(仮題)とある転生者の異文化体験   作:ピッピの助

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たくさんの感想ありがとうございます。全て拝見させていただいています。
「中高6年も英語勉強してまともに英会話も出来ない国の奴だから」 不思議な国、日本。
「でも、こんな事されちゃ仕方ないわな……むしろ鹿はよく我慢した方」「これで塩対応するなってする方が無理だろ。」 良かったです。このあたりが伝わらないと説得力が一気になくなるので、一安心してます。
「今更な感想ですが、設定からして色々な感想が来てると思いますけど、その賛否両論具合な内容も凄く面白いです。応援してます!」 ありがとうございます。愛のある言葉にはいつも助けられてます。
「中々なパワーワードをどうもありがとう」 現実で一度で良いから言ってみたいセリフです。ただし、そのあとは周囲から冷たい目で見られるでしょうね。
「この小説に影響されてバンドリのアニメ一期を見てアプリはじめました。」 この言葉が一番嬉しいかもしれません。ぜひアニメ2期をどうぞ。大丈夫です。ロゼリアとパスパレのバンドストーリー1章が耐えられるなら、アニメ2期のギスギスは大したことないです。むしろ、最後のライブがより感動的になります。ぜひ!
「冬場夜勤の心の潤いだわ」 お仕事お疲れ様です。寒い日が続いています。ご自愛ください。


17.5話(奥沢美咲視点)

新学期になって、なんだかんだで忙しくなったこともあり、こうして4人そろってお泊り会というのは久しぶりだ。

 

あたしと幹彦、うつ伏せで息も絶え絶えの市ヶ谷さん、今さっき意識を取り戻した花音さんの4人は、布団の上で、体が落ち着いて眠りに落ちるまで、ゆっくりとお喋りしていた。

 

いつもはベッドだが、さすがに4人は狭いので、今日はこうして布団を敷いている。規則正しく横になるっていうより、向きは同じだけど乱雑に寝っ転がるって感じかな。なんか修学旅行を思い出して、少しだけワクワクする。

 

4人で最近あったことを話し合う。

 

幹彦はラーメン作りに興味があるらしい。

 

ラーメンと言えば、醤油味のアッサリとした温かいスープに、可愛いナルトやメンマがちょこんと添えられている食べ物だ。人気があるとは聞かないが、たまに専門店を目にする。

 

でも、幹彦が食べたいのはそういうラーメンじゃなくて、もっとガツンッとしたラーメンらしい。

 

背脂、背ガラ(?)、げんこつ(?)からスープを作って、ナルト、メンマの代わりに、大量のもやし、キャベツを乗っけて、刻みニンニクを添え、最後に上から背脂を崩したものをかけて出来上がり、だとか。

 

もう意味がわからない。背脂はわかる。でも、背ガラとかげんこつってなに? そもそも背脂だって売ってるところ見たことないよ。

 

はぐみの家に特別に卸してもらったって言ってたけど、それってつまり、普通は置いてないってことじゃん。

 

もやしとキャベツはわかる。でもニンニク入れんの? それも大量に? あんた、食べるなとは言わないけど、それ食べた日と次の日は近寄らないでね。

 

だいたい背脂をかけるってなんなの? オリーブオイルをサラッとかけるのとは違うんでしょ?

 

……脂の塊を乗せて、そのまま食べたり、スープに溶いたりして楽しむ? それ、絶対に味がわかってないでしょ。

 

もう、こいつの趣味は本当に理解できない。でも、こんな楽しそうな顔で語るんだから、それだけ好きなものなんだろう。彼女として、上手くいくことを願ってる。さすがに一緒に食べることはできないけどね。

 

花音さんはいつもどおりらしい。ハロハピの活動はあたしと幹彦と一緒だし、ファーストフードでのアルバイトも順調らしい。なんでも、少し前に上原さんと宇田川さんが入ったから、知り合いが増えて嬉しいとのことだ。予定のない放課後や休日は、幹彦と一緒に喫茶店巡りをしてる。これもいつもどおりだ。

 

少し変わったところと言えば、今度の文化祭で、花音さん、リサさん、彩先輩、青葉さんと羽沢さんの5人でバンドを組むことになったんだとか。

 

羽女の生徒会長になった日菜さんに誘われたらしい。

 

なぜ、ここで羽女が出てくるのかというと、実は今度の花女の文化祭が、羽女との合同文化祭になったのだ。

 

きっかけは日菜さん。なんでも突然、花女にやってきて、花女の生徒会長の燐子先輩に共同開催を持ちかけたらしい。姉妹である紗夜先輩すら初耳だったらしく、関係者一同、寝耳に水だったとか。

 

そして、そんな急な提案がなぜか通った。羽女の文化祭って秋じゃなかったっけ? まあ、みんな楽しそうだから、これでいいんだろう。これは深く突っ込んではいけないことだ。ハロハピで培ったあたしの勘がそう言ってる。

 

そんなわけで花音さんは、文化祭に向けて、急きょ結成されたバンドで忙しいらしい。

 

花音さん曰く、突然の誘いだったけど、何か挑戦したいと思っていたので、ちょうどよかった、とのことだ。本番は必ず応援に行くと伝えた。

 

うつ伏せの市ヶ谷さんは呼吸も整ってきてるのに、体勢を変える様子がない。疲れて寝てるのかなと思ったら、しっかり起きてた。

 

胸の大きい人は、うつ伏せだと胸が圧迫されて苦しいって聞いたことがある。仰向けになったら? と市ヶ谷さんに聞いてみた。

 

仰向けになると、また襲い掛かってくるヤツがいるから嫌だ、とのこと。

 

うん、そう。あんたのことだから。反省しなよ。

 

今日はもう無理矢理、襲いかかったりしない、という幹彦の言葉に、疑いの視線を向けながらも市ヶ谷さんは体勢を変えた。やっぱり苦しかったみたいだ。

 

その間、幹彦の視線は当然、市ヶ谷さんの胸に。

 

市ヶ谷さんも、まんざらでもなさそうな顔をしてる。正直、どっちもどっちだと思った。

 

市ヶ谷さんは、新しい学年になって、4人の中で最も生活環境が変わった人だ。

 

なんと、生徒会に入ったのだ。役職は書記だけど、人数が少ない生徒会では庶務の仕事も手伝ってるらしい。ただでさえ忙しい文化祭の調整が、今年は合同になったので、夜まで会議をしていることもあるのだとか。

 

そして、前にGalaxyというライブハウスで演奏したポピパが、その場で主催ライブ開催を宣言した。

 

なんでも戸山さんがロゼリアに影響されて決めたらしいけど、市ヶ谷さんたちメンバーもノリ気で、その準備も平行して行っているらしい。

 

主催ライブでは新曲も発表するみたい。ポピパメンバーは文化祭と主催ライブの準備で忙しすぎて、バンド練習も思うように時間が取れないほどらしい。

 

そんな状況なので、今日のお泊り会だって、幹彦が気を使って、自分の家で休んでもいいんだぞって言ったらしい。でも市ヶ谷さんは、仲間外れにすんな! って言って、参加することになったようだ。

 

本当に可愛い人である。

 

まあ、なかなか会えないから、こういう機会を逃したくない気持ちもわかる。

 

幹彦もきっと同じ気持ちだ。この時間だって、いつもなら3人が疲れきって、こんな風に喋ることができなくなるのに、今日はまだ余裕がある。

 

貪り合うのもいいけど、今日はお喋りしたい。そういうことなのだろう。まだ物足りなさそうだけど……。

 

やっぱり、こいつの体力はすごい。

 

こういうピロートークっていうのは、いつも話してるときと違って、取り繕うところがない、ゆるりとした会話が楽しめる。

 

あたしも好きなんだけど、いつもは幹彦の体力に圧倒されるから、なかなか楽しめない。それは花音さんと市ヶ谷さんも同じのようだ。

 

これからも、こういう時間があるといいなって思う。

 

そうなれば話題はやはり、気になる子はいないのか、という話だ。

 

まあ、気になる子と言っても、前から幹彦が気になってる子はわかってるし、その子たちと関係が進まなくて苦労してることもわかってる。

 

だから、他に増援はいないのかってことになる。

 

「実は、リサさんに断られた」

 

正月の新年会のときの話を伝えた。

 

「……美咲ちゃん、リサちゃんにも声をかけたんだね」

 

いつの間に、といった感じで驚く花音さん。

 

「マジか。最有力候補が消えたぞ……。他に誰かいるか?」

 

あたしと同様に、最も期待していた人の不参戦にショックを隠せない市ヶ谷さん。

 

「俺は別にこれ以上、増やす必要はないと思うけどな」

 

逆にのんびりと構えている幹彦。

 

「あんたはいいかもしれないけど、あたし達はキツイんだって」

 

ジトッと睨むと、幹彦はごめんごめんと謝り、でも、と続けた。

 

「こころだって高校卒業するころには来てくれるし、美咲の話によると、リサ先輩だって、そのフェスに出れたら来てくれるかもしれないんだろ。そしたら、もう5人だよ」

 

「……薫さんとはぐみちゃんを入れれば7人だね」

 

幹彦の手と自分の手を絡めてニギニギしてる花音さんが言った。

 

「俺は女の子だったら誰彼構わず付き合いたいわけじゃない。花音、美咲、有咲だから付き合いたいと思ったんだ。そんな無理して新しい子を増やす必要ないって」

 

それはわかってる。

 

幹彦が外見だけじゃなくて、ちゃんと中身を見て付き合う子を選んでるのは理解している。

 

「でも、お前、しょっちゅう他の子見てんじゃん」

 

同感だ。市ヶ谷さんと一緒に幹彦を睨みつける。花音さんは幹彦の手で楽しそうに遊んでる。

 

「それは男の本能だって。ついつい女の子を見ることがあっても、いきなり飛びかかったりしてないだろ?」

 

当たり前だ。さすがにそれをやったら、いくら男でも刑務所行きは免れない。

 

「そうだよ、美咲ちゃん、有咲ちゃん。幹彦くんはおサルさんだけど、自制ができるおサルさんだよ。最低限の人数は集まったし、無理に増やさなくても大丈夫じゃないかな?」

 

「花音さん……あたし、花音さんが意識を飛ばしながら奉仕してるって知ってから、一番、花音さんがマズい状況なんじゃないかって思ってるですけど……」

 

あの話を聞いたときは本当に体調が問題ないか心配した。

 

「あ、あはは……大丈夫だよ。次の日はいつも調子がいいんだ。私は普段、あまり運動とかしないから、軽い運動みたいでちょうどいいのかな?」

 

軽い運動……? アレが?

 

「いやいやいや、意識飛ばすって全然軽くないですから! 私なんて花音先輩と違って、次の日は疲れが残りますよ!」

 

「あたしも市ヶ谷さんと同じ。次の日は何もできないって程じゃないけど、しんどさが残るよね」

 

「俺は花音と同じで好調だな」

 

「ふふ、おそろい……だね?」

 

「だな」

 

2人は手を絡めたまま、見つめ合って、顔を近づける。

 

「……これはアレか。花音先輩が幹彦の生気を吸い取ってる説が現実味を帯びてきたのか?」

 

「でも、幹彦も好調だって言ってるよ?」

 

「そこはほら、こいつ元から体力が無尽蔵だから、吸い取られた生気よりも回復する量が多いんだろ。欲求不満が解消されるから、むしろ体が軽くなるとか」

 

「それだ!」

 

市ヶ谷さん、天才なのでは?

 

「いや、それだ、じゃないが」

 

「ふふ、でも、幹彦くんと一緒にいると元気になるのは本当だよ?」

 

「マジか。花音、愛してる」

 

「うん、私も愛してる」

 

私たちを他所に、お互いの顔をついばみ合う2人。

 

もはや、そこだけ2人の世界になった。

 

「2人とも私らがいるのを忘れてねーよな?」

 

「そうだよ。2人があたし達を無視してイチャイチャし始めるから、ほら、市ヶ谷さんが寂しくなって、胸を強調する姿勢に変えてきたじゃん」

 

さっきまで警戒してたのに、今は幹彦の方に体を向けて両腕で胸を挟みこんでる。心なしか、挟む腕の力を強めてる気もする。

 

「ち、ちげーから! そーいうんじゃねーから!」

 

「有咲、お前ってヤツはなんて、いじらしいんだ」

 

花音さんの肩をそっと掴んで、優しく体を離した幹彦が、あたしを乗り越えて市ヶ谷さんの方へ近づく。

 

「やめ、おま、だから胸を揉むな! 今日は襲わないって言っただろ!」

 

「そうだった……」

 

すごく残念そうな顔をして、元の場所へ帰っていった。

 

「残念だったね、幹彦くん。はい、代わりになるといいんだけど……」

 

そういって花音さんが、幹彦の手を自分の胸へと誘導する。

 

幹彦はそれに逆らうことなく、すっかり定位置となった場所に手が収まる。

 

満足気な顔になって、花音さんとイチャつき始めた。

 

「まーたイチャつき始めたな、この2人」

 

「外じゃあ、こんなことできないからね。花音さんのタガが外れるのは今に始まったことじゃないよ」

 

外でもイチャイチャしてるけど、こんな露骨な真似はできない。花音さんは端から見れば貞淑な彼女だ。

 

ちょいちょい本性が見え隠れするけど。

 

「まあ、そうだけどさ。なんか釈然としない」

 

「市ヶ谷さんも素直にならないと。あたし達の前ならもう大丈夫でしょ?」

 

「そうだけどさ……やっぱ、ちょっと恥ずいじゃん? 奥沢さんはすげーよ。ちょいちょい尻を揉まれてるのに、いつも平然としてるし」

 

確かに花音さんとイチャつきながら、すきあらば、あたしのお尻やら胸やらを弄ってくるけど、外では触らせてないから、こういうときくらいは好きにさせてやろうって思っただけだよ。反応すると矛先がこっちに向くから、受け流す方が楽だよ。あー触ってるなー、くらいがベスト。

 

そんなことを思いながら市ヶ谷さんを見ると、ちょっとだけ拗ねたような顔で、口を尖らせていた。すっごく可愛い。

 

「うん。その顔は止めた方がいいかも。幹彦の抑えが効かなくなるよ」

 

「え、マジ? やべっ」

 

慌てて、幹彦の様子を確認する市ヶ谷さん。

 

「大丈夫。そんなことになるだろうと思って、見ないようにしてた」

 

花音さんを見ていた幹彦が、向きを変えずにそう言った。

 

市ヶ谷さんの行動は読んでいたようだ。

 

「さすが市ヶ谷さん」

 

「さすがってなに!? なんで私!?」

 

「今日は襲わないって本気だったんだね」

 

花音さん、それだと疑ってたように聞こえますよ。

 

「まあな。4人で集まるのも久々だし、有咲と会うのも久々だからな。いろいろ話をしたかったし。……本当にさ、お前たちがいてくれるから、俺は満足してるんだって。俺の性欲が少しだけ強いことはわかってるから、その対策としてお前たちが他の子を探してくれる気持ちはわかるし、嬉しいとも思う。でも、俺はこの時間がすごく嬉しくて、幸せな時間だって思ってる。それだけは覚えといてほしい」

 

少しだけってレベルじゃないけどね。

 

「格好良い……」

 

あ、市ヶ谷さんが完全に恋する女の目をしてる。

 

「私も幹彦くんがいてくれるから、いろんなことが楽しく思えるし、満足してるんだよ。私が感謝してること、覚えておいてね」

 

花音さんが、自分の胸にある幹彦の手を、ぎゅっと抱きしめた。

 

「まあ、手出しを推奨されるなら、手を出さないわけにはいかないけどな!」

 

花音さんの行動に嬉しそうな顔をした後、幹彦はおちゃらけて、そんなことを言った。

 

あたし達だって、少し急ぎすぎてたところがあるのかもしれない。

 

あたし達がこんなに急がなくったって、幹彦はきっと良い子を見つけてくるはず。

 

たしかに夜の生活はちょっとキツイけど、なんとかなってるし、幹彦はあたしたちを大切にしてくれる。

 

そりゃあ、しょっちゅう暴走して、被害に遭うこともあるけど(主に市ヶ谷さんが)、あたしたちが本当に嫌なことはしない。

 

幹彦は他の男とは違う。あたしたちのことが好きで、あたしたちだって幹彦のことが好きなんだ。……あたしだって、きっと、そうだ。

 

だから、ゆっくり話していこう。お互いに無理のないところを探って、リサさんたちの増援が来るまで、のんびりと構えていよう。

 

人が増えたら、こうして一緒にのんびりできる時間はやっぱり減ってしまうと思う。あたしも花音さんも寂しいし、これ以上、幹彦と会えなくなった市ヶ谷さんが、寂しさのあまり、一体どんなプレイを初めてしまうか心配だ。

 

それなら今を楽しむのが一番じゃないかって、そう思った。

 

意外と律儀な面が見えて、少しだけ見直した。やっぱり、あたしの彼氏は最高だなって思った。

 

 

 

数日後、幹彦が戸山さんに手を出したと報告してくるまでは。




手を出す相手は、決して思い付きで選んでるわけではありません。本当です。嘘じゃないです。
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