者が、必然的に勝つ者が上に位置する。それだけの話だ」

 

「────それもそうだな。ならば御託を抜きにして、殺し合おうッ!序列三位、無空剣ッ!」

 

「────来い、如月刹那」

 

 

両手を広げる刹那と、両腕を構え腰を深く落とした剣が睨み合う。二人はすぐには動かない。不動を貫く彼等の合間には不可視のプレッシャーが生じており、僅かな変化に反応して戦いの火蓋が切れれるのは明白だった。

 

その光景に、マリアは息を呑み込む。二人が互いに向け合うのは、今まで以上の鋭く研ぎ澄まされた殺意。戦う為に、全ての思考と感情、意識を削ぎ落とした究極の戦意の形。ソレは見たこともないほど凍りついたものであり、ギアを纏うはずのマリアも生きた心地がしなかった。

 

そんな彼女の頬を冷や汗が伝う。下手に声を出せば、それだけで巻き込まれかねない喉が、呼吸をすることすら忘れる。そんな彼女の頬から落ちた汗が地面に落ちた────その瞬間。

 

 

世界が、ヒビ割れた。

そう思わせるような衝突が巻き起こる。漆黒のギアをその身に纏う無空剣とビットを操る如月刹那。世界に中継されたフロンティアにて、上位に位置する二人の魔剣士による本気の戦いが幕を開けた。




今回は割と話的にも多めでした。まあシオン撃破とマリア説得、刹那との戦いの始まりとか濃すぎる内容ではありますので。

因みに全国中継されてます()剣がマリアにやってることも普通に中継されてます。今後関係とか囁かれてもおかしくはないよね、身を挺して庇ってるし。

てかドクターの変貌ってネフィリムの細胞取り込んで感情の抑えが効かなくなってるとか無いかね…………いや、元から可笑しかったか(誤認)


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