(仮題)とある転生者の異文化体験 作:ピッピの助
「リステ、プロセカ、ラブライブ、アイマスetcの他の音ゲー曲が参戦してくる可能性もある・・・?」 そこら辺はフワッとです。でも、その世界の人たちもいるんなら、想像が膨らんで良いですよね。
「校正は有志の読者達が誤字報告である程度お手伝い出来ます。」 お気遣い、ありがとうございます。誤字報告はすごく嬉しいんですが、それ以上に表現の修正に気を使ってます。作者はかなり変わった表現(あまり目にしないという意味で)を好むので、走り書きの段階では、何が言いたいか分からない表現を連発しています。なので、ちょっとは校正しないとなーっと思ってます。お気遣い、本当に嬉しいです。
八百長じゃなくて出来レースのご指摘はありがとうございます。使い分けができてなかったですね。ただ、八百長の響きがいいので……。ちょっと時間をもらいますが、しれっと修正させていただきます。 → 直しました。
作者もモカちゃん大好きです。
作曲という言葉は、セントー君にはとても身近なものだが、海堂幹彦にはとても遠いものである。
やることだらけの日々のなかで、そんなことを思った。
ガルパで大成功を収めて少し経ったころの話である。
今年の夏はいろいろと大変だった。
何が大変って、イベントが目白押しだったのだ。
去年までの夏と違い、バンド活動もあるし、女友達だって、彼女だって出来た。ピアノを弾いたり、作曲してる時間を除けば、一人でいる時間なんて本当に限られているくらいだ。
慌ただしかったが、これまで感じたことのない充実感を味わえた夏だった。
少し思い出を振り返ってみると、七夕デートしたり、花音や美咲とにゃんにゃんしたり、海に行ったり(燐子先輩とひまりちゃん、リサ先輩がヤバかった)、こころと天体観測デートに行ったり、弦巻家のジェット機に乗ってハロハピ全員で北海道の自然豊かな地を冒険したり、有咲とにゃんにゃんしたり、豪華客船でファントムシーフしたり、海に行ったり(有咲とこころ、イヴがヤバかった)、夏祭りデートしたり、海に行ったり(八月のifでガチ泣きして有咲に引かれた)、宝島に乗り込んだり、こころの太鼓を見に行ったりした。
やったことが多すぎて順不同なのはご愛嬌。マジで怒涛のイベントラッシュだった。まるで2年分の夏が一気に訪れた感じだ。
もちろんイベント以外にも、もはや日常となっている動画投稿もしてるし、メン限の配信だってしてる。普通にハロハピのゲリラライブだって行ってる。
作曲だってしてるさ。とはいえ、それはもちろん前世で聞いた歌の復元だ。
以前から、オリジナル曲を作りたいと思うんだけど、いまいち上手くいってない。
身近に、こころという作詞作曲のお手本がいて、彼女が歌のアイデアを出すときは注意深く見守っているのだが、まだその感覚を物にできてない。
こころが出したアイデアを曲にすることは簡単なのに、一から作り出すというのは、やはり難しい。
あと一歩、なにか切っ掛けがあれば、その感覚を掴めそうな気がするんだが、それがわからない。
もどかしい日々をすごしていた。
そんなわけで、イヴからパスパレの曲を作ってくれないかって言われたけど、お断りしてる。
そりゃあ前世の電波曲ストックが豊富にあるから、パスパレに合う曲なんていくらでも出てくるけど、今の俺が作りたいのはオリジナル曲なんだ
電波曲を一から作り出すってのは、かなり吹っ切れないと出来ない気がする。初めて歌を作るなら、もっと無難な感じの方がやりやすいと思ってる。
なんか良いオリジナル曲ができたら、パスパレに合いそうな曲を思い出して、提供したい。
ガルパでパスパレが披露した“奏”のコピーも良かったので、パスパレ用に編曲もしたいと思ってる。
幸いなことに、イヴからのお願いはしつこくなかった。
イヴはけっこう頑固な性格で、これと決めたら譲らない。良く言えば、芯が強いのだ。
だから、お願いを断った時は、少し粘られるかなーって思ったが、そんなことはなかった。
なんでも、ちょうどパスパレ内で揉め事が起きていたらしい。メンバーがそれぞれ忙しくなってきて練習の時間が取れないから、事務所からバンド活動の休止を提案されてるんだとか。
パスパレはメンバーそれぞれの個性が強いので、バンドという枠に収めるより、それぞれの力が発揮できる場所で活動した方が、今以上に活躍できるだろうと判断されたようだ。
確かに、得意分野を伸ばすってのは良いことだと思うし、それは会社だけじゃなくて、イヴたちにとっても悪くない話なので、選択肢として有りなのでは、と思った。
イヴの思いつめた顔を見るまでは。
会社と無関係の俺にできることなんてないので、とりあえずイヴの相談に乗ってやり、イヴが本当にやりたいことは何かってアドバイスをしてやった。
始めは暗い顔をしてたけど、少しは顔色も晴れたと思う。
笑顔が似合う弟子なので、何事もなく問題が解決するよう祈っている。
ガルパで知り合った何人かとは、その後もメールで連絡を取り合ってる。
イヴと約束したピアノの特訓だってやってる。月2回ほどだが、彼女に簡単な課題を出して、それを弾いてもらい、気になったところを口にする、という簡単なお仕事だ。さっきの相談も、特訓後のティータイムに出てきた話だったりする。
それ以外でいえば、リサ先輩や日菜先輩、ひまりちゃんとよく連絡を取ってる。
リサ先輩とは、彼女の持ち前のコミュ力に流されて、いつの間にか気軽にメールを送り合う仲になっていた。
その伝手で、この前、海に遊びに行くことになり、ひまりちゃんとも仲良くなれた。その場には他に、あこちゃんや燐子先輩もいた。あこちゃんは、すごく人懐っこい子で、すぐに仲良くなった。逆に燐子先輩は男の俺を少し怖がっていたので、あまり距離を詰めることができなかった。
燐子先輩とは、ピアノのコンクールでご一緒したことがあるから、わりと親近感を持ってくれてるんじゃないかと思ったけど、全然そんなことなかった。
もしかして忘れられてる?
いやでも、男でコンクール出てたのは俺だけだから、けっこう記憶に残りやすいと思うんだけどな。やはり次は、このネタで攻めてみようか。
燐子先輩はすごく内気な人だけど、あのロゼリアの狂犬たちとも仲良くやってるから、警戒が解ければ仲良くなれるはずだ。怖がられない程度に距離を少しずつ詰めてくのが定石だと思ってる。
そういう意味では、今回は怖がられたかな。まあ、内気な面がたまたま強く出たのだろう。決して水着姿がエロすぎて、俺の目が血走っていたからではないだろう。
……まあ正直、かなりギリギリだった自覚はしてる。
いや、あれはホントにヤバかった。ひまりちゃんもメチャクチャでかいんだけど、ひまりちゃんは童顔だから、同い年の子にドキドキする感じなんだよ。
燐子先輩はそそるんだよ。恥ずかしがる彼女の仕草と、白い肌に艶やかな黒髪が相まって、すごい扇情的なんだよ。なんどか危なくなって、あこちゃんへ視線を緊急避難させたほどだ。
ひまりちゃんは言うまでもないけど、リサ先輩もけっこう大胆な水着を着てたから、油断すると一気に持ってかれる。心のオアシスはあこちゃんだけだった。
たぶん、前日に花音と美咲に会ってなかったら、俺の暴れん坊将軍は、もう抑えが効かなくなっていただろう。わりとマジで命拾いした感はある。もちろん、世間的にだが。
……まあ、その1週間後には違うメンバーで海に行って、そこで致命傷になったんだけどね。
メンバーはこころ、有咲、はぐみ、イヴ、花園さんだ。
イヴも破壊力があったけど、我慢できないほどじゃない。
こころがヤバかった。
考えてみれば当たり前だ。大好きな子が可愛いビキニ着て、抱きついてくるんだぞ。今世は胸が小さいほうが理想的だから、パッドなんて極薄だ。だから、いつもと違って胸の感触もダイレクトに感じられる。完全に殺しに来てましたよ。
一応、俺もこのままじゃマズいって意識はあったから、前回みたいに心のオアシスを探したんだよ。で、はぐみを見たんだけど、それが失敗だった。
はぐみってさ、あこちゃんと同じく小柄だけど、あこちゃんよりも良く食べるんだよ。よく動くから引き締まった体をしてるけど、出るとこ出てるんだよね。しかもソフトボールやってる。野球関係やってる子って基本的に下半身がしっかりしてるわけよ。
気づいたときには、もうアウトだったね。俺の将軍がものの見事に暴れてたっていうね……。
しかもそれを、こころに指摘される始末。
幹彦、ここじゃあ少しマズいと思うわって言われた。
もう殺してくれって思ったよ。
挙句の果てに、こころは有咲を呼んでくれたんだよ。幹彦をシャワー室に連れてってあげて、だって。
まあ、そういうことだよ。
びっくりした顔で俺とこころと俺(の暴れん坊将軍)に目線を行き来させてる有咲に連れられて、有咲と一緒にシャワー室入りしたって話。
俺の生殺与奪権はきっと、こころが握ってるんだなあって思ったね。
え、ゴム? 黒服さんから貰ったよ。使用後のものはこちらの袋に入れてくれって黒い袋も貰った。うん。ありがとうございますって返事したさ。お礼を言うのは大切だからね。はは。マジ死にたい。
なんとか30分ほどで事態を収束させて、既に疲れた様子の有咲に連れ添いながら、こころたちの元に帰った。こころは何事もなかったように、いつもの笑顔で迎えてくれた。
そんな、こころを見て、彼女の尻に敷かれるなら悪くない人生なんだって思った。
いい話だよ(無理やり)。
なんだかんだで幸せだったから、後悔はしてない。でも、失うものがあったのも確か。
もし、過去の自分にアドバイスできるのなら、そこは花園さんを見るべきだって伝えてやりたいかな。
……なんだか下の話ばかりだけど、普通に健全なデートもしたし、大冒険だってしたし、感動エピソードもあるからな。弦巻家の財力でぶっ叩かれた印象はあるけど、下手なドラマより刺激的な体験をさせてもらったさ。
弦巻家のジェット機で北海道に行ったときは、湖畔近くの林を、美咲とのんびり散歩した。途中、平坦な道では手を繋いで歩いた。のんびりした時間だった。涼し気な風が気持よくて、空気も澄んでる。美咲の機嫌も良いから、だらだらと2人の時間を満喫させてもらった。
夏祭りデートしたときは、花音が黄色の浴衣を着てきてくれた。なんだか花音には珍しい色だったけど、とても似合ってた。たぶん、俺のためにオシャレしてくれたんだろうって思うと、愛おしさで胸が一杯だった。お互いに体を寄せあって屋台を練り歩いた。とうもろこしの焼けた匂いと、花音から伝わる温かい熱は、鮮明に覚えてる。
ハロハピメンバーだけじゃない。一緒に遊んだ子たちの笑顔だって、目を閉じれば鮮明に思い出せるほどだ。本当に充実した夏だったよ。
夏が楽しみだっていう人の気持ちがようやく理解できた。早く、来年の夏にならないかなって、もう思ってしまう。
まあ、まだ1年も先の話だ。時間があるときに、次はなにをしたいか考えることにしよう。
今は思い出に浸ってる時じゃないしね。
え、今なにしてるかって?
弟子から事の顛末を聞いてるんだよ。
前にも言ったけど、パスパレが内輪もめしてたんだよ。それが結局どうなったんだって話をしてる。
無事、解決したらしいよ。みんな忙しいけど、個人の仕事とパスパレの仕事、両立できるように頑張ろうねってなったらしい。
ピアノの特訓が終わって、いつもの笑顔が戻ってきたイヴがそう報告してくれた。
イヴ的には最高の結果だったようだから、俺も満足だ。
「師匠のお陰です。本当にありがとうございました! やっぱり師匠は頼りになります!」
「そんな褒めるなよ。俺なんて大したことしてないんだからさ」
イヴの素直な気持ちが照れくさくて、そう言った。
俺がやったことといえば、イヴの相談を聞いて、イヴはどうしたいか聞いただけだ。それだって、別に俺が聞かなくたってイヴは自分で答えを見つけていただろう。本当に大したことしてないんだ。
……うん。大したこと……してないな。
「あれ? 謙遜とかじゃなくて、俺マジで何の役にも立ってない……?」
年上ぶって相談に乗ったぜ、とか思ってたけど、何の成果もなかった?
褒められて、ヘヘっと笑みを浮かべていたのが恥ずかしい。
「そんなことないです! 師匠は私の相談に乗ってくれました!」
イヴが何を言ってるんだ、と言わんばかりに否定してくれた。
「え、でも、相談しなくてもイヴなら同じ結論に辿りついたと思うけど……」
「そんなのわかりません! それに、たとえ結果が同じだったとしても、私の相談に乗ってくれて、一緒にどうしたらいいか考えてくれたことが嬉しかったんです!」
イヴは怒っていた。
真剣に俺が言った言葉に対して、そんなことはないと怒ってくれている。
他のヤツに同じことを言われたら、フォローしてくれてありがとうって気持ちになるのに、イヴに言われると、素直にその言葉を受け止められる。
本当にこの子はズルい。
なんだか、こっちまで乗せられてしまって、嬉しい気持ちになってしまう。
「今回の件で、私は改めて実感したんです。仲間がいるってことがどれだけ素晴らしいことか」
イヴは何かを思い出すように伏し目がちになった。
「仲間か」
「はい。師匠も知ってのとおり、私は一人で日本に来ました。だから家では一人ぼっちです。学校だって初めは話すことで精一杯で、仲の良い友だちは高校に入るまでいませんでした。お仕事でも、気軽に話せる人なんていませんでした」
前に聞いたことがある。社交的なイヴだが、日本に来た当初はなかなか学校に馴染めなかったらしい。周りが悪いってわけじゃなくて、言語の壁が厚かったって話だ。
イヴは他の学生に比べて、言語を習う必要がある。他の子が放課後に遊びに行ってるときだって、学校の教師に日本語の居残り授業をしてもらっていたらしい。
加えて、中学のころから始めたモデルの仕事も、クラスメイトが彼女を別世界の人だと意識する原因になったらしい。
周りの子が話しているテレビの内容もわからないし、遊びにも一緒に行けない。モデルの仕事が他の子と距離を作る。
ようやく友達ができたのは、学校の教師に居残り授業卒業を言い渡された高校に入ってからだとか。
人一倍、寂しがりやのイヴにとって、それがどんなに辛い時間だったろうか。
「寂しかったんだよな」
「はい。とても……寂しかったです。でも、高校生になって友だちができました。お仕事でもパスパレの一員になれました。気を許せる人たちとたくさんお喋りできるようになりました。人はただ言葉を交わすだけでは寂しいままなんです。その人の暖かさを感じたり、相手を思いやる言葉があって、初めて会話でつながれると思うんです」
その言葉を聞いて、なんとなく前世の洋ゲーを思い出した。やたら説明口調で、一方的にNPCが話し続けるゲームだ。なんだか聞く気がしなくて、読みもせずに会話を飛ばしてた。
ゲーム自体は面白いのに、NPCとの会話が致命的につまらない。これもイヴの言う、つながれない会話だったのだろうか。
だったら、俺にもわかる気がする。
「人の暖かさか……。そうだな、温もりがないと人はどんどん冷えていくからな」
「私もそう思います。冷たい時間が長くなると、人はどんどん衰弱してしまうと思うんです。本当は優しい人だって、ずっとそんな環境にいたら、どんどん冷たい人間になっていくと思います。だから私は友だちやパスパレがある今がとても大切で、幸せなんです」
イヴの素直な気持ちが、俺の胸を打った。
パスパレで一番、無邪気な可愛さがある彼女だが、人の心には敏感だ。自分の心にも聡く、知り合いのいない異国で過ごすことで、自分がどういう状況にあるか、なんとなくでも、わかっていたのだろう。
だからこそよけいに、出会いの大切さが理解できて、それを大事にしようとしてる。
「師匠に出会えて、師匠に相談に乗って貰って、師匠に温かい言葉をかけてもらえたことだって、それと同じなんです。中学のころに、ずっと欲しかったものが、また増えたんです」
今回の件で、イヴはようやく手に入れたものを失いかけて、必死にそれをつなぎ止めた。
個人的に思うのだが、もしパスパレにイヴがいなければ、今回の件で呆気無く瓦解していたと思ってる。パスパレは皆の目的が違いすぎるし、アイドルをやっているのだって、アイドルをやりたくてやってるというより、パスパレが好きだからって子が多い。
純粋にアイドルをやりたいのは彩先輩だけ。でも、聞いてる限りじゃあ彼女だけでは抑えられなかったんだろう。
イヴの絶対に終わらせてなるものか、という気持ちがあったからこそ、奇跡的な復活が合ったんだと思う。
まるで物語だと思った。
「だから、役に立ってない、なんて言わないでください! 師匠は私を救ってくれました!」
「イヴ……」
イヴは本当にすごい子だ。
16年しか生きてない子だというのに、その言葉にすっかり納得させられてしまう。
そして、すごく……眩しい。
「イヴはアイドルに向いてるな。もしかしたら彩先輩以上に向いてるんじゃないか?」
「ありがとうございます。でも、アヤさんは私が理想とするアイドルです。私はアヤさんが一番のアイドルだって思ってます」
「彩先輩か……本当に強い人だよな」
ガルパの後、他のバンドとの接点はない。個人間での付き合いは生まれたが、パスパレはアイドルということもあり、こうやってイヴとピアノの特訓をする以外は付き合いはない(日菜先輩からメールはチョイチョイ来てる)。
だけど、俺の生活というか、関心は少し変わった。それまで全く興味なかったポピパの動きは有咲経由で常に追ってるし、ロゼリアの動きは日菜先輩から、アフターグロウの動きはひまりちゃんから情報が入ってくる。パスパレだってイヴや日菜先輩から話を聞くし、ときどきパスパレの掲示板を見たりもする。
口パク事件を起こしたパスパレだが、意外と根強いファンがいる。掲示板を見ると、実際に本人と会ったことのある俺以上にパスパレメンバーの事を理解している人がいたりするのだ。
すごい好かれている。それが俺がパスパレに抱く印象だった。
でも、なんでこんなに好かれているかはわからない。
「はい! アヤさんはすごい人です!」
「歌もダンスも安定してないし、上がり症。アドリブにも弱い……」
「師匠! アヤさんの悪口を言うなら、師匠でも許しませんよ!」
男の俺にも間髪入れずに立ち向かってくるイヴ。
気分は悪くならない。
彼女がパスパレの仲間たちを思う気持ちが感じられ、心地良さすらある。
「ああ、違う違う。あんなに弱点だらけなのに、どうして人を惹きつけるんだろうって思ってさ。確かに成長が楽しみな人ではあるけど、やっぱり今は未熟なんだよ。数多いアイドルの中でも彩先輩を応援するファンが多いのは何故か。それがわからなくてさ」
「それは……たぶん、アヤさんがいつも笑顔だからです!」
「笑顔? 確かにそうだけど、イヴだってそうだろ?」
あの白鷺先輩だって、いつも微笑んでる。たとえそれが心の中が冷えっ冷えの鉄仮面だとしてもだ。
「アヤさんはどんなときだって、めげないし、諦めないんです。一生懸命に努力を続けてる人なんです。それがキラキラしていて、人を惹きつけるんだと思います!」
努力なんて当たり前だろと思ってしまう。
人より何か秀でた人は、ほとんどが努力してる(こころ、日菜先輩を除く)。むしろそんなの最低条件ですらある。
だというのに、イヴはそれこそが彩先輩がキラキラしている理由だと言う。
「なんで努力してるんだっけ? アイドルにはなれただろ?」
「人に夢を与えられるアイドルになるためです。尊敬しているアイドルの先輩に誓ったんです。いつか必ず、その人を超えるアイドルになるって!」
ふと、最近テレビで見た現役最強アイドルを思い出した。
初期勢が言ってたとおり、彼女の歌は上手かった。とても綺麗な声をしていて、これでもかってくらい容姿が整ってる。なぜか人を惹きつける立ち居振る舞いで、最強という二つ名に納得した。
あの子と彩先輩を頭の中で比べてしまう。
「先は遠いかもな」
少し冷たい言葉がでた。
「承知の上です! 実力差があるのは理解してます。だけどそれでもアヤさんはめげません!」
イヴはなんてことはないと断言する。その瞳には彩先輩に対する大きな信頼が見て取れた。
「……イヴは彩先輩のことは、なんでも知ってるんだな」
「尊敬してますから、当然です!」
実力不足を知りながら前へ進む彩先輩、彩先輩やパスパレみんなを信じるイヴ、パスパレが楽しいから一緒にいる日菜先輩、パスパレを支えにしながら、音楽でパスパレを支える麻弥先輩、キャリアが危ぶまれるも、それでもパスパレと一緒にいる白鷺先輩。
イヴの話を聞いて、パスパレというものが鮮明に思い描かれていく。
そして、心の中でさざなみが生まれる。
「はは、そっか。……それなら、もう一回初めから話してくれないか? 今回の騒ぎの一連を」
「わかりました! 今日はこの後は予定がないので、何時間だってお話しします!」
「望むところだ。……ああ、そうだ、一つ聞きたい」
「はい、なんでしょうか?」
「今回、新しい曲を発表したよな。どんな曲調だっけ?」
「今回のアイドルフェスティバルではパスパレらしい、かわいい曲を披露しました。すごく好評でした!」
「そっか……いつものパスパレらしい曲だな」
勘違いしないでもらいたいが、ハロハピだってメンバーの信頼関係って点じゃあ負けてない。こころや花音、美咲のことだったら何でもわかると思ってるし、はぐみや薫先輩のことだって深く理解してる自信はある。
でも、パスパレはまたパスパレで、俺たちとは違った信頼関係で結ばれているんだと感じたんだ。
だから作ってみたくなったんだ。
俺が考える彼女たちの絆を曲にしたいと思ったんだ。
これまでとは違って、何故かできる気がするんだ。
何かが俺を急かしてくる。それは、なんとかしないと、と焦るものではない。
何ヶ月も発売を待ち望んだゲームを手にして、自転車で家に帰る途中に感じるような気持ち。
でも焦っちゃいけない。ここで取りかかれば、きっと俺は完成するまで一心不乱に作り続けるだろう。
だから彼女たちの気持ちを見誤ってはいけないんだ。俺の気持ちと彼女たちの気持ちをフィットさせないといけない。
「それがどうかしましたか?」
「秘密。上手くいったら教えるよ。それより、ほら。リビング行くぞ。流石に練習室で何時間も喋るのは肩がこるって」
「あ、はい! お伴します!」
慣れた手つきでイヴをエスコートする。でも、手に汗が滲んでることは自分が一番良くわかっていた。
もういちどルミナス。
パスパレが発表した曲は、そのファンの中で大きな話題を生んだ。
パスパレのそれまでのものとは違うシリアスな曲。事務所との不仲説がささやかれ、パスパレ解散が噂される中で発表されたこの曲は、これからもパスパレが続いていくと確信させるもので、泣き崩れるファンがいたりしたらしい。
そんなファンに影響されたのか、ボーカルの彩先輩が初めてこの曲を公の場で歌った後、彼女も感極まって泣いてしまったことでも有名な曲だ。
そして、私たち初期勢にとっては、セントー君が初めて他の人専用に仕上げた曲だ。
大いに注目している。
『発売から一週間経ったわけだが、実際のとこ、どうよ?』
[悪くないと思う]
[ファンの反応はなんとも言えない。曲よりも、パスパレ存続に喜んでる感じが強い]
[パスパレの曲の中じゃあ間違いなく一番良い曲だと思うから、ジワジワ評価されるんじゃね?]
私もパスパレの掲示板を見に行ったけど、曲が良かったと言う人は少数で、大半はパスパレ存続を信じてたとか、おめでとう等の祝うコメントだった。
いつもの鹿の歌が投稿されたときのような、熱狂的なコメントは見られなかった。
『なんか微妙だな』
[今はまだ、ファンの中で聞かれてる曲だからな。もう少し時間が経って、一般の人の耳にも入ることがあればワンチャン]
[鹿の名前隠してるからな。無名の作曲家が作った曲を、そこそこ名が売れてる程度のアイドルが歌った程度じゃあ、そこまで反響は大きくないって]
[歌ったのが鹿じゃなくて、パスパレだからな。パスパレの歌を聞いてる層の需要と少し外れてたんだろ]
『うーん……難しいなあ。俺としては会心の出来だったんだけど、いつもより反応が鈍い気がするし。しかもやっぱり、パスパレの曲って感じじゃなかった?』
[パスパレに求められてるのはポップでキュートな曲だからな]
[名曲だと思うけど、あの曲で可愛くダンスするのは無理がある]
確かに、彩先輩のなかなか味のあるダンスは、この歌では披露できないと思う。
『だよなぁ……俺から見ると、パスパレってあんな感じのバンドなんだけどなぁ』
[ファンが求めてるのは少し違ったな]
[実際に彼女たちに接してる鹿がそう思うなら、たぶん彼女たちの本質はそうなんだと思うけど]
[ファンも戸惑ってた]
[私は有りだと思うけどな]
『曲は良かったと思うんだけどなー』
[今回、随分と自信ないな]
[らしくないぞ。曲の良さがわからないヤツが悪いってスタンスはどこ行った?]
[引きずるねー]
珍しい。いつもなら歌だけでなく、人間関係でも、ふてぶてしさを見せつける鹿なのに、この歌に限って踏ん切りがつかない様子になる。
『……ほら、アレだよ。この曲はいつもと違うんだよ。こう……誰かが歌うのを前提にして作った……的な?』
[そういうことなら、わからなくもない?]
[なんか嘘くさい]
[何か隠してる?]
[ありさにゃんZは何か知らないのー?]
びっくりした。
許可されてるとはいえ、コメントで急に呼びかけないでほしい。
慌てて、コメントを打とうと姿勢を整える。
『隠してねえから。そもそも、ありさにゃんZとはあまり歌の話はしないから』
[そうなん?]
[意外]
[もしや……不仲説?]
は?
『いやいや、不仲ってわけじゃ―――』
[ありさにゃんZ:不仲じゃねーよ!]
『…………』
コメントが止まった。
『……まあ、そういうことよ』
[ありさにゃんZ:違うから。こいつが歌の活動に関することだから、話すならみんなと一緒にって言ったんだよ!]
別に不仲じゃない。今日だってデートしてた。配信があるから夕方で別れたけど、そうじゃなければ今の時間だって一緒にいたはずだ。それを不仲とか適当なこと言ってんじゃねーよ!
[落ち着けって。何を否定してるか、わからなくなってるぞw]
[タイプ早いなw]
[愛されてんねーw]
[ありさにゃんZ:だから、ちげーって!]
愛じゃなくて、みんなのこと考えて、話さなかったんだって!
『ほら、歌の話に戻るぞ。いろいろと反省点はあったけど、次作るときの参考にする』
[はーい!]
[さり気なく彼女を庇う彼氏の鏡]
[好き勝手に歌を作ればいいわけじゃないってことだな。でも私は、鹿が好き勝手作った歌が好きだけど]
なんか、ドッと疲れた。
『ありがと。俺も自分の歌が好きだよ。まあ、そうは言っても、次に挑戦する機会があっても同じようなの作りそうなんだけどな』
[反省してるのか、してないのか]
[パスパレの歌って縛りがなければ、ガチの名曲だと思うから、それでいいんじゃね?]
[またパスパレに行くの? ずいぶんと入れ込むじゃん]
『入れ込んでるわけじゃないけどさ。……そう見える?』
[パスパレ贔屓してる感じはある]
[鹿からアイドルに絡みに行くとは思ってなかった]
[ガチ恋した?]
[てっきりアイドルに忌避感を持ってるのかと思ってた]
『ガチ恋はしてない。イヴはエロいなって思うこともあるけど、恋愛対象として見たことはない』
これはたぶん、そのとおりだと思う。
本当に狙ってるなら、2人きりになるタイミングで、こいつが動かないのはあり得ない。
私だって、仲良くなって初めて2人きりになったタイミングでやられた。話すのが楽しくて、ちょいちょいお互いにボディタッチしてるなぁって思ってたら、ベッドインしてた。
自然な流れすぎて違和感を覚えなかったんだろうけど、マジで一瞬だった。
奥沢さんも同じだったらしいので、間違いなくこれが、こいつの手口なんだろう。
[イヴちゃん弟子になったんだっけ]
[弟子をエロい目で見んなw]
[恋愛対象じゃないけど、エロい目では見るとw]
『いや、あんな可愛い子が師匠って慕ってくれて、無防備な姿を晒してるんだぞ。むしろエロい気分にならない方が異常だわ』
無防備って……。いや、確かに私が様子を見に行ったときも、イヴには丸っきり警戒心ってものがなかったけどな。スカートで椅子に座って、遮るものがないのに正面にこいつを置くのはどうかと思った。
[イヴちゃんのせいにしてるぞ!]
[最低]
[言ってることはわかる。でも最低]
[ありさにゃんZはそこんとこ、どうなのよ。嫉妬しないの?]
『バカ、お前、俺とありさにゃんZはラブラブなんだから、嫉妬なんてするわけないだろ』
……!
だから、みんなの前でそういうこと言うなよ、バカ!
[ええー? ほんとにござるかぁ?]
[隠す気ゼロww]
[仲良いかもしれないけど、それが嫉妬しない理由になるかって言われると……ねえ?]
[ありさにゃんZ:こいつ、みんなが思っている以上にケダモノだからな。また下半身で物事を考え始めたなって思うだけ]
こいつが海で我慢できなくなったときだって、やっぱり我慢できなかったかって気持ちだった。
さすがに弦巻さんに落ち着かせてきてくれって言われたときは驚いたけどな。
自分に興奮した好きな男を、他の女のところへ向かわせるってどんな気分なんだろうな。私だったら耐えられないって。
奥沢さんが弦巻さんは特別って言ってたのは、こういうところがあるからだと思う。
余裕があるっていうのかな?
いや、奥沢さんが言うには、そんなに余裕はないらしいから、純粋にこいつのためを思っての行動なんだろう。
なんだか格の違いを見せつけられた気分だった。
『おまっ、なんてこと言うんだよ!』
[諦められてるw]
[ラブラブとは程遠いっすねww]
[下半身エピソード詳しく]
『はいはい止め。今はパスパレの話だよー、お前らが大好きなアイドルの話だよー』
[別にアイドルが好きってわけじゃ……]
[お前が振ったんだろw]
[ひめちゃんとコラボの下地が整ってきたのでは?]
『白鳥ひめ……ねえ。パスパレと接して、白鳥さんがすごいアイドルってのは理解できたけど、だからって好きかっていわれるとなー』
[相変わらずのひめちゃんディス]
[ようやく偉大さがわかったか]
[能力は認めるけど、好きじゃないって? 調子に乗んな]
『ディスってはないから。それに好みでいうなら、パスパレの彩先輩の方が好みだし』
胸だな。
[胸か]
[絶対に胸]
[むしろ胸以外、見るところがあるのか]
『それは言い過ぎ。容姿も大事だし、ウエストとヒップも大事だから。タル体型はノーサンキュー』
[ありさにゃんZ:イヴの尻とかよく見てるもんな]
とりあえずチクっておく。
『ありさにゃんZー、あんまり余計なこと言うなよー』
[バレてんじゃんw]
[お前、これ、絶対イヴちゃんにもバレてるからなw]
[師匠のエロい目に耐えながら、懸命にピアノを練習するイヴちゃん。健気すぎん?]
[イヴちゃん応援することにするわ]
『大丈夫、大丈夫。イヴは純粋な子だから』
[? 理由になってないが?]
[素直な子だって、視線くらい気づくわw]
[イヴちゃんモデルだろ? 人の視線には敏感だって]
イヴはこいつの視線に間違いなく気づいてる。でも、こいつが思っている以上に強かな面もあるから、襲われたら襲われたで問題ないと考えているんだろう。聞いた話じゃあ合同練習のときに、かなりやらかしたらしいし、たぶん間違いない。
まあ、こいつなら酷いことしないって信頼感もあるんだろうけどさ。
『(無視)はい、この話題終了。次、行こう』
[自分から好みの話を振った癖にw]
[なんかマジでイヴちゃん好きになってきた]
[他のバンドのために卸した曲はどうだった?]
『まあ、楽しかったよ。俺から見たパスパレを曲にして、完成直前に詩を見てもらったんだけど、彼女らの好みのフレーズとか言い回しとかあって、何か新鮮だったな』
[ちゃんと打ち合わせしたんだな]
[すり合わせは大事]
[彩ちゃん、校正なんてできたっけ?]
『お前ら彩先輩のこと舐め過ぎだぞ。そりゃあ確かに泣いてばかりで話が進まなかったけどさ』
[泣いてんじゃねえかよw]
[知ってたw]
[マジで期待を裏切らない人だなwww]
[先輩って呼ぶの新鮮だな]
『彩先輩は俺の知り合いの中でもトップクラスに涙脆いからな。あと、他は知らんけど、パスパレはテレビで見たままの人だぞ。……白鷺先輩も見たとおり常に微笑んでる』
[営業妨害w]
[千聖ちゃん基本、笑みを崩さないんだよな。それなのになんか怖いっていうw]
[日菜ちゃん、マジであんな感じなんだw]
[くっそ仲良いじゃねえかww]
白鷺先輩はマジで圧がある。でも、気が利いて、優しい人でもある。
ただ、こいつとの関係で、大丈夫? 脅されてない? て聞かれたんだけど、どういうことだったんだろう。
白鷺先輩って花音先輩の親友だったよな。花音先輩から話は聞いてると思うんだけど、こいつ、どう見られてるんだ?
『基本的にみんな良い子だからな。食わず嫌いしてるわけじゃなければ、誰だって仲良くなれるだろ』
[一昔前ならともかく、今の時代、アイドルも裏の顔が酷ければ干されるからな]
[パスパレがヤバいヤツらだったら、ありさにゃんZから報告があるだろうから、そこは心配してなかった]
[マジレスするけど、鹿のそういう人を見てくれる姿勢はマジで好き。それをひめちゃんにも見せてくれれば、もっと好きになる]
ネットで好きに呟ける時代で、タバコなんて吸ってたら、すぐ密告されるだろう。女同士の嫉妬ほど、えげつないものはない。
あと、最近、初期勢でひめちゃんのファンになったやつが何人かいるよな。ひめちゃん推しのコメントがちょいちょい見える。
『白鳥さん推しの圧を感じるな……。とにかく楽しかったよ。結果は今ひとつな感じだけど、俺としてはマジで出し切った感がある。これまで発表した歌にだって引けを取らないと……いいなー』
[そこは自信持てよw]
[自信なさげやな]
[やり切ったかい?]
[自分が納得できたなら、それで良し。次の曲行こう!]
『新曲かー。俺が気分で作ったのならともかく、他の人が歌う用に作るなら、すぐには無理だな。なんて言うか、作りたくてしょうがないってならないと難しい』
[既に作った曲の提供はいいけど、新曲は違うの?]
[線引がわからん]
[ありさにゃんZー、通訳お願いー]
フィーリングじゃね?(適当)
『オリジナルは……オリジナルなんだよ。既存曲もオリジナルだけど、違うオリジナルっていうかさ』
[やっぱ何か隠してるよな]
[オリジナルのゲシュタルト崩壊]
[素直に吐けって、な?]
[ありさにゃんZ:隠し事してるのはわかってる。でも子どもが生まれるまでは内緒だって言われてる]
意味わからないけど、とりあえず今は話す気がないってのはわかったので、特に追求はしてない。こいつなら、時期が来ればちゃんと話してくれるだろうし。
『ありさにゃんZー、今日、暴露が多いぞー。ネットリテラシーを思い出せー』
[まあ、メン限なら大丈夫だって]
[ありさにゃんZのお陰で理解できることも多いし、まあ、多少はね]
[てか、子どもが生まれるまでってどういうこと?]
『……子どもが生まれたら、(有咲が)逃げられないだろ? 秘密を打ち明けるなら、それくらいかなって』
うん?
[?]
[え、逃げる気あんの?]
『? そりゃあ、反りが合わなきゃ別れることだってあるだろ? この先、どんなヤツ(男)が現れるかわかんないし』
[ありさにゃんZ:は? お前、あんだけ好き放題やっといて、逃げられるとか思ってんの?]
え、なに言ってんの? うちの家でも、ホテルでも、海でも、映画館でも、お店のフィッティングルームでも、散々好き放題やってきたのに? こないだなんて色んな衣装に着替えさせられて、有咲との思い出だって、行為の一部始終を動画に撮ってたくせに? 散々、愛してるとか、有咲と別れたら死ぬとか言ってたのに?
逃げるつもりなの?
[あっ]
[これヤバくね]
[おお、お、落ち着けって!]
『いや、いやいやいや違うって、そうじゃないって』
[ありさにゃんZ:何が違うっての? 説明しろよ]
キーボードを叩く音がうるさい。
そんなに力を入れてないのに、ミシミシ言わないでほしい。
『いや、誤解なんだって。てかお前らうるせーよ!』
[私らに八つ当たりすんなよ!]
[すっげえ動揺してて草]
[いいから早く説得しろって]
[昔、痴情の縺れで刺された知り合いがいたけど、そういえば刺される直前、こんな場面に出くわしたなー]
『思い出話とかいらねえから!』
[ありさにゃんZ:コメント読む暇があったら説明しろよ。ほら、早く!]
なんでこいつは呑気にみんなに返事をしているんだ。私をバカにしてるのか?
『ああ、もう! 今日の配信はここまで! みんな来てくれてありがとう!』
[逃げんなw]
[早く連絡しろ]
[なんだこの終わり方w]
『有咲、電話するから出ろよ!』
[ありさにゃんZ:でろよ?]
なに? 命令すんの?
『出てください! じゃあ、また次回!』
[wwwww]
[草草の草]
[死ぬなよw]
エンディング動画が流れる。それと同時にスマホが鳴った。かけてきたのは当然、あいつだ。
[痴話喧嘩するなら見せてくれw]
[DV彼氏になると言われてきた鹿の実態がこちらですw]
[尻に敷かれてるのマジで草なんだけどw]
動画が終わったのに、余韻のようにコメントが流れ続ける。
「うるせー」
そう小さく呟いて、通話をオンにした。
もういちど ルミナス
パスパレの歌で一番好きです。他のバンドと違って、パスパレだけは自分たちで曲を作らないので、外注でよくあんなドンピシャな歌詞が作れるな。って思ったことが、この曲を選んだきっかけです。
パスパレっぽさでは「あっつあつ常夏らぶ☆サマー!」も好きです。イベント画面でサビがずっと流れてて、気が付いたら口ずさんでました……。
出典
浴衣 花音:バンドリ! ガールズバンドパーティ!~2018 Summmer~ in渋谷マルイ