スーパーロボット大戦OG 無限のフロンティア 異世界からの依頼者 作:ダス・ライヒ
『敵は恐れるに足らず! 我が連邦軍艦隊が、常に制宙権を握っていることを思い知らせてやれ!』
惑星サジタリウスの周辺宙域にて、この世界に駐屯する連邦軍艦隊が攻撃のために集結し、陣形を整えつつあった。彼らは先ほどの戦いで無残にやられたにも関わらず、ワルキューレのことを未だに正規軍とは認めず、ただの反乱軍として扱っている。
そんな敵を恐れるに足らずと言いつつ、連邦艦隊は打ち合わせ通りの位置に艦艇を配置する。
『39戦隊は左へ回る』
『艦砲射撃終了後、順次MS隊並びPT隊、AT隊は発艦!』
『メガ粒子砲充填完了!』
『UCA艦隊は右翼に移動する!』
無線通信がひっきりなしに聞こえ、それに合わせるように連邦軍の艦艇は指定された位置に向かう。
『連邦軍の第9機動歩兵師団とUNSC海軍の連中はどうした!?』
『第9は機動歩兵を降下させたいからって前に出てない! 海軍の奴らもODSTも同じ理由だ!』
『俺たちを囮にする気か!』
『大丈夫だ、数は我々の方が上だ! 初射で70パーセントはやれる!』
連邦軍の艦艇と強力な艦砲であるMACガンを持つ艦艇を保有するUNSC海軍の艦艇が居ないことに、傘下勢力の将兵達は口論を始めたが、彼らが居なくとも、数の優位は圧倒的であるため、放っておいて数の差で押すことにした。
『レーザー解析、入ります!』
『敵艦隊、射程圏内に入りました!』
『反乱軍如きにサジタリウスを好き勝手にさせるか! 全艦、敵艦隊に一斉射撃、撃てぇ!!』
ワルキューレの艦隊を射程圏内に捉えれば、連邦軍艦隊は指揮する提督の一声で直ぐに一斉射撃を行った。
実弾やビームなどの艦砲射撃が一斉に行われれば、後からミサイルによる攻撃が開始される。その数はまるで雨のようであり、ミサイルに至っては凄まじい数で、小惑星一つを粉砕するほどの数だ。
そんな雨のような一斉射撃に対し、圧倒的数の連邦艦隊を迎え撃つゼンガーのダイゼンガーと、レーツェルのアウセンザイターは、臆することなく構える。
『来るぞゼンガー!』
「この程度、あの時の戦いとは比べ物にならん!」
この逃げ出すような攻撃に、それを上回る程の攻撃を受けて来たゼンガーにとっては、比較する程の物ではないため、上昇して一斉射をアウセンザイターと共に回避した。艦隊はビームを無力化する攪乱幕や、シールドなどで防御した。
防衛側のワルキューレの機体も回避しているが、何機かは避け切れずに雨のような砲火に呑まれた。艦艇も防ぎ切れずに撃沈する物も続出する。
次に無数のミサイルが飛んできたが、ワルキューレは直ぐに対応策を打つ。それは気化爆弾を用いた対空弾だ。大型のミサイルタイプもある。その弾頭を発射できる艦艇と搭載機で撃ち込み、無数のミサイルを爆風で迎撃した。
『敵艦隊に牽制射撃、
『平民共に騎士の艦隊戦を見せてやれ!!』
敵艦隊からの一斉射撃が終われば、直ちにワルキューレの宇宙艦隊は反撃を行う。
連邦艦隊より数が少なく、迫力が無い物だが、狙いは正確であり、防御策で偽装バルーンを射出した連邦艦艇を幾隻か撃沈した。既に連邦軍艦隊は艦載機を発艦させた後であり、戦闘は艦隊戦から艦載機同士による戦闘に移行した。
連邦側の艦載機の数は、様々な種類の空母と搭載可能な艦艇を含めて膨大な数だが、戦闘力はワルキューレ側が遥かに上回る。これにより、ダイゼンガーとアウセンザイターは有象無象に出て来る連邦軍機を次々と撃墜して行く。
『ゼンガー、この数は前の戦いよりも!』
「あぁ、圧倒的だ! まるで一カ国の全軍を相手にしているかのようだ!」
自分たちは圧倒的強さを持つ機体に乗っているが、流石に連邦軍機の数の多さに苦労しているようだ。艦載機のみならず、コルベット艦やフリゲート艦も突っ込んで来る。中には駆逐艦も含まれていた。
「まるでルチウム海戦のようだ。いや、あの時は仲間がかなりいた!」
何機叩き潰そうが、何隻沈めようが恐れることなく突っ込んで来る。
そんな有象無象に突っ込んで来る連邦艦隊に、ゼンガーはルチウム海戦を思い出した。あの時は他の新西暦の戦友達と一緒で、物足りないくらいの優位であったが、今回はレーツェルのアウセンザイターとクロガネだけだ。無数に向かって来る敵に徐々に対処しきれなくなる。
『ぬぅ、キリが無い!』
「やはり、大将首以上を討ち取らねば…!」
無数の敵機を相手に奮闘する二機だが、やはり驚異的な戦闘力を持つ特機、スーパーロボットでもこれ程の数を相手にするのは無理がある。
こういう時は、指揮官機や戦艦や重巡洋艦、空母などを落とすのが手っ取り早いが、その対応策としてか、全て後ろへ下がらせて二機の特機の疲弊を狙っている。実に狡猾な作戦だが、連邦艦隊の損害は尋常ではないだろう。
圧倒的な数の敵を相手にして居た所為か、背後より現れた伏兵への対応が遅れてしまった。
『背後より、新たな敵艦隊!』
『何っ! 背後より敵艦隊!? やはり本隊は囮か!』
「目標はデータセンターか!」
クロガネの通信士官からの報告で、背後よりの伏兵、連邦軍の別動隊とUNSC海軍の戦隊の出現を知ったレーツェルは本隊が囮と知る。地上での巡洋艦の襲撃を知るゼンガーは、敵の狙いが地上のデータセンターと察する。
「おのれ! やらせん!! ぐっ…!」
『行かせてはもらえんか…!』
直ぐに向かおうとしたゼンガーとレーツェルであるが、前に出て来た一隻の戦艦とサラミス改級巡洋艦三隻の主砲で阻まれる。
「ハーケンよ、重荷を背負わせて済まぬ…!」
逃した連邦軍の別動隊に対処できなかったゼンガーは、地上の大兵力のみならず、宇宙からの降下機動兵による猛攻の重荷を背負わせてしまったハーケンに、申し訳なさそうに謝罪の言葉を述べた。
「わーお、絶景だな」
宇宙に居る連邦艦隊が攻撃を開始した頃、それに並行して地上に居る連邦軍部隊も攻勢を始めた。
自分の愛機であるゲシュペンスト・タイプHに乗るハーケンが、コックピットのハッチを開け、双眼鏡から見える連邦軍の攻勢を見て、関心の声を上げる。
最初に始まったのは砲撃だ。長距離キャノン砲を搭載したステゴサウルス型の大型ゾイド「ゴルドス」による砲撃より始まる。この砲撃には、亀型の小型ゾイドであるカノントータスも、砲撃戦に特化した装備を身に着けて参加している。他に自走砲、地上戦艦などが数両ほど参加していた。
元々ゴルドスは電子戦のゾイドであったが、強行偵察をする際に機動力の無さと大き過ぎ、更に接近戦も苦手で防御面に置いて問題があるため、後継機として開発された中型にサイズダウンされたゴルヘックスに電子戦と情報収集の役割を譲った。
しかし、砲撃能力には優れているので、長距離キャノン砲を搭載して砲撃仕様として現役に留まる。
連邦地上軍全軍に配備されているゴルドスは全て砲撃仕様に改装され、カノントータス共々砲兵隊に運用されている。
このように、連邦軍はとても優秀な砲撃専用の機動兵器を有しているが、その砲撃しているのは、ワルキューレが鹵獲品で作り上げた偽の陣地であった。
連邦の砲兵たちは無人の陣地、それも自軍の鹵獲品で作り上げられた陣地を砲撃すると言う無駄弾を使わされているとは知らず、指示された通りの砲撃数を終えるまで撃ち続けている。
それが終われば、今度は空からの爆撃に切り替える。砲撃で十分な筈だが、念には念を入れなければならない。もっとも、標的は無人の陣地であるが…。
爆撃を行うのは、連邦軍の大型爆撃機と、爆装を全身に身に着けたプテラノドン型の小型ゾイド「プテラス」だ。
プテラスは戦闘機型ゾイドであるが、帝国の飛行ゾイドに対応しきれなくなり、後継機のレイノスやストームソーダに戦闘機ゾイドの座を譲り、早期警戒機か迎撃機、戦闘爆撃機として連邦軍の地上の航空隊に配備されている。
砲兵と同じく、無人の陣地を爆撃してしまっているが、爆撃手達は気付かず、砲兵と同じ指示された通りに爆撃して基地へと引き返した。
砲撃と爆撃が終われば、本隊、つまり機甲部隊や歩兵部隊などの陸戦部隊が前進を始める。
その数は地上を埋め尽くす物であり、後列の歩兵のみならず、前例の機甲部隊、人型兵器や四足歩行や二足歩行ゾイドの数も尋常では無かった。
ハーケンやダンに乗るヴァンらが担当している地域は、もっとも敵の戦力が集中する場所であり、他の地域に比べて かなりの数、それも軍規模の戦力が集中している。合わせて十万足らずのワルキューレを圧倒している。他は軍とはいかない物の、軍団規模の戦力がまるまる投入されていた。
この数の敵を、データが収集するか、ゲリラ活動を行う工作員を全員送り込むまで僅かな戦力で守れと言うが、他の戦線もこのような戦力差の開いた戦闘を余儀なくされているため、誰も仕方ないと言って文句すら言わなかったようだ。
地響きが鳴るほどの敵の大群が迫る中、ワルキューレの戦闘工兵たちが、砲撃と爆撃で破壊尽された偽の陣地に近付き、仕掛け爆弾を仕掛ける。それと並行し、張り巡らされた罠が無事であるかどうか確認してから本物の防衛陣地へと戻る。
『敵は全滅した! 街はもう直ぐだ! 前進しろ!!』
偽の陣地を本物と勘違いしている指揮官は、このまま一気に街へ突っ込めと無線で指示を出した。待ち伏せと罠が設置されているとは知らず、指示に応じて大規模な戦力が街へと前進する。
前進速度は自軍の機密情報が抜き出される可能性があるためか、全速力であり、途中の罠にも気付かずに前進を続ける。
それから物の数秒で、先陣を切っていた陸戦のMSやゾイド、AT部隊がワルキューレの張り巡らした罠にはまった。その罠とは、対戦車壕ならぬ対機動兵器壕だ。
通常の主力戦車並の壕の深さを、20m級の人型兵器が埋まるほどの30mの深さまで掘った壕であり、いわゆる巨人サイズの落とし穴だ。そんな塹壕に勢いよく機械の人や動物、恐竜が次々と落ちて行く。戦車らも例外では無く、穴の底へ落ちて大破する。
『止まれ! 罠だ! 罠だ!!』
前進していた先遣隊が穴に落ちたのを見て、後続の部隊の隊長が大慌てで停止命令を出した。
だが、これがワルキューレの狙いであり、足を止めた連邦軍の部隊に、無数の機関砲やロケット、ミサイル、ビームが浴びせられる。
『て、敵機…!?』
最初に敵を目撃したコマンドウルフに乗り込むパイロットは、全員に聞こえるように無線で叫ぼうとしたが、他の友軍機と同様に砲火に呑まれて撃破される。
突然現れた敵部隊に、連邦軍の機動兵器部隊は対処も出来ず、ただ一方的にやられていく。後続の機甲部隊と歩兵部隊もどうようであり、凄まじい砲火に晒されて多数の損害を出していた。
歩兵の損害は甚大であり、塹壕内に隠れていたワルキューレの歩兵部隊による銃撃を浴び、まるでドミノ倒しのようにバタバタと倒れていく。相手の装備が自分等から見れば、化石以下の第二次世界大戦後期のイギリス軍装備の歩兵部隊に。
「退け! 退けぇ!! ぶわっ!?」
「せ、戦車は!? 戦車は何所だ!?」
塹壕に隠れる敵から一方的に撃たれる連邦軍の歩兵部隊は慌てふためき、統制が取れずに逃げ出す者まで居たが、後から来た機動兵器部隊に踏み潰されるだけだった。空にも連邦軍の機動兵器の大部隊が居たが、下にある無数の対空砲やミサイル攻撃で蠅のように落とされるばかりだ。
『一体何が…!?』
穴へ落ちた機動兵器部隊は、穴から自力で出ようとしたが、ワルキューレの戦闘工兵が起動した仕掛け爆弾で一網打尽となり、全機がスクラップとなった。
第一波に大損害を負わせたワルキューレだが、連邦軍はその損害を物ともせず、無限に湧き出す泉の如く次々と部隊を前進させる。流石に数に物を言わせた大群の相手に、対応力が限界に達したのか、ワルキューレの第一防衛ラインの守備隊は第二防衛ラインまで後退を始めた。後退を始めたと同時に、連邦軍は損害や罠に構わず数に物を言わせて前進する。
「そろそろこっちの出番だな」
『すげぇヨロイの数だな。あんな数、あの鉤爪の野郎のとこに居た数なんかと比較にならねぇくれぇだ』
「まぁ、相手が馬鹿デカい軍隊だからな。腐るほどあるんじゃないかな?」
「艦長、そんな所に居たら流れ弾に当たっておっちんじまいます。中に入ってどうぞ」
「OK、出番だからな。さて、張り切って行くか」
第二防衛ラインには、ハーケンのゲシュペンストとヴァンのダンが控えていた。
ヴァンは初めて見る連邦軍の無数の機動兵器に、憎き男の拠点に乗り込んだ際に相手をした軍団の事を思い出す。これにハーケンは冗談で返しつつ、身を案じるような発言をするアシェンに応えてコックピットの中へ戻る。彼がコックピットの中へ入り、操縦桿を握る頃には、既に戦闘が開始された後だった。
ワルキューレの防衛部隊による航空戦力のヴァルキリーを含めた巧みな戦術で次々と撃破されていく連邦軍機であるが、数に物を言わせて突っ込んで来る。果てしない消耗戦だ。
そんな中、ハーケンとヴァンは圧倒的な技量で次から次へと出て来る連邦軍機を撃破し続ける。ヴァンのダンは手にしている蛮刀で目に見える敵を斬り続け、周囲にスクラップの山を築き上げ、ハーケンは機体を回転させながら次々と撃破している。
「それ、二人揃って天国へ行きな!」
ハーケンは巧みに操縦桿を動かし、上空に居る量産型ビルトシュバインをPTサイズのナイトファウルの銃撃で撃墜した後、銃口下のパイルバンカーを地上の量産型ヒュッケバインMK-Ⅱのコックピットに突き刺して仕留める。
二機の敵機を数秒ほどで片付ければ、ダンを上空から狙おうとする敵機を落とす。
「へい、ブラック・タキシード。頭上注意だぜ」
『おぅ、悪ぃな。キザ野郎』
「礼を言うなら、このウルフの群れをどうにかした後にしようぜ」
『狼ヨロイの大群か。何匹来ようが関係ねぇ!』
礼を言うヴァンに対し、ハーケンはオオカミの群れの如く襲い掛かるコマンドウルフの大群をどうにかした後にしろと告げれば、彼はダンの蛮刀を大太刀と小太刀の二つに分け、背中の大型ビーム砲を撃ちながら突っ込んで来るコマンドウルフの大群に単独で挑んだ。
このフォローをしなくてはならないハーケンは、ため息をつきながらヴァンの援護に入る。
「あの調味料ジャンキー、一人で突っ込んだりしちゃったりますが。放置しますかい?」
「はぁ、あいつの世界の仲間はそのフォローに苦労していたようだな。仕方ねぇ、そいつと同じくあいつのフォローをするか」
アシェンに問われながらも、ハーケンは援護すると言って、ダンの背後から撃とうとする連邦軍機をナイトファウルやグラン・スラッシュリッパーで仕留める。その二機の機動兵器に乗るエトランゼのハーケンやヴァンの活躍ぶりを見ていたワルキューレの将兵達は、関心の声を上げる。
『あの二人、強い…!』
『もう、あの二人だけで良いんじゃないかな?』
ハーケンとヴァンだけで防衛線を維持できると思うワルキューレの将兵達であるが、当の本人より手伝えと注意される。
「へい、アーミーガールズ。俺たちだけじゃこのバトルフィールドはキープできねぇぜ。レディたちも手伝ってくれ!」
彼が戦いながらそう告げれば、MSやゾイド、戦術機に乗るワルキューレのパイロット達は、連邦軍を押し返そうとハーケンらに加勢する。歩兵も戦車も同様であり、崩れつつある敵に反撃を行う。
『何をしている!? 進め! 進むんだ!!』
圧倒的強さのハーケンやヴァンに押され、下がり始めた指揮下の部隊に対し、指揮官は無理にでも前進させようと、自機の携帯兵装を上に向けて撃ったが、一度崩れた大部隊の歯止めは効かず、一気に崩れ始める。
『敵が退いてる!』
「OK、これで少しは…」
「艦長、新たなる反応を確認。巨大な機動兵器みたいでやっちゃ」
「おいおい、なに送り込んで来やがったんだ?」
敵の態勢が崩れて敗走を始めたので、少し休憩が出来ると思ったハーケンであったが、レーダーを見たアシェンが連邦軍の新手の反応を感知してそれを知らせた。
『っ!? 馬鹿デケェ恐竜のヨロイが来たぞ!!』
「こいつは初めて見たな。ブラック・タキシードの言った通り、ヨロイとは行かなくとも馬鹿デカいトリケラトプスだ」
「ついでにドリルの角を装備しちょりまっくす」
最初に見たヴァンが叫べば、ハーケンとアシェンは現れたトリケラトプス型の超大型ゾイドを確認して特徴を口にする。
そのトリケラトプス型の超大型ゾイドとは、ヘリック共和国が対デスザウラー対策で建造したマッドサンダーだ。重装甲に頭部の角の巨大ドリル、幾つもの強力な兵装を備え、更に司令室まで備えており、移動式の前線指揮車両としての機能を持っている。だが、対空兵装は備えてない。
そんな前線突破型兵器兼前線司令部の到来を見た連邦軍は、戦意を取り戻して再び数に物を言わせてワルキューレを呑み込もうとする。ワルキューレもまた、マッドサンダーに向けて火力を集中させるが、マッドサンダーの重装甲の前には歯が立たず、角の巨大なドリルによる強力な回転力によって発生する衝撃波で、吹き飛ばされる。
『おい、あのデカ物、強ぇぞ! ワルキューレのヨロイを紙みてぇに吹っ飛ばしてやがる!』
「見りゃあ分かる! あれじゃあこっちが押される一方だ! ここはディフェンスに入ったら負ける! 勝つならアタックだ!」
「脆い横っ腹と関節部分に集中砲火を浴びせれば、鎧袖一触でヤンス」
『守るより攻めろか! 俺の得意分野だ!!』
ワルキューレの機動兵器を角の回転と背中の衝撃砲やビームキャノンで倒しつつ前進するマッドサンダーに対し、ヴァンはどう対処するかを問えば、ハーケンは守勢に入るよりも攻勢に入ると言えば、アシェンはマッドサンダーの弱点を告げる。それを聞いたヴァンは、得意分野だと豪語し、ダンを危険な巨大ゾイドに突っ込ませた。
「OK、ブラック・タキシード。俺もアタックと行くか!」
「翼の疾走、見るが良い!」
単独で向かってくる敵機を倒しながらマッドサンダーへ近付こうとするヴァンのダンに対し、ハーケンもこれに続いて上空の敵機を倒しながら標的のマッドサンダーへ近付く。
『馬鹿め! たった二機で何ができる!? 捻り潰してしまえ!!』
『イエッサー!』
マッドサンダーに乗る軍団長は、随伴機にたった二機で迫るダンとゲシュペンスト・タイプHの迎撃を命じた。随伴機の量産型ゴジュラスMk-Ⅱ六機は背中の長距離砲で迎撃を試みたが、あっさりと避けられた挙句、射線上に入ってしまった味方機を誤射してしまう。
『こ、こいつ! ドスゴドス隊並びアロザウラー隊、奴らを叩き潰せ!!』
味方機を誤射したゴジュラスのパイロットは、これ以上は友軍機を誤射したくないのか、近接戦闘に控えているゴドスの後継機、ドスゴドスやアロザウター部隊にダンとゲシュペンスト・タイプHの迎撃をやらせる。
指示に応じ、小型と中型ゾイドの恐竜型ゾイド部隊は向かって来る二機に特異な近接戦闘で挑んだが、パイロットの技量の差か、あっさりと返り討ちにされ、更に僅か数秒ほどで全滅に近い状態にされた。
これに突撃を命じた士官クラスのパイロットは、ハーケンとヴァンの余りの強さに恐怖を覚える。
『ひっ、く、来るな! 来るな!!』
『落ち着け! 敵はたったの二機だ! 無茶苦茶に撃つんじゃない!!』
随伴機の六機の強化型ゴジュラスに乗るパイロットは恐怖し、ハーケンとヴァンを近付けないために自機の兵装を滅茶苦茶に撃ち始めた。軍団長が乗るマッドサンダーより落ち着くように無線が入るが、彼らはそれを聞かず、増援に来た味方を誤射し続ける。
『邪魔だ!!』
パニックに陥って兵装を乱射するゴジュラスに近付いたダンは、太刀と小刀に分けた蛮刀を元の状態に戻し、巨体を支える脚を斬りおとしてから首を刎ねた。
巨大な首が宙を舞う中、ヴァンは空かさず二機目のゴジュラスの頭部に向け、蛮刀を飛ばして無力化する。
『オラァァァ!!』
続け様にそのゴジュラスより蛮刀を引き抜き、三機目に近付いて連続で斬り付ける波状攻撃を仕掛け、巨体をバラバラに分断した。
「OK、負けちゃいられねぇな!」
ダンに滅多切りにされたゴジュラスは爆発を起こす中、ハーケンも負けてはいられず、パイルバンカーで近場のゴジュラスのコックピットを突き刺し、グラン・スラッシュリッパーで上空より飛来した戦闘機ゾイド二機を撃墜する。
バンカーを突き刺したまま、何所からか入手したのか、リボルバー式の携帯兵装で残る二機のコックピットを正確に撃ち抜いて無力化した。
「早撃ちには自信があるのさ」
「艦長、知らねぇ奴に自慢してないで直ぐに索敵っす」
「分かってるさ」
そう誰かに自慢するハーケンに対し、アシェンは早く索敵をしろと告げれば、彼は突き刺しているナイトファウルを引き抜き、護衛の居なくなったマッドサンダーにヴァンのダンと共に襲い掛かる。
『お、おのれぇ! 突撃せよ!!』
護衛の居なくなったマッドサンダーに乗る軍団長は、真正面から襲い掛かる二機の特機とも言える機動兵器に、自機が得意とする突撃を仕掛けた。
マッドサンダーの突撃は、二つの角の巨大ドリルをフル回転させてからする物であり、その突撃は最強の威力を発揮する。故にこの突撃を受ければ、ハーケンのゲシュペンストもヴァンのダンも一溜りも無いだろう。だが、数々の修羅場を潜り抜けて来た二人が、この程度の事で負けるはずが無い。
『見えてんだよ!』
「おっと!」
凄まじい速度で放たれる突撃を軽やかに避けた二機は、直ぐに攻撃へ移る。
専用のゲシュペンストを駆るハーケンは、ゲシュペンスト固有の必殺技、ゲシュペンストキックを足に向けて仕掛け、ヴァンは蛮刀の刀身にエネルギーを溜め込み、巨大な剣を作り上げる。
「究極! ゲシュペンストキック!!」
その掛け声と共に、ハーケンは機体の強力な蹴りをマッドサンダーの右脚に食らわせた。
強力な蹴りを受けたマッドサンダーの右前脚は砕け、巨体を支えきれずに地面に崩れる。この隙に、ヴァンはダンが溜め込んだ巨大なエネルギーの剣をマッドサンダーへ向けて振り下ろした。
『チェストォォォォ!!』
ハーケンと同じく掛け声、それも彼より大きく叫んで振り下ろし、巨体のマッドサンダーを真っ二つに切り裂いた。
巨大なエネルギーの剣に両断されたマッドサンダーは、良き場の失った動力源の暴走により物の数秒後に大爆発を起こす。この爆発を背に、ハーケンは格好良くヴァンに自分の考えた通り名を贈る。
「ナイスだ、ブラック・タキシード。俺から良い通り名を与えよう。ビックハントのヴァン、もしくは恐竜殺しのヴァンだ!」
『へっ、俺はハンターじゃねぇよ! だが、その通り名は気に入った!』
「そいつは感謝だぜ、ミスター・ブラック・タキシード。何処かで名乗ると良いさ」
新しい通り名を受け入れなかったヴァンだが、響きが良かったために気に入ったようだ。
マッドサンダーがたった二機の異邦人が乗る機動兵器によって破壊されたのを見た連邦軍の将兵達は、完全に士気が崩壊し、更に戦意まで損失して攻撃を止めて我先にと逃げ出し始める。
『ば、化け物だ…!』
『たった二機で倒しやがった…!』
『勝てるわけがねぇ!!』
数は連邦軍が圧倒的であったが、マッドサンダーが破れたのが原因か、士気が維持できず、将校の静止の声に従わず、無秩序に敗走し始める。
『やった! 敵が退いて行く!!』
「OK、あのビックトリケラトプスにはジェネラルが乗っていたらしい。これで、少しは…今度は何だ?」
自軍の最強ゾイドであるマッドサンダーがやられて無様に逃げ出す連邦軍を見て、ハーケンは勝利したと思ったが、新たなる反応を知らせる警告音が鳴り響いた。
「街の方より連邦軍の別働隊が上空より出現! それから連邦軍が逃げてる方向からはアンノウン! こりゃあヤベェ連中なの確実すっよ」
「やれやれ、連邦軍の別動隊は分かるが、今度は何所の連中だ?」
アシェンからの知らせに、ハーケンは頭を抱えつつ、前方より現れた正体不明の敵に警戒する。
『キザ野郎! 俺たちは何所へ行けば良い!?』
「街の連邦軍は、ミステリアスレディとヴァルキュリーアーミーズに任せる。俺たちメンズは、前方のアンノウンエネミーだ」
連邦軍の別動隊が現れた街へ戻って戦うか、そのままここに留まって戦うのかを問うヴァンに対し、ハーケンはこの場に留まって正体不明の敵と戦うと告げた。その物の数秒後に、正体不明の敵が、敗走する連邦軍を蹴散らしながらはっきりと見える距離まで来る。
「おっと、こいつは驚いた…まさかスーパーロボットだったとは…」
それはヴァンが駆るダンと同じ、25m級の高機動で移動する機動兵器だ。背後には10m級の機動兵器群や謎のタイプのゾイド集団が連邦軍機を薙ぎ倒しながらこちらへ接近して来る。それにヴァンは、先頭に立つ機動兵器に見覚えがあったのか、その名を口にする。
『あ、あいつは…!? メッツァ・オブ・チューズデイ…!』
「おい、ミスター・思い出しメン、知っているのか?」
『あぁ、あのレイピア野郎、何年か前に俺が殺した奴が乗ってたヨロイだ! なんでここにあるんだ!?』
ハーケンに問われたヴァンは直ぐに答えたが、何故ここに居るのかは彼でも分から無いようだ。
「ミスターも分からないようじゃ俺にも分からねぇな。あいつの仕業とは思えないが、兎に角、やるならやるしかねぇな…!」
それを聞いてか、ハーケンは何であろうと戦うしかないと判断した。
丁度その時に、宇宙からゼンガーやレーツェルの通信が入ってくる。彼らの居る宇宙の戦場にも、地上に現れた謎の軍隊が現れたようだ。
『ハーケン、無事か!? レーツェルだ! こちらの戦場で謎の集団が現れ、いきなり攻撃してきた! それも連邦や我々ワルキューレ問わずだ!』
『我々の知らん兵器ばかりで構成された部隊だ、惑星同盟軍の物では無い! ワルキューレの話によれば、ネオ・ムガルとやらの連中らしい!』
「そっちもアンノウンエネミーか。こっちもそのネオ・ムガルらしいお客さんが暴れ回ってるところだ。迷惑な客は、早く出てって貰いたいもんだぜ」
宇宙で戦う二人の知らせを聞いてか、ハーケンは軽口を混ぜながら地上にも居ることを告げる。
『なにぃ! 地上にもだと!? ぬぅ、同時攻撃と言う訳か…!』
『攻撃の目的は不明…いずれは分かる事だが、まるで我々が今まで戦って来た敵のようだ!』
それを聞いてか、ゼンガーは何度も経験した屈辱を思い出し、レーツェルはかつて戦って来た敵勢力の事を思い出す。
「だろ? とにかくだ、ここで何か大きなビックウォーが起こるかもしれない」
そう映像通信に映る二人を見ながら告げれば、ハーケンは前方より来るネオ・ムガルと思われる機動兵器の集団と、ワルキューレの精鋭部隊が乗る機動兵器部隊、主力部隊支援のためにモスバサシティに直接降下した連邦軍の別動隊の派遣部隊を見る。
「前方よりは訳の分からんネオ・ムガルとか言う連中のロボット軍団に、後方からは連邦の軌道降下部隊のヒュッケバインMk-Ⅱ量産型一個大隊。サンドイッチにされた気分だっちゃ」
「OK、エブリワン。役者は揃ったな。それじゃあ、二回目か三回目だが、スーパーロボットウォーズとしゃれこもうか!!」
『応っ!』
『承知っ!!』
『トロンべよ、今が駆け抜けるとき!!』
レーダーを見ていたアシェンからの知らせで、ハーケンは役者がそろったと確認して、スーパーロボットっと言っても、殆どリアルタイプの物ばかりであるが、スーパーロボット大戦の開幕を宣言した。