約一か月ぶり? ですね。
学校が無いのでのんびりしてたらいつの間にかこんなにも間が開いちゃいました……。
最終局面なのでわきあがってきますよォ~?
では、どうぞ。
肩に乗る夕立に似た妖精に声をかける。
途端、1拍置いてから通路の壁が崩壊した。
「おわっ!?」
「夕立、提督さんに呼びかけられて出てきたっぽい!」
「……お迎えに上がりました」
崩壊とともに元気よく声を上げる夕立改ニと、佐世保から遥々やってきた夕立。どちらも艤装を展開しておらず、身体能力のみで破壊したと思われる。
「提督さん、こっちっぽい!」
「殿は任せてください」
「えっ、お、おう」
繋がっているとは思っていたが、壁を破壊して来るとは思っておらず、ドギマギしながら手を引かれるままに夕立について行く。佐世保の夕立─────夕ちゃんは自ら後ろに下がり、背後を警戒する。
「……夕立、どうやってここまで?」
先程の惨劇から嫌な予感を抱き、問いかける。
「直線で来たっぽい!」
頭が痛い。
「……相変わらず答えが単調ですね」
後ろの夕ちゃんは嘆息しながら補足説明を始めた。
「私があなたに付けた発信機を辿り、大本営まで辿り着いたのですが、発信機の反応が途絶し、どうしようか迷っていた所、突然あなたの夕立が艤装妖精を大本営へ向けて放ちました」
続けて、と夕ちゃんを見る。
「……その結果、隠し扉から出てきたあなたを妖精がみつけ、護衛のために付いていてもらいました。発見するのが遅くなり、申し訳ございません」
「ごめんなさいっぽい……提督さん怖かったよね?」
2人して謝り、しゅんとした表情と雰囲気を出す。
「ああ、いや。気にしなくていい。元々一人だと思っていたからな。それに、二人がいなければこの建物すら出ることができなかったかもしれない。むしろ礼を言いたいくらいだ。見つけてくれてありがとう」
礼を言うと、二人は目を丸くし、前を行く夕立はくしゃりと嬉しそうな、しかし泣きそうな表情をした。後ろにいる夕ちゃんの表情は見えないが、雰囲気的に安心した空気を感じた。
「あと、ここに来たのは私たちだけじゃないっぽい!」
「……ええ。もう1人、立役者がいるんです」
「……え?」
立役者。その言葉に思い浮かぶ人物はいなかった。
「もうそろそろ来ると思うっぽい!」
「すでに連絡はしているので合流は早いでしょう」
噂をすれば何とやら。すぐにその正体が判明した。前方から猛スピードで向かってくる物体。俺はそれを避けることができず、腹で受けてしまった。
「ごふっ!」
慣性に従って吹っ飛び、背後にいた夕ちゃんが受け止めてくれた。
「司令! ご無事でしたか!?」
「今まさに死にそうになったよ……」
可愛らしいながらも、大人っぽさがある顔を心配げに歪ませ、抱きしめる力を強くする。が、俺の発言に気づいたのか、すぐに俺から離れて申し訳なさそうな顔になった。
「ご、ごめんなさい司令!」
「中々強烈な一撃だったよ……夕ちゃん受け止めてくれてありがとう」
「……まぁ、驚きはしましたが」
「それで、なるほど。協力者は雪風だったのか」
元気溌溂そうな貌は鳴りを潜め、落ち着きのある令嬢のような雰囲気を持つ雪風が俺の前に立つ。
「はい! あの日から、ずっと司令を探していましたから!」
元気よく、満点の笑みでそう答える。
「雪風のおかげで早く提督さんを見つけられたっぽい!」
「彼女の協力が無ければあと数日は時間を要しました」
2人の夕立から雪風の評価の高さがうかがえる発言が出た。恐らく、その幸運艦のなせる業で俺の居場所を突き止めたのだろう。
「なるほど。雪風、ありがとう」
「えへへっ! 雪風、頑張りました!」
周囲に花でも咲きそうなほどの笑み。ほっこりする。
「提督さん! 急ぐっぽい!」
「そうです。今はそれどころじゃありません」
「む。そうだったな」
再び2人の夕立からの言葉で行動を再開する。雪風がちょっと不満そうだった。
歩みを再開して早十数分。大本営からほど近い港に到着した。停泊しているのは小さな船が数隻。波は静かで、この遥か南方で日本の、ひいては世界を揺るがすほどの戦いが幕を開けているとは思いもよらない話だ。
「司令! こっちです! この船に乗ってください!」
そういって雪風は数ある船の中から一隻を選び、搭乗した。夕立も乗り込み、俺に向かって手を差し向ける。
「提督さん!」
真剣な顔をし、俺に向かって真っすぐに右手を伸ばす。きっとこの手を取れば後戻りはできないだろう。戦地に、この身を置くことになる。死ぬかもしれない。その考えが過った時、俺は少しためらった。これは借り物の体だ。俺がこの手を取ることで、この体の持ち主の未来を奪うことになりかねない。しかし。あの時。あの部屋を出るとき、俺たちの思いは重なった。なら、きっと大丈夫だ。きっと、笑って許してくれるだろう。だから。
「……宜しく頼む」
「了解!」
夕ちゃんも乗り込み、錨を引き上げる。
「抜錨! 針路、南西! レイテ方面!」
夕立の、高らかなその声を周囲に響かせながら、船は進む。
周囲の景色を置き去りに、海上の戦場へ。
いつまで戦い続けなければならないのだろうか。
もうかれこれ数十時間は戦っている。
何度も出撃して、何体かを沈めて、ギリギリまで粘って帰投する。バケツも使って、休憩する暇もない。しかし、それも仕方がない。大量の、それこそ無尽蔵と言っても過言ではないほどの深海棲艦が絶えず進撃してくる。それに対応し続けなければならないのだ。宿毛の提督も疲労困憊だ。資源だって心もとない。轟沈スレスレ、尚且つ絶えない戦闘のせいで士気もがた落ち。これでもよく持っている方だと思う。あと数時間もすれば夜になる。夜は怖い。何といっても過去を思い出す。だが奴らはそんなことは知らんとばかりに夜間でも戦力を差し向けて来る。現状、姫や鬼がいないだけまだましと言えるのだろうか。あぁ、いや。これも我々を消耗させる作戦か。
戦い始めて、何日経っただろうか。もう日付さえ曖昧だ。この戦闘は、いつ、終わるのだろうか。連続の出撃で疲労が積み重なる。思考が鈍くなり、判断力が低下する。
視野も狭くなり、決まった行動しかとれなくなる。
迎撃。回避。迎撃。迎撃。回避。回避。回避。迎撃。迎撃。
何度やればいい。何度行えばいい。私は、私たちは今、何のために戦っている……?
鈍い頭でいくら考えようとも答えは出ない。ただ同じ疑問が堂々巡りするだけ。当然、そんな状態で会敵すれば危機に陥るわけで。
「長門!!」
索敵が疎かになり、誰かに呼びかけられて初めて敵の雷撃に気づいた。既に回避は間に合わない距離。もうあと数秒もすれば魚雷は私に直撃し、轟沈とまではいかないだろうが、中破以上は免れないだろう。そんな攻撃。私は足が遅い。艤装が壊れてしまえば帰ることもできなくなってしまう。誰かに曳航してもらえれば何とかなるだろうが、そんな誰から見ても大きな隙を奴らが見逃してくれるとは思ない。つまり、ここで私は。
世界が急速に色あせていく。それと同時に周囲の景色の速度が遅くなった。ゆっくりと、ゆっくりと魚雷が向かってくる。陸奥が私に向かって泣きそうな顔で手を伸ばす。金剛が、目を見開きながら、必死の形相でこちらへと向かってくる。不知火が、口に手を当てて絶望している。皆が、私に手を伸ばす。
あぁ。沈むのか。自然と、そう思った。
私は、この世界に生れ落ちて、何ができただろうか。いつか聞いた、"人が危機的状況に陥った時、一気に記憶が流れていく現象"。これが、走馬灯か。はは。艦娘である私にも見れるとは、思わなんだ。
記憶を見て、何も成せていなかった。私は人の身をもって生れ落ちても、戦艦長門の力をもっても、私には何一つ、守ることができなかった。更には感情に任せて、八つ当たりのように他者を傷つける。何と醜い。
何故私は、こんなにも救いようが無いのか。たとえ
すまない、陸奥。どうか私の分まで生き、皆を守ってくれ。
すまない、金剛。お前は私の代わりとなってくれ。お前になら、任せられる。
すまない、不知火。君の観察眼は正しかった。私の眼は、心は曇っていた。どうか、どうか他の皆を導いてやってくれ。
すまない、皆。どうか、あのひとりぼっちの提督を、救ってくれ。
すまない、提督。
私はあなたに取り返しのつかないことをした。一度謝っただけでは、折り合いのつかない、あなたの誇りに、心に傷をつけることを。私はこの後悔をもって、ソコへ行く。どうか、どうか。こんな私が願うのは、身勝手だとわかっている。それでも、どうか。
─────幸せに……。
私は目を瞑る。来る衝撃に備えて、願いを込めるように。
──ザ──ザザ
『まだ』
声が、聞こえた。
小さな、されど響く声。
『諦めるときじゃない』
心に、響く声。
『俺がいる』
久々に聴く、涙があふれる声。
『横須賀鎮守府提督、瀧川春人が』
あぁ……あぁ!!
この人の声を聞くだけで、どうして!
『これより、艦隊の指揮を預かる』
どうして、こんなにも。
力が、湧いてくるのだろうか!
『さぁ、反撃開始だ!』
瞬間、私の体は光に包まれた。
艦これのアニメも次で最終回ですね……! 時雨改三の実力! 楽しみです!
そんな本作も次か次の次で終わり!
途中から熱く燃えるような小説っぽくなりましたが……(できてるとは言えない)
皆様に楽しんでもらえるよう最後まで走り切ります!
それまでお付き合いの程宜しくお願いします!