飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第36話

奥に進めばそれらしい場所にたどり着く。

 

その入り口を潜ると、真下からバンシーの魔法が襲い迫る。 マンディとそれを回避しながら手荒な歓迎に対して投げナイフを投擲してやるが、闇のバリアで弾かれた。

 

闇魔導師の特技(闇バリア)が使えることを視認すると、敵はバリバリの魔法職である事を理解する。 敵にバレないようマンディの前足と俺の小指に魔法糸を巻きつけてながら地面に降り立ち、階段の上に佇むソイツと見据えた。

 

 

 

「来たか凶星と疾る彗星(すいせい)の異端者。 迎撃の魔導装置のみ稼働させればその操縦者を倒す判断の速さ…まさに彗星の如し。 小規模と言えども急な攻撃が故に巨大な人形を稼働させる暇も与えず、凡ゆる装置は破壊され、シャンバラは壊滅を迎える中、その"失敗作"が彗星を乗せてるなど……ッッ、貴様らは!どこまで愚弄するかァ!!!」

 

 

「は…?? いや、突然怒り狂るわれてもどうしようもないんですがそれは。 そもそも簡単に侵入されて、入り口も制圧されて、戦略爆撃と電撃戦に混乱して、人員も外の戦線に割きすぎて人手足りなくて、大きな地下都市構えてるのにどうすることも出来ないとか、お前ここで一番偉い筈なのに一人の平民にここまで突破されといて不甲斐ないと思えないの? あほくさ、組織の親玉がこんな頭じゃ死んだ同士も哀れ極まりないな」

 

 

「!」

 

 

 

煽って敵のペースを崩すのも戦略の一つとして、顔色が凄く悪そうだけど凄く悪そうな顔で待ち構えてるからコイツがココの主だな。 雰囲気がココの「ボスだぞ!」ってあからさまに訴えてるから探す手間が省けた。 確かシャンバラだっけ? 想像よりも大きな地下都市だったから隠れられてたらライブラリー使うしか無かったが、このおじさんの威圧感が導いてくれた。

 

それよりも…

 

 

 

「あと…失敗作ってなんのことだ? まさかマンディの事か? この建物に来てからコイツすごい怒ってるんだが…お前ら何かやったのか?」

 

 

「ソレを知って何になる。 "獣の紋章"を宿せず、ただの獣そのものへと成り下がった"フレスベルク"の失敗作など我らが宿願の邪魔にしかならぬ。 それは貴様も同じだ彗星! ここで滅ぼしてくれよう!」

 

 

「ひひーん!!ぶるる!!」

 

「うおお!? マンディ!? ちょ、落ち着け! 落ちるから!」

 

「ひひーん!! ひひーん!!」

 

 

 

まるで泣き叫ぶように、マンディは怒り叫ぶ。

 

その目は怒りに染まり、そしてその目は悲しみの涙が流れている。

 

まるで【人間】のように感情を荒ぶらせていた。

 

俺はマンディの背から振り落とされぬように踏ん張り、そして大声を上げる。

 

 

「マンディィィイイ!!!」

 

 

「!?」

 

 

 

マンディは驚いて止まった。

 

あとここまで声を荒げたのは久しぶりだ。

 

喉が少し痛い。

 

 

 

「はぁ…はぁ……ったく、落ち着け。 お前の事情は……もう、わかってしまったから。 お前はこのフォドラの外に逃げたくなるほどのことがあったんだろ? コイツらのせいでさ。 ああ、もう、本当に酷いよな。 人体実験すらやってしまう外道達だよな。 なんならリシテアだってコイツらの所業によるものじゃないのかって勘違いしてもいいくらいに悪に染まってる」

 

 

 

紋章を人体に施す実験。

 

いまコイツの口からそれを聞いた。

 

なら、リシテアもマンディもそうだろう。

 

コイツらしかいない。

 

 

 

 

 

何というか…

 

まず今回の事はアケロンから始まったし、アケロンが困ってたから手を貸した。 もちろん利害一致もある。 まず帝国が戦争に出たのもコイツらのバックアップがあって戦乱を起こせた。 お陰で動き辛い世の中になりベルナデッタに会えない不満。 戦争の引き金を引いたのは帝国だけど、力を与えたのは闇に蠢く者だ。 あと三年前に戦争が始まったから、俺たち旅する演劇団はフォドラの外に逃げる必要が出てきた。 俺は更に苦しい奔走をしなければならなかった。

 

こうした恨みと怒りはある。

 

でも本来はそこまでの感情であり、闇に蠢く者に関してはソロンとクロニエと言う厄災を払うまでだと思った。 友人(ベレス)に力を貸すためでそれ以上は考えなかった。

 

 

だが…

 

いま、こうしてちゃんとした理由が出来た。

 

 

 

「マンディ…」

 

 

 

相棒をここまで苦しめた闇に蠢く者が許せない。

 

コイツらを滅ぼす理由はそれで充分なほどに俺の中でいっぱいだ。

 

 

 

「やるぞ……マンディ! 俺と一緒にお前の怒りと悲しみを晴らすぞ!」

 

 

「ひひーん!」

 

 

 

俺はマンディに飛び乗ると階段スレスレを滑空し、目の前のボスに迫る。

 

たしかコイツは……そうだ、クロニエと共にジェラルトの暗殺を目論んだ老害その2。

 

たしか名前は…!

 

 

 

「レタスゥゥ! 全然ヘルシーじゃないその命、貰い受ける!」

 

 

「我が名はタレス! アガルタの___!!」

 

 

「エクスカリバー!!」

 

 

「!?」

 

 

 

間合いに入っていないところに、急に伸びるエクスカリバーで攻撃を開始。 レタスもといタレスは急いで防いだ。 それでも初見殺しを防げる分コイツは弱くはないみたいだ。

 

 

 

「前口上を語れるオメェの席ねぇから! とっとと死ね!」

 

 

「ッ、この彗星がぁ!」

 

 

「そんなに俺を彗星(ほうき星)と言うならお望みどおり掃除してやるよフォドラの塵ども! 10年以上お世話係してきたこの手腕に汚れ一つ逃さないからな!」

 

 

 

マンディの機動力でタレスの周りをぐるぐると飛び回りながら蛇腹剣のエクスカリバーで激しく攻撃する。 もちろんリブローによる絶対必中クリティカル込みだからレタスの千切りはすぐそこだ…と、言いたいが闇のバリアがとても硬い。 全然ヘルシーじゃないな。

 

あと俺の魔力ではアレを突破できないらしい。

 

蛇腹剣のエクスカリバーを解除すると、そのままエクスカリバーの余力でエルウィンドを手に纏い、魔法で上乗せした短剣の投擲でタレスを狙う。 更にエクスカリバーを解除した事で使えるようになったもう片方の手でとある魔法を放つ。

 

 

 

「マジックシールド!」

 

 

「!?」

 

 

 

タレスは闇バリアで投擲された短剣を防いでいたが、マジックシールドでタレスの闇バリアは上書きされてしまう。 タレスはその現象をいち早く察知して闇バリアの濃度を高めるが、信仰の魔法を得意とするセスリーンの紋章がマジックシールドの効力を高めるとタレスの闇バリアの効果を上回り、信仰による光属性によって相殺された闇属性のバリアは消えてしまう。

 

その勢いを殺せない短剣が……クロニエが使っていた"アサメイの短剣"が、骨を砕く勢いでタレスの胴体に深く突き刺さった。

 

 

 

「ぐぬぅぅ!? これは!? クロニエに与えた…!?」

 

 

「ならお前に返してやるよ! そして、更に与えてやるよ!」

 

 

 

アサメイの短剣につながれていた魔法糸を掴み、俺は空かさず次の魔法を放った。

 

 

 

リザイア(ルーンソード)…!」

 

 

 

リザイアは魔法糸を伝い、アサメイの短剣に届く。 タレスの胴体から怪しい光が放たれた次の瞬間、アサメイの短剣によって開いた傷口は更に大きく開かれ、多量の血しぶきで視界は赤色に舞い散った。

 

 

 

「ぎぃぃぃあ!? なんだ、これはァァ!?」

 

 

「俺のリザイアはかなり特殊だ。 フォドラの大地で学んだリザイアは【(信仰)】の力だろうが、俺の知るリザイアは【闇】だ。 暴虐と暴食を連想させる闇魔法にて、敵の傷口を強引に開く惨虐は"デスΓ"と酷似している事を『その身に学べ』!!」

 

 

「ぐぬぅ! お、おの、れ!! 邪魔を、するなァ! 彗星ガァ!!」

 

 

「!」

 

 

 

ただのご老体と思いきや、深く突き刺さったアサメイの短剣を手で掴み、体から強引に引き抜く。 吐血しながらもタレスの手には闇の魔法が集まる。

 

激痛に耐えながらタレスは"デスΓ"を放ち、その魔法は俺とマンディ直撃するが…

 

『キーン!!《No damage》』っと響く幻聴と共にデスΓはかき消されてしまう。 魔法に力が入ってないのだろう。

 

それでも傷一つ付かない俺とマンディの姿にタレスは目を見開き、一歩後ずさる。

 

 

 

「!!? ッッ、凶星と共に疾る彗星は間違いなく『凶事』其の物を体現しているのか…!! ぬぅ…ソロンは此奴をとても恐れて彗星と言っていた…!! 貴様は! 貴様は何者だ…!? お前は一体なんなのだ!!?」

 

 

 

狂乱しながら"デスΓ"を放つタレス。

 

そんなに俺の事が怖いのだろうか?

 

凶星とか彗星とか難しい事ばかり言葉並べているが結局「コイツはかなりヤベー!?」って事なんだろう。

 

 

「まぁ……否定はしない!」

 

 

 

もとより俺自身ヤバイ事してるのは理解してる。

 

そして自重する気は無い。

 

セスリーンの紋章を添えながらマンディと共にどこまでも、俺は成すために躊躇わないことを決めたから。

 

 

 

「飛翔しろ!マンディ!」

 

 

「ヒヒーーン!!!」

 

 

 

闇バリアが消えたいま、タレスに近づくのみ。

 

俺は手綱を離し、マンディの背中の上で姿勢低く勇者の剣を抜刀する型を作る。

 

タレスのデスΓはマンディにてかき消され、とうとう魔力切れを起こした。

 

するとタレスは地面に手を置き、なにかを発動しようとする。 俺は足腰に全身に力を入れ、今すぐにその両腕を斬り落とせるように集中する。 手の甲にはセスリーンの紋章を浮かび上がるが、マンディの纏う風はもう片方の手に何かが渦巻き始めた。 するとその手の甲には見たことない【紋章】が浮き上がる。

 

そして武器(勇者の剣)が鋭く光る。

 

 

 

「そうか! これは獣の紋章…!!」

 

 

「ひひーーん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

______お願い!! 皆の仇を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

聞こえた。

 

声が。

 

俺の相棒の声が今聞こえた。

 

だから、その想いと共に、振り下ろす。

 

 

 

月天(がてん)…!!」

 

 

 

【月】曜日の【天】馬(マンディ)

 

今この瞬間、名前をつけた二刀流の剣戟は敵の防御力などを無効化した一撃と化し、目に止まらない斬撃がタレスを横切る。

 

何かが二つ、ポトリと落ちた。

 

 

 

「…!?」

 

 

 

タレスの両腕が胴体から離れ落ちる。

 

数年前(ソロン)と同じやり方で外道を裁かれた親玉がそこにいた。

 

 

 

「明らかに魔法陣らしき床だったからな、警戒はしていた。 ここに来るまで床の隙間には何かしらのエネルギーが一箇所に向けて流れていた。 ここに集まっているのは見て分かったさ」

 

 

「……何故、その剣で容易く落とせるこの頸を刈らぬか?」

 

 

「聞きたいことがあるからだ」

 

 

「……」

 

 

「マンディを人間に戻す方法を教えろ」

 

 

 

勇者の剣をタレスに突きつける。

 

するとタレスは気味悪く笑いながら告げる。

 

 

 

「残念だが、人は獣になるが、獣は人にはなれぬ。 だからこそ一つの成功が生まれる直前の必要たる犠牲と失敗。 それは元には戻らぬ形。 この獣は生きるために理性だけを残して人を捨てた。 もとより施された紋章に耐えれず、人のまま崩れるはずだった。 人間は莫大なエネルギーを持つがそれ相応に莫大なエネルギーを使う。 紋章に適応できぬ者は直ぐに死に至る。 だが獣に堕ちる事でその保った。 それでも長くはない、その失敗作にはまもなく死が訪れる」

 

 

「…」

 

 

「人に戻す治療法など無い。 その失敗作其の物の時が戻らぬ限りな。 だが喜べ。 儂は其奴をただの失敗作とは思わぬ。 かの現皇帝(成功作)の贄となった数多きフレスベルクの皇子皇女の中で紋章を宿せたの必要犠牲たる【最高の失敗作】だからなぁ?」

 

 

「…………お前、死ねよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇者の剣でその頸を斬り落とした。

 

 

絶命するタレスの目は最後まで狂気に笑みんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴロロロ!!!

 

ピカーーン!!

 

ドカーーーン!!

 

 

 

 

「いやはや、アジトが自爆を始めるとか、中世でもお約束は守るんだな。 爆落ちってサイテー」

 

 

「なに言ってるのかわかりませんが! 笑ってないで早く逃げますよ!!」

 

「敵に背を向けるなど…!僕には耐え難い現状だがね!!」

 

「そんなこと言ってないで入り口まで馬を飛ばしてくださいローレンツ! 今の爆発と同時にへんなデカイ鉄の人形が動き始めたんですよ!? わたしたちをここから逃がさないつもりです!」

 

「言わずもがな! 追いつく前に突破する!」

 

 

 

タレスを倒した瞬間、何かがアジト内で作動した。 リシテアがアジトの爆破を早まったのかと思ったが、マンディが興奮してタレスの切り落とされた腕を蹴飛ばしていた。 どうやら斬り落とされていたその腕だけが魔法陣へと動き、最後は人差し指が魔法陣に触れていたことで何かが作動していたと見た。 その時には遅し。

 

生きて帰さない意思をその腕から感じながらタレスの腕をファイアーで燃やし、急いでマンディと共にその場を撤退す。 その途中でリシテアやローレンツ、また生き残った軍隊と合流する。

 

俺は親玉の首を斬り落として倒したことを報告。 しかしそれを引き金に闇に蠢く者のアジトが倒壊する事を告げた。 原因は妖怪ジジイ化した親玉と言ったら頭の方を闇に操られてるのでは?と心配された。 解せぬ。

 

そしてリシテアは破壊工作を終えた事を報告。 だがこの現状だとそれも意味ないと若干疲れたように告げて、ここから急いで出る事を提案する。 賛成です。

 

そしてローレンツは戦果を自慢をする!…雰囲気でない事は理解していたので脱出を急がせる。 ただ捕まっていた人を数名ほど救出したらしく、ローレンツの腕の中にはひとりの女性が意識をなくしていた。 ただローレンツは「なんでここに…」と凄く心配そうにしていた。 知り合いかな?

 

 

そんなこんなで逃げてるいると、デカイ鉄の人形が現れて高周波ブレード的な攻撃をしてた。あまりにもカッコよくて「何アレすげー!?」と俺は興奮した。 リシテアには「あんたもあんなエクスカリバー使ってそれ言いますか!」とツッコミが入った。

 

 

そして、倒壊したアジトを背中に外を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恐ろしい術でした……まさか空に仕込んでいたとは」

 

 

 

リシテアは尋常じゃない魔力を空から感じた。

 

次の瞬間、闇に蠢く者のアジトに直撃。

 

敵味方構わずアジトを倒壊させて押しつぶそうとしていた。

 

なんというか、ソロンと言い、タレスと言い、ここの老人はマジで害悪すぎてむしろ清々しい。

 

……ジェラルトさん、あなたの仇とりましたよ。

 

 

 

「しかしこう言っちゃあれだけど、リシテアの破壊工作は意味をなさ無かったな」

 

 

「ええ!本当に! 無駄な時間でした! 些か道具や資源が足りなくて無理かと思ってましたが、アジト内に溜まった魔力を利用すれば全破壊可能だと盛り上がってましたのに、そしたら上から何か落ちてくるなんて…」

 

「盛り上がってた云々はともかく、破壊工作はあくまで可能ならばの話ではないか? まず君達コーデリア魔導隊は広範囲による援護が重要だと思っていたがね」

 

「ええ、そこはちゃんと果たしましたが?」

 

「ああ、そらはもちろんだとも。 お陰で良き電撃戦を行えた。 だからこそ、僕たちの軍隊は全員無事なのは貴族としての責務を果たしたリシテアの手腕によると思うがね。 まあ、それでも今回は一番の活躍はこのローレンツ・ヘルマン・グロスタールによるだとも! はー、はっはっは!!」

 

「そうですか。 あっ、それと今の私は貴族ではないですのあしからず」

 

「む? 貴族…では無い? それはどういう……いや、その話は後でいいだろう。 ともかく、アケロンの小競り合いからこのような事態に発展したが、無事に全て事が終えたのはなによりも大きい! あとは……この後、同盟がどうするかだな」

 

「とりあえず、それぞれの領地に戻りませんか? あの風見鶏の戦後処理も兼ねてわたしは最後の仕事に入りますから…」

 

「……? ふむ…ともかく領地に戻るのは賛成だ。 ああ、ユークリッド殿、あなたはこれからどうする?」

 

 

「俺か? とりあえずリシテアの傭兵としての契約期間は明後日までだから、リシテアについて行くよ。 まだ何か助けが必要ならば全うしてやる。 報酬は、アケロンの件でしゃしゃりでたからパーだけどな」

 

 

「いえ、その代わり特別報酬はお渡ししますよ? その、わたしの……忌まわしき呪いの根元全てに片がつきましたから。 だからユークリッドさんには個人的な感謝を込めてお渡ししますよ」

 

 

「そうか、じゃあ受け取りに向かうか。 …と、言うわけなので俺はリシテアが治めてるコーデリア領に向かうよローレンツ。 あ、それと、今回の件はローレンツが居てくれて助かった。 騎馬があってこその滑らかな制圧だったから」

 

 

「もちろんだろう、僕だぞ? だが君の手腕にも敬意を表するよユークリッド殿。 手早く親玉を葬ってしまうとは流石と褒めさせて欲しい。 …では! アケロンの元に向かうとしよう。 もし本気で武器を突き合って居たのなら意味が無いからな」

 

 

「そうだな。 俺の友達を安心させてやりたい。 何せ今回功労者はアケロンだからな」

 

 

 

今回、一番疲れたのはアケロンだろう。

 

よく一人で、抱えたもんだ。

 

すげーよ、本当に。

 

 

 

「しかし、やれやれ…認めたくないが、同盟諸国の未来を考えたらあの風見鶏に借りができた…と、いう事だな。 やや不可解に思うのは悪くないと考えたいがね」

 

「今までがそうでしたからね。 でも、少しは見直して良いかもしれませんね………今後領主としての責務を改めれるなら、割譲も考えれますし」

 

「?」

 

「いえ、こっちの話です。 落ち着いたら詳しいことを文通で投げるので」

 

「そうかい? 今言えないなら別に良いさ。 なら、今は戦後処理に力を入れよう。 まだ貴族としての責務は終わってないのだからね。 すぐにでも平民達を安心させなければ!」

 

「そうですね」

 

 

 

貴族二人…ではなく、貴族と元貴族は今後の同盟諸国の問題解決に盛り上がる。 平民からしてらとても頼もしい限りだろう。

 

 

 

「おお?」

 

 

 

するとマンディは空高く飛び始めた。

 

勝手に高度を上げるなんて久しぶりだ。

 

タレスの討伐が嬉しかったのだろうか?

 

俺は首筋を撫でて「お疲れ様」と言えばマンディは「ひひん」と軽く返す。

 

そういや天馬になった元人間なんだよな?

 

なんなら貴族だよな?

 

だったら平民如きの存在から馬のような扱いは……いや、それなら昔から嫌がっていただろう。

 

じゃあ俺は許されているということか。

 

しかしマンディの人間の姿。

 

いや、呼ぶなら"フレスベルクさん"の人間姿か?

 

どんな人か見てみたいな。

 

 

だから、こんな内容が浮かぶ…

 

 

 

「なぁ、マンディ…」

 

 

「?」

 

 

「タレスはさ、ああ言ったけど、俺はお前を元の姿に…」

 

 

「ふるふる」

 

 

「!!……いや、悲しすぎるだろ、そんなの…?」

 

 

「ふるふる」

 

 

「なんでだよ? もっと願えよ…俺なら…なんとでも…」

 

 

 

 

 

___果たして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___あなたの成したい事を、第一に…

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

そして…

 

手の甲に浮かんで居た獣の紋章は消えてしまう。

もう、本当の声は聞こえないみたいだ。

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

それは…

 

 

 

「俺の望む事が、マンディの望む事なのか?」

 

 

「ひひーん!」

 

 

 

元気よく、そして嬉しそうにマンディは頷く。

 

 

 

 

「わかった。 君の命、俺のためにフォドラの空を駆けてくれ。 成したい事のために…な?」

 

 

 

「『___うん! もちろん!』」

 

 

 

「!!??」

 

 

 

 

周りを見渡す。

 

しかし空には誰もいない。

 

なら、今のは…

 

 

 

 

 

「ひひん?」

 

 

 

「……いや、なんでもないさ。 ううん、ありがとな、相棒」

 

 

「ひひーん!」

 

 

 

今にでもコイツが元人間だったのを忘れてしまいそうだ。

 

なんなら大貴族の一人か?

 

だがそのくらいに健気で俺は助けられている。

 

 

 

 

 

 

でも、覚えておけマンディ……

 

………俺は絶対に諦めないからな?

 

 

 

 

「ひひん?」

 

 

「大地を踏みしめることも大事、それだけだ」

 

 

「??」

 

 

 

フォドラの夕風は次の場所を指していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、同盟諸国のグロスタールの領土は、爵位を返上したリシテアの割譲も兼ねてそれぞれの領主の元へ再統治され、今までにない形に収まった。

 

これが帝国にとって痛手になるのはいうまでもなく、それでもこの乱世は別の形で動き続け、力を持たぬ人々はその戦時が終わることを願い続ける。

 

 

そんな隅で、数百年に渡って厄災を撒き散らしながら活動を続けていた闇に蠢く者は、彗星と恐れられたひとりの青年によってフォドラの舞台から消え去った。

 

 

フォドラにそんな1ページが刻まれたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

フォドラに、最悪の1ページが蘇り始める…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴボボホ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴボボホ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴボボホ…

 

 

ゴボッ……

 

 

 

 

 

 

「…………セ…イ……ロ………ス…」

 

 

 

 

 

 

 

ゴボボホ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来で…

 

その最悪を止めるために…

 

イタズラ好きなフォドラの暁風は…

 

三つと一つ、そして…

 

もう一つをそこに集めようとしていた……

 

だが皆はまだそれをまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

何せフォドラの暁風は…

 

時に残酷だからだ…

 

 

 

 

つづく




デスΓしかないアースクエイクおじさん可哀想。
しかもマンディに乗って飛んでるからアースクエイクでダメージ与えれないとか今作で一番の天敵だった疑惑。 本当に可愛そう。


《ルーンソード》
封印の剣に登場した武器であり、ニマス離れた敵の体力を奪ってしまうリザイア効果。 それを今回魔法糸で繋げてリザイアを放ち、セスリーン補正で傷口を大きく開く追加効果付きだった。 長生きしていると沢山の傷跡を抱えてるレタスには超絶ダメージだった。


ではまた
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