(仮題)とある転生者の異文化体験   作:ピッピの助

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ノリと勢いの作品です。
動画投稿はしたことないですし、歌の種類も詳しくないです。
チートで無双するのがメインなので、そういった設定はフレーバー要素だと思ってください(保身)


3話

歌ってみた動画の効果は絶大だった。投稿した次の日にはチャンネル登録者数が100人を超え、再生回数もどんどん増えている。

 

チート様様である。神様ありがとうございます。

 

1曲目に続いて、もう2曲ほど投稿する頃にはチャンネル登録者は1000人を突破していた。

 

これは記念配信という名の雑談動画をやらないといけないかもしれない。

 

正直、1回目の動画で自分の喋りが下手なことは理解できていたので、少し苦手意識があるのだが、前世のVtuberはこういうときは○人突破するまで×を続けるとかやっていたので、俺もそれに則って、何かしらの配信をするべきなのだろう。

 

とりあえず右も左もわからないから、前任者にならえだ。

 

 

 

というわけで、早速その日の夜に30分ほどの配信枠を取った。

 

「こんばんは。今日はチャンネル登録者1000人ということで、皆さんにお礼を言わせていただきたいと思います」

 

[始まった!]

[1000人おめでとー!]

[まじで男なん?]

 

「こんな短い期間でチャンネル登録者1000人超えるとは思っていなかったので、驚くばかりですが、これも皆さんのおかげです。ありがとうございます」

 

[歌、良かったぞ]

[マジで歌ヤバい]

[てか、もう2000人いってるけどね]

 

「2回目の雑談なんですが、1回目と違って、こう、コメントが沢山貰えるので、追っかけるのが大変ですね」

 

マジで早い。まじめにコメントを読むと、それを追っかけるので精一杯だ。それぞれに答えるなんて俺じゃあ無理だ。

 

[2回目で2000人という異常っぷり]

[まあ、個人勢だと最初は仕方ない]

[スパチャできんの?]

 

「沢山のコメントありがとうございます。全部はとても答えられないけど、出来る限り拾わせてもらいます。お、ありさにゃんZさん。来てくれたんですね。ありがとうございます」

 

1回目の動画でコメントを打ってくれた人がいた。

 

配信終了直後に、お疲れさま、と一つ残してくれたのだ。

 

短い感想だが、こうしてまた見に来てくれたのは味方を見つけたみたいで嬉しい。

 

「話し下手は承知してるんで、今日は30分ほどコメントを拾わせていただいて、お終いにさせていただきたいと思います」

 

[本当に男なん?]

[ボイチェン使ってる?]

[彼女いるの?]

 

「男です。ボイチェンは身バレが怖いので使ってます。今の時代、男にストーカーの素振りを見せただけで警察がガチ目に動いてくれるのは知ってますが、怖いものなしの無敵の人がいるかもしれないですしね。あと、彼女はいません。でも高校で絶対に作ります」

 

[男きたー!]

[まじ男!?]

[身バレ防止はエラい]

[無職で家族なしはマジで無敵すぎて怖い]

[はいはい、彼女に立候補します!]

[現役モデルです。今度遊びに行きませんか]

[ベンチャー企業の社長です。なにかプレゼントしますよ]

 

「はは、ありがとうございます。でも彼女は高校で作るのでごめんなさい。ネット経由で知り合うと怖いって学校で習ったので、リスナーの皆様はお友達ってことで」

 

[振られてるw]

[ざまあ]

[いや、一度だけでいいから会ってみない]

[中学生に粉かけると完全にアウトだからな]

[自重しろよ。マジで男なら洒落にならんぞ]

 

中学生だからか、意外と擁護コメが多い。

でも、ここはしっかりしとかないと困る。

前世の様な、女性Vtuberに粘着するファンが出たら絶対に面倒だ。

 

「ガチ恋勢は他のイケメンVtuberの方とお願いします」

 

[しっかりしてるね]

[いやでもあれ、全員女だぞ]

[金を持っていても思い通りにならないこともある。ちょっとスッキリした]

[スパチャ投げられんの?]

 

「スーパーチャットですが、収益化の申請はしていますが、まだ通ってません。それに僕は雑談より歌ってみた系がメインになると思うので、寄付サイトを使おうかなって思ってます」

 

[寄付サイト?]

[歌良かったよ!]

[あー、Donateね]

 

「別サイトになるんですが、寄付専用のサイトですね。そこに、次に投稿する歌のジャンル別で寄付先を用意するので、もし良ければ聞きたい歌に寄付してもらうって感じです。寄付が一定額になったらそのジャンルを投稿するって感じですね」

 

[なるほど]

[それって選択肢の分だけ歌を作るってこと? ヤバくね]

[なにそれ新しい]

[貴様も金の亡者か]

 

「もちろん寄付が無くても定期的に投稿はしますけどね。その場合は自分の気分で曲を作らせてもらいます。あと、お金云々は許してください」

 

[全部オリジナル予定!?]

[いやいやキツいでしょ、無理すんな]

[カバーでええんやで]

[むしろカバー曲も聞きたい]

 

「作詞とか作曲って大好きなんで、たぶん大丈夫です。でも、予定金額に達成するのが早くて投稿スパンが短くなるようなら、次からは金額を調整させてもらいます。曲作るのが忙しくて高校受験失敗とかシャレにならないので」

 

[最終学歴中卒はガチで避けろ]

[女ならマジでつむ]

[マジで中学生かよ]

[高校選びは大学の可能性にも影響するから慎重にね]

 

「カバー曲は難しいんですよね。歌いたい曲はいっぱいあるんですが、どれも女性のキーが基準なんで、僕が歌うにはちょっとキツいです」

 

まあ、歌えるけどね。俺のチートなら、本家を圧倒するレベルで仕上げられるけどね。なんなら編曲して男のキーに直してもいいし。

 

[あー、それは仕方ない]

[確かに]

 

「というわけで、大体2週間で1曲みたいなペースなら勉強も余裕かなって考えてます。まあ、寄付が無くても趣味で作ってるので投稿はしますよ。お金に余裕がある方だけお願いします」

 

[任せろ]

[毒女の財力を甘く見ないほうがいい]

[2週に1曲ってまじかよ]

[既にできてる曲を出しながらだろ。それでもいつまで保つんだってスパンだけど]

 

「なんだか割と受け入れて貰えてるのは嬉しいです。それじゃあ、次のコメントは……」

 

その後もチョイチョイ横道にそれながらなんとか時間を終わらせることが出来た。

 

強いていえば、セクハラコメントにブチギレてタメ口になったことくらいだろうか。

 

まあ、ブリーフ派かトランクス派かなんて程度の低いセクハラコメントとかを慌てること無く答えたら、何でも聞けるのではって調子に乗った奴がいただけなんだけどね。

 

下品を通り越してエグい話で反応を伺うとか、完全にラインを超えている。

 

風俗嬢に絡むオヤジかよって放っておいたんだけど、ありさにゃんZさんの[やめろよ!]コメを見たら、つい、ね。

 

まあ、彼女のためだったから仕方ない。悪いのは調子に乗ったリスナーだ。俺は悪く無い。

 

また、同じことを繰り返すって? うるせー、知るか、だ。

 

 

 

 

 

 

 

セントー君の歌ってみた動画はVtuber界隈で静かにだけど、確実に浸透していった。動画投稿の翌日にはチャンネル登録者100人を突破した。

 

始めたばっかりの素人にチャンネル登録者100人はどう考えたって異常だ。

 

でも、それに納得してしまうほどの歌だった。

 

人並みにしか歌を聞かない私だけど、それが今まで聞いた歌とは一線を画すことくらい理解できる。

 

そして、あの歌ってみたから3日後、彼はまた歌動画を投稿した。

 

今度は一転してバラードだ。1曲目のロックとは違い、包み込むような優しさに溢れた曲だ。

 

正直に言えば、歌詞の意味を完全に理解できてるわけではないけど、歌声から伝わる彼の気持ちを感じて、しばらく涙が止まらなかった。自分の部屋で聞いてたことを感謝した。

 

2曲目の登場により盛り上がる掲示板に更なる燃料が投下された。3曲目の投稿だ。

 

今度はポップス。これまでと違って軽い感じだが、聞けば聞くほど深みにハマっていく、そんな歌だった。

 

当然、掲示板が盛り上がった。

 

そうこうしているとチャンネル登録者が1000人を超えた。

 

早すぎる。でも、動画を見てる人は誰もが納得している。むしろ、これはまだ序の口で、これからどんどんファンが増えていくと確信している。その証拠にもう2000人に到達しようとしている。

 

そんななかで投稿された雑談動画は、これまた衝撃をもたらした。

 

これまでに無かった寄付の形。歌に絶対の自信を持っているからこそできる形だ。これが他のVtuberであれば鼻で笑われて終わりだったろう。でも、彼の歌を聞いて、この雑談動画に集まった人の中に、彼の説明をバカにする人はいなかった。

 

そして、それと同じくらい衝撃的なことがあった。2回目の雑談動画にして彼がブチ切れたのだ。

 

男性と称するVtuberによく起こることだが、セクハラコメントを打つ奴がいたのだ。彼も始めは適当に流していたのだが、彼が本当に男だとわかったせいか、いつもなら適当に鎮火するセクハラコメントが大いに盛り上がってしまった。

 

思わず、いつもなら放っておく私も制止コメントを打ってしまうほどだ。

 

どんどん盛り上がるコメント欄を見て、始めは彼も「そろそろ止めましょうね」と軽く注意を続けていた。でも、それで自分のコメントが認知されたと思ったリスナーが更に卑猥な質問や言葉を連発する。

 

ついには、まともなコメントの方が少なくなってしまった。そんなコメントだって、[もう無理、帰る][コメ欄、死滅しろよ][お前らさっさと消えろ!]なんてコメント同士でケンカし始めた。

 

そして、ついに彼が切れた

 

「いい加減にしろって言ってんだろ!」

 

声の圧がすごかった。

 

くらったことないけど、ゲンコツを落とされたときの衝撃って、こういうものかと思った。

 

体がビクッと震えた。

 

コメントも一気に止まった。

 

その後、彼は言葉が強くなったことを謝った。

 

「こういったコメントが出てくるのは仕方ないけど、明らかに嫌がる人がいるのに続けるのは見過ごせない。ノリが悪いとか思う人もいるかもしれないけど、俺はそういうところはしっかりしたい。もし、この考えが受け入れてもらえないなら、残念だけど、別のVtuberの動画を探したほうがいい」

 

そう語る口調はビクビクするようなものではなく、堂々としたものだった。

 

それから間もなく彼の配信は終わった。

 

コメントが少ないのを気にすること無く、次の歌って見た動画の話をする彼の姿は慌てるところはない。唯一、最後に、「もう開き直って、これからはタメ口で喋る」と言ったときは、吹っ切れたような清々しい声をしていた。

 

動画が終わったが、まだ残っていた人がポツポツとコメントを残す。怖かったとか、びっくりしたとか。

 

確かに私も怖いと思った。でも、悪いことを叱る彼の姿に、逆に私はこの人なら信じられると思った。

 

せっかく増えたチャンネル登録者がほとんどいなくなってしまうかもしれないのに、粘着質なアンチが生まれるかもしれないのにハッキリ言い放つ彼の姿を思い出しながら、私はリンク先の寄付サイトへ飛んだ。

 

別に名前を呼んでもらえたからじゃないし、同い年の男子だからってわけじゃない。あくまでもいい歌を聞きたいと思ったからだ。この人なら寄付が集まり次第、約束どおり動画を投稿してくれるはずだ。だから、5,000円だって痛くない。これはいい歌を聞くための投資だ。別に彼自身のことを応援しているわけじゃない。私はあんなヤツらと違って応援してるって伝えたいわけでもない。私はそんなチョロい女じゃないから。




イメージ曲
バラード:生きる(安野 希世乃)
ポップス:SUNRISE JOURNEY(GLIM SPANKY)

両方とも超名曲です。知らない人はぜひ聞いてみてください。知ってる人は久しぶりに聞いてみてください。
女性ボーカルな曲ですが、そこはチートで良い感じに調整してると思ってください。
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