伍月○○日 晴れ
大分鎮守府内の空気が和らいできた。まぁ俺は艦娘達とは関わってないんだけど。将来ここから離れるためにな! 俺の命令無視を行う奴らが多いので辟易しているのだが。どうにかならないものか……。
艦娘、か。前世ではゲームだからとあんまり考えなかったが、どういった存在なのだろうな。メディアミックスが多すぎて訳が分からなくなりそうだが……この世界の解釈ということで納得しよう。
伍月■○日 雨のち晴れ
流石に怒った。今日の命令無視には流石の俺でも看過できない。天龍が駆逐艦の為に身を張って庇い、轟沈手前の大破状態に陥った。その時点で俺は撤退の指示を出したのだが、天龍がこれを無視。その他の艦娘も共に進軍を再び開始しようとした。なので、初めて″提督命令″を行使させてもらった。駆逐艦達は怯えた顔で帰投。天龍とその姉妹艦である龍田が俺に噛みついてきた。即入渠させたけど。その後、天龍を呼び出した。付き添いで龍田も来たけど。それに関してはどうでもいい。俺は執務室で天龍を叱り、今後このようなことが無いように約束させた。ただ、まだこんな風な艦娘が他にも居るかもしれないと考えると、不安だ。
命令無視……だと? 艦娘が……? そんな……いや。そうだな、彼女たちはこの世界に生きているんだ。そうだ。"あれ"じゃない。あぁ。こんな世界はくそくらえだ。艦娘を、助けなければ。
伍月☆○日 雨
全艦娘を集めて、朝礼を行った。めっちゃ怖かった。すべての艦娘から殺気を向けられてチビりそうだった。だが、言いたいことは言ったのでよしとする。いやはやしかし、罵詈雑言はもちろん暴力が日常化しているのはいかんともし難いな。駆逐艦は怯えた目で逃げる&罵詈雑言(精神攻撃)。軽巡重巡は暴力の嵐。空母と戦艦は時に暴力を振るい、時に罵詈雑言を述べ立て、時に無視だ。心がおれそう。
頑張れ……! この子たちを救えるのは、助けられるのは俺たちしかいない! 歯痒い。俺が直接彼女たちの言葉を聞けないのが。こんなにも悔しい。君に全てを押し付けてしまうのが。とても、とても、辛い。
伍月#$日 晴れのち曇り
誰かぁ。助けテェ。心労とストレスと仕事で過労死しそう。
あの朝礼からずっと睨まれ続けているのだ。『不知火』と言う艦娘に。確か陽炎型二番艦駆逐艦だったな? なんであんなに睨んで来るんだ……? 俺、何かした……? いやしたけど。めっちゃ思い当たる節あったわ。
ごめん。不知火。何が君の逆鱗に触れたのかわからないがとりあえず謝っておくよ。
不知火……か。表情が変わらないし、まるで怒っているかのように目つきが悪いからなぁ……勘違いしてしまうのも無理はない。が、この鎮守府の場合本当に怒っている可能性が大きいからな……うーむ。
伍月■仝日 晴れ
未だに不知火が遠くから睨んでくる。ただ昨日よりかは近くなった気もしないでも無い。まぁ、誤差だと思うけど。
それは兎も角今日ほど心にきた舌打ちは無かった。金剛型一番艦戦艦『金剛』と廊下ですれ違ったのだが、最接近した時に「チッ」と舌打ちをされたのだ。泣きそうになった。
金剛が……? いや、"あれ"の話は捨ておくべきだ。しかし、あの金剛が……か。
伍月◆$日 雨のち曇り
血を吐いた。今まで以上の血だ。何処かを切ったとかじゃない。ストレスだ。髪もだんだん白くなってきたし……後持って二月かな? せめて、九月まで持ち堪えたいなぁ。
大丈夫か……? 体はボロボロのようだな。ストレスのせいで免疫が落ちているのかもしれない。しっかりと休養を取って欲しいが……俺が体を使うのも、起きている感じらしいからな。あまり無理なことはしないで欲しい。
伍月〒*日 晴れ
今日は同僚らと呑みに行った。アイツらはまだ提督候補で、提督の補佐をしているらしい。そこで提督としてのノウハウを学ぶのだとか。あれ? 俺の時そんなの無かったけど。いいけどね、別に。これを理由に辞めれるからな!
他にも色んなことを話し合った。ただまぁ俺の鎮守府の内情は言えないからほとんど聞くだけだったのだが……。何というか、上手くやっているようでちょっと嬉しい。同僚(女)の方も友人と同じように提督補佐についているらしい。友人は舞鶴鎮守府。同僚(女)は呉鎮守府と言う有名どころだ。加えて同僚(高飛車の方)はトラック泊地という最前線にいるらしい。プライドが高いアイツのことだ。恐らく、提督になるのを先を越されたのでせめて最前線で学んでやろうとでも考えているのだろう。それに笑ってしまった。
……お陰で気力が湧き出てきた。やっぱり心置きなく話せる相手というのは、良いものだ。
明らかに厄介払いだな……。でも、楽しそうでなによりだ。無理にそういう時間をつくってよかったよ。あぁ。気の置けない仲の友人は、何より貴重だ。
伍月$→日 雨
今日は夕雲さんに暴力を振るわれた。何度か堪えたが、心労とストレスなどなどで気絶してしまった。だからその後がどうなったのかわからない。しかし、何故か傷が癒えていた。青痣も無い。誰がやってくれたのか……まぁ、明白だろう。明日妖精さんにお菓子でも贈るか。
夕雲に……か。悉く、この鎮守府は……。妖精さんに助けられてばかりだな。あの妖怪猫吊るしも……この世界ではいい奴なのだろうか?
伍月×<日 晴れのち曇り
妖精さん用にお菓子を買いに行こうと外へ出た。仕事は既に終わらせてあったので、時間には余裕がある。街に出て初めに気づいたのは、街の活気だ。大都市のように人がごった返しているわけでは無いが、多くの人が行き交い、学生達が笑っていたり、女子大生と思われる三人組がカフェに入って行ったり、サラリーマンが銅像の側で快活な声を上げながら電話をしていたりと、戦時中とは思えないくらい晴れやかだった。
本来は俺もそっちの立場にいたんだけどなぁ……。今更戻れやしないが。でも俺は戻る! いずれ戻るぞー‼︎
あ、因みに妖精さんのお菓子は無難にクッキーにした。数が多いので箱形やらパーティー用やら色々買った。俺用にチョコや和菓子も買ったがな。………………これでまた暫くは耐えられるかな。
甘いものは心を安らがせる力があるからな。俺も何度か世話になったが……糖尿病には気を付けろよ? 戦時中だからそう警戒することは無いと思うが。うん。平和な世界が一番だな。
提督命令=絶対的な命令(但し、使用の際に条件や制限がかかる為、使い勝手は悪い)