飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第40話

「「エクスカリバー!!」」

 

 

 

セスリーンの紋章を使ってエクスカリバーを放ち、本物のセスリーン(フレン)が本当のエクスカリバーを撃ち放つ。 混じり合った二つの魔法攻撃は巨大な鉄の人形タイタニスを破壊した。

 

 

 

「倒したぞ!」

「いけるぞ!!」

「突撃ィィ!!」

 

 

 

タイタニスは無敵じゃない。

 

それが分かると皆は恐れずに立ち向かう。

 

簡単な魔法なら弾いてしまう障壁が張り巡られているのは少々鬱陶しいが、俺が扱うエクスカリバーは関係ない。 非干渉状態のエクスカリバーで動力源に少しでも刃を通せばタイタニスのシステムに傷害が起き、張り巡らされて居た障壁が一瞬にして砕ける。 そこにセスリーンのエクスカリバーでタイタニスの装甲をズタズタにしてしまえばあとは鋼系の武器で粉砕して終了だ。 アロイスさん渾身の一撃をハンマーに乗せてトドメを刺してくれた。 あの人、相手が人間じゃ無ければすごい力を発揮するなぁ。

 

 

 

「さすがですわ!私の半身!」

 

 

「誰がお前の半身だよ…」

 

 

「戦局を変える! ですわ」

 

 

ルフレ(親友の半身)ンでしたか、そうですか…」

 

 

 

さて、今現在の俺たちは王都フェルディアに攻め入ったところだ。 さっきまで街の外で軽くドンパチやったが帝国も軍備が整っていないようで、一気に形勢を崩せた。 ロドリグさんとゴーティエ辺境伯のお二人方が直ぐに攻め入る決断をしてくれたお陰だ。 まぁ、もとよりディミトリの奪還と、とある目的のための軍備は既に整えていたようで、それを王都奪還に矛先を向けただけで、あとは流れるように周りも兵装して攻め入った感じ。 少なからず民兵も居るが、王国をどうにかしたい同志達が集まっていた。

 

さて、まだ市街地の中だが大きな城は見えて来た。 どうやらペガサスナイトやドラゴンナイトの飛行兵は薄いらしく、竜騎士のセテスを筆頭にしたセイロスの龍騎兵たちが撹乱攻撃を開始。 それに並ぶかのように剣豪揃いのフラルダリウスの剣士隊が正面から突撃する。 そして王都の側面からはゴーティエの軍勢が得意とする騎馬戦で敵を追い越しながら撃退。 最後に小隊長のファルコンナイトであるイングリットが率いる天馬騎士隊で殲滅。

 

轢き殺すかのような戦い方は名の通り"追い越し殲滅"である。

 

 

 

「騎馬と天馬で綺麗にやるもんだな。 セイロス兵には真似できない技術だ」

 

 

 

俺自身"ビッグボス"の職業になったがマンディの上に乗ることは変わらず、上から戦況を見ていた。 それで王国と一緒に戦って分かった事がある。 王国軍かなり強い。 こちらよりも多い帝国軍に対して抵抗を続けられているその強さと理由がよく分かる。 もし王国が帝国と同じ物量なら王国の方が勝っている。 だからこの乱世で王国は純粋な物量で負けていて、あのタイタニスが初見殺しだった。 俺も背を向けて逃げたくらいだから。

 

だがしっかりとタイタニスを魔法で攻略して、敵兵を撹乱して、各個撃破の状況に持ち込んで只の対人戦へと流れを作れば7と3の割合で王国が有利。 その証拠として前線で戦っているフェリクスの百人斬りが見られそうな勢いだ。

 

 

「くだらん! 鈍い!!」

 

「ははん! 当たらないね!」

 

 

あと久しぶりに出会った"カトリーヌ"も合わさり、剣豪によって築き上げられる前線は心強いの一言。 放たれる魔法一つ掠めずに懐に入っての斬撃は間違いなくソードマスターだ。

 

帝国でアイツらを止めれる奴いるの?

 

 

「しかし強くなったなぁ」

 

 

フェリクスに関しては元々戦いのセンスはあったし、剣の扱いに関しては当時の士官学校の中で一番強い生徒だろう。 そしてしなやかな一撃はフラルダリウスの紋章による強化された業物……にしては、かなりの回数で何度も紋章を発動してないか? 俺は任意で紋章の力を引き出してるが、あれは意図せずとも勝手に編み出される紋章パワーか。 幾度なくフェリクスにフラルダリウスの紋章が応えている。

……にしては、かなり回数で何度も紋章を発動してないか? 俺は任意で紋章の力を引き出してるが、あれは意図せずとも勝手に編み出される紋章パワーか。 幾度なくフェリクスにフラルダリウスの紋章が答えている。

 

なかなか怖いな…

 

一対一であまり相手にしたくない…

 

 

 

「あなたがそれを言いますの?」

 

 

「ナチュラルに心を読むなよ。 てか、分かんのかよ」

 

 

「言ってるじゃありませんの? あなたは私の半身だと」

 

 

「それマジだったのか…」

 

 

 

相変わらずだなこのアウトドアセスリーンは。

 

あ、ちなみにセスリーンは【ダークペガサス】と言う職業に就いてるらしい。 ペガサスナイトでも良かったけど過保護なセテスだから槍を持っての戦いは断念させられた。 しかしセスリーンは後方支援ならと言い出すと天馬に乗って魔法を使う練習。 もとよりセスリーン本人としてペガサスに乗れる素質はあったのでダークペガサスになれたらしい。

 

 

 

「!? マンディ! フレン! 離れるぞ!」

 

「ひひーん!」

 

「ですわ!」

 

 

 

俺とマンディ、そしてフレンは同時に後ろから強い魔力を感じると左右に散会する。

 

 

 

「私は一度、心無きあの人形に背を向けて逃亡した。 あの時の汚名を返上させてもらう!」

 

 

 

タイタニスの障壁を破壊が終えると、待ってましたとばかりにロドリグさんが叫ぶ。

 

その手には光のエネルギーが纏っている。

 

そう、あの魔法は…

 

 

 

「降り注げ! オーラ!!」

 

 

 

天から巨大な光の柱が降り注ぐ。

 

知っている魔法だけど実際に目の当たりにするとカッコいい。 俺も何とかして真似できないか? フレンがオーラ使えたならセスリーンの紋章で俺にも使える可能性は出てくる話になる。 だが俺自身で覚えることは出来なさそうだ。 もとより下級の魔法しか覚えない素質低めの体だから諦めて居るがな。

 

 

「でも私の紋章を使って好き勝手に魔法を使ってなさってるのでは?」

 

「"戦いでは"便利だからな。 本当なら紋章なんざ粗大ゴミにでも捨てたいところだけど、今の時代(乱世)では利用価値があるから使うつもり。 まぁ、乱世が落ち着いたらセスリーンの紋章はアミッド大河にでも捨ててやるよ」

 

「ひ、ひどいわ! 私を捨てるなんて…! 私とは遊びだったのね!」

 

「語弊がひどいからやめろ! てか遊び関連はオメェだるぉお!? メシマズ案件でこんな体にしやがってよぉ! 何かの拍子で寿命とか縮んだらどうすんだワレェ!」

 

「別に死にはしませんわ。 むしろ龍族の血を飲んで長生きですわよ?」

 

「長生きとかいらねぇよ! 俺は普通に生きたいの!!」

 

 

 

命懸けの戦いであるが、それでもフレンと言い争いながら敵を殲滅する。 阿吽の呼吸とやらか、俺が攻撃するとフレンが後ろからうまく支援する。 俺が距離を取るとフレンも理解したかのように退く位置まで並んで動く。 マジで心でも読んでるのか? だとしたらプライバシー無くて笑えない。

 

 

 

「いえ、読むにしても大雑把に断片的ですわよ? 安心なさって」

 

「あのなぁ、そういうのはいちいち口に出さんで良いからね? お前は少し大人になれよなぁ…」

 

「ま! あなたよりは10倍以上の年月を___」

 

「俺達人間からひしたら婆さんだぞソレ」

 

「あははは! 面白い冗談ですわね! ……ところで血の味のティータイムはお好きかしら??」

 

「もうお婆ちゃん、さっき出撃前に飲んだでしょう…?」

 

 

煽り合いが止まらないけど、それは久しくて嬉しくての掛け合いだから仲間割れではない。 セテスの胃が痛むだろうけどもう手遅れなので諦めてもらう。 むしろこの方がセスリーンは逞しいから良いんじゃね? 出会った時より強かになったこっちのセスリーンの方が好きだな俺は。

 

 

 

「あ、心読まれて言われる前に言っておくけど今のは『好き』はあくまでlikeの方だからな? Loveじゃないぞ?」

 

 

「急に一人でどうしたのかしら? 認知症にしてはお早いですわよユーク様」

 

 

「お前一旦シバいてやろうか?」

 

 

「シバくならお紅茶にして欲しいですわね」

 

 

 

茶をシバくとか何処で知ったんだコイツ…? あの頃の世間知らずセスリーンはもう居ないらしい。 あー、それにしても紅茶の話していたら紅茶飲みたくなってきた。

 

後で落ち着いたら王都で紅茶でも探そう。

 

あ、探すといえば…

 

 

 

「ロドリグさん、ここから進行方向は……おや?」

 

 

 

「伝令です!!」

 

 

 

ひとりのペガサスナイトが飛んできて、ロドリグさんに報告を挟む。 方向からしてイングリット達の陣営側だよな? もしかして苦戦を強いられてるとか?

 

そして内容は……

 

 

 

「北から謎の軍隊が迫って来ます!」

 

 

「なに!?」

 

「北…から?」

 

 

 

北から援軍?

 

ゴーティエの方?

 

いや、ゴーティエも全軍回してるはずだから追加で援軍なんておかしい。

 

もしくは他所から?

いや、この作戦においてそんな話なかった筈。

 

 

なら……逆賊がこの乱闘に参加して来たとか?

 

 

いやいや、それは無いだろ。

 

大国同士のぶつかり合いだ。

 

小競り合いならともかく、王都全体の衝突に入ってくるバカはいないだろう。

 

こんな危ないところに来るわけない。

 

 

なら、レジスタンス?

 

いや、北はゴーティエ家でそこにレジスタンスがいるなんて…

 

 

 

「ロドリグさん、俺が見てきます。 敵なら俺が押しとどめるので先に向かってください!」

 

 

「ユークリッド殿!」

 

 

「マンディの機動力なら直ぐです。 それでそろそろ遊撃に周り始めるイングリットと合流して謎の軍隊と立ち会ってきます」

 

 

「む……いや、ここで頼れるのはユークリッド殿だな。 わかった、頼んだぞ!」

 

 

「ご武運を! そんじゃフレンはセテスと合流して残像戦力の無力化を頼んだぞ! あと脳みそリザイアはほとんどほどにな! 行くぞマンディ! 」

 

「ひひーん!」

 

 

 

お城に到達までもうすぐだったが俺は引き返してイングリットの方に向かう。

 

 

 

しかし謎の軍隊?

 

 

北側にあるのはゴーティエ家で……

 

 

それ以上に北は…

 

 

……待て…

 

 

いや、待てよ?

 

 

思い出せ…

 

 

さらに北にあるのは確か……

 

 

ああ…!

 

 

もしかしたら…

 

 

もしかしたらかもだぞ…!!

 

 

 

 

 

「今こそ恩を報いる時! 我が一族は返した恩は忘れない! 王子ディミトリを助け出せぇぇー!!」

 

「「「うおおおお!!!」」」

 

 

 

間違いない! あれは!!

 

 

 

「イングリット!」

 

「なっ、ユークリッドさん!? あの、戦線の方は!?」

 

「ベレスが居るから問題ない。 それよりこの軍隊は? 北からと聞いたからもしやと思うが…」

 

「ええ、私も驚きました。 まさか"ダスカー人"が助けに来るなんて!」

 

「だとしてもタイミングが良すぎるだろ。 これは内通者が居るな…」

 

 

 

ロドリグさんがあの感じ、どうやら聞いてない出来事だ。 そうなると誰だ? しかし王子ディミトリを助けと言い、恩を返すと言い、この戦いに置いてこちら側なのは間違いない。

 

 

 

「ああ、すんません、これオレっすよ」

 

 

「シルヴァン!? あ、あなた戦線は!!」

 

 

「おいおいそう睨むなよ、イングリット。 残像戦力は包囲して殲滅。 城壁に騎馬を張り巡らせて挟み撃ちは対策してる。 まぁ、電撃的な攻撃と勢いだから挟み撃ちは心配無いがな。 パニック状態の帝国は援軍も期待されないし」

 

 

「なら、あのダスカー人は?」

 

 

「一応レジスタンスって扱いで話入れてる筈なんだけどねぇ。 あれ? 聞いてない? ユークリッド殿はどうよ?」

 

 

「ゴーティエ家から出る話は聞いてないぞ?……おい、なに企んでる?」

 

 

「いやいや、睨まんといてくださいよ。 一応これは彼らのためでもありましてね? 本当はこの話はしたかったんですが…」

 

 

「ダスカー人、だからですね?」

 

 

 

イングリットの答えに俺は納得する。

 

すると…

 

ガシャガシャと音を立てて何者かが割り込む。

 

それは…

 

 

 

「イングリット殿の言う通りだ。 本当は時間を掛けてダスカー人の軍も組んでもらうつもりだったが一刻を争うと言うからな。 だからシルヴァンにだけでも伝えて自分たちはやってきた。 恩を返すために。 そして、我が殿下を助けるために!!」

 

 

現れたのディミトリの腹心と言っても過言ではない人物の名は…

 

 

 

「ドゥドゥー!!」

 

「おおっと、少し遅いんじゃ無いのか?」

 

 

「すまん、軍行に慣れてなくてな…」

 

 

「まぁいいさ。 とりあえずみんなの大好きな殿下をを助けようぜ。 手は多い方が良い」

 

「……そう、ですね。 殿下を助けましょう」

 

 

 

手が増えるのは有り難いが、イングリットの歯切れが悪い。 彼女はダスカー人嫌いか? まぁ、これはコイツらの問題として…

 

 

 

「ドゥドゥー、久しいな。 ところでお前は捕まってなかったのか?」

 

 

「ユークリッド殿か、久しいな。 おれは帝国を抑える為に殿下と別々の戦線に向かったが、抑えきれなかった。 少しでも仲間を逃がす為に体を張って居たところをダスカーの民が助けに来た。 おれは王都には戻らずダスカーの民の拠点地で傷を癒し、殿下を助ける意思を持った仲間と共にダスカーから降下すると、運良くシルヴァンとコンタクトが取れたものだが、王都奪還の戦いが始まろうとしていた。 急いで兵装し、軍を整えて王都まで来た流れだ」

 

 

「そうか。 明白な意思の元に集まったのなら誰であろうと助かる」

 

 

「………ユークリッド殿はダスカー人を___」

 

 

「とあるソシアルナイト(トレック)が言ってた事なんだけど『異人だからと言って其奴らに耳が9個であるのか?』ってその異人(ミレディ)に聞いたんだ。 その異人は『無いです』と答えたらそのソシアルナイトは『なら兄弟みたいな者じゃないか』と言っていた。 つまりそう言うことだ」

 

 

「!」

 

「……」

 

 

「そんな訳で気にしないでいいから早く行けよ。 それでお前の殿下を助ければその差別は無くなる。 だから俺に聞こうとしたその問いは今回で最後にしておけ」

 

 

「………ああ、わかった。 そうしよう」

 

 

 

ドゥドゥは一礼するとシルヴァンに視線を向けて「殿下を助けに向かおう」と訴える。 シルヴァンも理解したかのように「そうだな」と言い、再び馬に乗り込む。

 

 

 

「そんじゃあ残ったイングリットと残りの部隊は俺と来い。 ベレス達と合流して敵将を討つ。 タイタニスを無視して進めるのは天馬だからな」

 

「は、はい! シルヴァン、それと…ドゥドゥー、どうかご武運を。 殿下を頼みます」

 

 

 

「おうよ」

 

「殿下は必ず助ける」

 

 

 

それぞれ向かう先へ走り去る。 その背中は大きく見えるようになっていて、三年前までヨチヨチ歩きながら生徒たちは確かに成長していた。

 

 

 

「……」

 

 

「私情を挟まず仲間に『ご武運を』と言える君は騎士として立派だよ。 俺みたいな紛い物のペガサス乗りなんか霞むくらいにイングリットはファルコンナイト(上級たる聖騎士)している。 だから君みたいな子が生徒だった事をベレスは誇りに思うだろうな」

 

 

「え、え!? あの、ええと、急にどうしたんですか?」

 

 

「別になんでもない。 とりあえず行くぞ。 遅れるなよ!」

 

 

「あっ、ま、待ってください!」

 

 

 

城まで引き返すようにマンディを飛ばす。 するとマンディは「ひひん、ぶるる」と嬉しそうな声で訴えるので「俺を誉めんなよ。 褒められるのはあの子だ」と返すと、その回答が気分良かったのかマンディは力一杯翼をはためかせてスピードを上げた。

 

 

しかし差別か。

 

人間の醜さってどの世界にもあるんだな。

 

これは回転王(ゼフィール)も人間に失望しますわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___パリン!!

 

 

 

 

 

 

時間が巻き戻る。

 

 

 

 

槍に突かれて死んだはずの帝国兵は巻き戻されると生き返り、傷を治して戦線に戻った王国兵は巻き戻されると傷を負い直し、墜落したドラゴンナイトは巻き戻されると空へと舞い戻り、豪炎の魔法にて焼かれて絶命した王国兵達は巻き戻されると灰から肉に戻り、戦況は王城に突撃する準備態勢まで時間が動く。

 

 

巻き戻った時間は約15分程度だろうか。

 

 

 

「……ソティス、お疲れ」

 

『随分と刻を戻させおって、疲れたわい』

 

「ユークリッド? 天刻に関しては事前に知らされてたから良いけどなんでここまで戻したの?」

 

「被害ゼロのためだ」

 

『なんと? それはまた味方の誰かが討たれてしまえば戻すと言うのか?』

 

「まさか? そんな事のために天刻を使ってんじゃない。 討たせないために天刻を使ってんだ」

 

 

 

天刻を使ったのは敵の位置の割り出し。

 

 

そして敵将の位置の把握のためである。

 

 

そのために戦って死んだ人間を巻き戻してまた生き返らせて、戦場に戻す。

 

 

まるで命を弄んだような所業……

 

 

つまり【外道】とでも言えるだろう。

 

 

否定はしない。

 

俺は天刻を使う事でゲームでの【リセット】と同じ事をした。

 

それは認める。

 

 

しかしFEはそれが"普通"だ。

 

敵NPCの動きを把握するためにある程度進めてみて、途中でユニットを失ってしまい、要らないミスを起こしてしまったり、理想と懸け離れた進軍でストーリーを進めてしまったりと、納得いかない時に人間は身勝手だからその人差し指でゲーム機の電源ボタンを心無く…押す。

 

そして再びスタートボタンでそこから開始する。

 

次はノーミスでやってやろうとか、そんな感じ。

 

ああ、そうとも。

 

俺だけではなくほかのプレイヤーもやったことあるだろう。

 

このくらい、容易く、ユニットを、殺しては、リセットして、戦わせて、同じ敵を殺して、しかし、成長が悪ければ、やり直させる。

 

リセットボタン(天刻)一つでだ。

 

他人事だとは言わせないぞ???

 

 

 

 

 

 

「なぁ…ベレス。 お前は皆んなの先生で、それでいて"人格者"だ。 だから間違っても『俺/プレイヤー(心無き操作主)』みたいにはなるなよ?」

 

 

「ユーク、わたしはみんなを導く必要がある。 だから仮にユークみたいな事をしたとしても、それで皆に道を切り開かせれるなら、わたしは何度でも灰色の悪魔になるよ」

 

 

「そうか。 自覚があるならまだ大丈夫だな。 安心した」

 

 

『そうやって天刻を使われる儂の身にもなれい』

 

 

「もとより天刻はそう言う代物だろ? 刻を動かすチート仕様が、まともな訳あるか。 でも全部は理想とハッピーエンドのためだ。 そのために非道だろうが外道だろうがエピローグまで繋げれたら勝ちなんだよ。 そもそも戦争に正義もクソもあるか。 何やっても全力で勝たせてもらう」

 

 

 

それが"ビッグボス"。

 

成すためには、非道だって貫く。

 

この職業を得た以上は、それを覚悟する。

 

 

 

「おいユークリッド、こっちは全て合流したぞ。 敵が態勢を整える前に行きたい」

 

 

「大丈夫ですよシャミア姐さん。 作戦会議で提案した"アレ"を決行するので」

 

 

「まさか本当にやるのか? いや、私は構わないが狙う先には敵兵しか居ないのだな? やることはブラインドショットだ。 放つ先を確認したのか?」

 

 

「確認した、問題ない。 被害ゼロで王城を制圧する。 これが作戦だ」

 

 

「全く、無被害などそう簡単に言う……が、まぁ、良いだろう。 出鼻を挫いた上で敵を倒せるなら上等だ。 なんならこう言うのは私の得意技でもあるからな」

 

 

「だから王城の攻略にシャミアさんが必要なんだ」

 

 

 

今からやることは情報を得た上での最適回答。

 

そこに聖騎士のぶつかり合いなんて一欠片もない。

 

ここから先は泥くさい傭兵のやり方だ。

 

 

 

「アロイス、ツィリル、走るぞ」

 

「うむ!盾は任せておけ!」

 

「は、はい!」

 

 

 

「フレン、ベレス、俺たちも行くぞ」

 

「了解ですわ」

 

「ええ」

 

 

さて、天刻で時間を戻したとは言え、今の現状の説明をしよう。

 

まず俺たちは被害最小限に市街地を突破して王城の前まで来た。 門をくぐればまず目の前にはバルコニーのように広々とした高台にて行き止まりを作り、そこから左右分かれ道がある。 左右の内どちらかにタイタニスがいるが戦線の補給が絶えているので残りは一体のみ。 敵もそこまで多くなく、高台の上に敵将が待っている。

 

その敵将は女性であり、かなりゲスい笑いが得意そうなお方であるが、それとは対象に目を惹くような美貌の持ち主でその山は豊満であった。

 

そんでもって格好や性格共々明らかに「闇魔法を使いますよ」みたいな要素を注ぎ込んだ女性だったから、光属性のエクスカリバーの餌食にできる。 その魔防乗り越えたらの話であるが。

 

しかし、俺の出番は無いだろう。

 

 

 

なんせ…

 

初手で殺すつもりだから。

 

 

 

 

「総員、走れ!」

 

「「「!!!」」」

 

 

 

シャミア姐さんの声にて、弓を装備したセイロス兵が門を潜って一気に入り込む。 ツィリルも愛竜のアカネイアから降りると弓を構えながらシャミアさんの後ろを走り、アロイスを先陣にアーマーナイトもガシャガシャと音を立てながら横一列に並ぶ。 弓兵はアーマーナイトの後方に位置すると、それぞれ矢の装填を開始。

 

 

だがそれだけではない。

 

 

「皆さま、やりますわよ!」

 

 

天馬から降りたセスリーンが率いる修道士も追うように駆ける。 一人一人がアーマーナイトの斜め後ろに立ち、弓の射線上に入らぬよう跪いて屈む。 準備が出来た修道士はそれぞれアーマーナイトの背中に手のひらで触れる。 右のアーマーナイトには右手を、左のアーマーナイトには左手を、修道士がアーマーナイト同士を繋ぐかのように。

 

そして横長いその陣形の端側にはそれぞれ俺とセスリーンが立ち並び、セスリーンの紋章を共鳴させて魔法を放つ。

 

修道士も同じように全員が叫んだ。

 

 

 

「「「「「マジックシールド!!」」」」」

 

 

 

修道士を通してアーマーナイトの盾が魔法で光る。 すると横長く大きなドーム状の魔法障壁が出来上がった。 それは強力かつ巨大なマジックシールド……いや、名をつけるならマジックシールドーム。

 

俺とセスリーンが作った"計略"の一つ。

 

どんな魔法も寄せ付けない無敵の陣形。

 

更に味付けを一つ加える。

 

 

 

「「信仰の輝き! セスリーンの慈悲たる光は人を守るとッ!!」」

 

 

 

マジックシールドームは信仰の光魔法にて光輝く。 銀の髪の乙女(ミカヤ)と同じようなやり方。

 

それは目が開けられないほどに瞬き、その内部は光で全く見えない。

 

 

 

 

「構え!!」

 

「「「!!!」」」

 

 

 

シャミア姐さんの声が響く。

 

弓を扱う兵達は高台に照準を合わせて弓を引きしぼり…

 

 

太陽が真上に登った。

 

 

 

……時は来た!!

 

 

 

「放てェ!!」

 

「「「!!!」」」

 

 

 

シャミアさん姐さんの掛け声で皆は撃ち放つ。

 

眩い光の中から無数に降り注ぐ矢の嵐。

 

そして寒い国の王城を少しでも暖かくするために門から陽が射すよう設計された場所だからこそ、マジックシールドによって輝きを得たアーマーナイトの盾は太陽の光を、浴びて、吸収して、それが修道士を通して、セスリーンの紋章にて、光はどこまでも増す。

 

いつしか敵の目を潰し、脳に損傷すらも与えるほほどなった光の世界から無数の矢が降り注いだ。

 

 

 

「ぎぃぃああ!!」

「何の光ィ!?」

「うあああ!!」

「ぐほぉぁあ!!」

 

 

 

高台でさまざまな悲鳴が聞こえる。

 

闇属性系のダークマージなどは苦し紛れに闇バリアを使うが、セスリーンの紋章にて光属性が上乗せされた矢は闇バリアを打ち消し、その胴体を次々と貫く。

 

 

 

その中には敵将の"コルネリア"もいた。

 

 

 

多量の矢に飲まれてしまい、彼女の王国の統治は早くも終わりを告げたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、あの、王国崩れの、寄せ集めがっ! 良くもやってくれた…!」

 

 

 

コルネリアは生きていた。

 

転移の魔法で王城の外に居た魔術師と入れ替わっていた。 しかし多くの矢を体に受けてからの転移だった故に傷を負ったのは変わりない。 それでも職業が最上級職のグレモリィだったからこそ演唱無しからの転移までの流れは早かった。 ただ眩いを超えたあの光と矢の雨、何より闇バリアすらかき消す矢の攻撃はあまりにも初見殺し、コルネリアの判断を遅らせて大きな傷を受けてしまった。 

 

 

「く、くくっ…」

 

 

だが今頃、奴らは私じゃない骸に慌てふためいてるだろう。 王国を手放すのは勿体ないが命あっての物種だ。 しかし闇に蠢く者が潜んで居たシャンバラも、タレスも、何もかもが消えてしまった。

 

残っているのは、男の熱い視線を独り占めにする豊満を兼ね備えた美貌と、グレモリィとして長きに蓄えてきた知識を巡らせる頭のみ。 どちらも持てるモノとして自慢できるが…しかし、コルネリアは有名人である。 それは悪い意味でも良い意味でも。 この姿で目立った活動はできない。 そのため今の"皮"を被り直して姿を変えなければならない。 

 

 

 

「あ、あらら? だ、大丈夫??」

 

 

「!」

 

 

「ひ、酷い怪我ね。 戦いに巻き込まれたのかしら…」

 

 

 

とある女性が現れる。

 

そしてコルネリアは一目見て決めた。

 

新たなる皮はこの女にしよう。

 

皮を被るにも成人した者で無ければならないが、それさえ満たせば正直誰でも構わない。 

 

だが目の前に現れた女性はそれはとても美しいの一言に限る。

 

美を司る外見なんてものは鼻下を伸ばす馬鹿な男を騙すくらいの武器にしかならない。 言わば体などおまけであると一言で捨てることは可能だが、この女は聖母を表すような顔もしており、悪女とは程遠く他者を騙すには良いカモフラージュになる。 ほんとうに丁度良い所に現れてくれた。

 

 

 

「ええ、戦う気は無いのに巻き込まれてしまってね……帝国も酷いモノね」

 

 

当然、これには皮肉を交えている。

 

あれだけの軍勢があって未だに王国と同盟国を落としきれない帝国の不甲斐なさ。 闇に蠢く者のバックアップがありながらも三年経ってやっと落としたのは王国…と、思いきや、二ヶ月程度の天下で終わり、早い段階で取り返されてしまった。 残っているタイタニスを全て寄越したにも関わらずこの有様だ。 軍務卿と内務卿を味方に入れて内側を固めたにしろ帝国は弱かった。 

 

無能な皇帝に内心舌打ちしながら、目の前の女を騙すために偽りの笑顔を振りまく。 

 

 

「少し気分が悪いんだ…どこか、人のいない場所で休みたい。 同じ女性としてわかってくれるだろう? あまり人肌晒したく無いし、傷も治したいからね」

 

 

「ええ、そうね。 それならついて来て。 戦いは苦手だけど治療は得意よ、わたし」

 

 

 

運が良い。

 

この馬鹿な女にコルネリアは笑う。

 

まだ、わたしには生きるための運と価値がある。

 

昔ソロンが怯えていた凶星と彗星、先の戦いでこの2つに飲まれて殺されると思ったが、わたしはまだ生き延びることが出来るのだと。

 

命を刈り取る死神さえ私の寝首を刈らなければ…

 

 

 

 

「おい…」

 

 

「!!」

 

 

 

1人の男性に止められる。

 

だがその男は……

 

どこかで見たことがあった。

 

いや、知っていると言ったほうが正しい。

 

 

 

「お、お前は…!!」

 

 

 

「あらあら、もう、何処に行ってたの? なんかお砂で少し汚れているみたいだけど」

 

「子供が助けを求めてた。 少しばかし、手を貸した」

 

「そうなのね。 ふふ、やはりあなたは昔のまま優しいのね」

 

 

 

この男が??

 

残虐と逸楽に飢えたこの男が?

 

優しい?

 

はん…疲れて幻聴でも受けたか。

 

いや、でも…そこはどうでも良い。

やはりわたしは運が良い!!

 

コイツが王国にいる理由は分からないにしろ、戦力が無くなった今この男がいるならそこそこ賄えるはずだ。 それにこの女と知り合いだ。 うまく利用して皮を手に入れて…!

 

 

 

「おい、コルネリア……今すぐ離れろ…」

 

 

「!?……おやおやぁ? お前、なんのつもりだい?? もしや反逆かぁ?? 心の無い死神が有無に意志を持つのかぁ??」

 

 

「…………死んだ」

 

 

「ああん?」

 

 

「死神騎士は死んだ」

 

 

「……はん、頭でも逝かれたか? どう言おうと、お前は死神騎_」

 

 

「死神騎士は友人によって殺された。 少女を助けた事でイエリッツァである事を突きつけられた。 そしてメルセデスが"エミール"に戻してくれた。 私は…お前達の死神騎士ではない」

 

 

「なんだぁなんだぁ? 何馬鹿を吠えてやがるのかなぁ、坊やは? アホらしいねぇ。お前はな、私達と同じ血で汚れて、元に戻る事なんかないだよ! まぁ、いいさ。 理解しようとしなくとも関係ない。 わたしは新たなる皮を手に入れるためにその女を()ろ_」

 

 

 

「ッ!!」

 

 

 

 

 

__刹那

 

 

わたしは視界が上に飛び跳ねる。

 

 

 

「へ…?」

 

 

 

 

そして、地面に崩れゆく自分を胴体を見た。

 

 

 

 

 

「!?!?」

 

 

 

 

「エミール!?」

 

「コイツはお前を獲ろうとしていた」

 

「!」

 

「大事な家族を、姉を、メルセデスは守る。 もう違えない。 どれだけ身勝手であろうとも私は私であると決めた」

 

 

 

ああ、なるほど。

 

わたしはコイツに斬られたのか。

 

 

 

「くくっ、こりゃ……間違いなく身勝手だねぇ。 なんだ……元よりわたしに運は無くて、しかも最後に死神と会うとはねぇ…」

 

 

 

「いいえ。 エミールは死神なんかじゃないわ。 わたしを守ってくれる、優しい騎士よ」

 

 

 

なら、わたしは死神じゃなくて、ただの人に首を切られたのか?

 

そうか。

 

なら、死神の手を煩わせ無いほどにちっぽけだったのか、わたしは…

 

 

 

「くくっ、ほん…と、くだ…ら…な………い…」

 

 

 

それを最後に、コルネリアは絶命した。

 

 

 

 

 

この日、牢獄に繋がれていた王子ディミトリはファーガスの盾ロドリグとダスカー人のドゥドゥの手によって助けられ、ベレスとユークリッドの力により王都は取り戻された。

 

 

秋に差し掛かかり始める季節の中で…

 

 

 

 

 

 

つづく

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