飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第15話

帝国歴1180年

 

 

 

監督兵を承るも俺の出番は無く、無事に鷲獅子戦は終えた。

 

鷲獅子戦の内容としてはベレスが率いる青獅子が勝利を得た。 しかし初っ端からベルナデッタの弓砲台に苦戦をしていた。 しかしベレスが合図を出すとベレスと級長のディミトリを中心に突貫し、金鹿よりも先に中央を制する。 一息つく間も無く黒鷲目掛けて正面から仕掛けていた。 それを追いかけるように天馬騎士のイングリットが黒鷲の空兵を抑え、そしてフェリクスがベルナデッタの矢を回避すると容易に間合いに入り込み、額を鞘で突く。ここでベルナデッタは沈黙した。 早い。

 

 

それから始まるのは追い越し殲滅ってやつだ。

 

三つ巴戦を避けられないなら軍を一つ減らして一対一にすれば良い。 単純な話であり、それを実行した。

 

思ったよりも素早く、そして斬新な戦法に金鹿は手を出すのが遅れる。 それからドゥドゥーやアッシュ達が散発的に攻撃してくる金鹿を抑え、アネットやメルセデスが幅広く後方支援。 背後の奇襲をシルヴァンが警戒したりと、青獅子の戦術の方針は最初から決まってたようにそれぞれの役割が滑らかである。 そしてそれに付いて行ける青獅子の生徒たち。 半年前まで傭兵だったくせにベレスはよく鍛えたものだ。

 

そしてそれを今回監督兵として間近で見れてるものだからより輝いてる子供達が微笑ましかった。 とりあえず俺はヒューベルトって生徒だけを警戒して監督兵の役割を果たす。 しかし特に何も心配事は起きず、今回の鷲獅子戦は無事に終えた訳だ。 何も起きないのは良いことだ。

 

 

それから早々に帰宅準備を始める。

 

グロンダーズ平原と別れを告げる時だ。

 

 

 

そう、別れと言えば…

 

 

 

「ホルスト、世話になった」

 

「ああ! また遊びに来い! ユークリッド!」

 

 

先ほど妹と顔合わせを終えたホルストと会い、そして別れを告げる。 俺は同盟領に戻らず、招集させた旅団の者達を連れてガルグ=マクに向かわなければならない。 ちなみに一緒に戻ることを伝えるとシベレスリアンハスキーてんてーが尻尾ぶんぶんして「青獅子と行こう」と誘ってくれた。 かわいい。

 

青獅子と向かうのは後でも良いとして、とりあえず俺は最初に黒鷲の学級の馬車に乗り込んでとある事を行なっていた。

 

 

 

「ベルナデッタ、おでこの調子はどうだ?」

 

 

「ぅぅ、まだヒリヒリしますぅ…」

 

 

 

今現在ベルナデッタの様子を見ている。

 

鷲獅子戦でフェリクスって剣士がベルナデッタの額を鞘で力強く突いたことで受けた傷。 斬り付けられ無かっただけマジだろうが、軟弱ベルナデッタではとても痛い一撃だっただろう。 あとドロテアが女性の命である顔を攻撃したことに批難を示していたが「知らん、そんなのは」と切り捨てたフェリクスだった。

 

あとブリギットの姫は「顔の傷、戦士誇り、逞しい証あります!」の一言だったからこれにはドロテアも辟易していた。

 

ちなみにライブで半分ほど治されたようだが、またヒリヒリと痛んでたのでライブを掛けている。 しかし完全には治さず最後は自己回復を待つ。 そうしないと痛みに慣れないし、治癒力が下がるので何でもかんでもライブで治すのは良くない。

 

 

 

「あなた、屈強、姿する、しかし、ライブ癒し出来る、素敵思います!」

 

「いや、ペトラ、それは寧ろ失礼なんじゃないの? ふぁ〜あ、眠い…」

 

「なぜです、リンハルト??」

 

 

「確かに、俺自身ライブ使うような感じはしないだろ? 父も母もバリバリ前線で戦うような人だった。 けど俺自身に回復魔法の適性は高いらしい」

 

 

 

そう、ライブは幼い頃にすぐ覚えた。

 

旅団の中に使える人がいたから教わってみたが、すんなりと覚えたのだ。

 

 

 

「人間の適性などは遺伝もあるけど、個性も関わるからね。 でもそれは非常に稀で、やはり其のモノの何かしらの関連性が鍵となるらしい。 ラライヤさんの場合【信仰】に関わるモノを持ってるんじゃないですか?」

 

 

「よく勉強してるなリンハルト。 しかし俺のは完全に天然だ」

 

 

「それは……興味深いですね。 ぜひ紋章も含めて調べさせてくれませんか?」

 

 

「俺に紋章は無い」

 

 

「あ、そうですか。 じゃあ大丈夫です」

 

 

「冷め方が早いなリンハルト」

 

 

 

そして彼は欠伸とそのまま眠り出した。

 

よく眠るからこんなに身長があるのか?

 

これは寝る子は育つで良いのか?

 

 

 

「ユークさまぁ! ベルにも構って下さい!」

 

「「「!!??」」」

 

 

「あ、はい」

 

 

 

黒鷲の生徒たちは随分と驚いている。 まぁ想像は付きやすい。 ベルナデッタが普段言わない事を言ったからだろう。

 

 

 

「あら、ベルちゃん? ヤキモチかしら?」

 

 

「はぅぇ!? あ、ああ、ち、違いますぅ! 違うんですよぉ〜! ラ、ラ、ライ! ラ、ラブラブ、ライブ、の! 手が止まってですね!」

 

 

「あら? ラブラブしたいの? なら私たちはお邪魔ね」

 

 

「うぇぇえ!? 違いますよぉぉぉお!! ドドドッ!ドロテアさぁーん!!?」

 

 

 

ドドドッ って、お前はスタンド使いか。

 

そういや俺もある意味スタンド使いだったな。

 

 

……あ、ガソリンスタンド的な意味でだぞ?

 

前職はガソリンスタンドスタッフで、そこでバイトして、そしたらなんか大爆発して死んでここに居る。

 

嫌な記憶だ。

 

 

 

「あとはごゆっくり〜、ベルちゃん」

 

 

「ドロテアさぁーん!!」

 

 

「いや、俺この後ベレスてんてーの所に行くから別の馬車に移動するぞ?」

 

 

「それはそれで困りますぅぅ! ベルを置いてかないでぇぇ!」

 

 

「なら一緒について来い」

 

 

「ふぇぇああ!?」

 

 

 

ベルナデッタをお姫様抱っこすると黒鷲の馬車から飛び降りる。 見ている女の子達から黄色い声援が飛び交い、ベルナデッタはあまりの恥ずかしさに両手で顔を覆って隠している。 俺は気にせず馬車の横を次々素通りして青獅子の生徒が使う馬車の横に並走する。 途中でいろんな生徒から視線を集めてベルナデッタの顔は沸騰したように赤くなり口はパクパクしていた。

 

 

 

「ベレスてんてー、予約一人追加で」

 

 

「?? ……追加料金が発生します?」

 

「いや、せんせ? そこはそう返すか?」

 

 

 

シルヴァンのツッコミと共に馬車の後ろから飛び乗った。

 

 

 

「ほぉ? あまり力を込めずに飛んだか」

 

「おお! 人を抱えてその高さを乗り越えるなんて凄いですよフェリクス!」

 

「まずそのアッシュの着目点は素敵よねー」

 

「あらあら、アンに同意かしらねー」

 

「それよりも、他学級の生徒を連れ込むその行為、後々面倒だと思うのだが」

 

「ええ、ドゥドゥーの言う通りかと…」

 

「ユークが女の子を連れ込みやがりましたわ!」

 

「あのー、フレンちゃん? セテスさんがそろそろ泣き出すぞ?」

 

 

 

個性的な生徒たちからあらゆる意見や感想などを貰いつつ、俺はこう返す。

 

 

 

「じゃあスカウトとしたと言う事で」

 

 

「ベルは連れ去られたんですかぁ!?」

 

 

「そもそもベルナデッタは貴族質(黒鷲)に向かない。 青獅子や金鹿のような大らかさを得た方がベルナデッタは気持ち良い人間になれる。 その方が似合ってる。 だから青獅子にスカウトされるのは良いと思うけどな」

 

 

 

「じゃあ……うち、来る?」

 

 

「「「「ベレス先生!!?」」」」

 

 

 

いや、お前はちゃんと考えてやれよ。

 

ベルナデッタが『YES』と言ったら成立するんだぞ?

 

 

 

それから着々と進む馬車。

 

そしてベルナデッタはここから逃げることを諦めたようで大人しくなった。 元よりこの馬車から出て黒鷲のところまで戻る勇気が無いと言った方が正しいか。

 

そんな彼女は行動に移すよりも色々と疲れてしまい、長旅も相まって眠気に襲われていた。 ウツラウツラと眠気に揺れ、そして力が抜けると横に座っていた俺に寄りかかる。 完全に力が抜けると全てを預けて倒れ込んだ。 青獅子の馬車の中であることも忘れ、すぅすぅと寝息を立てて眠り込んでしまった。

 

そしてとても珍しい光景なのか、青獅子の生徒はベルナデッタの様子に驚きぱなしだ。 やはり他学級でもベルナデッタの事は違う意味で有名らしく、現状からするとそのイメージにつかないようで、大変驚かれていた。

 

俺はそんなみんなに苦笑いしつつ、ベルナデッタの頭を撫でながら伝える。

 

 

 

「ベルナデッタとは色々とあったんだ。 今は可能な限り側にいてあげたい。 やっと彼女と出会えたんだから」

 

 

 

どうやら俺に気を利かさせすぎたか青獅子の馬車はやや静かになってしまった。

 

すると…

 

 

 

「あの、ベルナデッタとはどういった関係なんですか?」

 

 

「五年前に初めて友達として交わし合った仲と言える。 例えばそうだな…君は本は好きか?」

 

 

「はい!」

 

 

「じゃあ逃亡兵の竜騎士(ヒース)とお忍びの令嬢(プリシラ)の物語は知ってるか? 終わり方は悲恋だ」

 

 

「はい! 知ってます!!」

 

 

「ならベルナデッタとはそんな感じ」

 

 

「そうなんですか! ……ええ!? そうなんですか!?」

 

 

「いや、半分冗談だ」

 

 

「え、えぇ……」

 

「アッシュさん、しー! ですわ!」

 

「あ、ご、ごめんなさい…」

 

 

でも、俺は平民で、ベルナデッタは貴族。

身分が違う故にあんな出来事に陥っていった。

そこだけは似ているだろう。

 

 

さて、それから俺がユークリッド・ラライヤである事を告げると、名前を聞いてなかった者は驚く。 やはりガルグ=マクでは俺の話はそこそこ有名なようで色々と質問攻めされた。 またベレスとは昔から知り合ってた事を話したりと、案外フォドラは世間が狭いことを再確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガルグ=マク大修道院に到着して3日が経過した。 まず俺は士官学校の輪から外れて同盟領で招集させた旅団を連れてジェラルト傭兵団とコンタクトを取る。 するとジェラルト傭兵団で活動していた一部の旅団と会見し、同盟領にいた旅団達皆は数年ぶりの再会を喜び合った。 泣き合い、抱きしめあい、小突いて喜び合い、俺はそれを少し離れたところから眺める。

 

ああ、またこうして少しずつ集われている。

 

 

 

「久しぶりだな、ユークリッド」

 

 

「ジェラルトさんも久しぶりですね。 それにしても見た目変わらないし、絶対何かあるだろ」

 

 

「さぁな、そんな遠い話は忘れたな」

 

 

「自分で答え言ってるぞ」

 

 

「お前も老け出したら歳なんて忘れてしまえ。 気にかけるの歳の数じゃなくて、命からがら乗り越えてきた数だ」

 

 

「肝に命じておきます」

 

 

 

さて、旅団を纏めると今後の方針を決める。

 

とりあえずガルグ=マク大修道院で本格的に拠点を立て、そこで演劇団を復活させながら旅団の生活資金を稼ぎ、名も外に売ることで逸れた仲間がそれを聞きつけてガルグ=マクに集まってもらう流れ。 そして俺は冬をガルグ=マクで越して、春に差しかかれば次は帝国領か王国領に向かう計画だ。

 

そのためしばらくガルグ=マクで過ごすことを決めたが、住まう場所、または屋根付きで滞在できる場所を探さなければならない。

 

 

と、思いきや…

 

 

 

「ユークリッドの部屋は残ってますよ」

 

 

「レアさんそれマジっすか?」

 

 

「はい、マジです」

 

 

 

どうやらお世話係としての活動時期に使用してた部屋は大修道院にまだ残ってるようだ。 使った布団や毛布は撤去されたが、旅に持ち込めない小物や茶器がまだ起きっぱなしらしい。 なんともレアさんが「まだ今年は残しておきましょう」と言って手をつけることを許さなかったらしい。 その理由は…

 

 

 

「万が一、ユークリッドがめげてしまって戻ってきても大丈夫なのようにするためです」

 

 

「うるちゃい! 僕!めげてないもん!」

 

 

「ふふ、そのようですね」

 

 

 

もし年を越したら大掃除と共に中を取っ払ってしまって、別室で使われることになっていたようだ。 しかしここに戻ってきたことでまだ使えることが決まった。 冬を越すまではガルグ=マクで滞在することを伝えると是非再利用するようにレアさんに勧められた。

 

 

 

「で、なんかさせられるんですか?」

 

 

「いえ、何もしません」

 

 

「…え? そうなんですか?」

 

 

「はい。 私が何もしなくてもあなたは何かするでしょうから」

 

 

この三年で俺のことは理解されてるらしい。 実際に何かやりそうな俺の落ち着きの無さはレアさんも認知済みで、また新たな刺激をこの大修道院で繰り広げてくれることを期待してるようだ。 俺としては健やかにしてたいが、理想通りにはならないだろう。

 

 

 

「ええと、ありがとうございま…す?」

 

 

「はい、どういたしまして」

 

 

 

冬凌げる場所を与えてくれた事には感謝だ。

 

それを忘れずに同盟領まで続いた長旅の疲れを癒そうと懐かしの自室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美味しいですわ」

 

 

「久々に紅茶を淹れたけど、腕はあまり鈍ってないみたいだ」

 

 

「しかしユークのやり方は少し危なっかしくて、嗜みから外れてますわ」

 

 

「でもティーカップ程よくあったかいだろ?」

 

 

「炎を出さずに熱だけを放つ"ファイアー"でティーカップを温めるなんてあなたくらいでしてよ?」

 

 

「春や夏なら分かるけど、秋や冬だとすぐティーカップ冷めるからさ、温めたての茶器を完全させるならこのやり方が良い」

 

 

 

特に意味もなくアウトドア派セスリーンからお茶会に誘われ、そして俺が淹れている。 普通はお誘いした側から淹れるべきだが、このコウノトリセスリーンには久々に俺が淹れた紅茶を飲みたいらしい。 久々にわがままを言った娘で妹セスリーンは満足そうに味わい、俺はやや図々しいその懐かしさを感じる。 ちなみにガバガバセスリーンもどきセスリーンが飲んでいるのはアーモンドティーであり、秋風が吹く季節にぴったりだ。

 

ちなみに使用してる茶器はアネモネの柄が刻まれたいる。 あまり使ってないからまだ綺麗。

 

 

 

「ユーク、馬車の中で寄りかかり眠り込んだベルナデッタさんがあなたの言ってた女の子なんですわね?」

 

 

「ああ、過去に起きた俺の痛み。 または怒り。 そして悲しみ。 それらにケジメを付けることができて本当にホッとしてる」

 

 

「友人として本当に良かったですわ。 少し妬いてしまいそうですけど」

 

 

「ありがたい告白だな。 もちろん友人としてならセスリーンの事も好きだぞ?」

 

 

「そんなの言わなくても知ってますわ。 私自身、この関係が心地よい限りですわよ。 お兄様のように甘々では無くて、付かず離れずで、けれどやや近しい距離感でお戯れを優しくなぞってくれるこの関係が好きですわよ」

 

 

「ああ」

 

 

 

セスリーンに対して恋愛感情は無い。 どこかしら悪友に近い関係であり、それは手を繋ぎ合うのでは無く、ハイタッチで調和を図るでは無く、別々の方向にソッポ向きながらそれでも上手く拳を小突き合う程度の関係。 互いにもどかしさを必要としない信頼を持っている感じだ。 この気持ちを抱えれるのは彼女くらいだろう。

 

 

 

「だから聞かなければならないわ。 ユークはベルナデッタをこれからどうするつもりですの?」

 

 

「来年まで一緒に過ごせるようにする。 その後はその時に考える。 ただ俺には目的があるからいつまでもとは言わない。 ベルナデッタにはそのつもりでいてほしい」

 

 

「そうですわね。 ユークがここで燻るような人じゃ無いですわね。 もし今も女々しくしていたのならぶっ飛ばして差し上げましょう」

 

 

「ははは、言うようになったなセスリーン」

 

 

 

二回攻撃しそうなルナティックのお言葉を貰ったが、ベルナデッタに女々しさを作るつもりはない。 彼女も大事だけど、旅団はもっと大事だ。 いまやらなければならない事に決着を付けるまではこの旅をやめれない。

 

いましばし、ここで滞在するけど。

 

 

 

「でも今年いっぱいここに滞在するのでしたのなら、当然あなたをお暇を貰いますわよ」

 

 

「未だにセスリーンである事を知ってしまった罰は続くのか?」

 

 

「ええ、当然ですわ」

 

 

 

お暇を貰う…か。 お世話係として働いてた頃の懐かしさがまた戻るらしい。 しかしこのままだとニートな状態になるから、ガルグ=マクで演劇する仲間たちのサポートにでも回るとしよう。

 

 

つまり、本来のお世話係に戻るわけだ。

 

 

 

 

「なぁ、ところでさ…」

 

 

「?」

 

 

「去年卒業した"あの子"なんかおかしく無いか?」

 

 

「……モニカの事ですわね?」

 

 

「ああ。 今日の午前に軽く顔合わせしたんだよ。 久しぶりに会ったと思ったら『初めまして』だってよ…」

 

 

「!?…モニカさんはユークさんの事は存じてられますの?」

 

 

「ある。 てかファイアーのコツを教えてくれたのモニカだし、火力の微調整などの訓練に付き合ってくれたのもモニカ。 関わりはそこそこ深い筈なのに『初めまして』は明らかにおかしいだろ」

 

 

「失踪した時に記憶が飛んだと聞きましたわ…」

 

 

「その割には随分と【人が変わった】ようだ。 口調もどこか違和感があって、あの物腰はモニカらしく無い」

 

 

 

それに見え隠れさせるあの狂気染みた瞳はあまりにも変だ。 俺が知るモニカならそんな物を抱えれる訳がない。 なんせアレは人殺しに慣れてる人間の狂気。 ヒューベルトと言った生徒が抱えてる事はわかる。 そして俺にもある。

 

だからただの学生があんな眼を持つ事はあり得ないと言える。

 

 

 

「ユークさん、私自身モニカさんとはあまり接点もなく名前だけ存じてませんわ。 だから私からはなんとも」

 

 

「そうか…いや、悪いな。 楽しむはずのお茶会なのにこんな話をして」

 

 

「構いませんわ。 実のところ私も少しモニカさんが怖かったのですわ。 死神事件で一緒に倒れてた者同士でしたから少し気にかけましたが、どこか不安な何かを感じるのでして…」

 

 

「…」

 

「でもユークさんが気にかけてくれるのでしたら安心ですわ。 もちろんベレス先生と同じ学級に居られる安心感も大きいですが、そこにユークさんもいるのでしたらこれほど心強い事は無いですわよ」

 

 

「もう少し父さん(セテス)の事も頼りにしてやれよ」

 

 

「別に言葉に出さずともキッホルお父様を頼りにしてますわよ」

 

 

 

それからそのままセテスの話になり、セテスの愚痴を聞き始め、お茶会は穏やかな方向に流れて行く。 最近まで命かけてたから気持ちがまだ殺伐としてたようで、フレンにモニカの話を投げ込んでしまった。 せっかくの久々なお茶会なのに反省。 セテスを火種に笑い話にできたからセテっさんの存在に感謝だ。

 

 

 

「ふふ、楽しいですわね」

 

 

「そうか? だとしたらツィリルも交えたい限りだ」

 

 

「ツィリルさん、ユークの帰還にとても驚いてましたわね」

 

 

「今も『先輩』って呼んでくれてることに感動を覚えてるところだよ」

 

 

「ふふ、本当にあなたという人は不思議ですわ」

 

 

「まるで長生きしてるみたいな言葉だな」

 

 

「実際に長生きですもの」

 

 

 

 

焼き菓子とアーモンドティーがフォドラの秋風を香ばしく染める。

 

しばらくフレンと冷めることないお茶会を楽しんだ。

 

 

 

 

つづく





実家のような安心感。
それがガルグ=マク大修道院。
第一部のほのぼのBGMが好きなんですよ!(半ギレ)


《 悲恋 》

身分の違い故に生まれる物語。 それでも結ばれるペアエンドは多いが、ヒースとプリシラに関してはどうにもならないからね。 ちなみに作者はギィとの組み合わせが一番好きです。 レイモンド兄貴とのやり取りで軽くヤンデレ化するのも好きです。 エクルとの組み合わせも良しです。 緑ソシアルの会話も好きです。
ともかくなんか色々と好きです(語彙力ゥ)


ではまた
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