提督を辞めたい提督   作:神楽 光

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 勘違いされている方が多かったようなので解説を入れます。
 本作では第二次改装は一時的な強化です。もちろん維持することも可能ですがその為には相当な気力と根性が必要になります。その為、第二次改装を行う時は決定的な瞬間のみです(基本は)。
 以上のことが理由で主人公は鎮守府に帰ってきた時、驚いた日記を書いておりませんでした。絶対記憶に残りますし理由を聞きたいですからね。ですがその描写を書かなかったのは鎮守府に戻る頃には第二次改装が解けていたからです。もちろん解いた途端寝込みます。
 ……当然のように大本営は第二次改装時の写真を持っていたりしますが。


 アンケート結果
 |ω・)ジー
 皆さんギリギリの展開よりも余裕ムーブがお好きなようで笑
 アンケートご回答ありがとうございました。


提督は迎え撃つ:続

「ゆう……だち?」

 彼は何が起こっているのか理解出来ず、ただ困惑するばかりだった。

(何故ここに夕立が? 追いかけてきたのか?)

「提督さんを傷つける人は……誰だろうが許さないっぽい!」

「……はぁ。艦娘同士で戦闘行動は出来ないはずですよ、横須賀の(夕立)

「戦闘行動が出来ないのは妖精さんが艤装の装備を動かしてるからっぽい。だけど、生身なら」

 彼を置いて話は進んでいく。大本営でさえ一部の者しか知らない事情が暴露される。

「そうですか。見たところ、練度は私よりも低いようですが……勝てるとでも? 大人しく背後の捕縛対象を明け渡しなさい」

「……」

 夕立は沈黙する。だが、彼女から発される圧が徐々に徐々に増してゆく。

(何……?)

 ゴクリと生唾を呑んだ佐世保の夕立は、増してゆく重圧に対して自然と身構える。

(な、なんだ……?)

 遂にはバチバチとプラズマが発生する。

「夕立の提督さんは。私の提督さんは」

 ポツリと漏らすその言葉は、酷く平坦で、冷たく感じる。

「っ」

 気圧され、1歩下がる佐世保の夕立。

「この人だけなのっ! 絶対に渡さないっっ!!」

 カッ! と眩い光が夕立を中心に辺りを染め上げる。佐世保の夕立も、彼も、目を開けていられなかった。

 数秒もせずに光が収まり、ようやっと目を開けるとそこには。

 

 爛々と輝く赫い瞳。ぴょんっとまるで犬の耳のように跳ねた金髪。そして少しばかり伸びた身長。

 北方海域攻略時に見せた、第二次改装状態の夕立がいた。

 

「なっ……その姿は!? もしかして……」

 佐世保の夕立は改二状態の夕立を見て、過去に彼女の司令官に見せられた資料を思い出す。

 『───まさに鎧袖一触。その様は、『ソロモンの悪夢』と讃えられるのに相応しい戦いぶりだった』。そう伝えられていた。

 白露型駆逐艦四番艦の強化形態。現状、唯一無二の存在。その夕立が、佐世保の同型艦に牙を向いた。

 手始めに銃を蹴りあげる。手を強打され、拳銃は天高く舞い上がった。

「グゥッ!?」

 蹴られたとは思えない程の衝撃と痛み。しかし、()()()()()()()()()()()()()()()すぐさま行動できた。……できたは良いが、その全ては無意味であった。

 蹴りあげた体勢からの踵落としを、間一髪で体を反らすことで避け、背後へ退避しようとする。しかし夕立改二の超反応により、腹部に掌底を受ける。

「がはっ!?」

 激突した壁に亀裂を走らせる程の衝撃が身体を駆ける。それでも立ち上がれるのは人外である故か。続く拳を転がって避けた。

 辺りはたったの三撃で至る所に罅が走り、今にも崩れそうな状態になっている。

「ゲホッゴホッ」

 ゼェゼェと荒い息を吐き、ガクガクと震えながら立つ。

 その顔は既に恐怖に染まっていた。

 

 ───勝てない。何をしようが()()には勝つことが出来ない。どうしようもなくそう思ってしまう。

(あぁ……アレが私なのか。もしも私がアレになれたなら……皆を、解放できるのかな───)

「終わりよ」

 いつの間にか近くにいた横須賀の夕立に、彼女はもう驚かなかった。ただ、彼女は振られる手刀を見ながら、願っていた。

(私にも……そんな力が欲しいなぁ……そしたら……ま……も……れた……の、に───)

 彼女の意識は衝撃を感じると共に暗転した。

 

 一瞬だった。目で追えなかった。彼の頭にはそんな言葉しか浮かび上がらない。それ程までに圧倒的だった。練度には差がある筈なのに、人型に対する技術も負けている筈なのに。それをものともしない圧倒的なまでの『力』。

「……提督さん」

 それを振るっていた夕立は、恐る恐る彼に声をかけた。その瞳には怯えがあった。

 過ぎたるは及ばざるが如し。過ぎた力は身を滅ぼす。そんな言葉が彼の頭に浮かんだ。

 彼はフッと一息ついて、夕立を見た。ビクッと身体を跳ねさせる彼女。きっと自分を追ってきたのだろう。しかし、心境の変化があって、そのまま帰ろうとしたところに、自身が襲われそうになった。そこで思わず飛び出してしまった、と。そんな所だろうと彼は思考した。ドンピシャである。

「……っ。……提督さん。私から言っておくから、大丈夫っぽい。そのまま、静かに暮らして欲しいっぽい」

 酷く泣きそうな顔で、その端正な顔を歪めながら言葉を紡ぐ。

 美人は泣きそうな顔も綺麗だな、などと提督は考えていた。

「……だから……だからっ……」

 ボロボロと涙を零し、目一杯の勇気を振り絞って夕立はその言葉を発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────さようなら」




 そういう訳で横須賀の提督は仲間外れにされておりました。というか当事者なんだから知ってて当然って感じですね(情報共有しろよ)。また、実は提督宛に第二次改装の説明を希求する手紙やらが届いていたのですが大淀が握りつぶしました(怖いね)。だと言うのに彼女らは提督に何も言わない……と言うよりも拒絶を恐れた感じです。姿形が変わる訳ですからね、更に追い詰めるようなことをしたくなかったなどと供述しております(してない)。
 以上です。近日中にまた続きを投稿させていただきます。その際、とある話も改稿させていただきますのでよろしくお願いします。
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