東方殺女王   作:ダイナマイト

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なんというか・・・そこまで盛り上がるわけでもないけど、今後の展開には必要。
そんな感じの話です。


吉良吉影は静かに暮らしたいその2

 

今日の服、吉良のスーツ

 

「人里の女が1人行方不明?」

 

「ええ、そうなんですよ。」

 

吉良と出会った翌日、文がわたしの家に来るなりそう言った。

 

(吉良の奴・・・やはり殺ったか・・・)

 

となると被害者はあの女だろう。

少しかわいそうだとも思うが・・・彼女にはきっと運がなかったのだろう。

 

「何も不思議なことじゃあないだろう?

里から出たところを妖怪に襲われたんじゃあないか?」

 

別に吉良のことをかばっているわけではないが、そう言っておく。

現状、吉良の性を知っているのは自分だけだ。変なことを言って何かしら疑われたくはない。

だったら、こう言っておくのが無難だろう。

 

(しかし・・・吉良も哀れな奴だよなァ・・・

あの性さえなければ、平穏に暮らせていただろうに・・・)

 

同じ人生の目標を持つものとして、同情を禁じ得ない。

 

「そうなんですが・・・少し不思議なんですよ。」

 

「不思議?」

 

「ええ、彼女の消息がつかめないんですよ。

里から外に出るには、人目の多い通りを通らなくちゃいけないじゃないですか?

それなのに、誰も彼女の姿を見た人がいないんです。」

 

「・・・まあ、それはそうだなァ。」

 

もう少し慎重にやれよ・・・と思わなくもないが、原作でも早人に見られていたり、自分の名前を大声で言っちゃう人だからな・・・仕方がないのかもしれない。

 

「それで・・・話はそれだけかい?」

 

「いえ、もう一つあるんです・・・」

 

わたしが文に問うと、文はもったいぶったように、溜めていった。

 

「白玉楼の・・・幽々子さんが倒れたそうです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物を終えたわたしと妖夢はすぐに白玉楼へと戻った。

最大の目的は、すでに済んでいるんだ・・・なにも文句はなかった。

 

そのまま屋敷へと入っていく。

 

(おや・・・?

あの桜・・・少し、つぼみが開いていないか?)

 

だとしたら、早すぎる気がする。

まあ、ここは妖怪がいたり、今まで通りのことがそのまま当てはまるとは思えない。

まあ・・・気にするだけ無駄か。

そう思って、わたしは考えるのをやめた。

 

「それじゃあ吉良さん、昼食の準備をお願いします。」

 

「ああ、了解した。」

 

わたしは今機嫌がいいからね、快く引き受けよう。

妖夢から買い物袋を受け取って台所へ向かう。

 

 

 

「おいおい、何を怒ってすねているんだ?」

 

袋からいくつか食材を取り出しながら、わたしは呟く。

 

「料理を作ってやるのは仕事だよ仕事・・・」

 

トントンと小気味いい音をたてながら食材を捌く。

 

「おいおい、勘違いしないでくれよ。

これは浮気なんかじゃあない、ただの仕事さ。」

 

胸ポケットに目をやる。

 

「小夜さん・・・やっぱり君は美しい・・・」

 

「大丈夫、心配はいらないよ。

ぼくが君をひとりぼっちにさせたことがあるか?ン?」

 

(それにしても・・・ここには匂い消しのスプレーがないからなァ~、この『彼女』とも早めに『手を切る』必要があるかもしれない。

『手を切る』・・・か・・・ククク。)

 

切った材料を鍋に入れて、みりんと醤油、砂糖で味を調える。

味がしみ込むまで、他に2、3品作るとするか。

 

 

 

出来た料理を幽々子の元へと持っていく。

彼女はなかなか健啖家だから・・・量は多めのほうがいい。

 

「う~ん♪やっぱり吉影の料理は格別だわ~♪」

 

「ああ、ありがとう。」

 

しかし・・・ここまで喜んでもらえると・・・作り手冥利に尽きる。

彼女の笑顔につられて、わたしの頬も緩んだ。

緩む(・・・)だ・・・と・・・!

この吉良吉影が・・・何か算段があるわけでもなく、今ッ!心の底から笑ったとでも言うのか・・・ッ!

いや・・・そうじゃあないッ!彼女の手が美しかったから・・・・それだけだッ!

 

「それじゃあ・・・わたしはお暇させてもらうよ。」

 

「ええ、それじゃあね♪」

 

幽々子はわたしよりも、目の前にある料理のほうが重要なようで、素っ気なくそう言った。

 

わたしが部屋を出るとき ふと見た庭には・・・桜が妖しく咲いていた。

 

 

 

 

 

―――それから7時間後

 

「おい、幽々子、時間だぞ。」

 

夕飯が出来たので、幽々子を呼びに来たのだが・・・返事がない。

 

「ごめんなさい・・・ちょっと体調がすぐれないの・・・」

 

「幽々子?」

 

「ごめんなさい・・・夕ご飯はいらないわ・・・少し休ませて。」

 

本当に体調が悪そうだ・・・声色からそれが読み取れる。

 

「・・・何か軽いモノでも取った方がいいんじゃあないか?おかゆとかならすぐ作れるが・・・」

 

「本当に大丈夫よ・・・心配しないで・・・」

 

イラッとした。

この吉良吉影が気を使ってやってるのに・・・なんだと言うんだッ!この態度はッ!

 

「・・・失礼する。」

 

わたしはこの怒りを外に出さぬよう気をつけながら中へと侵入する。

 

「え・・・吉影?」

 

幽々子はアホ面を浮かべながら、布団に横たわっていた。

やはり顔色は優れない。

 

「ちょっと・・・勝手に入ってこない「黙れ。」・・・で・・・?」

 

わたしは幽々子の言葉を遮ってそう言った。

少し態度に出てしまったか・・・まあいい、まだごまかしがきく範囲内だろう。

 

「調子が悪いんだろう?ならなぜ頼らない?

何故気丈にふるまおうとするんだ?わたしたちでは頼りないかい?」

 

こいつのことを心酔している妖夢のことだ・・・、こいつが倒れたらさぞ心配することだろう。

 

「そう・・・じゃ・・・ないけど・・・」

 

「だったらしっかり休んでおくんだね。

わたしは今から妖夢を呼んでくる、ついでに氷とタオル、おかゆを持ってくるとしよう。

いいかい?君は動いちゃあいけないよ?しっかり休んでおくんだ。」

 

そう言って、わたしは部屋を出た。

 

 

 

 

 

氷などを用意したわたしは妖夢を探す。

といっても、白玉楼は広いには広いが、探し物に困るほど広いわけではない。

ましてや生きてる(半人半霊を生きていると言っていいかは知らないがね)モノを探すのだ。

さして苦労はしない。

比較的 すぐに見つかった。

 

「妖夢、大変だ。幽々子が倒れた!」

 

まあ少し脚色したが、問題はないだろう・

 

「え・・・ッ!本当ですかッ!?」

 

今にもつかみ掛かってきそうな剣幕で妖夢が言った。

そんなことになったら、はっきり言って煩わしい。だからそれを避けるため、すぐに指示を出す。

 

「ああ、本当だ・・・彼女は今部屋にいる、すぐに来てくれ・・・」

 

「ハイっ!」

 

2人で幽々子の部屋を目指した。

 

 

 

 

 

何故・・・わたしはこんなことをしたのだろう。

幽々子は亡霊だ・・・死ぬことなんてないだろう。なのに何故?

考えても答えは出なかった。

 

「どうして・・・こんなことほとんどなかったのに・・・」

 

妖夢は幽々子の汗を、濡したタオルで拭いながらそう言った。

幽々子はもう寝ている。わたしがそうさせたのだ。

しかし・・・妖夢の今の言葉に、わたしは違和感を覚える。何故・・・ほとんど(・・・)と言う言葉を使ったのか、なかったのならはっきりそう言えばいい。

 

つまり・・・

 

「つまり何度かはあったということだな?妖夢。」

 

「え、ええでもあれは・・・」

 

「あったのならそれを言うんだ。亡霊が病にかかるはずがないだろう、だったら・・・それが原因だと考えるのが妥当だと思うがね。」

 

「・・・幽々子様がこうして倒れるのは、今回で2度目です。

以前は1年前・・・庭の妖怪桜が開いたとき、その時だけです。」

 

「おいおい・・・そりゃあ、庭の・・・一際大きな桜のことかい?」

 

「え、ええそうですけど・・・」

 

「だったら咲いていたぞ。」

 

「へ・・・?」

 

「だから咲いていたと言っているんだ、あの桜なら確かに咲いていた。」

 

「・・・ッ!」

 

妖夢は慌てて庭へと走って行った。

普通は気づくだろうに・・・あんなでっかい桜が咲いているのだから。

 

しばらくして妖夢がうつむき顔で戻ってきた。

 

「それで・・・どーすればいいんだ?」

 

「以前は・・・幽々子様のご友人の紫様が、封印を掛けなおして事なきを得ました。」

 

「その紫と言うのはどこにいるんだ?」

 

「分かりません・・・

紫様の居場所は誰も知らないんです。」

 

「それじゃあ前はどーしたんだ?」

 

わたしはそう問う。

妖夢はすぐに答えてくれた。どうやら急にひょいと現れて、治したらしい。

 

「だったら・・・待つしかないかァ。」

 

それまで私たちにできることは、倒れた幽々子を看病してやることだけだろう。

 

 

 

 

 

 




吉良自身が自分でも気が付かないうちに、幽々子にきをつかってますね。
だからと言って、どーのこーのいうわけじゃあありませんが・・・

ご感想待ってます。
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