戦姫絶唱シンフォギア 神装魔剣   作:虚無の魔術師

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私は一旦筆を折る


星の墜ちた時

かつて無空剣達のいた世界にあった一部の国家、アルワーデル紛争地帯は内乱による長期的な戦争が繰り返された元国家の地域であった。

 

各勢力の代表を騙る者たちが戦争を繰り返し、それを理由に紛争地帯内の民間人を虐殺するなどの戦争犯罪行為が多く、逃げ隠れる彼等を追い回す兵士達もいるくらい、凄惨な地獄であった。

 

かつて如月刹那と名乗る少年────『セツナ』はその戦争犯罪からより多くの人々を救う組織、『星の歌』のメンバーとして活動していた。そして、アルワーデル紛争地帯に訪れた彼等は、今までと同じように人々を救う為に戦っていた。

 

だが、その日は、その日だけは違った。

『星の歌』が知らなかったのは、その戦争が敢えて仕組まれたもなであったこと。自分達に救援を依頼した人間達と他の勢力によって仕込まれた惨劇であったこと。

 

自分達を含めた殆どの生存者を虐殺する────『アルワーデル虐殺作戦』が展開されていたことも、それを実行するのが一人の魔剣士であったことも、彼等は知る由もなかった。

 

 

◇◆◇

 

「リセリア様!皆!やっぱり何処を探しても生存者は見つからないよ!」

 

「本当か!?よく探せ!地下シェルターだの何だのあるだろ!」

 

「やってるよダグマ!それでも見つからないから、言ってるの!だって可笑しいじゃん!これだけやっても、センサーにも反応が映らないんだよっ!?」

 

 

アルワーデル紛争地帯。

戦争の痕跡で廃墟群と化したその一帯は妙に静かだった。その地区にいる生存者が軍に追われているから保護して欲しい、匿名の報告が来た彼らは急いでその現場に向かったが、人の気配はおろか、生存者すら見つからない様子だった。

 

苛立たしそうに吐き捨てるダグマに、センサーを運ぶ少女が言い返した。ジャミングの反応もないはずなのに、反応すら感知できないのは可笑しい。

 

それをリーダーである彼女も薄々と感じていたらしい。雪のように白い髪の少女、リセリアは険しい顔で何処かを睨んでいた。

 

 

「……………何か、可笑しい」

 

「………リセリア?」

 

「────セツナ、匿名の通信先を逆探知して。私達、もしかして嵌められたのかも────」

 

 

「──────御名答………にしては、少し手遅れだな」

 

 

リセリアの指示を受けたセツナが装置に手を伸ばそうとしたその瞬間、厳かな声が振り注いだ。直後、彼等の眼前に、一つの塊が飛来した。音速の勢いで地面に叩きつけられたのは、白銀の大剣。厳かな装飾で象られたソレは人の作れるものではない芸術品であると同時に、血を纏う殺意の濃さを感じさせた。

 

そして、砂煙の向こうから伸びた手が大剣を掴む。2メートル以上の巨剣を軽々と持ち上げたのは、銀髪の魔剣士。全身を鎧と装甲で纏ったその青年は、鋭さすら感じられる眼差しで、『星の歌』を見下ろす。

 

 

「────『星の歌』だな。身の丈に合わず、人助けに明け暮れる連中とは聞く。運がないな、俺に、奴等に目を付けられるとは」

 

「白銀の大剣を使う魔剣士………まさか、『セカンド』ッ!?序列二位の魔剣士が何故ここに!?」

 

「…………如何にも俺は序列二位セカンド、名をロード。今回は訳あってこの作戦に参加している」

 

 

序列二位『セカンド』、魔剣計画が生み出した魔剣士達────その中でも二番目に位置する最強の一人。その姿を実際に見た者は少なく、ある者は少女と言うこともあれば、ある者は人間ですらないと言っていた。そんな魔剣士が、何故ここにいるのか。

 

 

「生存者の話は嘘ではない。現に奴等は、少し前までは此処にいた」

 

「ッ!なら彼等は何処に────」

 

「殲滅した。そういう指令だ」

 

 

淡々と、顔色も変えずに民間人の虐殺を示唆するセカンドに、全員の顔が凍りついた。顔を強張らせ、険しく表情を曇らせたリセリアが愛用の銃を握る。人を撃つためではなく、武器を撃つための武器を握った少女を見据え、セカンドは告げる。

 

 

「そして、お前達もその標的だ」

 

「っ、それはどういうこと!?」

 

「『星の歌』、リセリア・オールスファルツ含む少年兵全て────『魔剣計画』から駆除命令が出ている。そういうことだ、皆殺しにするが構わないな?」

 

 

宣告と同時に、白銀の魔剣士が動いた。

力なく垂れた腕から放たれる────瞬速の斬撃。物を斬るというよりも、世界を両断すると思わせたその一撃は、その場にいた『星の歌』────その一員である少年達、非戦闘員の彼等へと向けられた。

 

 

「っ!ダメ!逃げて!」

 

「え────?」

 

 

唖然と、セツナは目を剥く。

何が起こったのか、自分が狙われたことすらも、彼には分からなかった。近くにいた少女が、戦車砲すら防ぐ盾を手にした少女がセツナを突き飛ばす。

 

その少女が、その一振りの前に────割れた。たった一振りの斬撃の波動を浴びて、真っ二つに吹き飛んだ。

 

 

「え………あ…………えっ?」

 

「サーシャ!?サーシャぁッ!!」

 

 

目の前で血を浴びたセツナは戸惑うことしかできない。人間の、死に方ですらない。あまりにも埒外、規格外な事実に、脳が処理しきれず硬直する。尻餅をついて動けないセツナを、幼馴染の少女が手繰り寄せる。

 

 

「セツナ!止まんなぁッ!!」

 

「り、リィン………サーシャが、殺され………?」

 

 

セツナを引っ張ったリィンが重機関銃による掃射を浴びせる。放たれる口径の大きい弾丸の雨は普通であれば戦車すらブチ抜ける威力である。しかし、セカンドは避けることすらしなかった。

 

 

「────一人、次は………二人」

 

 

大剣を引きずり、セカンドはゆっくりと歩み寄る。リィンの銃弾の雨を直撃しているにも関わらず、ダメージすらない。その身で鋼弾を受け止めながら近付くセカンドの姿は、あまりにも人間離れしている。

 

 

「リィン!ここは私達が!」

 

「────アンネ!フェレット!ダメ、逃げて!」

 

「よくもサーシャをッ!吹き飛べ、魔剣士!」

 

 

不殺を貫く『星の歌』とはいえ、武力介入を出来る実力はあるのは確かである。大型のボウガンを構えるアンネにロケットランチャーを装填するフェレットの二人が、セカンドを止めに動く。

 

当のセカンドがつまらなさそうに目だけを向けると、アンネがボウガンから鋭い矢を放つ。銃弾よりも太い鋼鉄の矢、弾丸と同じ速度で放たれたその矢は────セカンドの額に弾かれた。

 

 

「なッ!?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「その程度の鈍らでは、俺に傷一つ与えられん────試してみるがいい」

 

「っ!バカにしてぇ!!」

 

額に落ちた矢を無造作に放り投げ、開いた掌でクイクイ、と誘うような態度を見せるセカンドに少女達はロケットランチャーを叩き込んだ。しかし迫りくるロケット弾を、セカンドは斬るのですらなく、その手で掴み取った。

 

 

「────えッ?」

 

 

そして、ロケットランチャーを放った少女へと、投擲。鋭く尖った機部で胴体を抉られ、アンネはその瞬間に絶命する。それと同時に、ミサイルが爆裂する。それは至近距離で彼女と共闘していたフェレットも巻き込むものであった。

 

 

「ああああああああッッ!!?痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ!目が、目がぁあああああああッ!!?」

 

 

爆発を直に受けたフェレットは破片によって顔を抉られ、目を潰されてしまっていた。その場で悶え苦しむ少女に近付いたセカンドは転がる少女に目掛けて大剣を振るい、一撃で仕留める。

 

 

「二人、三人……………あと八人か」

 

「り、リーダー!撤退しないと!このままじゃ僕達────────リーダー?」

 

 

血に塗れたセカンドの姿に畏怖と絶望に呑まれかけたセツナは、咄嗟にリセリアを呼ぶ。彼女がいれば、この絶望的な状況だって切り抜けられる。そう思って振り向いたセツナの前で────リセリアは血を吹いて倒れていた。

 

 

「リーダー!?リーダーっ!リセリア!」

 

(これは、フェレットの矢!?まさかさっき────壁に反射させてリーダーを狙ったのか!?)

 

セカンドが放り捨てたはずの矢が、リセリアの胸を貫いていた。セツナはそれが意図して反射させたものだと知り、理解不能な事実に襲われる。あまりにも、規格外過ぎる。

 

 

「リィン!ダグマ!リーダーが、リセリアが肺をやられてるっ!このままじゃあリーダーが────リーダーが死んじゃうッ!!」

 

「ッ!?聞いたか!全員散れ────たとえ死んでも、リセリアだけは殺させるなッ!」

 

 

グレネードランチャーを構えたタグマが、空へと複数の砲弾を撃ち出す。煙を伴う弾丸は周囲の視界を霧へと様変わりさせ、『星の歌』のメンバー達は皆等しく、散り散りに逃れていく。

 

 

「敢えて分散するか。リーダーを生かすために────良いだろう。一人ずつ、容赦も慈悲もなく殺してやろう」

 

 

霧の漂う廃墟の中、セカンドは一つ一つの反応を探し出していく。そこに隠れ、戦おうとする少年少女達を、セカンドは一切の慈悲も見せず、淡々と殺して回った。

 

 

『っ!くそ!くそぉ!クソぉおおおおおおッ!!』

 

『い、いや!来ないで!近付かないでよぉッ!』

 

『パパ、ママ!助けてッ!助けてぇえええええっ!!』

 

『フェイ!カナタ!ミリアム!────クソ魔剣士が!コイツで踏み潰して────』

 

 

近接戦による対人の無力化を得意とするフェイは手足を切り落とされた上で真っ二つにされた。そんな手遅れなフェイを助けようと庇った非戦闘員のカナタが震える手で銃を構えるが、セカンドはそれごと斬り伏せる。絶望のあまり抵抗の余地も失い泣き叫び助けを乞う少女すらも、セカンドは感情も見せずに斬り潰す。

 

遂に反撃に出た青年も、乗っていた戦車ごと斬り殺されて死んだ。その声を聞いていた瓦礫の中からセツナは絶望と恐怖に歪んだ顔で、リセリアの胸に包帯を巻いていた。

 

 

「リセリアは、どう?」

 

「………あくまで、緊急治療…………肺を破られてるから、このまま治療しないと…………」

 

「そうか────おい、セツナ」

 

 

短く瞠目したダグマが装備を備えながら、セツナの名を呼ぶ。驚いて顔を上げた彼に、ダグマは衝撃的な事を告げた。

 

 

「リセリアを連れて逃げろ。この場は俺達が引き受ける」

 

「…………え?」

 

「どのみち、リセリアが生き残るにはそれしかない。たとえ我等が死のうとも、リセリアさえ生き残れば正義の意志は消えない。もとより、その覚悟は前々からしていた」

 

「────いつか死ぬと思ってたけど、リーダーと友人を守れるなら有意義な死、よね。リセリアがよく言ってたわ。自分の後継になれるのは、セツナ────貴方だって」

 

 

押し黙るセツナは、それしかないと理解していた。

だがそれでも、それだけは認めたくなかった。それはつまり、仲間を見殺しということだ。自分はそのために、正義を信じたわけではないのだ。

 

 

「リィン!ダグマ!────僕はっ!」

 

「早く行け足手まとい!既に皆やられた!セカンドはこれから俺達の反応を狙い殺しに来る!リセリアを連れて、共に逃げろ!生涯ずっと、彼女の為に尽くせ!────弱い貴様には、それがお似合いだ!精々生き延びろッ!!」

 

いつものように厳しい声で怒鳴ったダグマに、セツナは言葉を飲み込み、リセリアを背負って走り出す。その背中が見えなくなる直前まで見つめた二人は、不意に微笑んだ。

 

 

「────行け、何処までも遠く」

 

「────託したわよ、セツナ」

 

 

それから数分後────激しい戦闘と爆炎の中から歩き出したセカンドは目を細める。血に塗れた白銀の剣は、その場にいた二人の少年少女────ダグマとリィンを殺し終えた後であった。

 

 

「これで、八、九…………あと二人が消えたな。いや、リーダーを逃がしたか────────成程、そこか」

 

 

◇◆◇

 

「はッ………はッ、はッ………!」

 

 

燃え盛る世界を駆け抜ける少年。セツナは敬愛するリーダーの少女を背負いながらひたすら走っていた。その目に涙を込めたセツナは泣くことを抑えきれず、嗚咽を漏らしながら走り続ける。

 

 

(なんで、何で!?僕達が、何をしたっていうんだ!?僕達は、ただ傷付く人達を守ってきただけだ!殺される理由も、謂れなんてないはずだっ!それなのに、どうして皆が、あんな目に遭わなきゃいけないんだ!?)

 

「────ぼくが、よわいから?」

 

 

ポツリと出た言葉は、セツナの心に巣食っていた負の感情から漏れたものであった。ずっと、力のないことを悔やんでいた、戦う力を欲していたセツナの、自分自身への、弱い自分への僻んだ感情が、少しずつ増幅して、漏れ出していく。

 

 

「僕が、もっと強ければ………僕に力があれば、皆死なずに済んだのに…………僕だけが、逃げなくても済んだのに…………皆を、置いていかずに済んだのに…………僕に、力が」

 

「────ぅよ………違うよ、セツナ」

 

「っ!?リセリア!ダメだ!傷がまだ────」

 

「誰も、悪くない………皆も、貴方も…………貴方のせいじゃないの、セツナ………」

 

 

呼吸するだけでも苦痛だろうに、リセリアは穏やかに笑いかけた。しかし、その瞬間。走っていたセツナの真横を斬撃という名の衝撃波が伝う。反動で吹き飛ばされたセツナは、リセリアと共に地面を転がる。身体を上げたセツナが見たのは、絶望だった。

 

 

「セカ、ンド………」

 

「二人、これで最後か。言ったはずだろう、全員殺すと。囮を使えば逃げられるとでも本気で思ったのか」

 

「リィンは、ダグマは────あの二人はッ!?」

 

「無駄死だったな」

 

 

平然と告げるセカンドの言葉で、二人の死を悟ったセツナ。あらゆる感情が脳を、全身を渦巻く。目の前の敵への激しい怒りと憎悪、不条理を押しつける世界への恨み────それ以上の、リセリアを守るという強い意志が、セツナを突き動かした。

 

 

「リセリア────っ?」

 

 

しかし、思うように動けず困惑する刹那。立ち上がろうとしても足に力が入らないことに気付いてようやく彼は自らの足を見た────先程の斬撃の余波で異様に折れ曲がった両脚を。肉や皮を破って、骨が突き出た自らの脚を見たその瞬間、セツナの意識を激痛が襲う。

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああッッ!!?」

 

「これ以上逃げ回られても困る。そこの瀕死のやつより先に、楽にしてやろう」

 

 

セカンドが敢えてセツナを狙ったのは、まだ身動きできる余裕があるからだろう。大剣を手に、セカンドはセツナにトドメを刺そうとゆっくりと歩み寄る。しかしその瞬間、セカンドは歩みを止めた。

 

 

「────♪────♪」

 

「歌?………そうか、あの女か」

 

「リセ、リア?………な、なんで………?」

 

か細い歌声が、その場に響く。

その歌は、瀕死であるはずのリセリアの口から漏れていた。必死に立ち上がった彼女は、いつも歌っていたその歌を血を吐きながら歌い続けていた。

 

困惑するセツナを余所に、セカンドは目を細める。訝しげだった魔剣士の瞳は、瀕死のリセリアの意図を読み取り、呆れたように肩を竦めた。

 

 

「そうか。それが貴様の意思か」

 

「────♪」

 

「良いだろう。ならば望み通り、貴様から殺してやる」

 

「────待て、止めろ」

 

 

あと少しまで近付いたセツナに、背を向けるセカンド。彼が何をするのか理解したセツナは地を這いながら震えた声を上げる。その瞬間、セツナは全力で叫び、声を荒らげた。

 

 

「止めろ!僕を殺せ!僕から殺せよ!彼女には手を出すな!リセリア!リーダー!逃げて!お願い、早く逃げて!僕が引きつけるから!!」

 

 

リセリアを殺そうとするセカンドに、その場に佇むリセリアにセツナは泣き叫ぶ。止めなければならない、という強い決意だけがセツナの心を支配していた。皆に託されたのだ、必ずリセリアを守ると。

 

彼女を殺させては────絶対にならない。理解したセツナが血反吐と共に吼える。地面を掻きむしり、近付こうとする彼を余所に、セカンドはリセリアの元へと歩み寄ってゆく。

 

 

「此方を向けよ魔剣士!僕が相手だ!僕からやれ!リセリアに手を出すな!そんなことしたら、絶対に許さないっ!いいか!許さないぞ!!絶対にだぁッ!!」

 

「────」

 

「やめろ!やめろ────やめて!お願いします!やめてください!もうこれ以上!僕から奪わないでください!その人は、僕の光なんです!!僕の星なんです!!だからやめて!お願いしますッ!!」

 

 

敵意、殺意の滲んだ怒号から、遂に懇願に変わる。

頭を打ち付けて必死に頼み込むセツナを背に、セカンドはリセリアに大剣を振るった。少女の身体が、吹き飛ぶ。近くの壁に叩きつけられたリセリアは自らの流した血の池の中で転がり、その目がセツナと合う。

 

 

「やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろッ!!嫌だッ!リセリアぁぁあぁぁぁぁああああッ!!!」

 

「────せつ、な」

 

 

縋るように叫ぶセツナに、リセリアは穏やかに笑う。安心させるように微笑む少女の前に、セカンドは辿り着く。その手に握る巨大な大剣を振り上げた魔剣士の前で、リセリアはセツナを見据えたまま口を開いた。

 

 

「────────」

 

「やめろォぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!!」

 

 

少年の慟哭も虚しく────その場に血の華が咲いた。肉を切り潰した白銀の剣を持ち上げ、セカンドはその血を払う。そして無機質な目を向け、セツナを見やる。

 

 

「ぅ、ぅううううううッ、ああああぁぁぁぁぁああああ……………ッ」

 

その光景に、セツナは頭を抱えて地面に打ち付け続ける。守れなかった、助けられなかった。よりによって、それが大切な人であったのだ。セツナの絶望は深く、無力感を胸に秘めていた少年の心を完全に打ち砕くのには充分過ぎた。

 

 

「……………なんで、だ」

 

 

不意に、歩き出したセカンドの足音で、彼もその存在を思い出したらしい。彼と共に暮らしてきた仲間達なら、それが有り得ない言葉であるとすぐに分かったはずだ。その優しさから、武器を持てず、殺意すら抱けなかった少年から吐き出される、ドス黒い殺意と憎悪。

 

────キッ、と涙に濡れた顔を上げたセツナが吼える。脚を潰されながらも、少年は自らに近付く魔剣士への恨みと憎悪のままに怨嗟を吐き続けた。

 

 

「なんでリセリアを、僕達を殺すんだっ!?僕達が何をした!?こんなこと、されるような事をした訳ないッ!お前等はなんで、こんなことが出来るんだよおッ!?」

 

「────お前達が、弱いからだ」

 

 

そんなセツナの怨恨を、セカンドは容易く切って捨てた。心の底から見下し、嘲るように、セカンドは淡々と吐き捨てる。

 

 

「弱いクセに、戦場に出てきた。弱いクセに、他者を助けようとした。弱いクセに────夢を、見た。だから、お前達は殺される────リセリアも、リィンとダグマと言ってた連中も、弱かったから死んだ。ましてや、リーダーを守る最後の一人がこの始末だ。無駄死をした、とは思わんか?」

 

「────ころしてやる、殺してやる!殺してやるッ!お前は、お前だけは!お前だけはぁッ!!」

 

「…………では、お前もその無駄死にの一つなるといい」

 

憎悪に染まる怒号を響かせるセツナに、セカンドは白銀の大剣を振りかぶる。その一振りで、セツナの頭を叩き潰さんとしたセカンドであったが────不意に、その動きを止めた。

 

 

「────…………コクマー、俺に何の用────なに

?コイツが?………良いだろう、了解した」

 

何らかの通信を受けたのか、セカンドは虚空に向かって頷き、静かに瞠目した。叩き付けんとした大剣を下ろしたかと思えば、セカンドはセツナの首元に注射器を突き立てた。

 

 

「何故、だ…………何故、僕を、殺さない………ッ!?」

 

「魔剣計画は、お前を有用と判断した。お前に適合する魔剣………いや、聖剣がデータバンクに存在していたと言う。しかし聖剣とは………これも因果か」

 

 

出血を抑え、敢えて生存を維持する為の液剤を打ち込まれたセツナは、辛うじて生き残れるようになっている。それは、戦場で居残ったセツナを回収するという魔剣計画の意向によるものだ。

 

悔しそうに、殺意の籠もった眼を向けるセツナを見下ろしたセカンドは、彼の元に膝をつく。そして冷たい眼差しから、一言。

 

 

「────()()()()()()()

 

「………………は?」

 

「お前はアレらの中で最も弱かったが、その運の良さに救われた。その幸運を噛み締めて生き残るがいい────自らの力の無さを、呪いながら」

 

 

セカンドが告げた言葉は、セツナの心に残っていた価値観を歪めるに相応しかった。最も弱い自分が、運の良さに恵まれた。その運に感謝しろ、と。皆が死んだのに、自分だけが生き延びたことに、安堵しろと言ったのだ。

 

その瞳に血を滲ませ、セツナは叫ぶ。最後の最後まで、戦場から去るセカンドの背中に、忘れることのない怨嗟を吠え続けた。

 

 

「殺してやる!お前は、お前だけは殺してやるッ!絶対に、僕が────俺が殺してやる!お前の全てを、この手で奪い尽くしてやる!セカンドォ!!」

 

 

それから数十分後、延命されたセツナは魔剣計画に確保され、魔剣士へと改造された。その間際、彼を回収した者達は口々に呟いたと言う。怒りと憎悪から、爪が割れて裂けるまでに地面を掻きむしり、変容した少年の姿は────かつての情報とは見違えるほどであったと。

 

そしてソレは、彼が魔剣士────如月刹那と名乗ってからも、同じ事であった。以降、彼は貪欲なまでに強さを欲するようなったのだった。

 

◇◆◇

 

そして、現在。

フロンティアのブリッジの上空に浮かぶ如月刹那は、自らの手を見下ろしていた。

 

 

「────不思議な感覚だ、今の俺と思えないくらい…………全能感が溢れる。

 

 

 

 

だが…………何か、足りない。何だ?俺は、何を欲している?」

 

 

彼が望んだ力であるはずだった。

しかし、望んだはずの力を得ても、喜びよりも空虚な隙間が心に在った。確かに、あるはずだ。だがどうやって、思い浮かばない。自分はそれを知っているかもしれないのに、何かノイズが走る。

 

 

「…………マリア、ギアを纏えるか」

 

「………え、えぇ。LINKERでの時限式だけど、多少は貴方の力に────」

 

「────俺が時間を稼ぐ。お前は急いでここから離れろ」

 

 

その状況を見つめていたマリアと剣。傍らの彼女に剣が告げたのは、自分を囮にして撤退しろと言うのだ。無論、そんなことに納得するマリアではない。

 

 

「ッ!私に逃げろと、言うの!?仮にも私、フィーネを名乗った身!戦いの果てで死ぬことに恐れは────ッ!」

 

「お前だって分かるはずだ………!今の刹那は、ヤバい。アレは炉心だ。フロンティアと同化した奴に、生半可では勝てない!だからまずは────」

 

「────まずは、この力を試すとしよう」

 

 

不意に響いたその声と同時に、光が煌めく。

迫り過ぎる光速に二人が反応するよりも早く────無空剣の腕が飛ぶ。肩から両断された片腕が、宙を舞う。その事実に痛みよりも先に、剣は戦闘態勢へと移行する。

 

 

「────逃げろッ!マリアぁッ!」

 

「まずは小手調べ。世界を救うこの力────精々簡単には倒れるなよ」

 

 

武装を展開し、最大限の攻撃姿勢に構える無空剣。序列三位の殺気立つ姿に恐れを抱くこともなく、刹那は両手を広げる。世界を抱き込むように振るわれたその手に呼応するように、背中の円陣状に展開される十本の星剣が回転する。

 

 

「────デュランダル・エクリプス」

 

そして、高速回転する円陣から無数の星剣が解き放たれる。十、百、千、放たれる無数の星剣が────空を覆い尽くしていく。ただの剣ではなく、全てが完全聖遺物の出力を有した────飛翔する星光である。

 

腰を低く落とした無空剣が、地面から飛び立つ。音速の黒閃となった魔剣士に、無数の剣の嵐が襲い掛かる。人塊となった聖剣の奔流が、空中を飛ぶ無空剣を狙い追尾していく。

 

 

「ぐッ、うううう────ッ!?」

 

(この剣っ、1本1本がデュランダルのソレだ!?この数全て、マトモに受ければ俺の全身も引き裂かれるッ)

 

「────ならばこそッ!接近戦でぇッ!!」

 

 

閃光の嵐を潜り抜け、無空剣は空中に浮かぶ如月刹那へと一気に距離を詰める。神のようにその空間に位置する如月刹那は身動きもせず────無数の星剣によって、無空剣を阻む。障壁のように、自動展開した剣の壁で。

 

 

「ッ!意識外の攻撃すらもッ!?」

 

「…………無駄な事を。今の俺には何もかも、思うがままなんだよねぇ────ッ!!」

 

 

そして、再度回転する十本の星剣が停止したかと思えば、クルリと回転して剣先を向ける。そこから放たれる、高出力の閃光の雨。片腕の防御装甲を展開した剣であるが、その熱量に装甲を焼かれながらも距離を保つ。

 

 

「あくまで耐えるか────だが、収束した光の前には!意味を成さんなぁッ!!」

 

 

光輪に展開された聖剣の光線が収束され、一筋の光へとなる。その光の、圧倒的なエネルギーの奔流に、剣は遂に耐えきれずに押し返される。フロンティアの一部区画を焼き払い、熱による破壊で消し飛ばしていく。刹那はそれを見下ろし、不適にほくそ笑む。

 

 

「そうだ────これだ。これが俺の求めたものだ」

 

 

その光景を、破壊されたフロンティアの一角を目の当たりにした刹那は、嬉々として笑う。何を求めていたか分からない彼であったが、溢れ出る力に身を支配された魔剣士は心の底から喜びと興奮に身を委ね、叫んだ。

 

 

「あらゆる敵を打ち倒し、ただひたすらに勝利を得る!全てを手に入れるこの絶対的なる力!────これこそが!俺の求めていたものなんだぁッ!!アッハハハ、ハーッハハハーッ!!ハハハ────ガッ!!?」

 

「────…………そんなもの、俺達の求めた力ではない」

 

 

そんな刹那の首を、漆黒の刀身が貫いた。

鮮血が宙を舞い、世界に支配する勢いで飛び回っていた星剣がピタリと停止して、消滅する。背後から飛び掛かった無空剣、彼によって突き立てられた魔剣の一撃は必殺の不意打ちであった。

 

 

「力に溺れ、酔い痴れたな、如月刹那。かつてのお前も、求めた力は────誰かを救う為のものだったはずだ」

 

「無空、剣ッ………!ぎ、ざ………ま────」

 

「それ以上お前に勝手はさせない────悪いが一撃で決めるぞ」

 

「ォ、グ………バッ────」

 

 

放たれる、魔剣絶技。溢れ出るエネルギーを収束させて纏う斬撃は、刹那の首を切り裂き、そのエネルギーのままに消し飛ばす。頭を失った如月刹那の肉体はそのまま落下していき、フロンティアの地へと墜落していく。

 

 

「………はぁッ、はぁ………ッ。流石に、片腕を斬られたのはキツかったな」

 

「貴方、腕が斬られたのに………平気なの?」

 

「まぁ、魔剣士だしな…………斬られた腕、持っててくれたんだな。ありがとう、マリア。お陰で接合するだけで済む。

 

 

 

早く離れるぞ。刹那が死んだ以上、フロンティアも制御が利かなくなる。このまま墜落に巻き込まれる前に退避────をッ」

 

 

その場で動けずにいたマリア、剣の右腕を大事に抱えていた彼女を起き上がらせた剣が共に避難しようと促す。その瞬間、閃光を纏う星剣が、剣の胸を貫いた。

 

肉を、骨を、装甲を穿つ一撃。思わず血の飛沫を吐いて崩れ落ちる無空剣。明らかに致命傷であるのは間違いなかった。ゆっくりと振り向いて顔を上げた剣と、見上げたマリアが絶句する。

 

 

そこに居たのは、頭を失った如月刹那。死んでいなければならない魔剣士が、そこに居たのだ。その断面に光の線が伸びていったかと思えば、一瞬にして刹那の頭部が再構築される。

 

 

「────あァ、気分が良い。本当に、良い気分だぁ」

 

「嘘、だろ………頭を、潰した。生命反応の消失を、確認した!頭部を失って、生きていられるはずが………」

 

「────そう。これこそが、神の力。俺の求めた、圧倒的にして究極なる力!この力では、序列三位と言えど!有象に等しい!!」

 

 

デュランダルによる底上げされた再生能力。それはフロンティアとネフィリムに同化したことで、更に超常的なものへと変化した。死しても尚、完全な状態となって蘇る不滅の存在へと。

 

 

「ッ!疾走(はし)れェ!!『魔剣双(ガードラッ)────」

 

「────くだらない」

 

 

星剣に体を貫かれた状態でも、剣は戦うことは止めなかった。両肩に展開したブースター兼インコムの魔剣を解き放とうとする前に、刹那が手を振るう。それだけで、全てが終わる。

 

────無数の星剣が、剣の全身を串刺しにした。抵抗も、反抗も許さぬ圧倒的な力と破壊の奔流を以てして。

 

 

「ご、ォおェ────ッ」

 

「いくら魔剣士と言えど、これだけの傷は耐えられん。違うか?」

 

手足含めた全身を星剣に刺し貫かれた剣は、今度こそ吐血してしまう。その血の量は今までの深手以上であり、明確に彼が追い込まれている事実を意味している。フラフラとよろける無空剣、足場が崩れたその場でよろけた彼は、宙へとその身を投げ出される。

 

 

「────墜ちろ、序列三位。天たる頂、最強の名は、この俺のものだ」

 

「無空剣────ッ!」

 

「マ、リア────逃、げ────」

 

 

そんな剣に手を伸ばすマリア、血に塗れた剣がマリアに呼び掛けたその瞬間、空中にて無数の星剣が剣にトドメを刺した。ピクリと動きがなくなった剣はそのまま空中へと身を投げ出され、海へと落ちていく。

 

唖然とするマリアの視線の先で、水飛沫が上がる。無空剣、その敗北と死を誰もが実感するしかなかった。中継されたその景色の中、この世界を救った英雄を殺した如月刹那は、ただ嬉しそうに笑い続けていた。

 

 

「────フハハハハハハッ!!これだ!これこそが、俺の力!理解したぞ!足りないのは、満ち足りてないのは、俺の力がまだ不完全だからだ!もっと上手く、適応させれば!俺の力は────世界すら凌駕する!!」

 

「そうだなぁ!折角だ!この力を、世界に知らしめよう!!月を落とし、俺の望むように剪定しよう!弱肉強食、力が物を言う真理の世界を!!弱く強くあろうとはしない奴は死に、強者だけが何もかもを手に入れるこの世界をッ!!」

 

「────そんな世界、誰が幸せだと言うの?」

 

 

高らかと、狂ったように笑う刹那の思考はあまりにも歪んでいる。かつての彼の理想を、異常なまでに狂わせたその野望に、マリアは否定を示すように告げる。あ?と気分を害されたと言わんばかりに不愉快そうに眉を顰める刹那に、マリアは顔を上げて問い掛けた。

 

 

「自分だけが強くあり、他人を傷付けてまで全てを手に入れれる…………そんな世界に、笑顔はあるの?そこに、皆の幸せはあるというの?」

 

「────必要か?弱者の笑顔など、弱い奴等の幸せなど」

 

 

マリアの疑問、問い掛けによって生じたのは刹那の遥かなる過去。彼にとって最も大切であったはずの、助け合いの記憶────それを刹那は、切って捨てた。心の底からの侮蔑と嘲笑を込めて、彼はあらゆる弱者を嫌悪している。かつての、自分すらも。

 

 

「ふんッ、戦意を失ったか。悪いが俺は、戦う意思も変える意思も持たぬ者────弱い奴を生かす価値を感じない。お前もそうだ。今も尚、苦難に絶望し、打ちひしがれるだけの憐れな女。せめてこの場で死に、世界に弱肉強食の理を示せ」

 

 

立ち上がれず、膝をつくマリアに刹那は冷たく一瞥に終わる。代わりに浮遊する星剣が、マリアに向けて放たれる。その一振りが少女の命を絶たんとした────その時。

 

 

「────待ってくださいッ!」

 

「…………」

 

「ッ!?立花、響っ!?」

 

 

迫り来る聖剣の一撃の前に、一人の少女が立ち塞がる。

立花響、ギアを失い、戦う力を失っても尚戦場に立つことを選んだ少女がマリアの前に立ち、刹那の放つ星剣から身を挺して庇った。

 

彼女を前に、刹那は星剣をピタリと停止させる。善意ではない。冷徹な雰囲気を纏う刹那は冷淡に、響へと告げた。

 

 

「そこをどけ、融合症例第一号。ガングニールの装者」

 

「違うッ!私は立花響!融合症例第一号でも、ガングニールの装者でもないッ!ただの立花響として、マリアさんと────刹那さんと話し合いたくてここに来ているッ!」

 

「………無理よ。マムも失って、私は何もなくなった。そして、私に手を差し伸べてくれた………無空剣も────」

 

 

心が折れたように呟くマリアの言葉に思わず振り向く響。そんな二人の様子を見守っていた刹那は、それはそれは愉快そうに口元を歪め、笑いながら宣言した。

 

 

「────無空剣は、もう死んだぞ」

 

「…………え」

 

「あの男は、最後まで無様に足掻いた。抵抗して、立ち向かって、その果てに海の藻屑へと成り下がった!滑稽だな!どれだけ強くても、更なる力に捻じ伏せられるッ!きさまにとって、無空剣は恩人だろう!?その相手を殺した俺と、手を取り合えるものかよ」

 

「────たとえ、そうだとしても。私は刹那さんと話し合いたい。刹那さんは、そうじゃないって分かるんです。分からずに、理解できずに諦めたくない…………だからッ!」

 

「………理解されたくもない、必要もない────もう一度言う。そこをどけ、殺すぞ」

 

 

自らが大切な相手を殺したと暴露し、それでも理解し合えるわけがないと嘲笑う刹那。それでも尚、響は諦めない。辛そうで、悲しみを抑え込んだ顔で、響は告げる。その顔に、苛立ちが過ぎる。強張った顔で刹那は響の前で停止させた星剣を、更に近づけていく。

 

 

「…………離れなさい、立花響」

 

「マリアさん?」

 

「私を庇う必要なんて、ない。私には、生きる意味も理由も、もう持てない…………世界も守れず、誰も救えず、失ってばかりの私に────生きようと思える意味なんて、もう………」

 

「────意味なんて、後から見つければいいじゃないですか」

 

 

崩れ落ちて、絶望するマリアにそんな気さくな声が響く。能天気な、と吼えようとしたマリアは顔を上げて、驚きのあまり言葉に詰まる。そんな風に告げた響の手は、デュランダルの星剣を掴んで止めていた。その両手に、血が流れているにも関わらず、彼女はその笑顔を崩さない。

 

 

「お前ッ………」

 

「………貴女」

 

「────だからッ!生きるのを諦めないでッ!!」

 

 

刹那やマリアですら驚嘆する事を成した響は、おもむろに告げた。生きることを諦めようとしているマリアに、そして己の生き方すら捨てて人以外になろうとしている刹那に向けて。

 

絶句する二人を余所に、響は更に行動を起こす。二人の予想を上回る、行為を。

 

 

────Balwisyall Nescell gungnir tron────ッ!!

 

「聖詠ッ!?」

 

「馬鹿な、貴様はギアを失った!ペンダントがないその身で歌った所で、纏えるものなど有りは────ッ!まさか!?」

 

 

聖詠と共に高まるフォニックゲイン。

纏うギアも無い、そう告げようとした刹那が全てを察した時には遅かった。マリアの姿を覆う裂槍ガングニールのギアが分解され、光の粒子へとなる。

 

 

「何が、起きていると言うの!?」

 

「貴様は────融合者のはずだ!適合者ではない!適合者ですらない貴様が、シンフォギアに適合したというのかッ!?」

 

「これは…………貴女の歌?胸の歌がしてみせたこと?貴女の歌って、何ッ!?」

 

「何だ、貴様のソレは────俺の前に立ち塞がる貴様が宿す、その歌は何だと言うのだッ!?」

 

 

全世界中継されたその景色、マリアと刹那が叫ぶ。フォニックゲインとギアの光に包まれた響、その身体を黄色と白のギアが纏われていく。

 

 

「いっちゃえッ!響!ハートの全部でッ!!」

 

「────撃槍ッ!ガングニールだァぁぁあああああああああああッッ!!!!」 

 

ガングニールのシンフォギアを纏いた響がその胸の歌を、轟くように叫ぶ。その光景にマリアはおろか、刹那も動揺を隠せない。本来無力化されたはずの装者が再度、その力を取り戻し、戦場に飛来したのだ。




だいぶ刹那がお労しい事になってるな…………実際過去の刹那は響や未来に負けないくらいお人好しだから、多分出会ってたら仲良くなってたと思う。それはそうと、未来寄りのメンタリティだったから仲間を皆殺しにされた挙句一人生き残ったことで価値観がグチャグチャにされた。

刹那が異常なまでに弱肉強食を掲げるほどになったのも、この過去が理由です。理不尽なまでの力に仲間を奪われ、その理由が弱かったからと押し付けられたことで、刹那は力に貪欲になりました。二度と負けない────失わない為だけに。


そして現時点で疑似神装となった刹那ですが、取り込んだ力の影響で半分暴走してます。その分強さは完全体ネフィリムを超えるレベルですけど。

そんな疑似神装・刹那の固有能力、デュランダルを無限に作り出して操る能力ですが、あまりにも無法。何よりネフィリムの力によって再生力も桁違いの為、頭を潰すどころか全身を消し飛ばしても尚再生します。うーん、このオーバーハイスペックの化け物。

次回も盛り上がっていきますのでよろしくお願い致します!お気に入りや感想、評価頂ければ嬉しいですのでどうかよろしくお願いします。それでは!
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