飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第37話

さて、まもなく秋が終わりを迎えて冬が到来するだろう。

 

天馬の纏う風が和らげてくれるとは言え、秋空は寒い。 春になってからフォドラに来ればよかったと少し後悔し始めた頃、俺は今訳あって"王国領"に向かっている。

 

 

 

だが、その前に同盟諸国で起きた話をしよう。

 

 

まず最初に風見鶏と軽蔑されるアケロン…と、言うのは事実ではあるが今回その汚名は表向きの話であり、彼は闇に蠢く者の存在を察知するとその付近の領土を奪う事でその存在を抑えようとしていた。 その領土を侵攻されていたリシテアは領民を兵士に変装させ、睨み合いの状態に発展させる。 しかしアケロンは攻める気は無く、その状態で戦線維持を決めていた。

 

それが解決にならない事を知って…

 

 

さてリシテアに関しては、前まで帝国側に付く事を予定としていたが、アケロンに侵略されているその現状込みで帝国側に付けば解決に繋がることも考えると一人旅を開始。 もちろん自身の思想も第一に考えてコーデリア領を出る。 そして一度ガルグ=マク大修道院に向かい、忘れ物を回収するのと同時に俺事ユークリッド・ラライヤと接触。 その後イエリッツァとか死神騎士とか紋章とか色々あった後、リシテアは帝国に向かう意味を自身で再確認。 結果として俺を傭兵として雇うとコーデリア領に戻り、再びアケロンの騒動に関わった。

 

 

そのタイミングでローレンツ・ヘルマン・グロスタールが武装して領土問題に参戦。 アケロンを制圧すると闇に蠢く者の存在が露わになり、そのままリシテアとコーデリア領の魔導隊、ローレンツの騎馬隊、残りは俺とマンディといった比較的小規模の編成でシャンバラに殴り込みを開始する。 敵に迎撃の準備も与えず、電撃戦にてシャンバラを攻略するも最後は敵のアジトが「爆落ちなんてサイテー」な終わり方をしてこの騒動を終えた。

 

 

そんな感じに、終わり良ければ全て良し!……とは行かず、泥沼化一歩手前の現状の解決に勤しむ貴族の中の貴族と、まもなく元貴族となる貴族と、やっと貴族らしくなった貴族の三人は戦後処理を進める。

 

 

そして以下の通りとなった。

 

まずリシテアは元より爵位の返上と共に領土の割譲を決める。 その割譲先はグロスタール家であり、ローレンツにコーデリア領の9割を託す形になった。 グロスタール家が帝国と完全に敵対状態となった今、必要な物を全て与えた。 なにより一番信頼できる相手だからこそ9割の割譲である。

 

そして残りの1割をアケロンに割譲する。 アケロンとしては疲弊していたのでこれ以上の荒事を望まず、奥に引っ込んでいたい気持ちで多かった。 だが同盟諸国が未来を思う今、休んでもいられない。 それでも弱気になり始めた彼はいつだったかの頃に似ていて、それがまた放っておけないため友人として助言を一つ。

 

 

「本来の風見鶏として有れば?」

 

 

つまり、お前はもう下手に動くなと言うこと。 それに領土をデカくしたグロスタール家のローレンツと言う巻かれるための長い物はすぐそこにあると言った。 アケロンはそもそも戦いに向かない。 だが政策を建てる能力はあるのでローレンツが治めるグロスタール領と隣接する感じに領土を貰い、ミルディン大橋に繋がる戦線の"補給線"として乱世フォドラにおける同盟諸国のとても重要な役割を受けることになった。 この乱世が終わればコーデリア領のもう1割をアケロンが治める事をローレンツが約束する。

 

【風見鶏】それは『風に向かって雄々しく立つ』凛々しさの表れであり、今のアケロンに重要な姿勢。 帝国に屈しない同盟諸国の風向きをしっかりと示す目印となる大事な役割。

 

アケロンはまた一つ貴族を覚えた。

 

あとこれが後に、乱世フォドラが終わった少し先の時代で、風見鶏の異名が軽蔑としてなく、同盟諸国を支え続けた敬意の意味として教科書に載るのはまだ先の話であることを俺たちは知らない。

 

 

 

それともう一つ。

 

ローレンツの話もしておこう。 今回の件は彼の存在もあり大いに助かった。 それはそうとシャンバラから助け出した内の一人の女性だが、その人はリシテアやローレンツと同じ時期に士官学校にいた『マリアンヌ』って女性だった。 未だに眠り付いてるらしい。 実は同盟諸国の貴族のエドマンド家から彼女の捜索願いが一ヶ月前から出されていたらしく、戦争に参加もしてないのにエドマンド家の娘が消えた問題はそこそこ大きなものとなっていたが、ローレンツがそれを見つけたから解決になった。

 

シャンバラの攻略に関しての作戦を立てたり、制圧を企てたりしたのは俺であるが、表向きに俺の名誉で広まると些か面倒なのでグロスタール家を中心にシャンバラを攻略した事にした。 また手柄に関してはリシテアも俺と同様に辞退した。 今後の彼女の生活において不要な栄光だからだ。

 

そのためローレンツ本人はやや不本意ながらもグロスタール家の手柄にする流れに収めてくれることを了承。 後に闇に蠢く者の存在が明かされてそれを討伐した話が同盟諸国の全体に広がるならば、グロスタール家のローレンツが過去最高の貢献者になるだろう。 そうなると大貴族のレールを進む事は間違い。 帝国と同盟を繋ぐミルディン大橋の管理は一部の領土支配していたアケロンから全てを譲られた事でグロスタール家が全てを管理する事になれば、ゴネリル家と同じくらいに同盟諸国の大役を背負った重要諸国となるのは明らかだ。

 

これって王国の大貴族フラルダリウスと同等になるって事か? しかもタイミング的に次期領主の座を背負うローレンツがこの実績を全て得る事になり、どデカい後押しになったりと英雄クラス軽く飛び越える話になると。 やべーなマジで。 いや、最高じゃねーかローレンツ。

 

 

 

因みに…

 

この乱世が終戦した後、俺の予想は的中する……よりも更に上を行く。 エドマンド家の令嬢を迎い入れたグロスタール家のローレンツ。 二人のその手腕により同盟は良き方向に大きく変化。 そして同盟諸国の中で最大の領土を締める事になったグロスタール家の栄光はフォドラの歴史に残ることになるのは、少し先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王国領の境界線に入ると一気に肌寒くなったな。 しかしファーガスの盾に会って報せないと。 フォドラの裏で活動していた闇に蠢く者は無くなり、帝国は大幅に弱体化した。 同盟諸国と戦線を纏めればミルディン大橋から一気に押し込める事を」

 

 

 

今こそ王国は同盟と手を組むべきだ。 もちろんそれは容易い話ではない。 何せ同盟諸国内で帝国派と非帝国派の二つに分かれている。 だがグロスタール家は闇に蠢く者の件で帝国と縁を切ってしまい、完全に敵対状態に入る。 更に帝国と一番近く隣接していたのでコーデリア家はグロスタール家に領土を割譲したことで、戦争とは無関係になり、帝国はグロスタールの幅広くなったその領土を侵攻しなければならない。 そして先日までミルディン大橋の領土を占めていたアケロンはコーデリア領に対する領土問題の事後処理としてミルディン大橋側をグロスタール家に回収され、そしてアケロンはミルディン大橋の補給線としての領土を得て対帝国としての戦線を支える。

 

ここまで話したが、とりあえず何が言いたいかと言うとだな…

 

 

帝 国 圧 倒 的 不 利 で あ る ! !

 

 

 

「ヴァーリ領まで押し込んだら後はベルナデッタだ! そのために次は王国領だ!」

 

 

「ひひーーん!」

 

 

「そうだな。 お前にとって"姉ちゃん"か"妹ちゃん"の暴動を止めてやろうじゃん。 俺たちにはこの戦争に関わる意味があるからな、マンディ」

 

 

「ぶるる!」

 

 

 

戦争に加入する理由なんて少しもなかった。 ただベルナデッタに会えればと安直な考え。 しかし乱世はそれを簡単には許さない。 更にマンディの件を考えて見て見ぬ振りはもう出来なくなった。 そんなわけで俺とマンディのための事を考えたらやはりこのふざけた乱世は終わらせるに限るだろう。

 

そのためにエーデルガルトを止める所まで進まなければならない。

 

俺もとうとう帝国に牙を剥く時が来た……と、言うよりかは、ヴァーリ伯の事を考えたら俺って数年前には既に牙を剥いてるようなものだったな。 アイツが俺のことを覚えてるかはわからないが、もし出会ったら合法的にぶっ飛ばしてやろう。

 

なんなら旅団を危険な目に合わせたその落とし前としてその命を貰い受けても構わない。

 

ああ、そうとも。

 

フォドラを駆け回らなければならないあの苦労の3年間に対して楽には死なせんぞ?

 

 

 

 

「さて、到着だな。 フラルダリウ___」

 

「ひひん!?」

 

 

 

マンディは何かを察知。

 

俺も遅れてマンディと同じモノを察知する。

 

 

すると雲の中からひとりのファルコンナイトが現れた。

 

 

 

「止まりなさい!」

 

 

「「!」」

 

 

 

スレンドスピアだろうか? 手槍よりも大型の手槍を構えてこちらを警戒する。 俺は敵意が無い事を知らせようと思い、マンディの首元からヒョコッと顔を出す。 するとそのファルコンナイトは「え!殿方!?」と驚きに染まった。

 

うん、それが普通の反応だな。

 

天馬に男性とかフォドラじゃ異常だろうし。

 

 

 

しかし…

 

この天馬騎士。

 

どこかしら懐かしさを感じるな?

 

 

 

「あ、あれ? 待って…男性に、天馬…?? あ、ええと、待ってください…あ、あなたどこかで見たことあるような…?」

 

 

そのファルコンナイトの女性はめちゃくちゃ真面目そうな人柄をしていて、先程までキリリとしていた表情から悩ましそうにコロコロと変える。

 

ちなみに俺は目の前の天馬騎士には心当たりがあり、その人物を表す"単語(あだ名)"を一つ思い出した。

 

 

それは…

 

 

 

「あ、もしかして串焼きガール?」

 

 

「だ、だ、だ!! 誰が串焼きガールですか!? た、たしかに食べることは好きですが…その、串焼きも好きですけど…って、じゃなくて! な、なんでそんな事を言うんですか!? っ…いえ、やはり、そうです…! 間違いない! 言われた通りです! あなたは!」

 

 

「俺は君を思い出したぞ、イングリット」

 

 

「やはり!! 串焼きガールなんて美味しそうな異名をを付けるのは"ユークリッド"さんくらいですからね! だ、だって、串焼きですよ!!」

 

 

「実はそのあだ名気に入ってるだろ?」

 

 

 

王国で最初に久しく出会えたのはイングリットだった。 しかもペガサスナイトからファルコンナイトにクラスアップしている。 これはすごい事だ。 何せペガサス関係の職業は相当鍛錬を積まないとペガサスナイト止まりで終わってしまう。

 

しかしイングリットに関しては天馬騎士になる為に生まれたと言って間違い無いほどに素質を備えてるから、この若さでファルコンナイトになってもおかしくは無いだろう。 でも年齢に関してはベルナデッタと同じだったよな? だとしたらこれは素質抜きに相当頑張ったことになる。

 

たくましい人だ。

 

 

さて、少し落ち着いてもらい、スレンドスピアを下ろしてもらい、会話できる状態になるとイングリットから先に言葉を発する。

 

 

 

「あの…すごく久しぶりの再会なんですが、ユークリッドさんは王国に何用で参られたのですか? 今の王国領はあまり良い情勢かと言うと…」

 

 

「帝国との戦争か? ギリギリとは言え何とか戦線は保ってるだろ? でも大丈夫だ。 俺はその帝国との戦争に決着をつけれるための情報を持ってきた」

 

 

「!」

 

 

「そのためファーガスの盾ロドリグに会うため王国にやってきた。 …てか、コネがフラルダリウスしか無いから王国に来て貴族に出会うならロドリグさん一択なんだけど、でもあの人なら融通も効くだろうし話を聞いてくれるはず。 貴族の中でもっとも信頼もできる人物だかさ」

 

 

「ええ、そうですね。 王国の中の大貴族で信頼できる人物はたしかにロドリグ殿が筆頭ですね。 それは間違いないでしょう」

 

 

「…で? イングリットは今現在上空警備って感じか? ここはフラルダリウス領なのに君がここを飛んでる理由がわからない」

 

 

「!!……それは、警戒もしますよ。 敵か、味方か、それがわからないとは言え、あなたがここに来る事を聞きましたから」

 

 

「……はい?」

 

 

 

え? どう言う事だ?

 

俺が来る事を…知っていた?

 

どっかの占い師的な人が、イングリットに俺がここへ来る事を知らせたのか?

 

敵か、味方か、わからないが、俺がこちらに飛んで来る事を?

 

 

 

「……ユークリッドさん、ロドリグ殿に会いに来たと言いましたよね? なら、わたしが案内しますよ。 何せロドリグ殿は屋敷を空けていますから」

 

 

「何だって…?」

 

 

「それに、ロドリグ殿と会うのと同時にユークリッドさんが来る事を察知した人がそこで待ってます。 そしてその方とどうか会ってください。 それに……あなたなら、私たちのを、取り戻してくれるはずです」

 

 

「??」

 

 

 

意味がわからない。

 

俺を察知して、イングリットが迎えに来て、その人物が俺を待っていて、ロドリグさんもそこにいる。

 

何がどうなってる?

 

王国は一体どんな情勢で今がある?

 

こればかりは行かないとわからないか…

 

 

 

「わかったそこに行こう。 場所は?」

 

 

「わたしが先導しますので付いて来てください。 それとユークリッドさんはわたしよりも上を飛ぶ形でお願いします」

 

 

「!!……良いだろう。 そんなに付いて来てほしい案件なんだな」

 

 

「ええ、あなたには絶対に会って頂かなければなりませんから、それで示します」

 

 

 

何を示すかと言うと、まず天馬騎士は背後を取られて更に上を取られる事は命に関わる程に致命的である。 それはつまり、イングリットは「わたしが変な気を起こした時はすぐ殺せますよ」と表しているもの。 この話に嘘偽りなく、自分の命差し出すほどに信頼して欲しいイングリットの覚悟の表れである。

 

俺はそれを理解した。

 

いや、しかし、この天馬騎士はすごいなぁ。

 

そこらへんの貴族よりも貴族だな。

 

 

 

「覚悟はわかった。 でもスレンドスピアはいつでも抜刀できるようにしておけ。 万が一、俺以外の敵襲にも気をつけないとな?」

 

 

「!! ふふ、それは大丈夫ですよ。 これでもわたしは剣を使えますから」

 

 

「ああ、そういや、ファルコンナイトの資格って剣も必須だったな。 これは恐れ入った」

 

 

 

腰にぶら下げているキラーソードをチョンチョンと指差して、微笑んだこの天馬騎士に感服するほかなかった。

 

ヨチヨチ歩きだった士官学校の生徒は外を知って成長したんだな。

 

その中で王国の頼もしい天馬騎士がここに出来上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様です! 本日も異常無しでございます!」

 

 

「なっ!? お、お前久しいな!?」

 

 

「これはこれは!ユークリッド殿ではありませんか! わたしは門番として良く目を光らせてるので! 一目見てすぐにユークリッド殿とわかりましたよ!」

 

 

 

イングリットに案内された場所は小さな建物が複数並んでいる。 しかし人気(ひとけ)は少なく、密かに集められてるような場所であるが俺この場所を知っている。 数年前に俺の父と母を筆頭に、ヴァーリの凶行から逃げて来た旅団がフラルダリウスの領内で隠れていた時に使っていた民家だ。

 

あとここは旅団が来るまでは空き家だったと聞いた場所であり、そして旅団が此処を出た時もこの建物達は空き家に戻った。 だが今は人の気配を感じる上に扉の前には懐かしの顔がいきなり見えたから驚きで沢山。

 

そんな訳で正直、案内してくれたイングリットよりも顔馴染みの門番さんに出会えた方が嬉しい限りだ。

 

 

 

「しかしこれはどう言う事だ? フラルダリウスの一角にある民家の扉でも通常業務(門番)してる上に、装備してるのは鎧ではなくてラフな平民の洋服……これは何かのカモフラージュか?」

 

 

「流石! 目の付け所が違いますね! ええ、そうです! 訳ありです! だが話せば長くなります! しかしいつかまたあの大修道院に戻れる日を待って来ます! そのためにまずその鍵となる人物をわたしは守っています! いや、人物というより神物(じんぶつ)でしょうか!」

 

 

「??」

 

 

「ともかくです! あなたがイングリット殿に連れて来られたという事は、会うために来られた訳ですね! ならこの奥に入って、実際に出会って頂くとわたしも喜ばしいです! いやぁ〜! これは希望が見えて来ました!」

 

 

「お、おう…」

 

 

 

そういうと門番は道を開け、後ろにいたイングリットは「さぁ、行きましょう」と一言だけ告げて中に案内する。 すると小屋の中には数名ほどの平民が待っていた。 懐かしい空間には数名ほど囲える椅子にテーブル、脇には水が注がれた壺と野菜を入れるバスケット。 中世で生きていくための生活用品が揃えられたごく一般家庭だ。

 

 

兵士の武器が壁の中に隠されているのを除いて…

 

 

 

「ああ……なるほど」

 

 

「もう見破りましたか、流石です」

 

 

「で、ここにいるのか?」

 

 

「……この部屋にははいません」

 

 

 

そう言うとひとりの平民……の、格好をしている兵士がテーブルを動かし、床に空いた穴に伸び棒を引っ掛けると大人ひとりが入れるサイズの隠し階段が姿を現わす。

 

 

 

「この下の部屋にいます」

 

 

「…」

 

 

 

慣れたようにイングリットが先導し、俺はその後ろを付いて行く。 やや肌寒い空気を掻き分けながら見え辛い階段を、一段、一段、と踏みしめ、薄暗い部屋へと降りて行く。 イングリットの金髪が仄かに光ってるので足元を蹟かずに済みそうなのは内緒として、行先から放たれる威圧感はどこか懐かしく感じる。

 

 

これは……人間ではないナニカか?

 

 

 

 

コンコンコン、コン、コン

 

 

 

「イングリットです。 外は曇りです」

 

 

 

イングリットは俺を連れて来たことを知らせながら扉をノックをする。 しかしノックのやり方が特殊だな。 3.1.1で刻んだ叩き方。 恐らく職業によって変わる叩き方だな。 最初の回数が2ならパラディンだったり、叩く時の刻み方が二回までなら上級職とか、多分そんな感じだろう。

 

あと「外は曇りです」に関して暗号的なものだろう。 でも外は晴れてたよな? それでも関係者しか分からないやり取りのようで、そのくらいに緊張感が漂っている事が見てわかる。

 

今の王国それくらいに対策しているんだな。

 

さて、しばらく経つと扉の奥から「入ってくれ」と渋い男性の声が返ってきた。 いつだったか聞いたことある声だ。

 

これはもしやロドリグさんかな?

 

しかし先程から伝わるこの威圧感はロドリグさんでは無い。

 

 

何というか…

 

 

懐かしく、良く知っているけど…

 

 

存在してるようで、存在していない。

 

でも今はそこにいるような…

 

 

 

 

「難しいな…」

 

 

 

 

俺の呟きは誰も拾わない。

 

イングリットは扉を開けて部屋の中に招く。

 

 

 

「どうぞ、ユークリッドさん」

 

 

 

部屋の中は魔法陣の光で明るく照らされ、薄暗い階段とは正反対だ。

 

ロウソクなんて要らない。

 

 

 

そして…

 

 

誰かが椅子の上に座っていて…

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

俺は思わず目を見開いた。

 

 

 

 

 

「来たか」

 

 

 

 

 

そこに座っている者ははっきりと覚えていた。

 

 

また、その人は俺にCQC教わって友人になった人だから。

 

 

また、その人は皆んなの先生として振る舞った人だから。

 

 

また、その人は灰色の悪魔として恐れられた人だから。

 

 

また、その人は父親を失って初めて涙を流した人だから。

 

 

また、その人はある日から消息を絶ったらしい人だから。

 

 

 

 

 

だから、俺は知っている。

 

 

 

知っているからこそ…

 

 

 

違和感があった。

 

 

 

 

 

 

「お前…………違うな?」

 

 

 

 

「………ほぉ?」

 

 

 

 

 

知っているから、俺は彼女(存在)を否定する。

 

 

 

 

知っているから、俺は本物(存在)を認知する。

 

 

 

 

 

 

「久しいな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

______始まりの者(ソティス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椅子に座っている"彼女"は…

 

 

___【彼女】の姿で頷いて笑った。

 

 

 

 

 

 

 

つづく




食べることが好きな腹ペコイングリット強くて可愛い干し肉あげたい。
帝国ルートで加入したイングリットは修羅なんだよね。
アケロン同様に小領国は大きなモノに巻かれないと生きていけない体現者がイングリットでもあるし。


《イングリット》
ファルコンナイトのために生まれた女そのものなのでファルコンナイトになったのはごく自然の話。 食べるのが好きなのは変わらず、ユークリッドのポテチは好物になり、ユークリッド=ポテチの期待が彼女にはある。 ユークリッドの強さには関心はあり、ペガサスに装備する安全帯も天馬騎士の半分だけで空を飛び、不自然な姿勢からの武器を投擲する技術には驚きを隠せなかった。 そのため士官学校の生徒の中では、天馬に乗っても降りても変わらないその強さに一番の尊敬を持ってたのはイングリットだったりする。 その次がペトラとか。


ではまた
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