飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第27話

帝国歴1181年

 

 

 

「すみません、まさか休暇とは思わなくて…」

 

 

「いやいや、お気になさらず。 しかし訪問者がまさかあの伝説の傭兵の息子だとは、時の流れは早いものだな」

 

 

「やはり父さんとは付き合いがあって?」

 

 

「ええ、まだ私がファーガスの盾として名を受け継いだ頃でした。 領地問題など多難してたところにとある傭兵が現れましてね。 それで猫の手も借りたいくらいに追い込まれていた故にその傭兵から力を借りたのだが、その傭兵ってのが己を"蛇"と騙る(語る)君の父【ソテル・ラライヤ】だ。 しかし王国の騎士では無く、フォドラの外からやっていた素性知らぬ異国の傭兵だっため周りから反感を買ったりと大変だったな。 だがソテルは私の頼み事を全て成し遂げ、無理難題と言える依頼すら全し、王国が抱える数々の問題の解決に繋げてくれた。 君の父は本当に凄い存在で、いつしか『伝説の傭兵』と言われるようになったのは有名だ」

 

 

「それは…たしかに伝説ですね…」

 

 

「ああ、本当に凄い人だった。 まだ未熟だった私は彼に凡ゆる仕事を受けてもらった。 そして私も今の地位に慣れ、色々と落ち着いた頃を境にソルテ・ラライヤは突然傭兵業から手を引いた。 愛する者と平和を生きる事を選ぶと言って去っていった。 それがもう25年程前の話。 いつの間にか私も倅を持つ年齢になってました」

 

 

「そうですか。 あ、ところで倅ってのはもしやフェリクスの事ですか?」

 

 

「なぬ!? ユークリッド殿は存じておられるのですか?」

 

 

「はい。 自分、短い期間ですがガルグ=マク大修道院に居まして、そこでフェリクスやディミトリなど王国から来られた者たちとは面識があります。 皆、元気でしたよ」

 

 

「そうか、あのバカ息子を知っておられたか。 いやはや、お恥ずかしい。愚息が世話になりました」

 

 

「いえいえ。 ただ授業を抜け出して訓練所に来たところを張り倒して、教室に縛り付けただけですから」

 

 

「おお!良くやって頂いた。 その手腕に感謝する。 そして本当にお恥ずかしい限りだ。 お手を煩わせて申し訳ない」

 

 

「いいじゃないですか? そのくらいやんちゃしてくれた方が頼もしい限りです。 彼はそれに見合った強さを持っているのは確かですから」

 

 

「腕だけは確かなのですが、まだまだな愚息でして…」

 

 

 

そう言って出されたお茶をいただく。

 

これは"東方の着香茶"かな? 美味しい。

 

フェリクスも好んでたからロドリグさんの遺伝なのは確かだな。 面影もどこか似ているし、多分ロドリグさんもやんちゃしてたんだと予想する。

 

 

 

「さて、本題なんですが、フラルダリウスまでロドリグさんに会いに来た理由が一つありまして……まずこれを」

 

 

「手紙?」

 

 

「はい。 父ソルテ・ラライヤからです」

 

 

「なんと! その手紙、少し失礼……」

 

 

 

手紙を開き、しばらく目を通すロドリグさん。 その間に俺は今座っている屋敷の中をぐるりと見渡す。 高価な飾り物、そして武器も飾られている。 武術に長けている事が理解できる程度に客間も豪華で、この領地の権力者を象徴するような部屋だ。 それはつまり、俺はちゃんとファーガスの盾から客として招かれている証拠だな。

 

だからこそ休日に申し訳ない事をしたものだ。

 

 

 

「ふむ、とても簡潔な文書であるが、話は充分に分かった」

 

 

「はい。 自分からも説明しますと恐らく手紙の通りです。 一時的に王都フェルディアの港を借りて旅団の仲間を無事に乗船させたい。 しかし異国の船ゆえに危険度が高く周りから警戒されてしまい、そこから問題に発展してしまうのは大変好ましくない。 だがロドリグさんの___」

 

 

「了解した」

 

 

「!!」

 

 

「力になろう。 ……こんな手紙をソルテ・ラライヤから送られてはな」

 

 

「あー、ちなみに自分は読んでいないのですがどんな手紙を?」

 

 

「あの人らしく、かなり横暴な手紙をだな」

 

 

「あー、ええと、父がすいません」

 

 

「気にしなくて大丈夫だユークリッド殿。 この程度で恩を返せるのなら安いものだ。 それならすぐ港に停泊できるよう手配しよう。 少し時間を頂くが、異国からの船も受け入れれるように段取り等をわたしから設けておく」

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

「礼は不要だユークリッド殿。 君自身にも倅が世話になったところだからな。 あの伝説の傭兵の恩も、そしてその息子である君の奔走にも、私は大いに支援しよう」

 

 

 

そう言ってロドリグは立ち上がり、近くまで寄ると俺の肩を叩く。

 

 

 

「……ここまで、よく頑張ったな、ユークリッド殿」

 

 

「っ!! いえ…おれは……ただ…っ、あ、ありがとう…ございます、ロドリグさん」

 

 

 

この件で俺は少し涙もろいことが少しわかった。 でも純粋に「頑張った」と言ってくれ本当に嬉しかった。 ああ、そうとも…ここまで数年間、本当に頑張ってきたんだ。 ガルグ=マクに逃げて、3年間お世話係として尽くして、マンディに出会い、同盟領で親友(ホルスト)の傭兵をやって、仲間を集めながら過去の後悔(ベルナデッタ)とも出逢い、外界のブリギッドまで行き、そして今フラルダリウスまでやってきた。

 

…長かった。

 

 

 

「あ、ロドリグさん。 ええと、異国のブリギッドからここ王国領までの入国許可証は自分がブリギッドまで届け…」

 

 

「いや、私からブリギットまで天馬騎士を出しておこう」

 

 

「え!? いや!? そんな! 流石にそこまでは!!」

 

 

「ユークリッド殿、君は少し休むべきだ」

 

 

「!」

 

 

「ここフラルダリウスにユークリッド殿の母がいるのだろう? なら会って、そこで少しばかり落ち着く事が良いと思う。 差し出がましいと思うが、母と時間を作るのは君と母にとって大事な物だと思う」

 

 

「!……はい。 そうですね。 ならお言葉に甘えで親孝行してきます」

 

 

「はっはっは! あの倅にも聞かせたい言葉だ!」

 

 

 

実のところに入国の許可と、停泊の許可だけ頂けたらとまったくもって万々歳と思っていたが、まさかここまでやってくれるとは全く思わなかった。 ファーガスの盾はそれほどに権力を備えたいるのだろう。

 

 

こうして話は決まった。

 

俺は何度もファーガスの盾ロドリグにお礼を言いながらお屋敷を後にして、ロドリグさんから教えてもらった母達の居場所に向けてマンディを飛ばす。

 

フォドラは全体的に春とはいえ北の大陸だから冷たい風が頬を撫でる。 しかし母に、懐かしの仲間に会える楽しみは心臓を早め、寒さをあまり感じさせない。

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

「なんだ、あの天馬は?」

「だれかコッチに来るぞ?」

「いや、乗ってるのは男!?」

「どういう事だ?」

 

 

 

 

フラルダリウスまで逃げ延びた仲間から注目が集まる。

 

 

しかし俺の顔を見るなりそれぞれ驚きを示した。

 

 

だが、それよりも、先に、会いたい人がいる。

 

 

 

「!!」

 

 

 

居た。

 

見つけた!

 

 

間違いない。

 

今も覚えてる後ろだ!

 

 

 

 

「母さん!!」

 

 

「!?」

 

 

 

まだ陸から高い位置だがマンディから飛び降り、マンディの驚き声を切り分けて母を呼ぶ。

 

 

 

「ユ、ユークリッド…なの?」

 

 

「母さん! 母さん! 俺だ!ユークリッド・ラライヤだよ!」

 

 

「そ、そんな…ああ……!!」

 

 

「あいたかった! ずっと! 母さんにあいたかった! やっと、母さんにも、会えた!」

 

 

「ユークリッド! ユークリッド…っ!」

 

 

 

 

懐かしい、母の香り。

 

 

俺は母を強く抱きしめ、母に強く抱きしめられる。

 

 

苦しかったこの数年間は母に出会えて、それはやっと終わった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国歴1176の夏終から。

 

今日この日、帝国歴1181の春始までの働き。

 

団長と仲間、そして肉親である父親と母親。

 

約5年と数ヶ月越しの再会を果たす。

 

 

おおよその日数計算では約1975日…

 

 

実に2000日近い時間を掛けた仲間集めの旅だった。

 

 

 

 

ああ…………

 

 

本当に…

 

 

ここまで長かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠征して居たアッシュが帰ってきてから今月の課題である女神降臨の儀式が執り行われる。

 

私と生徒たち、そして大司教レア様までもが聖墓まで赴き、課題が始められる。

 

 

「さぁ、その玉座に…」

 

 

私は言われるがまま玉座まで歩む。

 

 

「…」

 

 

見たことあるその玉座に私は思い出す。

 

未だに眠って目を覚まさないソティスの事。

 

まるでもう居ないかのように感じる静かさ。

 

不意に彼女を思い出して歩みが止まる。

 

 

「どうしたのです?」

 

 

歩みを止めていた私に向けてレア様から声をかけられる。 私は「いえ」と返してまた歩き出す。

 

 

ソティスは………まぁ、大丈夫だろう。

 

本人が聞いたらこの扱いに怒るだろうが。

 

 

しかしやかましいあの声が聞こえないだけで、時折「むにゃむにゃ」と寝言が聞こえるから存在が消えたなど思ってはいない。 たしかに少し心配はするが、ユークリッドからは「力の使い過ぎで寝ているだけでは?」と言葉を貰っている。 実際にそうなのかは分からないが、でもそれが不思議と安心感に繋がっていた。

 

いつかまた口やかましい彼女との日々が来ることを多少なり願って、彼女の心配ごとは片隅に追いやりながら玉座に腰掛けようとした……瞬間だ。

 

 

 

「そこまでだ」

 

 

 

___炎帝。

 

どこからか現れたのか、儀式に姿をあらわす。

 

私は即座に玉座から離れ、天帝の剣を引き抜きながら生徒達の前に躍り出る。

 

 

「ゲハハハ!」

 

 

傭兵も呼んでいた炎帝は、この聖墓にあるモノを奪おうとしていた。 一体何に使う気だろうか? 絶対良くないことだろう。 始まったばかりの儀式は中断され、青獅子の生徒達と共に炎帝達と戦闘が繰り広げられる。

 

 

だが私が育てた生徒達は強く、炎帝を追い込んだ。

 

 

 

しかし…

 

 

出会いは残酷で、驚愕を生む。

 

 

ひとりの生徒の顔が酷く歪む。

 

 

まるで待ち望んだいたかのように。

 

 

 

「は、はは…ふははは…あっはっはっは!! こんな事があるのかぁ!? あっはっは! まさか、お前が…! そうだったのかァ…!!」

 

 

 

これまでに程見たことない増悪に染まったディミトリの表情に私は背筋が凍る。

 

一体何が彼をそこまで?

 

 

 

そして炎帝…

 

いや、エーデルガルトを取り逃がしてしまう。

 

 

儀式は中断され、半刻が経過する。

 

緊急事態が起こった。

 

 

なんと帝国がガルグ=マクに宣戦布告を行った。

 

 

「なんということだ…」

 

「セテス、すぐに軍を整えなさい」

 

 

エーデルガルトは何故こんなことを起こしたのだろうか?

 

ただわかるのは、普通の生徒としての生活は飾りであり、彼女はずっとこの日まで戦争の準備をしていたのだろう。

 

 

「……」

 

 

今日この日から、乱世フォドラの始まりであり、長きに渡ってフォドラの大地を赤く染め続ける戦争が人々を悲しませる。

 

 

その惨さをまだ私は知らない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母と再開して半刻が経過。

 

これまでの事、そしてこれからのことを話し、団長や父に出会った事も話した。

 

そして「逞しくなったね」と頭を撫でられてこそばゆい気持ちだっだが、嫌じゃなかった。

 

それから皆に質問責めを受け、色々と答えてやって数時間が経過して、やっと解放された。

 

マンディも子供達から珍しがられたりと揉みくちゃにされていた。 マンディは大人しくしていたので怖くない天馬として既に子供達の人気者だ。

 

武具を置いて解放的に手を広げて息を吸う。

 

冷たい空気だけど、澄んだ冷たさだ。

 

 

 

 

「やっほ」

 

 

「ぇ? …あ、うん。 や、やっほ?」

 

 

 

気持ちよく深呼吸をしていると横から一人の女性が声をかけてくる。 なんとか返事をしてよく観察する。 見たところベルナデッタとそう変わらない年齢に見える。 あと褐色の肌で、髪の色は薄い赤色と少し目立つ子だ。 しかしラフな格好で眠そうな表情をしていて、それがいい感じに存在感を薄めている。

 

 

 

「旅団の中で見たことない子だな。 新参か?」

 

 

「んー? わたし? まぁ、そんなところかな。 それで君はソルテさんが話していた自慢の子?」

 

 

「そうだよ」

 

 

「わお、自慢のあたり否定しないんだ」

 

 

「冗談に決まってるだろ。 それで君は誰さ?」

 

 

「んー? そうだね、わたしはね」

 

 

 

話を聞く限りだとその子はどうやら2年前に旅団へ加入した新参者らしい。

 

しかしその子は訳アリの体質を持っているらしく、それは人から怖がれる対象となるらしい。

 

だがここの旅団はその程度を怯えず、むしろ彼女を招いたらしい。

 

 

 

「なるほど。 そう言う事があって旅団の中にいる訳なんだね。 いや、なんと言うか…大変だったな」

 

 

「まぁ、もう慣れたけどねー。 だけどあれさ、驚いたね。 ええと、なんだっけ? 『お前も家族の一員だ』…だっけ? いやいや、普通おもはゆくて(恥ずかしくて)仕方ないんだけどよく平気で言ってしまうよね、ここの人達は」

 

 

「団長を敬愛し、そこに影響を受け過ぎた人は平気でそう言ってしまうんだよ。 まぁ、ごく一部だが」

 

 

「でもでも、嗅ぎつけてきた中央教会から匿ってくれて、頼みもしてないのにここに居場所を作ってくれて、そのお人好しすぎる君たちの仲間に私はすんごく驚いたけど、居心地は悪くなかったし、こんな異質な体なのに拒みもされなかった。 特に君のお母さんの【メルト・ラライヤ】さんが凄く優しい人で、私の悩みや不安を直ぐに見抜くの。 見抜かれ過ぎて、むしろ申し訳なさが、居づらさに繋がって、それはもう仕方なくなるくらいに。 もうなんかダメになってしまいそうだよ。 元々体質がダメなんだけどー」

 

 

「伊達にみんなのお世話係してないし、メンタルケアとかも得意でな、自慢の母だ。 あと、ダメな体質ってなんだ? 綺麗な褐色肌で健康そのものに見えるが?」

 

 

「んー? もしかしてわたし口説かれてるの?」

 

 

「いや? そもそも俺には想い(びと)がいるからそれは無い」

 

 

「あっそ。 ま、それは置いておいて、健康そのものに見える肌でもその内側は…」

 

 

「お姉ちゃん!」

「一緒にあそぼーよ!」

「早く早くー!」

 

 

「うおおっとと! …きゅ、急に服引っ張るなー」

 

 

 

話の輪に割り込んだのはフラルダリウスにいる旅団の子供達だ。 父と母をリーダーにしてフラルダリウスに逃げ延びた団体は特に小さな子供が多く、あの頃はまだ腕の中で抱かれている年の子が多かった。 ここに来てすくすくと成長して、今もあの日があった事も知らず元気に駆け回る。 それがいい。

 

そんな感じに子供達はあの日の騒動があっても無事元気に育ってくれていた。

 

この子達は旅団の平和の象徴だ。

 

 

 

「今日よく晴れてるよ!」

「夜になったらお星様綺麗だよね!」

「お姉ちゃん! 今日も星座を教えてね!」

 

 

「あー、はいはいー、仕方ない子だな、本当に」

 

「子供から好かれてんな」

 

「別にー? この子達が元気過ぎるだけ。 お陰でため息つく暇もないよ」

 

 

 

しかし満更でもない無気力系の彼女は子供に引っ張られながら大木の近くに連れてこられ、そして子供達は纏まりながら一斉に離れる。 そして彼女は無気力気味に「やれやれ」と言うが笑みは隠しきれていない。 何だかんだで遊んであげるつもりはある彼女は「フクロウさんがこーろーんーだ」と振り向いて、ゆっくり迫る子供達は一斉にその場で止まる。 そして子供達が鬼にタッチすれば「フェー!」と声を上げて逃げる。 なんだその奇声は。 あと一位にはオーブがプレゼントだって。 なんだそのオーブとやらは。

 

しかし鬼はあまり動かなくても遊んであげれるポジションなので彼女にとっては好都合だろう。

 

 

 

「しっかし寒いな。 ところでマンディ、この辺は覚えてるか?」

 

 

「ぶるる」

 

 

「そうか、知らないか。 やはり君は外から来た天馬の可能性が高いな。 でも生まれは覚えてないんだろ?」

 

 

「ぶるる……」

 

 

「だとしたら君の親はこの大陸に来てマンディを産んだんだろう。 その親はどこに行ったか知らないけど、でも男を乗せることに抵抗無いのだからフォドラでは無い天馬種だと俺は考える」

 

 

「?」

 

 

「まぁ、あまり細かいことは気にしなくていい。 とりあえず少しばかり羽休みしよう。 ブリギッドに関してはファーガスの盾ロドリグさんが色々とやってくれる。 てかロドリグは父さんにそこそこの恩を受けていると言ってたけど、話聞く限りめちゃくちゃ貢献してたんじゃねぇかよ俺の父さん。 何がそこそこだよ、おかしいだろ」

 

 

 

伝説の傭兵の名は伊達じゃなかったようだ。

 

フラルダリウスどころか王国全体に影響も及ぼしたとか普通に英雄クラスだな。

 

あれ?英雄…?

 

ああ……なるほど。 そう言うことか。 それで父さんは『勇者』の職業に就けた訳か、なるほど。 本質は傭兵だけど、職業補正的なモノは間違いなく勇者の力が備わっているのだろう。

 

そりゃ上級職で強いに決まってるよな。

 

 

 

「ユークお兄ちゃん!」

 

 

「んー?」

 

 

「はい! これポテチ!」

 

 

「……ああ、母さんが作ったのか、ありがとう」

 

 

 

子供からポテチを頂く。 超薄切りなポテチは間違いなく母の包丁捌きだ。 元ソードマスターは伊達じゃ無い。懐かしさと共に優しい塩味を齧り、興味津々なマンディに一口放り込み、夜ご飯までゆっくりする。

 

地に座るマンディの胴体を背もたれにフラルダリウスの春風を肺いっぱい詰め込みながらウトウトしだした。 今寝ると夜寝れなくなるだろう。 独り言のように口を開く。

 

 

 

「なぁ…マンディ、旅団のみんなが集ったらさ、俺は改めて旅に出ようと思う」

 

 

「…」

 

 

「俺のこの旅は理不尽に放たれた。 親や仲間に『行ってきます』を言えず、温もりから裂かれた残酷な始まりだった。 使命感と焦燥感を第一にフォドラを奔走して、自由気ままな旅なんて出来なかった。 多少なりとも日常を得ていても、でも不安は拭えなかった。 けれど、それは終わりを告げる」

 

 

「…」

 

 

「そしたらさ、俺は安心して自分だけを考えてフォドラの暁風を受け入れることが出来るだろう。 だから…なんだ。 マンディ、君は…」

 

 

「ひひん」

 

 

「わかった、わかった、置いていかないよ。 一緒に行こう。 この脚が動かせるまでフォドラを旅しよう…」

 

 

 

そう言って、俺はマンディと会話が終える。

 

 

やや先の未来の話し。

 

とてもワクワクする。

 

 

だが、すぐ先の未来の話し。

 

まだ仲間集めは完全に終わって無い。

 

ガルグ=マクに置いてきた仲間がいる。

 

 

「ガルグ=マクにいる仲間に関しては団長はヌーヴェル領に集わせようと考えているが、ここフラルダリウスに来させても良いな。 動くのは5月頃と言ってたからその前に俺が連れ……いや、やはりヌーヴェル領に向かわせよう。 そして俺がガルグ=マクまで行って、置いてきたその仲間達とヌーヴェル領まで一緒に行こう。 そうしよう。 勝手に計画の変更は良くない。 予定通りに果たそう」

 

 

方針を改めて決め、心の中でひと段落するとマンディの寝息に釣られ、俺もウトウトと瞼が落ち…

 

 

「……すぅ…」

 

 

 

自然と眠りついた。

 

 

この後、夜ご飯を呼びに来た子供達がイタズラするまで、俺は健やかに寝息を立ていたのは言わずともだろう。

 

 

 

 

つづく





やっと母親にも会えたユークリッド。
三年以上経過しての再開でした。
ここまでがんばりました。


《メルト・ラライヤ》
ユークリッドの母親で帝国の元ソードマスター。 そこそこ名を馳せた剣士だったみたいが「あらあら、そんなの過去の栄光よ」とはぐらかす。 達人クラスの剣技は得意とする料理の包丁裁きにも現れており、超薄切りのスライスポテトまで可能でるため、母の協力によりポテトチップが完成した。
キャラのイメージは【WORKING!!】の【轟八千代】
父のソルテは【メタルギアシリーズ】の【スネーク】
美人とイケオジのハイブリッドが【ユークリッド】である。


ではまた
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