飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第25話

帝国歴1181年

 

 

 

衝撃的な出会いと言うのは記憶に残りやすく、その日は何があり、いつの日だったのかを覚えてるものだ。

 

つまりそれは、あの日から何日"経った"のかも大まかに把握出来るものであり、その日からの目安として役に立つ。

 

……で、何が言いたいかと言うとだな。

 

 

 

「俺、何やってんだろう…」

 

「ひひーん?」

 

 

 

地べたの上でリラックスするマンディの体を背もたれにして、やや高い崖から呑気に釣り糸を垂らしている俺氏。 雲の流れを眺めながら、父と出会ったあの日の事を思い出し、そして今日この日まで経過した日数を計算する。

 

 

 

「2週間か…」

 

 

 

既にそれだけ経過していることを再確認した。

 

 

 

「平和を噛み締めてるのは良いんだけど、ここずっと釣り三昧って大丈夫なんかな…」

 

「ぶるる…」

 

「ああ、そうだな。 俺たちの"団長"から指示が出るまで何もできないからな。 てか団長ってどこまで人脈広いんだよ。 まさかブリギット諸島にまで人脈があるとか予想付かなかったし。 なんなら異国の言葉も多少なり喋れるし、高スペックすぎる」

 

 

 

俺たちの希望の花である団長は見つかった。 いや、父が居場所を知ってたので俺はそれについて行ったようなもんだ。

 

 

さて、ひとまずここで現状整理だ。

 

 

まず俺はガルグ=マクから再び帝国領に向かい、そしてヌーヴェル領で父と出会った。 最初は互いに素性が知れなかったから敵同士として武器屋の中で衝突したが、最終的には父と子であることを知って再会を果たす。 一瞬泣きそうになるところを堪えたが父に「大きくなったな」と撫でられて涙腺が半分ほど崩れる。 少し流れた涙と夜風が冷たかったけど父の手のひらはとても暖かった。 因みに盗賊が狙って来ていたが、それは道中で父をターゲットにして追いかけて来た賊達だった。 俺と出会う前に父が何人か打ちのめしたが残党を取り逃がしていた。 そこで俺との交戦中に隙をついて仕掛けて来た…が、しかし、親子に返り討ちにされて絶命する。 哀れ。

 

 

それから父はどこからか頂いた馬に乗り、マンディに乗った俺を連れてヌーヴェル領の港へ向かった。 父が目指す先はフォドラの外にある"ブリギット諸島"であり、その島まで船で海を渡る経路を作っていた。 それから数日程ヌーヴェル領の海沿いに存在する港近くまで"とある人"を待ちながら、これまでの出来事などを情報交換しつつ、数年ぶりに父との時間を細やかに過ごす。

 

そして父が待つ"とある人"とは驚くことに俺たち旅団を率いる【団長】のことだった。 異国の格好をしてたから一瞬誰なのかわからなかったがチャームポイントの前髪を見て俺は団長に叫ぶ。 俺の存在に驚きつつ歩み寄った団長は俺を力強く抱きしめて再会を大いに喜んだ。 俺も団長を抱きしめ返し再会に涙流しながら喜ぶ。 泣きすぎだと父や仲間にからかわれながらも俺は「ただいま」と告げて「おかえり」と団長から言葉をもらった。

 

その後、団長とも情報交換。 同盟領で仲間を集わせ、その後ガルグ=マクにいることを伝える。 この働きに賞賛を受けたが、やや渋い顔をする団長。 しかしその理由は知っていた。 俺は帝国の穏やかじゃない話を投げると団長も「理解してるようだな」ときな臭さに険しい顔をしながら帝国の方を眺めていた。

 

団長も帝国が何か起こすことを予感している。 もし帝国が他の領土に侵略を考えていてガルグ=マクにも被害が出るならば、早々に仲間達を集わせて安全なところに逃げようとプランを立てる。 俺と入れ替わる形でブリギット諸島にいた他の仲間がそのままガルグ=マクに向かった。 向かうのは俺じゃなくて良いのか?と言うと「お前は【母】に会って親孝行しろ」と父に言われる。

 

そう、俺の母親は王国領の"フラルダリウス"に居ると父から教えられた。 どうやら数年前に父と母は王国領に向かったようだ。 なぜフラルダリウスに落ち着いたのかは、俺がベルナデッタの手を引いて逃げた同時刻から話が始まる。

 

 

まず父も母も途中までは旅団と同行していた。 旅団はバラバラになりながらもそれぞれ死者を出すことなくヴァーリ伯の兵達を振り切りる。

 

しかしそこで団長とも逸れてしまった。

 

団長抜きの旅団はオグマ山脈の南側を乗り越え、辿り着いたヘヴリング領で旅団の解散を宣言する……表向きとして。 しかし悠長に帝国領内で足踏みもしておられず父と母は王国領に向かうことを提案。 半分以上が賛成する中、団長の捜索を希望する者達もいた。 ヘヴリング領で二手に別れ、父と母はガスパール領に向けて進路を取る。 アリアンロッドを横切り、タルティーン平原を抜け、そして辿り着いたのは王都フェルディアの近くに領地を広げる"フラルダリウス"だった。

 

なぜフラルダリウスかと言うと、これが驚くことに傭兵業を続けながらフォドラにやって来た昔の父は一時期、あの"ファーガスの盾"から直々に依頼を受ける"伝説の傭兵"だったと明かされる。 帝国で母と会うまではその腕を買われていたんだとさ。 これに関しては俺も知らなかったがマジでスゲェなオイ? そんな訳で父は王国領のフラルダリウスには詳しく、ちょっとした人脈も持っているため逃げ延び、ほとぼりが冷めるまでそこに落ち着くことを決めた。

 

いずれまた帝国領に赴き(おもむき)、俺や逸れた仲間を探そうと考えていたらしい。 そして1年が経過した頃、団長の捜索に出た仲間がフラルダリウスまでやって来た。 誰一人欠けることなく再び合流する。 そして団長を見つけたようであり、ブリギット諸島に存命しているとの報告を受ける。

 

ここでまた話し合い。 団長達とブリギット諸島での合流か、王国領での合流かを決め損ねているが、また帝国領に入ることを嫌がる者たちも多く、突発的に動けなかった……事を理解している団長はフラルダリウスで滞在を命じた。 何より帝国で嫌な噂も聞いており、数年は帝国領での活動を禁じた。 更にここで追い討ちが入る。 ダスカーの事件が関わって安易に動けなかった。 入国時は何とかなりつつも、ダスカー人の取り締まりも厳しく、目立つ動きは旅団を苦しめることになるので下手に移動は出来なかった。

 

だが、団長の指示は滞在だけでは終わらず、もう一つ細かな指示が入っていた。

 

1180年の3月1日にヌーヴェル領にある港まで誰か一人だけでも寄越す事を。 そこで詳しい話を行い、今後の旅団の予定を決める。 ただしヌーヴェル領はまだ辛うじて息のある港を除き、他は無法地帯でとても危険であるため、その覚悟のあるやつを必ず一人決める事を言い渡された。

 

 

なるほどね。

 

厄介者の追手を撒くには危険な薔薇の中か…

 

その薔薇の中にこそ厄介者は居るが、凌ぐにはヌーヴェル領は最適だったらしい。

 

しかしこの難題に仲間は頭を悩ましていたが、父の中では既に決まっていたらしい…

 

 

それからまた一年後。

 

父達にとって朗報があった。

 

ガルグ=マクでとある演劇団の話が届く。

 

 

 

___赤い星の王様になった鉄のネズミ達の物語。

 

 

 

この話を聞いてそれが何かすぐにわかったらしい。

 

なんせこの脚本、俺が書いたやつだから。

 

それはみんな知っていた。

 

これは数年前にヴァーリ伯の領から出る最後の演劇で公演予定されてたものだから。

 

この話は逸れた仲間達に無事を知らせ、元気にガルグ=マクで演劇を開いてると、大いに安心させれる生存報告の一つになっていた。

 

だがその同時刻。

 

父は一人、フラルダリウスを出てブリギット諸島に向かう事を決めていた。 妻を残し、父は昔の装備を纏って再び帝国領内に入る。 数年経ったにしろ旅団は帝国で今どのような扱いなのかわからないため、一人目立たないように向かう事を決めた。 その時に馬を一頭貰い受け、父は帝国領に入った。 アランデル領を横切り、ブリナック台地を抜け、ヌーヴェル領に。

 

 

そして、俺と出会った。

 

 

団長に招かれ、父と共にブリギット諸島へ。

 

 

そして、2週間が経過した。

 

 

 

「あかん、ブリギットの言葉わからなくて俺一人孤立してるし。 ペトラとかいたら助かるのにな」

 

 

 

別に一言も喋れないわけではないが会話になるとまず無理だ。 身振り手振りでなんとか伝え、近くに団長がいたら助けを求める。 てか団長って本当は『ダグザ人』なんだよな? ブリギットの言葉も使えるとか本当に何者だよ。 フォドラもどんだけ長く旅してたんだろう。

 

ちなみにここまでやって来た俺の頑張りは団長を通してブリギットの人たちに讃えられ、左の頬には家族愛を祝福する精霊の印が塗られた。 ちなみに団長にも似たような精霊の印が塗られており、これのお陰で俺は団長の風下に入って安全が確保されてることになる。 つまり歓迎されてることだ。

 

さて、それはともかくなぜ2週間もここに滞在して居るのか?

 

それは時期を測って居るからだ。

 

団長はフォドラから出るため、ブリギット諸島からダグザの地方に向かう事を計画していた。 元々あと数年したらフォドラの外に向けて出る予定だったみたいで、ヴァーリ伯の野郎のせいでゴタゴタしながらも予定より早く出る事を決めたらしい。 それを後押しするかのように帝国の怪しい噂が旅団の安全性を奪いそうになる。 それなら動けるうちにフォドラを出よう。 とても単純な考えだ。

 

そのため父はフラルダリウスに滞在して居るメンバーや家族や子供達の人数、または妊婦など身体に何か患う者の細かな情報を求め、それに見合って出せる船などを計算していた。 団長マジ団長。

 

そして合流場所は二箇所。

 

帝国領に入らぬようにするためまず"ロディ海岸"が一つ。 次に"王都フェルディア"だ。 しかし王都の港など借りれる訳ないだろ…って不安もあるがファーガスの盾の支援の下なら可能だろう団長は言う。 父がロドリグに貸しを作ってるらしい。

 

マジで何者だよ俺の親父は…

 

何なら今は亡きジェラルトも昔からレアさんと面識ありとか俺の知ってる傭兵のパパ達が規格外について。

 

しかしその規格外な伝手を持っていたとしても、王都フェルディアで他国の船が停泊を受け入れてくれないのなら消去法でロディ海岸になる。 ただ近くにある西方教会が何かと面倒であることに頭を悩ます団長だったが、俺が道中でセイロス教と成り行きで叩きのめした事を伝えるよ「よくやった!」と肩を思いっきり叩かれて痛かった。

 

今のロディ海岸は西方教会を追い出したセイロス教の管理下にある。 西方教会よりはまだ安全な組織であることは俺がよく知っているし、俺がセイロス聖教会に所属していた証などはまだ持っている。 なんなら証明書などを登録して発行してくれたセテっさん直々にキッホルの紋章入りのサインも付けてくれている。 大いに利用できる。 ちょっとした権利の横暴だが家族や仲間のためだ。 大修道院で3年間頑張って来たんだから今回くらいは許してくれていいだろうと正当化しておく。 そんな感じに俺も何気なく大きな後ろ盾を持っていた訳で、迎えに行くための安全性が確保はされていた。

 

 

 

そうなると…

 

 

 

「団長、次はどうしたらいい? あと何人殺せばそこにたどり着く?」

 

 

「おいおい、随分と穏やかじゃねぇな? だが、今後の予定としてそれ関係に手を付けてもらうのは確かだな」

 

 

「……はい?」

 

 

「これから仲間を迎えに行くにも海路を確保しなければならねぇ。 船はブリギットから出してくれるが、ブリギット諸島から北に離れた海域に『海賊』の一味がいるらしくてな、そいつらを討伐する必要がある」

 

 

「また面倒な…」

 

 

「だがそれで船出してくれるなら安いものだ」

 

 

「まぁ…海賊討伐が仲間の為になるなら俺は全然やれるけど、俺たちだけでやるの?」

 

 

「いや、ブリギット諸島から海賊の討伐部隊が出る」

 

 

「え? そうなの?……いや、それって俺たちのためって訳では無いよな?」

 

 

「それは無いな。 しかし利害一致と言うべきか、海賊が邪魔なのはブリギット側も同じだ。 だから船は出してやるので協力して欲しい流れになった」

 

 

「ああ、そう言うこと。 もしかして団長ってこの3年近く交渉してたのか? ここまで協力体制が築けるように」

 

 

「いや、別に? お前の親父が来てから決めた」

 

 

「……はい?」

 

 

「オレはあくまでブリギット諸島に仲間を集めてからどこに向かうかの事を考えていただけで、ブリギット諸島まで集めることに関しては正直手詰まり感は出ていた。 しかしここ数年の情報と、お前ら親子が集ったお陰でやる事は決まった。 そのタイミングで海賊討伐の話が出た感じだ」

 

 

「うーん、海賊討伐の手伝いがフォドラまで船を出してくれることになるなんて吊り合いが取れるとは思えない。 ブリギットからしてそれは安く無いのか?」

 

 

「フォドラの価値観からすると破格的だな。 だが、そこはオレ関係の話でどうにかした」

 

 

「……過去に何かやったの?」

 

 

「やったと言うか、やってあげたってのが正しいな。 まぁ細かいことは気にすんな! 旅してると色々あるんだよ」

 

 

「あ、はい」

 

 

 

この団長は一体どんだけ人脈持っているのだろう? それが気になって仕方ないが、やる事は全て定まった。 その一つとしてまず海賊退治だ。

 

 

 

「正直に言えば、ブリギットは海賊討伐に強制参加を告げてる訳じゃねぇ。 しかしその"誠意"を見せるってのはとても大事なことだ。 それが一人、二人出すことでも大いに意味がある。 でだ、お前ら親子がせっかく集ったところ悪いが…」

 

 

「いや、構わない。 全部仲間の為だ。 それに海賊なんて下郎は俺と親父の相手じゃ無い。 とっとと終わらせてまたみんなで釜の飯を囲おうぜ団長」

 

 

「おう! 頼りになるな! しかし、よく知ってるなそんな言葉? フォドラにそんな言葉あったか?」

 

 

「!…まぁ、旅してりゃ色々あるんだよ」

 

 

「そうか」

 

 

 

さて話は決まった。

 

ブリギット諸島の北に彷徨く海賊を倒せばブリギットはフォドラまで船を出してくれる。

 

それは海路確保のためでもあり、それは仲間の為に繋がる。 ならやらない理由は無い。 団長がここまで話を繋げてくれたんだ。 なら俺もそこに応えて動かなければならない。

 

 

 

「それで、いつ動くんだ?」

 

 

「いつでも……と、言いたいところだが、ブリギット側にはあと一人待つ必要がある人物がいる」

 

 

「あと一人?」

 

 

「ここの重要人物と言ったところだな」

 

 

 

団長と港を歩き、目指す先に一隻の船が止まっていた。

 

すると船橋がかけられ、とある人物が船から姿を現わす。

 

 

 

「っと、来たらしいな、ここのお姫様が」

 

「ふーん……え!? お姫様!?」

 

 

 

ブリギットの姫?

 

いや、待て、それって……

 

 

 

「久しぶりのブリギット来ました! 着く、着いたです!」

 

 

 

そこにはとある学級の有名人。

 

自然の空気を得て元気に手を広げる女の子。

 

それはガルグ=マク大修道院で学ぶ為に異国からやってきた最年少の生徒。

 

そう、その子とは…

 

 

 

「!? わたし、あなた覚えてます。 信仰を使う、屈強見合わない素敵な力、持てる強い人、わたしとても印象深い、知ってます!」

 

 

「俺のことまだそんな覚え方してたんか…」

 

 

「あなた、ガルグ=マクで最強の人、ユークリッドです。 わたしは聞く、ユークリッド、間違いないですか?」

 

 

「間違いないぞ……ペトラ」

 

 

「良かったです! わたしまたあなた会えて嬉しいです! 精霊の導き、出会い、感謝します! あなたの頬にある印、家族愛の祝福! やはりあなた、不思議強い、兼ね備える人」

 

 

 

いつまでもカタコトだがどうやら俺ってこのお姫様に高く評価されてるらしい。 家族愛の祝福の印が決め手となって好感高いようだ。

 

 

 

「…知り合いか?」

 

「士官学校でな」

 

「なるほど」

 

「世間って狭いなぁ……」

 

 

 

 

どうやらこの島のお姫様を加えて海賊退治らしい。

 

 

 

つづく





ペトラの口調難しい。
日本人でも日本難しいのに難しく日本書くことが難しいとか何言ったらいいのかもうこれわかんねぇな。


《ペトラ》
ユークリッドと接点はあまりないが、ベルナデッタとは会話する程度には仲が良く、互いに好き合っている事を羨ましがっている。 屈強そうな戦士なのにライブや魔法を使える巧みさに驚いたりと、ユークリッドには何気に興味あり。 フレンの次にユークリッドの悪影響を受けそうだったキャラの一人。

ではまた
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