提督を辞めたい提督   作:神楽 光

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 お待たせしました!!!
 アニメ第一話放送されましたね!
 これからどういう風に展開していくのか楽しみです!
 というか史実のレイテ沖海戦でびっくりしました。
 戦闘描写が簡略化されてますがどうかもう少し待ってください……お願いします……。


捷号作戦、レイテ沖海戦 前哨戦 上

 日本中の鎮守府や警備府に、横須賀鎮守府より緊急の連絡が入った。内容は、『レイテ沖にて大規模な深海棲艦の集結を確認。既にタウイタウイ泊地が壊滅した』といったもの。各鎮守府及び警備府はすぐさま自身らで確認に向かうか、大本営へと問い合わせた。大本営はこれに対して沈黙。佐世保鎮守府及び宿毛湾泊地、鹿屋基地、岩川基地、佐迫湾泊地は直ちに偵察隊をタウイタウイ泊地へ派遣、その後横須賀鎮守府の緊急連絡が真実であると確信した。

 すぐさま大本営に反撃の打診を行ったが、確認中であるとして動くことを禁止した。当然、深海棲艦たちは待ってくれない。レイテ沖の近辺であるラバウル基地やブイン基地などの海外に存在する基地は当然のように壊滅状態に追い込まれている。

 すぐさま撃滅するための艦隊編成が行われたが、轟沈者数を増やすだけで成果は無い。敵編成が少しわかるだけだった。佐世保鎮守府もまた、その一つ。

 

「大淀。分かったことを挙げていけ」

「ハッ!」

 会議室で、各艦種の中でもっとも練度の高い者たちが席に着き、会議開始の宣言をした後開口一番に佐世保提督が大淀に聞いた。

「まず、XX日未明。横須賀鎮守府より鎮守府共通回線より緊急入電がありました。内容は『レイテ沖ニテ深海棲艦集結ノ可能性アリ』です。同時刻にタウイタウイ泊地周辺を哨戒中の艦娘より入電があり、救助を求める内容と壊滅したということが判明しました」

 ぺらりと一枚紙をめくり、一呼吸置く。

「同日〇五〇〇に五航戦による偵察機隊発艦。〇六三〇にタウイタウイ泊地の壊滅を確認。その後、空母機動部隊を編成してレイテ沖付近まで接近しました。結果、大規模な深海棲艦艦隊を発見。空母機動部隊は殲滅不可と判断し直ちに帰投。〇九○○に帰港完了しました」

 また一呼吸置く。

「続けてラバウルやブインなどの海外に点在する基地及び泊地からレイテ沖の深海棲艦を撃滅しようと多数の艦娘が出撃。結果、奇襲等を受け壊滅寸前にまで追い込まれました。敵深海棲艦艦隊は基地及び泊地を主に攻撃している模様。徐々に攻撃範囲は北上しているようで、移動速度から4日後には佐世保鎮守府も攻撃範囲に入ります。以上が現在わかっていることです」

「……ふむ。大本営は」

 滞ることなく大淀が言い終わると、続けて大本営の動きを聞く。

「沈黙を保っています」

「了解した。説明感謝する」

 スッと目を伏せ、少しの間考える佐世保提督。

「……では、これより作戦の概要を伝える。現在、先ほども聞いたように緊迫した状況である。その為、足の速い高速艦を基に、撃滅していく。まずは対空だ。その次に水上及び対潜戦となる。心してかかれ!」

『了解!』

「では艦隊編成を伝える─────」

 佐世保提督は艦隊の編成を伝えた後、すぐさま作戦指揮をとる準備をする。

「……奴は、まだ、なのか」

 ぽそりと呟いたその声は、誰にも聞かれることは無かった。

 

 空母機動部隊及び水上打撃艦隊、遊撃部隊は海上を行く。それぞれの作戦を遂げるために。

 しかし─────海はそう、甘くない。

「敵艦発見! 数は─────ガッ!?」

「攻撃された!? 戦艦! 砲撃用意! 構え!」

「魚雷跡発見! 回避ー!」

 先制攻撃するはずが、先制される。

 

「敵機発見! 戦闘を開始します!」

「待って! 偵察機より入電! 敵空母機動部隊進路変更! 3時方向!」

「えっ……」

「爆撃!?」

「きゃあ!」

「鎮守府が……あぶ、ない……」

 

 

 誰も彼もが歯が立たない。

 

 

 ──────勝てない。

 そんな思いが混み上がるほど、圧倒的だった。

「熊野ぉ!」

「すず……や」

「比叡……なん、で」

「……」

「私が、私がまも、る……」

 

 海上に渦巻くその感情は。

 

「行かないで……」

「守りたい……」

 

 新たな()を生み出す。

 

「ああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!」

 

 沈め沈め沈め。

 シズメシズメシズメ。

 

「どうして」

 誰かの声が聞こえる。

「なんで」

 嘆きの声が。

「司令」

 涙がこぼれる。

「……」

 何も見えない。

『……被害状況を報告せよ!』

「ッ!?」

 頭に響く声。

『どうなっている!? 報告せよ! 霧島!』

「……水上打撃艦隊は半壊。空母機動部隊も、艦載機を出し尽くし現在は後退中。遊撃部隊は……音信不通です」

『……わかった。ではお前たちは撤退せよ。全員生きて戻れ。以上だ』

 霧島は、その言葉を最後に意識が途切れた。

 

 けたたましい音があたりに響く。

「何事だッ!?」

 佐世保提督は聞き覚えのない警報にすぐさま立ち上がる。

「提督! おられますか!?」

 戸の向こうから焦ったような大淀の声と、どんどんと荒々しく叩く扉を音が聞こえる。

「大淀! 入室を許可する、状況を報告せよ!」

「はっ!」

 佐世保提督が入室を許可すると、急いで大淀は部屋の中に入り、提督の姿を見てホッと安堵のため息を漏らす。それもすぐさま改めて、真面目な顔をして提督を見る。

「現在、当鎮守府に大規模な敵航空機隊が侵攻中です! 現在も鳴っている警報は空襲警報です! 提督、お逃げください!」

 空襲警報。それが鳴る理由はただ一つ。

「敵機動部隊が……近海に存在するのか……」

 いつも無表情の提督も、すぐ近くに敵の艦隊がいると知ってその顔をゆがめる。

「そのようです。現在、残存している艦娘達で海上に出て対空射撃を行っています。……それも、焼け石に水のようですが」

 苦虫をかみつぶした顔をする大淀。その表情と先ほどの言葉から、どれほどの規模の敵機が来ているか想像してしまう提督。

「────わかった。当鎮守府は現時点をもって全ての機能を停止する」

「え……?」

「全艦娘に告ぐ。今すぐ戦闘行為を辞め、鎮守府の地下施設に集まるように」

 提督は憎々し気な顔を見られないようにと頭を下に向け、命令する。

「え、は、え……」

 提督の言った言葉が大淀には理解できず、ただ単語を繰り返す。

「大淀? 聞こえなかったのか?」

「あ、い、いえ! でも、その、えっと」

 ただただ戸惑う大淀。今までの経験から提督に質問すれば、そんなことも理解できないのかと叱責が飛んでくることが予想できる。命令の内容は理解できた。しかしなぜそのような命令をしたのかが理解できない。大淀は混乱の中にいた。

「……質問することを許可する」

 提督はフッと微笑み、大淀に声をかけた。……これが最後だから、と。

「あ、は、はっ! えっと、何故、そのような命令を……?」

 大淀は驚いた。何故か? この提督は軍人の中の軍人、絵にかいたような規律に厳しい人間であるからだ。もちろん今までにも質問の許可自体はあった。だから大淀はそれ自体には大して驚きはない。大淀が驚いたのは提督の顔にあった。提督が、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()から。

「わが佐世保鎮守府は恐らくもたないだろう。それに、対空射撃も焼け石に水なのだろう? ならば恐らくあっという間にこの鎮守府は更地になるはずだ。ならば資源を消費するよりも鎮守府を放棄して逃げた方が良い。資源さえあれば艦娘や鎮守府は作れるだろう。しかし、高練度まで引き上げた私の艦娘を失うわけにはいかない。早い話、多くの経験を積み強くなった艦娘を失うのと、新たな艦娘を作り出し練度を上げるのと、どちらの方が良いかという話だ。だから、この鎮守府を放棄する」

「そ、うですか……」

 提督の話を聞いて、大淀は呆然とする。未だに頭が混乱していた。提督の話は合理的ではある。特に間違ったことは言っていない。だけど、本当にそれだけなのだろうか? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() 大淀には、提督がわからなかった。

「もう質問は無いな? 無いのなら行け」

「りょ、了解しました」

 大淀は踵を返して部屋を出た。急いで先ほど言われたことを鎮守府に所属する艦娘達に伝えるために。

 対して、部屋に残った提督は。窓の外、遠い遠い空を眺めて。空を埋め尽くさんと迫る敵機を見つめて。

(あいつの、言ったとおりだったな。失う前に、ようやく気付くとは)

 フッとまた微笑んで、空を、海を眺める。

(艦娘は、家族、か。その通りだよ。本当に。何故お前の艦隊があそこまで強いのか、何故艦娘に、兵器にそのような感情を向けるのかが理解できなかったが……こういうことなのだな)

 キッと空────いや、遠くにいるだろう敵機動部隊を睨みつける。

(私はこれまで軍人として生きてきた。規律に厳しく、ただ国民を守るために。あいつのようなへらへらした奴が嫌いだったが、いいライバルだった。今ではそう思う。一度保護しようと夕立を送ったが……夕立は、元に戻れただろうか。私のせいで、歪んでしまったからな。この鎮守府の艦娘らも、本当はもっと自由にしたかっただろう)

 夕焼けの光が、提督を照らす。

(すまないな。どうか、君たちの次の生に、幸あらんことを願う)

「……司令」

「霧島!? なぜ、ここに……」

 提督の背後から、霧島の声がかかった。振り向いた提督の目には、ボロボロになった霧島が扉に寄りかかっており、今にも倒れてしまいそうだった。

「司令、こそ、何故、ここにいるの、ですか」

「それ、は」

 提督は駆け寄り、霧島を支える。霧島の問に提督は口をつぐんだ。

「司令……私、あなたのこと好きですよ」

「……」

「愛しております。司令」

「……な、ぜ。私は、君たちの自由を、個性を奪った人間だぞ」

「ふ、ふふ」

「何故笑う。どこもおかしなことなど無いだろう。私は酷い人間だ」

「おかしい、じゃないですか。酷い人間だというならば、何故私を、支えるのです」

「……」

「ほんとうに、酷い人間で、あれば。ここで、出撃しろ(死ね)と、言うはず、ですよ」

「それは……」

「あなたは、言わなかった。ここへ来るまで、こんなに優しくされた、ことなんて、今まで、無かったんです」

「……優しくなんて」

「規律に厳しいのは、当然です。でも、あなたは、それだけだった。それ以上を、求めてこなかった」

「……」

「ノルマも、何も。私は、それに、救われたんです」

「……」

「だから、救ってくれた、あなたに。司令に」

 ぽろぽろ。ぽろぽろと霧島の頬を涙が伝う。

「……霧島……」

「……生きて、ほしい」

 提督はグッと下唇を噛む。その顔は、とても悔しげだった。

「……私は、中途半端だな」

「……?」

「艦娘を兵器と呼びながら、娘のように思っている。ある男が嫌いだと言いながら、その男を保護しようと動いている。規律に厳しくしながら、多少の目こぼしをしている。今ここで、死のうとしながら─────君と共に、生きたいと思った。私は、なんと中途半端だろうか」

 提督は、天を仰ぎ見て、苦々しくそうこぼす。

「……いいじゃないですか。中途半端で。私たち艦娘なんて、中途半端の極みじゃないですか」

「……フッ。そう、だな」

「……ふふっ」

 2人、階段を下り、茜色から暗闇へと歩みを進める。

「……なぁ、霧島」

「……はい」

 提督は足を止め、肩を貸している霧島を見る。

「……こんな中途半端の男でいいのか?」

「……何を、言っているん、ですか。あなたこそ、だからですよ」

「……そうか」

 提督はまた歩み始める。霧島も、歩みを再開する。

 2人の表情は、とても晴れやかだった。

 

 ─────そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夜にして佐世保鎮守府は、更地になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「佐世保が……」

「はい。恐らく、次は下関か……我々の方かと」

「鎮守府で対応できないなら私たちには無理だろう、横須賀は?」

「いえ、特に動きがありませんね。提督捜索の方に力を割いているのでしょう」

「……はぁ。もう日本は終わりだな」

「そう、かもしれませんね。ですが」

「あぁ……アイツが横須賀に戻ってくれれば……どうにかなるかもしれないな」

「はい。それで、提案なのですが……」

「うん? ふむ。確かに面白そうだ。早速問い合わせよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────横須賀鎮守府に」




 感想・高評価貰えたらモチベになりますのでよろしくお願いします!!!

 そして秋刀魚漁!!!
 皆さん頑張りましょうね!
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