飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第23話

帝国歴1181年

 

 

だだっ広い帝国領で仲間を探すなんてとんでもなく無謀だ。 ガルグ=マクを出る前まで何人かその事を指摘していた。 確かにその通りだと思う。 この身一つで探すならば一年か二年、またはそれ以上が掛かる。 同盟領ではホルストの権力を利用させてもらい、その周辺の仲間を招集した。 たまたま集いやすい所にいたから半年以内に集わせる事が出来た。でも今の俺の協力者はマンディのみ。

 

帝国領内で何かしらの伝を使おうにもそれは"団長"の伝だ。 俺に人脈は無い。 強いて言うなら貴族のベルナデッタくらいだが、彼女は士官学校で引き篭もっている。 だから俺が帝国領で頼りに出来る人間はいない。

 

けれど団長にはある。 ヴァーリ伯に追われるまでは帝国領を旅した事で団長はいろんなところに手を伸ばしている。 なんならやんちゃしてた時代の団長はフォドラを歩き回り、色んなコネを持っている。 ほんの一部だが顔パスで街の門を潜る時を幼い頃に見てきた。 ならば団長と合流した仲間はうまく帝国領の中で生き続けているだろう。

 

一応ベルナデッタから情報を貰ったが、ベルナデッタの父ヴァーリ伯は旅団に兵を向けては一ヶ月間近く自分の領内と近隣の領を探してたらしい。

 

しかし旅団を誰一人確保できなかったにしろそんなに俺たちが憎いのかよ。 てかそんな事のために兵を向けるとか税金の無駄だなあのゴミ貴族は。 それでもあの"ヴァーリ弓兵隊"から逃げれた俺は幸運だった。 他の仲間達は無事に逃げ切れたのか分からないが、皆んなはそこまで柔では無い。

 

生きてはと信じて…

 

 

 

「ひひーん!」

 

 

「お、おう。 悪い…」

 

 

 

適当に手綱を握っていたからマンディに「落ちるぞ」と怒られる。 今日は風が強いからな…と、言うよりは山脈の多い西側から帝国領に入るつもりだからな。 え? 東のミルディン大橋じゃないのかって? あそこ今まで使えていたはずの通行許可証が使えなくなっていたと聞いた。 俺のはかなり古い奴だから通れない事を考えていかない事にした。

 

まぁ仮に行けたにしても今回はミルディン大橋を通るつもりは無い。 だってマンディの力で川や山を越えれるし? わざわざ降りて橋を渡るつもりは無い。 なら進行方向を変えて別ルートから向かうのもまた良しだろ。

 

 

 

「おお? 海が見えてき……!? マンディ!」

 

「ひひーん!!」

 

 

 

撃ち放たれたバリスタを回避する。

 

 

 

「なんで撃たれた!?」

 

 

 

てかよく反応できたな俺。

 

いや、マンディが良く見ていたのだろう。

 

それでも反応遅れていたら死ぬところだった。

 

間違い無い。

 

 

 

「山賊じゃ無いなこの狙い方! 風向きを考えて放っている辺りちゃんと訓練している兵の狙い方だな!」

 

 

 

すると三体のペガサスナイトが前方から襲ってくる。 槍を構えているあたり完全にこちらを倒すつもりだ。 こんなところで戦って消耗なんかしたく無いんだが。

 

 

 

「待てよ、あいつら西方教会の連中か!?」

 

 

 

こちらに迫るペガサスナイトの首元にかけられた前掛け的な布には西方教会の証が刻まれている。 見間違いじゃなければとても厄介な事になる。 俺が来た方向がガルグ=マク、そしてセイロス教団の方向だ。 これだけで敵とみなされている。

 

 

 

「あれは間違いなく過激派だな。 面倒だ…」

 

 

 

去年のロナート教の事件と、女神降臨の儀式の事件で西方教会が噛んでいたことが発覚。 セイロス教は西方教会を叩きに向かい、半数が分裂したと聞いた。 新たに司教も立てたことで落ち着いたつもりだが一部が反発したりとこの党派は何気に纏まっていない。 セイロス教を恐れずに対抗心を燃やす頭悪い奴らの集まりだ。

 

 

 

「とりあえず敵意が無いことを示そう。 マンディ、少し怖いかも知れないが一旦その場で停滞」

 

「ぶるる…」

 

 

 

俺は武装を解除した事が見えるようにし、次に両手を振って敵意の無い合図を送る。 するとそれが伝わったのか西方教会のペガサスナイトは速度を落としてこちらを挟むように停止、話しかけて来た。

 

 

 

「貴様、セイロス教の使いか!?」

「待て!このペガサス乗り男だわ!!」

「だとしたらあのイカれた女狐側の者だ!!」

 

「いやいやいや、意味わからん」

 

 

「「「くらえ!トライアングルアタック!!」」」

 

 

「一方的かよ!? おかしいだろ!!」

 

「ひひーん!?」

 

 

西方教会に対話のやり方は無いらしい。 この過激派はどうやら戦闘主義でまかり通すことが今ので理解できた。 レアさんアンチが強すぎるせいでぶっ飛んだ理論で正当化して武器を突きつける頭の持ち主。 いやー、洗脳って怖い。

 

 

 

「マンディ!」

 

「ぶるる! ひひーん!」

 

 

その場で急降下する事でペガサスナイトのトライアングルアタックを回避。

 

 

「トライアングルアタッ……なっ!?」

「無理にやるな!天馬が壊れる!」

「追え! 普通に追って叩け!」

 

 

「天馬が壊れるってパワーワード初めて聞いたな。 それとも貴重な天馬を消耗品とか思ってんのかアイツら?」

 

 

トライアングルアタックは敵を後方にしか退避出来ないようにする陣形を作り上げて左右の回避手段を封じる。 そして攻撃時に最初の一体が正面から水平に突貫し、天馬が作り上げた風の流れに乗って攻撃を重ねる事で威力を倍増させる連携技。

 

単純かつ高威力な技だが……弱点はある。

 

全員の技量が高水準を満たしてないと可能では無い技であり、一人目の動きについて行けなければトライアングルアタックは成立しない。

 

しかし真下にトライアングルアタックができるペガサスナイトなんて早々いるわけが無いため、真下に逃げる事で回避可能な話。 あくまでトライアングルアタックは地上の敵に対して有効なのだ。 地上なら真下に逃げれないからな。

 

 

 

「正直、下級職の集まりで助かったな」

 

「ぶるる」

 

 

 

太陽の方角を気にしながらバリスタの元に向かう。 そして太陽を背にする事でバリスタは狙う事が困難だろう。 今日の太陽はとてもご機嫌だ。 またクソ真面目にこちらの背中から追いかけてくる西方教会のペガサスナイト達にフレンドリーファイアするのが怖くて放つ事ができないだろうな。

 

 

しかしバリスタは放たれる。

 

 

 

「仲間毎落とす気か!?」

 

 

マンディに指示して風に乗るように回避。 バリスタは大きく軌道を外しながらも西方教会のペガサスナイト付近を通過して山に吸い込まれる。

 

 

 

「あの異端者供が! マジで躊躇いないなぁ!?」

 

 

 

陸に近づきほかにアーチャーが潜んでない事を確認すると俺はマンディから飛び降りてバリスタの弓兵に飛び蹴りをお見舞い。 そいつの頭に重心をかけてズザザッと地面に擦り付けるように滑り、最後は踵に力を入れて一気に体を捻る事でブレーキを掛け、そのまま弓兵の喉元を踏み砕いた。 まずは一人目。

 

 

 

「このセイロス教の悪魔め!」

 

「ファイアー!」

 

 

 

飛んで来た魔法攻撃はナイフを握った手で撃ち払い、そのファイアーで熱した投げナイフで魔導師の喉元を狙う。 刺された痛と焼かれる熱に苦しむメイジに恐れているお隣のメイジに別の投げナイフ、心臓に刺さって即死。 二人を殲滅。

 

接近戦を行わず様子を見ていた兵にウインドの魔法で攻撃。 いつかのクロニエのように腕が宙に切り飛ばされて敵さんが悲鳴を上げる。 そのうちに力尽きた弓兵の弓を拾い上げて即座に隣のやつを射撃。 腕を抑えて逃げようとした奴にも射撃。 二人を殲滅。

 

接近して来た一人目の敵はCQCをお見舞い。 単調な攻撃を捌いて地面に叩きつける。 溝に強烈な一撃を食らわせてから武器を奪い取り、迫って来た剣士へ雑に投げて牽制。 敵が投擲から避ける方向に投げナイフを一本飛ばし、刺さって怯んだ隙にコンバットナイフで切り裂く。 二人を殲滅。

 

次に後方のペガサスナイトが槍を構えて強襲。 先程コンバットナイフに切り裂かれて怯んでいた剣士を掴んで引き寄せ、ソイツを盾にするとペガサスナイトの槍の一撃が盾となった剣士の腹に突き刺さる。 驚いて手を止めたペガサスナイトに投げナイフで攻撃。 頭に刺さって即死したところで、槍に刺さって苦しみもがく剣士の背中を強く蹴り抜き、更にその槍を胴体にめり込ませ、脊髄にコンバットナイフを振り下ろして複雑に斬り砕く。 鳴ってはならない骨の音と共に剣士は吐血して死亡。 二人を殲滅。

 

地面にファイアーを落として爆煙が舞う。 ファイアーの余熱とライブを使ったライブラリーの魔法にて敵の大まかな位置を把握。 こちらを見失った残りのペガサスナイトに矢を放ち一人は直撃。 もう一人は回避すると天馬から飛び降り、真上から槍で切り払ってきたので大きく後退。 投げナイフを回収してまたそれを投げて牽制するとペガサスナイトは死体を踏んづけてヨタついたところにCQC。

 

___この手が真っ赤に燃える。

 

ライブラリーの余熱(ファイアー)にさらにファイアーを重ね掛けすることで火力を増大させた『エルファイアー』の魔法が腕に纏う。 ペガサスナイトの額を鷲掴みヒートエンド。 爆発と共に頭だけが弾け飛んだ。 頭の無い体が地面に倒れこみ沈黙。 二人を殲滅。

 

 

この周辺の全ての敵がいなくなった。

 

 

 

 

「……終わったな。 マンディ、とっととずらかるぞ」

 

「ひ、ひひーん…」

 

 

 

マンディがファイアーを放った手を見て少し驚く。 俺の手ごと爆発したから心配してくれているようだ。 でも無事であることを知らせるかのようにマンディの顔の前でグーパーして手を動かす。

 

 

「ちゃんとマジックシールドで保護してたし、手は熱で(あつ)くしてたからな」

 

「ぶるる?」

 

「ダークメイジが得意とする物理的なバリアだがあるだろ? あれの真似だよ。 熱は遮断を働き、闇は抗力を持つ。 似ているこの関係を利用したんだ。 結果としてマジックシールドに熱を加えて物理的にも防げるよう強化した仕組みさ。 これで構ってちゃん(イエリッツァ)の斬撃を白刃どりしたんだぞ?…って、マンディはアイツの事は知らないよな」

 

 

ちなみにこの応用でフレンとの『ライブラリー』を開発した。 あとこれは余談だが、フレンと試行錯誤してるうちにセスリーンの力を得すぎてこう言うのが得意になってしまったんだよな。 だって背中からフレンのリザーブを流し込まれてんぞ? その度にセスリーンの大紋章が発動されてはセスリーンの源を直に体が受けてしまっている。 マジックシールドとウインドの魔法もフレンの影響で覚えだ訳だ。

 

そんな事なので、俺の魔法はセスリーンの力が影響して魔法関係が器用になってしまった。 マジックシールドであれこれできるのも信仰の魔法を得意とするセスリーンの影響化の元なんだろう。 しかしフレンの性格とセスリーンの素性なのか、過激的に強力な魔法は使えずボルガノンとかシェイバーなど中級や上級のモノは覚えれなかった。 だからこその『エル』ファイアーだ。 下級の魔法しか使えないなら"下級魔法のまま威力を上げて"放てば良い話じゃん。 はい解決。

 

 

 

「……あれ? なんだあのドラゴンナイト…? もしや、新手………え? はぁ!?」

 

 

 

見たことあるひとだ。

 

それは…

 

 

 

「セテっさん!? あと春のアウトドアセスリーンも一緒か!?」

 

 

 

ペガサスに乗ったフレンをたしかに視認。 またイングリットの後ろに乗ったベレスも発見。 なんなら正規兵である"セイロス天馬兵団"と"キッホル竜騎兵団"がこちらに飛んでくる。

 

なんだよあのガチ編成、一体なにが……

 

 

 

「ああー、はいはい、わかった、西方教会か…」

 

 

 

そういや一瞬忘れてたけど俺って西方教会と争ったんだったな。 しかしそうか。 考えてみれば西方教会が設備したんだろうバリスタとペガサスナイトの編成はこの付近の防衛が目的か。 主に上空から対処するためだろう。 ここって山が多いし、飛んでくることを想定で練り上げられた防衛線か。 賢いけれど防衛のための人員がお粗末なのは純粋に人手不足だな。 だったら下手に反発してないです長いものに巻かれてろよ。 アケロンを見習え。

 

とりあえず俺の知らないなにかの一環に突っ込んだ訳だな。 そうなると西方教会は何を? それを知る権利はあるだろう。 俺はとりあえず手を振って存在を知らせる。

 

するとセテっさんから大変驚かれた。ミルディン大橋の方から向かうとか思われたのかな? 残念ならがら味付け変えてロディ海岸の方から向かおうと思った。 そしたらロディ海岸を西方教会が勝手に支配してたのでセイロス聖協会は討伐に向かうことになったらしい。

 

それでフレンがわがまま言って参加、ベレスがフレンの先生として参加して、天馬に乗れるイングリットも参加した流れらしい。

 

それから俺の現状を報告。 すると大変感謝された。 俺がバリスタを制圧したことで行軍中に被害が起きなかったらしい。 なるほど。 バリスタの存在で飛行ユニットが消し飛ばされる恐れがあったな。 じゃあ俺ってファインプレーだったのか。

 

 

 

「ここまできたのならそのまま手伝いがやれですわ!」

 

 

「はいはい。 俺もひと齧りしてしまったから付き合うよ。 困ってるようだし」

 

 

「決まりですわ! 持つべき友はモノですわ!」

 

 

「逆だろ! 俺をモノ扱いしてんじゃねぇよ!」

 

 

 

若干ご機嫌になったフレンに苦笑いしながら、ベレスとまたすぐに再会を果たす。

 

 

 

「また会えたねユーク。 でもなんだが懐かしい感覚だ」

 

 

「ああ、数年前もこんなんだったな。 旅団とジェラルト傭兵団が別れてもすぐに出会ったりとしたっけか? 懐かしい。 この年になって同じことに巡り合わされるとかフォドラの暁風はイタズラ好きとしか思えない」

 

 

「ふふ、そうだね…ユーク先生」

 

 

「先生呼ばわりとかあの頃のリスペクトか?」

 

 

「うん。 反復練習が大事なのと同じ」

 

 

「いや、これは反復しなくていいから」

 

 

 

ちなみに格闘は得意になっていたこの娘。

 

剣が無くなっても拳で戦えるとか早々負けなさそうだな。

 

 

 

「力を貸してくれるな?」

 

 

「それは貸せって意味だろセテス? でも良いよ。 俺も西方教会に刃を向けた。 今回は手伝うさ」

 

 

「そうか! それは助かる! よし、ユークがいるなら百人力だな! 皆聞け! このままロディ海岸に進軍する! 早々に殲滅して西方教会から取り返すぞ!!」

 

 

「「「「おおおーー!!!」」」」

 

 

 

俺のせいで士気が高くなった。

 

お世話係やめてんだからあんま持ちあげんな。

 

いや、お世話係だとしても持ちあげんな。

 

俺はひっそりと裏方で支える作業が好きなの!

 

 

 

「ややこしい事になってしまった、まったく……」

 

 

「なんか、その…ご愁傷様…でしょうか?」

 

 

「その言葉、心に染みるよイングリット」

 

 

「その、本当にご苦労様です……はい」

 

 

 

 

 

この後、無茶苦茶殲滅した。

 

 

 

つづく






《ヒート!エンドォ!!》

モビルスーツ(ファイター)から降りても強い主人公の決め台詞。
敵の頭を鷲掴みして、ファイアーをゼロ距離で放ち、首から上が弾け飛ぶヤベー技。 脳みそリザイアは内側から破壊なら、ゼロ距離ファイアーは外側から破壊する。 ちなみに闇バリア理論を活かして手を保護している。 原理としては【闇】は【(ファイア)】に強いさんすくみ理論のつもりで完成させたらしい。
魔法苦手どころか得意疑惑のユークリッドに今日もフォドラの暁風はいつもどおり気まぐれに。


ではまた
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