飛んで火に入るインデッハの火葬式   作:つヴぁるnet

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第46話

元死神、元紋章持ち貴族、元覇王。

 

似たような三人を加えてネメシスと真正面から打ち合う。

 

4体1と言う人数的アドバンテージはこちらにあり、付け入る隙は充分にある。 しかし十傑の存在がネメシスにダメージを入り辛くする。 だからと言って周りが十傑をどうにかして全滅させてくれるだろうなんて考えは無い。 戦力的にも敵とは五分五分であり、また敵を全滅させれるなんて、それは疲れの概念のないゲームの世界だけだ。

 

本来は互いにどこまでも擦り切れてしまい、最後は親玉取るか取られるかの話。 もしこの戦いに一ヶ月程間が空き、敵討伐のための準備期間が設けられるなら連合は帝国や同盟から手を借りずとも強いだろう。 しかしほんの1日程度の空き時間では武器を新調するのみしか猶予が許されない。 では武器は変えれても人の変えが効かない不自由の最中ここで何を求めるのか?

 

それは十傑の殲滅を待たず、そのまま親玉を取る事だろう。

 

 

 

「イエリッツァ達が来る前までは勇者の剣でもネメシスの剛体はその刃を弾いていた。 でも今は十傑も七人にまで減少してるからそろそろ傷一つは入れれるはず……だけど、戦力が揃ったのなら時間をかける意味は無い」

 

 

「では?」

 

 

「このままやる。 防御力がどうとか言うけど、リシテアが知ってる通り俺にはそれを皆無にする手段はあるからな」

 

 

「ええ……そうですね」

 

 

「しかし……そのために俺をこの場に設けた運命だとしたらやはりフォドラの暁風はイタズラ好きで、そんな役目を背負わせるから残酷極まりないな」

 

 

 

イエリッツァが蛇腹剣を弾き突破口を切り開くとエーデルガルトがアイムールを振りかぶりながらネメシスに突っ込む。 俺も遅れず投げナイフで牽制しながら突き進み、リシテアはうまく俺の背中に隠れるように魔法を放って攻撃をする。

 

 

即席で集まったとは言え連携は充分に取れている。

 

 

そして勝機は来た。

 

 

 

「イエリッツァさん!」

 

「!」

 

 

 

ネメシスの蛇腹剣を完全に見切ったのかイエリッツァは銀の剣で防ぐと撫でるように払う。 しかしそれだけでは終わらず、イエリッツァは蛇腹剣の先端を剣先で捉えながら地面に突き刺した。

 

 

「!?」

 

 

 

銀の剣で蛇腹剣を絡め取り一時的に動きを封じた。 するとそのタイミングでリシテアは手元に込めていた黒色の塊を投げ、イエリッツァはそれを手に取ると黒い雷を瞬かせながら何かが召喚される。 それはサリエルの大鎌。 その武器を握り締めたイエリッツァの目が怪しく染まる。 それはまるで死神。 手に馴染んできたその大鎌を蛇腹剣に振るい、ネメシスの天帝の剣は容易く切断された。

 

 

 

「ナニ!?」

 

 

「はぁぁぁぁあ!!」

 

 

「!?」

 

 

 

驚くネメシスの隙を逃すほどエーデルガルトは甘くない。 アイムールを振り下ろしてネメシスを叩く。 ネメシスは半壊した天帝の剣で凌ぐがアイムールの破壊力によって天帝の剣はとうとう壊れてしまう。 ただの鋼では壊されなかっただろう英雄の遺産(天帝の剣)だが、下手な英雄の遺産よりも禍々しいサリエルの大鎌と、圧倒的破壊力を秘めたアイムールによってネメシスの武器は粉砕された。

 

 

 

「セスリーンの紋章!」

 

 

 

セスリーンの紋章を体の中で共鳴させながらアサメイの短剣をネメシスに投擲する。 しかし狙いは逸れてネメシス横を通過するような軌道だ。

 

ここに来て、投擲が失敗………な、訳あるものか。

 

俺は利き手に血を巡らせ、いつでも反応できるように感覚を研ぎ澄ませ、最後は体を捻りながら飛ぶ。

 

セスリーンの紋章が手の甲に光った。

 

 

 

「"干渉"!!」

 

「"ワープ"!!」

 

 

セスリーンの紋章の力によってリシテアのワープに干渉する。

 

 

リシテアはそのままワープの魔法を俺に使った。

 

 

俺の姿はその場から消え、ワープされた先は…

 

 

ネメシスの真後ろ。

 

またはアサメイの短剣の真上。

俺は大地と真っ逆さまな状態で現れる。

 

 

 

「!?」

 

 

 

飛んだ位置がここまで正確なのはリシテアの魔力制度が高さも含まれているが、アサメイの短剣に塗られた"俺の血"が目印となる。 セスリーンの力による干渉の効果にて非常に正確な位置に飛び、そして理想的姿勢で空間移動を果たす。 こうなる結果に疑いもなく俺は体を捻り、アサメイの短剣を掴む。 手の甲に浮かび上がるセスリーンの紋章は直ぐに俺とセスリーンだけの魔法を作り上げる。

 

 

 

「エクスカリバー!」

 

 

「グゥ…!?」

 

 

 

ネメシスの脊髄に目掛けてエクスカリバーを振るい、血に染まって汚れた状態にて物理的ダメージを加える。 守りの浅い背首に強烈な斬撃が入り、ネメシスは血飛沫をあげた。

 

 

「ッッ!! 小童ガァァ!」

 

 

血飛沫をあげながらもネメシスは倒れそうになる体を踏ん張り、フォドラの大地を軋ませながらこちらに振り向くとその大腕を振り下ろして叩き潰そうとする。 それはとても原始的であり、まだ残っているネメシスの拳が俺に襲い掛かるが…

 

体に染み込ませたCQCにそれは…

 

 

 

「無意味だな」

 

 

「!?」

 

 

 

エクスカリバーが纏うアサメイの短剣を投げ捨てながら両腕をクロスしてネメシスの拳を受け止めると、片腕ずつ滑らかに動かしながらその拳の力を上手く流し、力の反動を活かしてネメシスの喉元に一撃。

 

怯んだネメシスに俺は手を伸ばして、首を掴むと握力で握りつぶす。 強引に空気が抜かれたような声を漏らすネメシスの体を引き、思いっきり頭突きを入れる。

 

 

「ガッ…は…」

 

 

頭骨をへし折るような一撃。

 

頭突きをお見舞いしたこちらも痛いが、それは食いしばった時に力が全身に行き渡る。

 

こちらもフォドラの大地を踏み締めてサマーソルトでネメシスの顎を蹴り砕いた。

 

蹴り上げられた衝撃で大地から足が離れ、宙に浮き上がるネメシス。

 

投げ捨てたアサメイの短剣はエクスカリバーの効果を薄め、元の形に戻ろうとする中、一人の人間がそれを掴む。

 

 

 

それはイエリッツァ。

 

 

 

 

ラミーヌの紋章で『もう一度』を放ち、エクスカリバーは息を吹き替えす。 セスリーンの慈悲にて生きたイエリッツァはその力を大いに発揮し、エクスカリバーはネメシスの背首を貫く。

 

 

「ガァァァ!!」

 

 

 

「リザイア!! そしてリブロー!!」

 

 

 

イエリッツァが握るエクスカリバーにリザイアに放ち、リブローの遠距離魔法でその効果を更に届かせて繋げる。 するとエクスカリバーの刃はリブローの効果で力を保たせ、リザイアの効果でエクスカリバーの刃は俺の手元まで伸びた。

 

それを握りしめるとセスリーンの紋章を最大限に発揮する。

 

これまでにない程光り輝くエクスカリバー。

 

目に見えなかった十傑との繋がりが打ち消されてしまい、そして十傑との"共有"を断ち切る。

 

それをネメシスの防御力を皆無にするものだった。

 

 

 

 

「エーデルガルトォォォォオ!!」

 

 

 

 

俺は叫び、彼女は叫ぶ。

 

 

 

 

「はぁぁぁぁあ!!!」

 

 

 

 

俺とイエリッツァが繋ぎ合うエクスカリバー(光の刃)で動きを捉われている解放王に一つの【狂嵐】が襲い掛かる。

 

 

 

 

 

「アイムール!!」

 

 

 

 

フォドラの大地を砕くような一撃がネメシスにふるい落とされ、解放王の歴史を砕いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待って、いた…」

 

 

 

 

「「「「!!!」」」」

 

 

 

 

死んだ者の声が聞こえる。

 

 

 

 

 

「凶星、だけでも、仇を、報復を、終わりなき、自由の死を、貴様だけ、は!!」

 

 

 

 

「ミュソン!!?」

 

 

 

アイムールにて粉砕されたはずのミュソンだが、バラバラになった手と頭だけが俺達を捉えている。

 

 

 

「ザラスの禁呪よ! その顎を、開くが良い! アッハッハッハッハ!!!!!!」

 

 

 

狂ったように笑い、役目を終えたのかミュソンは徐々に砂になって行く。

 

 

 

 

「っ! レスキュー!!」

 

 

 

状況判断が早いリシテアは救出を行う。

 

しかしザラスの禁呪は魔法を受け付けない。

 

唯一ザラスの禁呪から一番遠くに離れていたイエリッツァだけがレスキューに引っかかる。

 

 

 

 

だが…

 

 

 

 

俺とエーデルガルトだけはレスキューの効果範囲に入らず。

 

 

 

「ミュソン!あなたは!」

 

 

「最高傑作が、人の子に、成り落ちる、なら、貴様は、それ…ま……で、だ、フレ、ス……ベル……ク、の……」

 

 

 

 

完全に朽ち、灰になって消えたミュソン。

 

 

しかしザラスの禁呪は止まらない。

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

俺は飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

「エーデルガルト!」

「ユークリッドさん!!」

 

 

 

 

二人の声はすでに届かない場所へ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソゲーかよ!!」

 

 

 

見えない世界で足踏みをする。

 

しかしマジか…

 

あいつ禁呪を持ってやがったのか。

 

ソロンだけかと思ったがそうでは無かったらしい。

 

あと頭と手が動くあたりタレスも同じような事をやっていた。

 

そのあたりまでは力を共有していたらしい。

 

やられた…

 

 

 

「ここは?」

 

 

「ようこそ、永遠の引き篭りが楽しめる出口のない世界に。 死んでも出られない場所らしい」

 

 

「!!」

 

 

「ちなみに外とは隔離された世界だ。 例えフォドラの世界が巻き戻されても俺たちは今フォドラの時の縁に認知されない存在故、戻ることはないと思う」

 

 

「なっ……そ、そんなことって!?」

 

 

今の説明だけでその理不尽さを理解したエーデルガルト。

 

しかしそれに反応してやれるほど…

 

 

 

「………っ、ダメだ、正直限界だな…」

 

 

「ユークリッド!」

 

 

 

魔力を使いすぎだ。

 

俺は冷たい床に倒れる。

 

体の重さに苦笑いする。

 

しかしエーデルガルトも戦いに疲れたのか、倒れた俺の側でへたり込み、アイムールを落として、項垂れる。

 

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

「………言ったろ、フォドラの暁風は残酷だって」

 

 

 

 

呆れたように、もうこの人生で何度も言い放った言葉で完結させる。

 

いや、自分を諦めさせると言ったほうが正しいか。

 

 

 

「………なんで、こうも容易く、苦しまなければならない? あなたも、わたしも」

 

 

「………わからない。 でもそれがフォドラに流れる時の縁であり、ユークリッドって名前の人と、エーデルガルトって名前の人は、それだけ苦しまなければならないとダメらしい」

 

 

「ふざけないで!!!」

 

 

「…」

 

 

「ふざけないで!! ふざけないで!! ふざけないで!ふざけないで!ふざけないでよ! ふざけないでよ!」

 

 

「…」

 

 

「ふざけ…ないで、よ。 なんで、よ。 わたしは、なんで、こんなにも…どうして」

 

 

「…」

 

 

「どうしてなの? ねぇ、どうしてなの? たたかいにもまけて、せんそうにもまけて、じんせいにもまけて、いきかたにもまけて、うんめいにもまけて、それで、ふぉどらにもまけて、ざんこくにもまけて、まけて、これが、えーでるがると、って、ことなの?」

 

 

「…」

 

 

「……ふ、ふふ」

 

 

「…」

 

 

「あ、あはは、はは」

 

 

「…」

 

 

「ははは、はは…は…ぁ」

 

 

「…」

 

 

「ぁ……ぅ、ぅ」

 

 

「…」

 

 

「……なん、で」

 

 

「…」

 

 

「どう、して…」

 

 

「…」

 

 

「ぅ、ぅぅ…ぐっ、ぅぅ…」

 

 

「…」

 

 

「ぅぅ、ぅぅうっ…」

 

 

「…」

 

 

「ッッ!」

 

 

「…」

 

 

 

「うああああああああ!!!」

 

 

「…」

 

 

 

ココは、人の心を不安にさせる。

 

 

拠りどころが無いから。

 

 

だから彼女は耐えれなかった。

 

 

 

いや、むしろ涙を流さず耐えてきた。

 

どんなに苦しい痛みにも、闇にも、時代にも、世界にも、運命にも、20年間を耐えてきた。

 

 

でも、人間には限界はある。

 

 

例え覇王を背負っても限界はある。

 

 

だからフォドラのエーデルガルトは、フォドラから離されたから、とうとう普通の"少女"に戻ってしまったから、彼女は泣く。

 

 

 

「うあああああん! ぅぅ、うあ"あ"あ"あん、ぅぅ、っ、ひっく、っ」

 

 

 

「…」

 

 

 

俺は起き上がり、涙を流す彼女の頭を撫でる。

 

涙はどこまでも溢れる。

 

今まで堰き止めていたから、大量に流れる。

 

しばらく、こうしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「情けないところを見せたわね…」

 

 

「気にすんな。 俺の代わりにめちゃくちゃ泣いてくれたから俺もは泣かないで済んだ」

 

 

「あなたは泣きそうに無いけどね?」

 

 

「いやいや、俺も泣くって。 人間だぞ?」

 

 

「だとしても、あのエクスカリバーを素手で掴む人間なんて、さすがにどうかしてるわ」

 

 

「自分の魔法なんだから安全に触れることが出来て当然だ」

 

 

「いや、そんなものかしら…?」

 

 

 

彼女は少しだけ元気を取り戻した…訳でも無い、やはり空元気だ。

 

だから会話はそこで止まる。

 

 

 

「…」

 

「…」

 

 

 

何もない世界。

 

 

本当に何も無い。

 

 

互いに姿が見えるだけだ。

 

 

 

「なぁ、エーデルガルトって兄弟姉妹はいるんだよな?」

 

 

「?……ええ、そうね。 兄弟姉妹は、居たわね…」

 

 

「過去形……それは実験の果てにか?」

 

 

「!!……知ってるのね。 いや、判断材料があったと言うべきかしら? 旅の過程も兼ねて」

 

 

「エーデルガルトの予想通りシャンバラでそれは知ったよ。 なかなかに……酷い」

 

 

「……紋章で、人の存在価値と、優越を決めるから、こんなことになるのよ」

 

 

「それは確かにそうだな。 紋章は正当化のために力を大いに発揮するからな。 だから対抗手段の無い者は簡単に苦しむ」

 

 

「……それで、なんで私の兄弟姉妹を聞いたのかしら?」

 

 

「あー、そうだな。 ええと、君の姉妹に野菜が好きな子は居る? 例えば茹でたニンジンとか」

 

 

「え?」

 

 

「まぁまぁ、答えてよ。 それで、いる?」

 

 

「………そうね、いるわね」

 

 

「なら、すごく頭が良い…いや、そうだな。 言い方を変えるなら理解力が高くて、行動力もある子は居る?」

 

 

「!!………ええ、居たわ。 とても頭の良い妹が居たわ。 でも最後に聞いたのは、理解できない言葉を話す妹だった……それからあの後、何処かに連れて行かれて……ってなんで私、この話をあなたに?」

 

 

「ああ、ごめん。 嫌な話をさせたな。 でも再確認になって、確信にもなったから告げてくれてよかった。 さてエーデルガルト、お前の姉妹に一人生きてる奴がいる」

 

 

「っ!?? …ど、どこ? …ねぇ!? どこにいるの!? ねぇ! そ、その子は誰!? リヒト? もしかしてクレーヴェ? もしかしてアハト? 誰? 誰なの!?」

 

 

「"マンディ"」

 

 

 

何もない世界にその名前が静かに広がる。

 

 

しばらくの沈黙。

 

 

そして…

 

 

 

「い、いや、誰?」

 

 

 

だから一周回って彼女は冷静になる。

 

さっきまで兄弟姉妹の安否に焦っていた彼女の落ち着き方に俺は吹き出しながら「悪い悪い」と先に謝りながら答える。

 

 

「俺が仮名で付けたんだよ。 出会ったのが月曜日だからな。 でもその子は人の言葉が喋れない。 何故なら人間じゃないから」

 

 

「っ、もしかして…化け__」

 

 

「天馬になった」

 

 

「………は?」

 

 

「天馬だよ。 羽の生えた馬だよ、分かる? それでその天馬は今俺を乗せて旅をしている」

 

 

「……え? あ、あなたと旅……してる、天馬??」

 

 

「おう。 いるだろ?」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「ぇ、っ!? えええええええ!!!??」

 

 

「うるさい。 ただでさえ何もない空間なんだから喧しいわ」

 

 

「え、嘘…え? いや、え? わ、わたし、士官学校で、あの…え?」

 

 

「あー、確かに数ヶ月だけど俺がガルグ=マクに滞在する頃にだマンディは居たな。 もちろんレアさんから士官学校の馬小屋借りる事の許可を得て、それでその馬小屋でマンディの面倒を見ることも許してくれたし……うん、エーデルガルトと近いところにいたな。 はい、今明かされる衝撃の事実」

 

 

「…」

 

 

 

開いた口が塞がらないとはこの事だろう。

 

しかしあの頃はジェラルトが狙われていたり、ルミール村の件や西方協会とか、色々とピリピリしていたし、エーデルガルトも落ち着かない時期だったから馬小屋まで目が向くかと言うと、むしろそうじゃないかもしれない。

 

本当に運悪く、そして運良く近くに居た。

 

 

 

「……うそ、私の認知力低くない?」

 

 

「やーい、へっぽこ。 この時点でお前に覇王は無理だったな」

 

 

「うるさい!!」

 

 

「うるさい、耳元響くだろ。 ……で、旅していて、フォドラに戻ってきて、闇うごのシャンバラでマンディがフレスベルク家の兄弟姉妹であることを知った感じ。 その後はエーデルガルトを止めようと意気込んでここまでマンディと協力した感じだ」

 

 

「……そう、そうなのね。 いまも生きてる、のね。 全員死んだと思っていた私の姉妹が、一人、生きていた……っ」

 

 

「ああ。 天馬になっても、シャンバラから逃げて、フォドラを飛び回り、なんとかして生きていた」

 

 

 

本当にあの場所から良く逃げた。

 

 

エーデルガルトの姉妹だけあって、強く生きる力は血に流れていたのだろう。

 

 

 

「っ…ありがとう」

 

 

「?」

 

 

「ありがとう、ユークリッド。 ありがとう、本当に、ありがとう」

 

 

「……礼は、良いって」

 

 

「ううん。 それでもありがとう。 私の妹を、血の繋がった家族を、助けてくれて」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「……エーデルガルト、ここを出たらマンディの背に乗って飛んで逃げるか?」

 

 

「……え?」

 

 

「俺はお前が嫌いで、殺したいと思うけど、死んで欲しいとは思わない。 同族嫌悪からくる同情とか増悪とか、俺の中に幼稚な感情ありしも、エーデルガルトは何かを成そうとフォドラの残酷を生きてきた人間だ。 ある意味俺と似た仲間だ。 だから惨たらしく這いつくばってでも生きてくれたら、まぁそれはそれで嬉しいと思う俺もいる。 マンディで逃げるかは冗談だとしてな」

 

 

「!! ふふっ……何よそれ。 私に対してつぎはぎだらけじゃない」

 

 

「俺はエーデルガルトの情けなさを殺したいほどに怒りを持っているだけで、お前自身に死んで欲しいと思うのは少しばかし違うからな? だから、どうにでもなれ」

 

 

「!」

 

 

「フォドラの暁風はイタズラ好き。 残酷でも、やはりイタズラ好き。 最後が残酷でも、過程で何かを成したいで沢山を抱き、フォドラの大地を踏み締めるなら、俺はそう言う人がいる事に嬉しさを持つ。 例えエーデルガルトが再び覇王を目指そうが、雨水を啜って静かに過ぎ()こうが、フォドラの暁風がイタズラに、君を生かすさ」

 

 

「……」

 

 

「さぁ……ココを出るぞ」

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

何も無い空間。

 

 

 

だけど、まだ繋がりはある。

 

 

 

手元に薄らと"干渉"する光が。

 

 

 

闇に負けぬエクスカリバーは、生きている。

 

 

 

それを確認しながら背負ってきたとある武器を取り出して、力を込める。

 

 

 

「そ、それ、どこに繋がって?」

 

 

「飲み込まれる寸前、イエリッツァと引っ張り合ってるエクスカリバーをマジックシールドで拡散しない様に保護したんだ。 ザラスの禁呪の中で魔法が使えるか分からない一か八かの試しだったが流石セスリーンの紋章、信仰の魔法が闇の魔法に勝った。 しかしここに来てエクスカリバーは途絶えた…ように見えたが温もりはまだ残っていて、必死に外から繋ぎ止められていた。 多分、外の皆んながこのエクスカリバーを掴んでくれている」

 

 

「!」

 

 

「でもまだこれを辿る力は足りない。 もっとセスリーンの紋章よりも協力なモノが必要だけど、しかしもう大丈夫だ」

 

 

「?」

 

 

「エーデルガルト、セスリーンの紋章の本質を知ってるか?」

 

 

「本質?」

 

 

「紋章は主に個性から来ると言うが…まぁ、ここの説明は良いとして、まずセスリーンってのは人の傷口を開き、そして癒す。 そんな俺はセスリーンの紋章を通してエーデルガルトの傷口を見せて貰った。 ポニーテールを揺らすエーデルガルトの頭に触れて、そしてより深く、君を理解し、そしてセスリーンの力にて干渉した。 あとは物理的に取り込むだけ。 ……うん、しょっぱいな」

 

 

「え?」

 

 

「知ってるか? 人の涙ってのは透明だけど、赤色に着色させてるヘモグロビンを取り除いただけで、実は血に変わりない」

 

 

「なっ…!!まさか!」

 

 

「俺はセスリーンの血を得て紋章を得た。 そして杯を交わし力を得た。 それができるのは俺が特別だから。 この世に無い魂だから。 肉体はフォドラでもこの意思と魂は別枠に生きていた生命。 そう【俺】って存在はフォドラじゃない。 認知して、一人歩きだってする。 だからむしろ、見ているから、なんだって受け止めやすく、眷属の血を得たことでそれこそ、残酷も、運命も、紋章も、天刻も、時の縁も、誰よりも深く…」

 

 

「!」

 

 

 

 

髪の色が、薄く染まる。

 

 

 

余計なモノが俺に覆いかぶさる。

 

 

 

でも、力は溢れる。

 

 

 

しかし何故こうしてるのかわからない。

 

 

 

でも、こうしたほうが正しい。

 

 

 

それが今なんとなくわかる。

 

 

 

だから、よくある物語の様に振るおう。

 

 

 

利き手にセスリーンの紋章を…

 

 

 

もう片方の手に【炎の紋章】を…

 

 

 

湧き上がる最大の物語(FE)を力に乗せて…

 

 

 

叫んだ。

 

 

 

 

 

「エクスカリバーァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の刃 が 世界の闇 を 裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 




少女をしないエーデルガルトを書くの難しい。


あと今更ですが、脳みそが死んでる夜中の時間に一気に1話を書き殴るスタイルなので変な文があったり、複線回収が甘かったらするけど、ノリと勢いを言い訳にしてるので許してくださいなんでもしますから。



あと何といか、ネメシス戦は最初ユークリッドとエーデルガルトの二人で、2ターン後にイエリッツァとリシテアの増援が来る感じで、ネメシスをイエリッツァと挟む形でマスを取り、トライアングルアタック的な感じにイベントが始まり、エーデルガルトかリシテアで詰める感じなのがFEらしさがあって好き。 てかそんなイメージでした。



あと最終話は近いね。

しかしなんだかんだで一年書いてるのか。


ではまた
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