(仮題)とある転生者の異文化体験   作:ピッピの助

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コメントありがとうございます。
この小説では主人公と原作キャラの間に、きょうだい関係も、幼馴染関係もないです。

そして、だんだんと説明臭くなってきました。偏見タグも本性を現してきます。異文化気分でお願いします。


5話

中3になった。

 

だからといって語ることは少ない。高校受験を控えているとはいえ、前世で大学受験戦争を乗り切り、就職戦争でも勝ち抜いてきた俺にとって、高校受験なんて大したことではない。

 

そもそも、この世界では男は希望すれば受験なしで高校に入れるのだ。国や県が指定した高校なら、願書だけ出せば、試験なし、入学費用なしで入学できる。超イージーモードだ。

 

たぶん高校に行かないと、その男が中学卒業して何してるか情報が入ってこなくなるから、それを避けたいんだろうね。

 

受験をしなくてラッキーと思う反面、何だか肩透かしを食らった気持ちにもなる。でも、勉強しろ! と言われると嫌になるんだけどね。

 

Vtuberの仕事に関しても、一波乱あったものの、順調である。

 

2000人の登録者の95%がいなくなったときはびっくりした。

 

その1ヶ月後には49900%増という意味のわからない増加をしたときは目を疑った。

 

それでも日に日に増えていく寄付者を見て、ああ、これは現実なのかと納得したものだ。

 

チャンネル登録者は50万人。今やファンの名前なんて到底覚えきれない。というか、最初の方の100人くらいしか名前覚えてないけどね。

 

曲のリクエスト寄付も軌道に乗り始めた。1日の上限を2万円に設定し、目標金額は1,000万円。これで2週に1曲というペースだ。

 

しかし最近は目標達成のペースが早まってきているので、金額の引き上げを考えている。

 

曲のストックはまだまだあるけど、どうしても女性ボーカルの曲が多い。それも音程を整えれば全く問題ないけど、電波ソングは流石に歌えないから(でも一番ストック数が多い)、曲を節約するに越したことはないだろう。

 

オリジナル曲を作ることも考えているのだが、前世の名曲ばかり扱っていた手前、自分で作るとなると完成度が低くなると思い、なかなか手を出せずにいる。

 

音楽の価値なんて受けての人次第だから、どんな曲を作ったら名曲になるかはわからない。

 

でも、せめて自分が最高傑作と思える歌を作りたい。そう考えると、俄然、ハードルが上がってきてしまうのだ。

 

そうは言っても、俺には音楽全般のチートがあるから、いざ曲を作り始めれば、たぶん名曲が生まれると思うんだけどね。それでも前世の彼らの曲を使わせてもらっている以上、彼らをリスペクトする気持ちが、気軽に作曲するのを許してくれない。

 

我が物顔で稼がせて貰ってるが、お借りしてるのは確かだからな。たとえ、それを知ってるのが俺だけでも、それを忘れたらダメだと思ってる。

 

まあ、それはそれとして、これからも前世の曲をパクらせてもらうんですけどね。

 

ともあれ、元一般ピーポーとしては、なんか参考になる人がいて欲しいと思う今日このごろ。

 

同い年くらいで、作詞、作曲をして、俺の素性を知らない人がどこかにいないだろうか。好み的には、明るいぶっ飛んだ曲を作る人がいい。ピアノの音をガンガン入れてくる人でね。

 

ま、そんな都合よくいくわけ無いか。

 

今のままでも20年は戦えるし、曲のストックが尽きる頃には大金持ちになってるだろうから、無理に曲を作る必要はない。気にするだけ無駄なところもある。

 

なんてといっても月に2曲投稿すると、寄付が月2000万となり、寄付だけで年収が億を超えてしまうのだ。

 

それに再生数が乗ってくる。俺の動画は歌が中心ということもあり、再生数がアホみたいなことになってる。

 

軒並み500万再生を超えており、中には1000万再生を超える動画もある。寄付の時点でお腹一杯なので、最近はそっちの収入を数えてないが、なんか良い広告が付いたとかメールが来てた気もする。

 

そして前世では考えられない稼ぎ方をしていると、新たな問題に気づいた。

 

お金の使い道に困ったのだ。

 

これが前世であればゲーム買ったり、課金してみたり、旅行したり、女の子がいる店に行ってみたりと楽しみはあるのだが、今世ではそうもいかない。

 

前も言ったが、この世界はゲームが発展途上である。ハードはPS2とDSが最新機種で、ソフトは少ない。しかも女主人公と超イケメンヒーローものばっかり。ヒーローの性格は両極端で、女性に限りなく甘い男か、DV上等のメンヘラ男。驚くことに、今世ではDV男は前世でいうツンデレのような扱いで、大人気キャラの一角なのだ。まあ、俺様男子というのは前世でも女性の好みだったのかもしれないが……。

 

そうなると、ゲームをやるということは、真新しさのないシステムを触りつつ、虫唾が走るようなクズ男とスレンダー(笑)美女の恋愛模様をA連打で垂れ流す必要があるのだ。

 

スキップ機能? そんな上等なもん、あるわけないだろ。

 

ソシャゲも同じだ。前世で美少女動物園だったゲームが全員男になった作品ばかり、と言えばわかりやすいだろうか。キャラクターは知らん。たぶんコンシュマーと同じ感じだろう。

 

漫画だってアニメだって同じだ。男が少ない世界では女メインがほとんどだ。男が主人公の作品だってあるが、作ってるのは女である。そうなれば当然、女向けの作品になるんだ。

 

男同士でてぇてぇとか吐き気しかしない。おじさんが許容できるのは妖精三信までだ。ギャグにもならないのはノーセンキューなんだ。

 

というか男に元気がないってニュースがよく流れてるけど、もしかしなくても娯楽がないのが原因じゃないのか。この世に生まれて、くっそつまんない娯楽の中で育って、受験なしで進学できるから勉強する必要もなく、DVをしても求めてくる女が後を絶たない。学校を卒業すれば働かなくても精子バンクへの協力金で生きていける。

 

頑張る必要がなく、社会的モラルも問われない。何もしなくても生きていくためのものは与えられる。そして、俺からすれば娯楽がほとんどない生活。

 

まるで、ぬるま湯に浸かったまま死を待つ感じ。廃退的な臭いがパない。

 

これはもしや、お先真っ暗というやつなのではないか。

 

まあ、そんなのはどうでもいい。どうせ二度目の人生だ。俺は俺の好きなようにやらせてもらう。

 

この世界の未来は人生一度目のみんなで頑張ってくれ。俺は迷惑かけないようにやってくよ。

 

え? 旅行と女の子の店?

 

旅行については、男性は海外旅行が禁止されてるし、国内旅行だって任意で届け出する必要がある。任意だから届け出なくてもいいんだけど、その代わり飛行機と新幹線が使えなくなる。

 

在来線でチマチマとか地獄だ。前世みたいに椅子の座り心地は良くないし、めちゃくちゃ遅いから、東京から名古屋に行くにも1日かかる。しかも、その間、香水臭い車内で、周りの女性から動物園のパンダよろしく見世物扱いされるという始末。

 

親が忙しくて車で旅行もできないので、せいぜい近場で遊ぶしかない。

 

女の子の店なんて、もっと酷い。

 

そもそも、そんな店がないのだ。

 

現状、男だったら女を選び放題だから、そういった店の需要が全くない。男装した女性がいるホストクラブならあるよ。当然、女性向けだけど。

 

ニッチ過ぎる趣味を持つ人は苦労するんだなって、そんなことを今世では思ったね。

 

閑話休題。

 

ともあれ、そんな世界である。金が沢山あっても、使い道に困るのだ。

 

あ、税申告はちゃんとしたぞ。元サラリーマンを舐めてはいけない。俺は確定申告だって何度もしたことがあるんだ(得意気)。

 

まあ、実はこの世界では税申告は必要なかったりするんだけどね。

 

通常、こんなに稼いだら、所得税と住民税あわせて稼ぎの半分以上が持っていかれるものだが、なんとこの世界では男性の個人事業は非課税である。

 

意気揚々と税務署に乗り込んだのに、次からは申告しなくても大丈夫ですよー、とか言われた。

 

ちょっと恥ずかしかった。

 

国に一体なんのメリットがあるのかは不明だが、払わなくていいって言われてるなら払うつもりはない。

 

ありがたく懐に収めさせていただく。

 

 

 

 

 

 

別視点

 

 

 

『というわけで、金の使いみちについて聞こうかと思ってる』

 

セントー君こと鹿のメン限(メンバーシップ限定配信)では、初期勢と呼ばれる約100人を対象に雑談が開かれる。定期的に配信されるが、そこではセントー君の歌が披露されるというよりも、話がメインの限定配信である。くだらない世間話から彼の今後の方針や、最近の悩みなどが30分ほど話し合われる。

 

ときどき、鹿の作った投稿前の歌を流すことはあるが、それはメンバー限定に先行配信、なんて夢のあるものじゃない。これ、出して大丈夫? という確認の類のものだ。

 

一般公開してる雑談動画で、[歌詞の意味はわからないから、とにかくノリのいい曲を出して!]というコメントに静かに怒った鹿が、じゃあこれでいいんだろ! と作ったFxxk Your Discoなどが、公開しても問題ないかを審査したりしてるのだ。

 

正直、これに関しては私たちも怒りを感じてたから、よくやった! という気さえしてた。歌は好評だったけど、[歌詞がイミフ過ぎてツライ……]なんてコメントもあったから溜飲も下がった。

 

でも、それで終わらないのが鹿である。

 

私たちと同じく、この騒動に気をよくした鹿が、どこまでなら大丈夫なのかとスレスレの曲を作るようになった。しかも普通の歌を作る片手間にだ。

 

歌詞が意味わからないシリーズのDaylightはまだいい。けっこう過激な歌詞の蝶や聲などの零シリーズと冠した歌だって、少し迷ったが、芸術という表現と思えば、頭から否定することはできない。

 

でも、絶対に外に出せない歌だってあった。

 

一番ヒドイ歌だとSATSUGAIとか魔王などのDMCシリーズがある。さすがにこれを出されたときはメンバー全員が全力で止めにかかった。倫理的に完全にアウトだ。メス豚交響曲なんて名前だけでアウトだ。

 

なんて曲を作るんだ。こいつ放っておくと危険だぞ、とみんなが思った。みんながただのファンってだけでなく、鹿を遠慮なく、いさめるのはそんな経過があったからだ。

 

歌だけは腹立つくらい上手かったから、メンバー限定で曲データを公開させたけど、それはそれである。

 

ともすれば、保護者面してるって反感を買いそうなメンバーの態度だが、鹿も受け入れてくれている。チャンネル登録者の95%が逃げ出すという、過去に例を見ない大炎上のあと、それでも残った私たちを、彼は明らかに贔屓してくれるのだ。

 

大炎上を経て、それでも続いた鹿の歌に惹かれた人は多く、大炎上後に新規でチャンネル登録したり、寄付してくれる人はいたが、彼は明確な線引をして接してくれている。彼の歌や、その考え方に共感したからこそ応援し続けた私たちだが、こうして彼が頼ってくれるのは、まあ、嬉しくはある。

 

[貯金]

[豪遊]

[奴隷]

 

『奴隷とか……ホント社会の闇。奴隷に憧れていいのはファンタジー世界だけだから。あと、貯金と豪遊はなー。10万円とかだったら、それもいいけど。桁が3つ違うからダメ』

 

[億!?]

[まあ、そのくらい貯まるよね]

[奴隷が合法なのに人権とかよくほざけるよね]

 

男性の数が激減し、戦争がなくなった。でも貧困差はなくならなかった。女性がトップになっても自分や自国の利益を優先するのは当然だったし、むしろ女性らしく、各国は守りに入ったと言われてる。自分の国(家庭)の取り分を減らしてまで弱い国(他の家庭)を助けることがなくなったのだ。

 

その結果、弱い国はどんどん弱くなり、食べるものすらなくなった国々は、身売りを始めた。

 

これが昔の世界だったら、食べ物を得るために戦争を仕掛けたりするのだろうが、今世で武器を持ってるのは強い国だけだ。弱い国も昔は武器を持っていたが、みんなが武器を捨てて、その維持管理をしなくなり、設備や技術すらも忘れていった結果、戦争なんてできなくなってしまった。

 

いや、作ろうと思えば作れたのだろう。でも、ほとんどの国はそうしなかった。来ない助けを待って国が滅んでいく、というのはわりとよくある話だったりする。

 

強い国は人権を叫びつつも、人類の先細りを防ぐと言って彼女たちを受け入れた。

 

そして彼女たちに人工授精で子どもを作らせ始めた。

 

鹿はいつだったか、戦争がなくなったんなら経済でぶっ叩けるヤツが強い。弱い国をわざわざライバルにしようとしなかっただけと言っていた。それが正しいのか分からないけど、事実として、弱い国では餓死者がいて、強い国では食料が余っている。

 

『リアル孕むための機械はノーサンキュー。俺の嫁さんは恋愛結婚って決めてるから』

 

[純愛鹿]

[畜生ですら倫理ってのを弁えてるのに……やっぱり政治家は悪]

[恋愛結婚(ただしスタイルに厳しい条件あり)]

 

恋愛結婚……。女の子なら誰でも憧れるけど、誰もが手にできない夢。男の子と結婚できた人だって、そこに愛があるひとは本当に一握りって聞く。

 

色々障害はあるんだろうけど、男の子側がそれを望んでいるというのは嬉しい。

 

いや、もちろん一人の女の子としてだから。私情は全くないから。

 

『はいはい。政治の話はやめような。その話題で楽しく過ごせる自信がない。それと、スタイル条件は厳しいものではありませんので悪しからず』

 

[お前がネタ振ったのに……]

[マイノリティーがよく言うわ]

[「譲歩してEカップかな」全く譲歩してない定期]

[オリジナルブランドとか良いんじゃない? ワイルドスタイルとかいけるって]

 

Eカップ……。

 

スタイルは私が最近、心の中で自慢できるようになったことである。

 

世間一般的には服を着た時のラインが崩れるので、胸が大きいのはマイナス要素だ。胸は極力小さく、腰のくびれが綺麗な体こそが良いスタイルと言われている。ファッションモデルを見れば確かにそのとおりだと思う。

 

だから胸が大きいのはずっとコンプレックスだったけど、こうして好きだって言ってくれるのは嬉しい。何だか自分に自信が持てる気がする。

 

いや、一般的な話だから。こいつに言われたからとかじゃないから。

 

『オリジナルブランドって服だろ? 俺センスないから。普段着なんてTシャツ、チノパンしかない。格好つけたいときはTシャツがYシャツになる』

 

[あっ……(察し)]

[地味ー]

[んー……柄次第]

 

『柄はなし。単色。ボーダーとか変な絵とか英語はなし』

 

[良く言えばシンプルでスッキリしてる]

[悪く言えば面白みがない]

[体型とシャツのライン次第で善にも悪にもなる]

 

『買うときは店員さんに丁度いいサイズにしてもらってる。ただ、成長期だからね。もう短いかもしれない。でも俺がオリジナルブランドなんて始めたら、もちろん皆は俺のブランドから普段着を選ぶんだよな』

 

[はい、この話やめ]

[私服がモノトーンだけとか……。完全に色物キャラなんだけど]

[ふざけんな。モノトーンをオシャレに着こなすって、お前が思ってる以上に難しいからな!]

 

『わかったわかった。俺だって服は無理だって思ってるよ。じゃあ次は?』

 

[株]

[機材を買い揃える]

[ギャラを用意してアイドルとコラボするとか。白鳥ひめは鹿に興味持ってるよ。何度か動画の感想を呟いてた]

 

『白鳥ひめ? あの天使の歌声ってやつ? 興味ないかなー』

 

[鹿の歌聞いたあとだと、天使の歌声って言われてもピンと来なくなった]

[歌はマジで上手いよ。鹿と比べちゃいかんけど]

[リアルで見たことある。マジで可愛い。天使の歌声って天使が歌ってるって意味だと思ってる]

 

白鳥ひめ。誰もが知ってる歌姫。彼女のCDは私も持ってる。すごく綺麗な歌声で、彼女が目を閉じて静かに歌い始めるときは、天使ってこういう人を言うんだって強く思った。

 

そんな凄い人も鹿に注目している。やっぱり、こいつの歌はプロが聞いても違うのだろう。

 

『お前ら、それ外では言うなよ』

 

[おk]

[流石に心得とるわ]

[現役アイドル最強歌姫だからね。ファンも多いし、理由もなく敵にするのはダメ]

 

『現役最強、ね。アイドルってみんな貧乳だから見ててもつまんないんだよな』

 

[でたよ。おっぱい好きー]

[少数派だって自覚持てよ]

[胸が大きい方が好きって言ってるやつ初めてなんだよな。男性が少ないってのもあるけどさ]

[あれは貧乳じゃなくてスレンダーな。理想体型だからな]

 

なんだか照れる。

 

『スレンダー(笑)』

 

[なんだろう。世間的には巨乳なんてただのマイナス要素なのに、こいつにスレンダーをバカにされると腹が立つ]

[他の奴→ は、何いってんの(冷)  鹿→ は、何いってんの(殺)]

[うちの娘はどう? 綺麗な金髪で目がぱっちり。平均的な身長だけど胸がかなり大きい。飛び抜けて明るくて、人を笑顔にするのが大好きな子]

 

『なにその子。たぶん超好みだと思う。でも、このコメ大社長だろ? 俺、会社の将来とか背負いたくないんだけど』

 

[一人娘だから、それは、ねえ?]

[隠す気のないハニトラ]

[でも逆玉ですぜ]

 

[いや、ダメだろ]と打っておいた。

 

『だから金の使いみちに困ってるんだよ。金が増えてどうするんだよ。てか経営の才能なんて絶対ないし、やる気もないわ』

 

[自覚してるならおk]

[大社長のレベルだと経営ってよりも外交がメインになる気がするけどな。経営は別に用意するとか]

[まあ、メジャーデビューする方が現実味があるな]

[ゲーム開発とか]

 

『ゲーム開発か。面白そう』

 

[お、いいの来たか]

[かいはつ~? 人材おりゅ?]

[ついに興味がある話題が……!]

 

『人材……。俺は音楽以外ダメだぞ』

 

[プログラマーとか?]

[シナリオ、アート、進行管理、企画とかかな]

[営業は重要]

[ソシャゲから人を引っ張ってくる感じか?]

 

『いや、ソシャゲはダメだろ。似て非なるものじゃね?』

 

[そうなん?]

[違いが分からない]

[ゲームだろ?]

 

たしかに分からない。私はソシャゲに興味なかったからやってないけど、ゲーム機でやるのもスマホでやるのも同じだろ。

 

『違うって。ソシャゲはソシャゲで好きだけど、あれは金回収の過程のシステムで、俺がやりたいのは買って楽しむゲーム!』

 

[?]

[どっちもイケメンとキャッキャウフフするだけでは?]

[どっちも金を払って好きな子に会いに行くものだろ?]

 

『今度ゲーム実況あげるからな。全員参加しろよ。ソシャゲとゲームの違いを教えてやる』

 

[ついにきたか。謎のゲーム実況]

[まあ、30分ドブに捨てると思えば]

[マジレスすると、コンシュマーのゲームよりソシャゲの方が人気だろ。だったら給料もソシャゲの方がいいから、力のある人はみんなそっちに行ってるはず]

 

『う……。そう言われると、確かにそうかもしれん。てかそもそもプログラマーの人気ってどうなん?』

 

[アプリ開発は底辺がやる仕事って風潮はある。優秀なヤツらは服飾や化粧品開発、肌年齢復活の研究に行く]

[アプリなんて出揃ってるからね。せいぜい保守くらいだろ?]

[IT土方って言われるくらいだからな。最低限の需要はどこにでもあるけど、人気はない]

 

『アプリが出揃ってる? 新しいの作ったりとかは?』

 

[新しいの? なんか要る?]

[カメラもあるし、画像加工ツールもあるし、ツイッターもあるし]

[足りないものなんてパッと思いつかないけどな]

 

『ユーザーの心に刺さる新アイデアとかあるだろ。ソシャゲとか出ないか? 新しいやつ』

 

[まあ出るよ。新しく登場した声優を使ったゲームとかね]

[でもガワが違うだけで中身は同じだぞ]

[そうそう。ときどき、あれはこれのパクりだとか言ってるヤツがいるけど、それも他のソシャゲのパクりだったりしてね]

 

『マジか……。考え方が違いすぎるぞ……』

 

[?]

[ど、ドンマイ?]

[おい、流れが悪いぞ。誰か次の案を!]

 

鹿の考えはときどき私たちも理解できない。たぶん彼の中ではキチンと筋道が通っているんだろうけど、私たちには今回のようにイマイチ伝わらないことがある。

 

天才と皆はいうけど、私にはまるで別世界が見えてるんじゃないかと思ってる。

 

それが他の男の子にはない彼の魅力じゃないかって思ってる。

 

まあ、格好良いと思わなくもない。

 

『次の案……。そうだな、次にいかないと……』

 

[次、次、次]

[億だもんなあ。なんか買い占めるとか?]

[はいはい。ライブハウスとかどう?]

 

『ライブハウス? 運営ってこと』

 

[おお、なんかピッタリなの来たな]

[鹿も知ってるジャンルだし、悪くないのでは]

[これから流行りそうなジャンルだし、波が来そうではある]

 

たしか別のクラスの子がバンドを組んでるって耳にしたことがある。ドラムの子がすごい可愛くて、パン屋の看板娘だとか。

 

私の学校にもバンドやってる人がいるんだから、確かに流行ってんのかもな。

 

『マジ? 流行るの? まあ悪くないけど、やるなら全部お任せだぞ。俺は初期資金投入する感じ』

 

[店長も雇えばいけるで。ゲーム開発よか現実的]

[軌道に乗ったら上前をちょいちょいとね]

[ただし失敗したときは全額ボッシュートです]

 

『伸びそうな業種なのか。社長勢はやらんの?』

 

[うちは化粧品屋。業種が違いすぎる]

[うちは総合業者だけど、ライブハウスじゃ回収できる金額が低い。わざわざ人材回して参入するほどメリットがない]

[利益だけ見るとね。鹿の寄付の方がよっぽどエグい]

 

初期勢の社長たちは凄い。ベンチャー企業、中規模の上場企業、大企業の社長と種類豊富だ。

 

鹿に言わせると、油断すると札束で殴りかかってくる危ういヤツららしい。

 

鹿が一時期、社長勢の寄付禁止を言い渡すことがあったが、その直前までの数回あった寄付が1時間で終わり続けたのも彼女たちが競うように寄付をしたかららしい。しかも目標金額の何倍もの金額を投入したとか。

 

『はえー。もっと儲かる仕事があるってことか。俺はできるできないとか、面白いかそうじゃないかで考えてるけど、やっぱ社長ともなると見る目が違うね』

 

[そりゃあ社員食わせていかないといけないからね]

[鹿とは金を使う理由が違うから仕方ない]

[儲かることだけ考えるなら鹿の歌の露出を変えればいい。収入の桁があがるぞ]

 

『だからその使いみちに困ってるんだって。てか、桁が違うって1曲1億ってこと? 想像つかんな』

 

[鹿のレベルで1曲1000万は安すぎる。売り出してないから印税ないし]

[音楽レーベルから勧誘来んの? 来てないなら無能だぞ]

[アーティストってそういうもんだろ。売れる要素があるなら市場規模で考えても1億は不思議じゃない]

 

『勧誘は来てるよ。面倒だから断った』

 

[やっぱり来てたか]

[メーカーとの契約って喉から手が出るほど欲しいバンドがどんだけいることか……! Vtuberですら狙ってるヤツが大勢いるんだぞ]

[まあ超人気アイドルが呟いてるからね。鹿は冷めてるけど、ひめちゃんガチで大人気だからな。好きなアイドル圧倒的NO.1の口コミは伊達じゃない]

 

『出たな。推定Aカップの白鳥さん』

 

[いや、Bはあるだろ]

[ふわふわの衣装であのふっくら加減だからな。ギリギリAと見た]

[アイドルをカップ数でしか表せないなんてサイテー!]

 

『俺は胸の大きさを測るのは自信があるぞ。豊胸手術すら見破れる自信がある』

 

[ほうきょう手術?]

[ほうきょう……宝鏡?]

[法教? 法興?]

 

『豊かな胸の手術ね。ほら、シリコン入れたりするんだよ』

 

え、なにそれ。怖い。

 

[シリコン!? 入れる!?]

[おいなんだこの鹿、考えてることがエグすぎる(恐)]

[やっぱり天才は考えてることがちがうなー(震)]

 

『……なんだこれ。なんで俺がゲテモノ扱いされてんの? 白鳥さんがペチャパイだって話だろ。俺が非難されるのは違うだろ』

 

[なんでや! ひめちゃん関係ないやろ!]

[ひめちゃんのせいにするなw 人体改造の話出したのお前だろw]

[早まんなよ。コラボできればチャンネル登録者100万は絶対にいくぞ。こっちにメリットが大きいぞ]

 

『いいよ。このままでも100万人いくだろ。それにアイドルに気を使うのもなー』

 

[面倒くさがるな!]

[現役最強アイドルを気づかうのがヤダ! で拒否る鹿]

[まあ、100万人はいくな。今年中にいくんじゃないかと思ってる]

 

『いいんだよ。住む世界が違うんだから。あっちはリアル。こっちはバーチャル。お互い画面の向こうの人なんだから関係なし』

 

[言ってることは分かる]

[冷えっ冷え]

[ひめちゃんとの歌コラボ聞きたい……]

 

それは私も聞きたい。いつだったか白鳥ひめと男性アイドルのコラボがテレビのミュージック番組でやってたけど、白鳥ひめが男性アイドルにレベルを合わせたせいで、彼女の綺麗な声が台無しになったのを覚えてる。

 

彼とのコラボなら白鳥ひめも本気で歌えるんじゃないか。

 

『はいはい。この話は終わり。本題に戻るぞ。いま出た中だとゲーム開発が面白そうなんだけど、それ以前の問題だよな』

 

[正直、鹿の考えを理解できる人材がいるのかって話]

[人材育成の方が現実的なレベル。でも5、6年はかかると見た]

[片手間にできる仕事ではないよな。本腰入れて指導しないとソシャゲと同じ人材が育つ」

 

『だよな。俺も音楽の時間を削ってまで力を入れるつもりはないよ。ゲームは保留』

 

[妥当]

[それとなくゲーム業界に意識を向けとくよ]

[あんな絶望したのに、まだ諦めない鹿]

 

私も今度ゲーム雑誌でも買ってみよう。

 

『後はライブハウスかな。ライブハウスで初心者を支援するってのはどうよ』

 

[ライブハウスか……。どこまでこだわるかだな。小さいのなら楽勝]

[ほうほう。新規の取り込みか。中高生が憧れて手を出すんだろうから、着眼点はあり]

[ライブハウスきたー]

 

『こだわり? 大中小のホールは欲しい』

 

[いいね。大ホールは500人規模くらい?]

[大ホールは地下にするとスペースが確保できる]

[ホール複数は熱い]

 

500人のホールか。昔ピアノをやってたときに出た大会で、一番大きなホールがそのくらいだったっけ?

 

……結構でかくね?

 

『500人か。立ち見だろ、それくらいかな。あとは練習用のスタジオも要るな』

 

[え、500?]

[初心者支援だし2部屋くらい?]

[必須]

 

やっぱり500人規模って大きいよな。練習スタジオだって結構スペースとるんじゃないか?

 

『少ないな。4部屋は欲しい』

 

4部屋!?

 

[まってまって、ちょっとまって]

[まあ、予約が被って使えなかったら意味ないからな]

[カフェ作ろう! ライブハウスの前にオシャレなカフェ!]

 

『カフェ? まあいんじゃね? みすぼらしいのはダメだからな。あと肉料理も置いて。エキスとパウダーは許さんぞ』

 

[肉食の鹿]

[肉を好む草食動物]

[ミートエキス全否定の鹿]

[いや、ライブハウスの前にカフェってどんだけ場所が必要になると思ってんだ!]

 

そうだって! 内装でもうヤバいのに、カフェは無理だろ!

 

『だいたいこんな感じ? 後は名前だな』

 

[それな]

[超重要]

[鹿ハウス]

[ライブ鹿ハウス]

[ライブディア(鹿)ハウス]

 

『うわぁ……お前らセンスないな』

 

[うるせーよ]

[じゃあお前が出せよ]

[さぞかし良い名前が出るんだろうな?]

 

『こういうのはわかりやすい名前でいいんだよ。初めてのライブハウスとかどうよ』

 

……え、いや、それは。

 

[草]

[酷いw]

[初めてのw らいぶはうすwww]

[ダンジョン名っすか?www]

[真面目にやってくれる?]

 

『は? めっちゃ真面目なんだが?』

 

[曲名付けるの上手いのに、なんでそんな名前が出てくるんだよ……]

[鹿は音楽以外はダメなのではなかろうか(オブラート)]

[まあ、鹿だからね]

[なんか抜けてるところが鹿]

[やっぱ私らでなんとかしないと]

 

『いや、聞いたのは俺なんだけどね。なんか同情されるのは腹立つ』

 

[(無視)何がいいかな]

[(無視)初心者でも入りやすい名前がいいな]

[わかりやすい名前は悪くない。最近だと英単語とかあるのが多いかな]

 

『ああ、SPACEだっけ? 聞いたことある』

 

[ちょっと古いけど、そんな感じ]

[deer]

[animal]

 

『鹿に動物?』

 

[deer悪くない]

[響きもいい]

 

『いや、ダメだろ。意味がわかったとたん冷めるわ。あとアンチが湧きそう』

 

[お前が煽るからだろw]

[自覚してるなら自重しろ]

[「あのな、わざわざ見えるところで、そういうコメントするから、お前ら男に相手にされないんだよ」本当に笑った]

 

『あれは煽るっていうより常識を説いただけなんだけどな』

 

[だが結果としてアンチが増えた]

[私たちも怒りを覚えた]

[だから率先して切り抜き動画を作り上げた]

 

『何してんのお前ら。もういいから早く案を出せよ』

 

[こいつ(怒)]

[覚えとけよ]

[私たちが団結したらどうなるか分かってんのか]

 

こいつがメン限の雑談で話してる内容を一部でも掲示板に晒すだけで、どれだけ激しく燃え上がることか。

 

『はいはい。俺が悪かったよ。で、英語1語で、響きが良いのは?』

 

[反省してる?]

[まあ、これが鹿か]

[ねえサークルってどう?]

 

『サークル? 輪っかってこと?』

 

[そう。Circle]

[おお]

[なんか響きが]

[いい感じ]

 

『悪く無いじゃん。でもどうしてサークル?』

 

[私が昔バンドやってたときに、ライブの前はいつも円陣組んでたんだ。円陣って上から見れば輪っかでしょ。だから良いかなって]

[いい]

[マジでいいね]

 

『心を一つにして本番に望む。青春って感じ』

 

[仲間と一緒に練習して、帰りにカフェに寄って、日曜にはライブ]

[そしていつかは大ホールを満員に!]

[ライブの前にはいつも皆で円陣組んで飛び出す!]

 

いい。すっごく良い。なんか聞いてるだけで楽しいってわかる!

 

『いいじゃん。うん。それで決定』

 

[よっしゃー!]

[Circle。いいじゃんいいじゃん]

[これしかない]

[良かった。初心者ダンジョンにならなくて本当に良かった]

[何度聞いても正気を疑う→初めてのライブハウス]

 

Circle。私たちのライブハウス。

 

『よし、これでイメージは出来たな。じゃあ見積もりよろしく。予算は2億で』

 

[だから、できるわけねーだろ!!!!]

 

結局、その日は何も決まらなかった。




イメージ曲
Fxxk Your Disco(GANG PARADE)
Daylight(GANG PARADE)
SATSUGAI(デトロイト・メタル・シティ)
魔王(デトロイト・メタル・シティ)
メス豚交響曲(デトロイト・メタル・シティ)
蝶(天野月子)
聲(天野月子)

上2つはマジカミの曲です。ノリは本当に良いです。歌詞は意味わからないですけど。
中3つは有名曲ですね。よくもまあ漫画の悪ノリみたいな曲を、あんなクオリティに仕上げたなと驚きますよね。もちろん、いい意味で。検索するときは履歴に残っていい言葉か考えてくださいね。
下2つは零の主題歌です。作品に強く寄せている曲なんですが、その中でも独自の世界観が垣間見れて、一度ハマると歌詞が頭から離れなくなります。天野さんの曲はこれ以外にも名曲ばかりです。他の零シリーズの曲もそうですが、「亀」も良い曲ですよ。


僕たちが考えた最強のイケてるライブハウスは不発に終わりました。東京の地価は頭がおかしいから仕方ないね。
再生数とか費用とかは適当に書いてます。
考えるのは面白いですけど、こだわるとスピードが一気に落ちるので、正確さは捨ててます。
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