ペースは遅いかもしれませんが頑張って書いて行くのでどうかよろしくお願いします
フェリシアは魔理沙と契約した後、二階にある自分の部屋へと案内された。
部屋には机とベッドだけが置かれた質素な部屋だ。そこまで大きくはないが一人暮らすのには十分だった。意外にもその部屋だけは散らかっていなかった。ひょっとしたら気を使って片づけてくれたのかもしれない。
そして今フェリシアはその部屋のベッドの上で寝っ転がっていた。
「…なんなんだよアイツ」
ぽつりと呟く。フェリシアは本当に思いもしなかったのだ。突然家に住めなどといわれることなど。その日暮らしのような生活をしていたフェリシアにとっては願ってもない話だったが、こうも突然だと素直に喜べない。何か違和感のようなものを覚える。
「おーいフェリシア!夕飯の支度ができたぜ!」
フェリシアは下からのその声に応じ部屋を出る。一階に降りると家であるにも関わらず帽子を被ったままの魔理沙と並べられた料理が目に入る。フェリシアの目で見る分にはそれらは料理というより、スーパーか何かで買ってきた出来合いもののようだった。
「なぁ」
「なんだ?」
「肉ねぇの?」
並べられているのは米、野菜だけだった。
「悪いが今日はない。そのうち買ってやるから我慢してもらうぜ」
「ってことはしばらく食えねーってことじゃねぇか!牛肉出すってのは嘘だったのかよ!」
「たまにって言ったはずだぜ。そんな毎日出せるか」
フェリシアがさらに抗議の声を上げたそうな顔をするのを無視して魔理沙は席に着く。フェリシアもこのまま抗議しても仕方ないのでそのまま席に着いた。そして並べられた野菜を箸で適当につまんで口に運ぶ。
「どうだ?」
「悪くない」
「そいつは良かった」
それからいくつかのものを食べたが特に悪いということもなく普通の味だ。
しかしこうして家で何かを食べるのは久々で、フェリシアはどこか懐かしい気持ちになった。
「なぁ、お前なんで魔法少女になったんだ?」
「あ?」
「お前何の願いを叶えて魔法少女になった?」
そう魔理沙が尋ねるとフェリシアの箸を動かす手が止まる。
「オレは魔女を倒すために魔法少女になった」
「魔女を倒すことが願いってことか?そいつはまた何で?」
「殺されたんだよ。父ちゃんも母ちゃんも魔女に。そのときキュウベェがオレの所に来た」
キュウベェとは魔法少女の素質があるものの願いを叶え、その少女を魔法少女にする力を持つ喋る小動物のようなものだ。
「それでその魔女に復讐を?」
「あぁ、そいつを倒すためにオレは魔法少女になったんだ。けどオレはそいつがどんな奴だったか覚えてねぇ。だから全部の魔女を殺していつか絶対にそいつを倒す!」
魔理沙は思った。魔女に両親を奪われた復讐心。それが生半可なものでないのだろう。だが魔女は世界中にいくつもいる存在だ。それら全てを倒すことはどう考えても不可能なのは言うまでもない。当人にそれが分かっているのかは分からないが、もしこのままフェリシアが一生魔女を憎み続けるとしたらいつか無念のうちに復讐をあきらめることになるだろう。
(もしそうなったらそのときが…いや、やめよう)
嫌な未来を想像しようとしたところで思いとどまる。何故ならそれはおそらくもっと未来のことであり今考えるべきことではないからだ。
魔理沙はここで一旦話を切り上げる。流石にこのことについて安易に話を続けるべきないと思ったのだ。
だがしばらくたった後、ふと何かに気づいたかのように今度は魔理沙がその手を止めた。
「なぁフェリシア。さっきの願いについて何か迷ったりしなかったのか?」
「あぁ?どういう意味だよ?」
「お前の願い本当にそれで良かったのかってことだよ」
「ふざけんな!当ったり前だろ!なんでそんなこと聞くんだよ!」
フェリシアが強く怒鳴る。フェリシアにとって今の問いは自身の復讐の念を侮辱されたようで我慢ならなかったのだ。
「…いやいいぜ。悪かったな変なこと聞いて。今のは気にせず食べてくれ。あぁでも最後に一つだけ言わせてもらうぜ」
魔理沙が声のトーンを変える。
「お前これからどんなことがあっても後悔だけはするなよ。お前達は絶望したらそこで終わりなんだからな」
「はぁ?何言ってんだオマエ?」
「いつか分かるぜ」
そう言い残すと魔理沙はすぐに料理を食べ終え、食器を片付けその場を去る。
フェリシアにはそのときの魔理沙の顔が物凄く重い表情をしているように見えた。
「だー!全然分かんねぇ!」
フェリシアは食事の後、久々の風呂に入って自室に戻っていた。ちなみに寝間着は魔理沙のものを借りている。
そして先程魔理沙に言われたことについてずっと考えていた。
「何なんだよ!何を後悔しろっていうんだよ!」
フェリシアは魔女への復讐を誓って魔法少女になった。そこに何の未練も後悔もない。少なくともフェリシア自身はそう思っている。
「本とにアイツ何考えてんだ…」
まさか今までのことは自分をはめる罠で、このベッドに何か仕掛けられているのだろうか。
ふとそんなことが頭に思い浮かび乗っていた布団をひっくり返す。しかしやはりというべきかそこには何もなかった。
フェリシアも、んなわけないかといった感じで横になる。いくら考えても分からないものは分からないのでその日はもう魔理沙のいったことなど考えないようにした。
そして目を閉じてリラックスし、眠る態勢へと入っていった。