こちらは《 後編 》です。
その前に 前編 がありますので…
後編を読んでない方はまずはそちらから読んでね。
オノレ…
ワガイケニエドモヲ…
ヨクモ……
「ふっ…
クッ、血が騒ぐぜ!!必殺!! ブルーフレイム!!」
グアアア!
グフッ…
ヨクモ…!
ダガニンゲン オボエテオケ!
ソノイヤシイ ココロガ アルカギリ
タテハ ウシナワレ ワレラハ チノソコカラ
ヨミガエッテ クルダロウ!
ソノコトヲ…
ワ・ス・レ・ル・ナ……!!
こうして、一つの闇が払われる。
しかし払われた闇はまた何処かで集う。
その闇は人から生み出される。
だが人はどこかでその闇を見つける。
その度に人がまた打ち払うだろう。
それが例え2000年先の未来でも…
人はキズナを信じて戦うだろう。
_新・紋章の謎 《終焉》
…
…
はいカットー!!
「「「ふぅぅ…」」」
緊張が解かれたように皆は力を抜く。
その間を通って、とある人に声をかける。
「いやー、唐突な練習の代役ありがとう。 まさか英雄の役をする剣士が熱出すとは思わなくてさ、少し困ってた」
「いやいや、お安い御用ですよ。 闇を侵略する光の隙間と木陰で暇をしてたので、助かりましたよ」
「いやいや!? それよりも今の劇でかなり脚色したよね、あんた!?」
「まぁまぁ、練習だから構わないって。 ちょうどあのアドリブで皆の緊張も解れたくらいだから助かった。 あと英雄の主人公と闇の竜の配置関係も遠目から確認できたし、上々だ」
「ふっ……この程度造作もない」
「はぁ……」
「ねぇねぇ、この後お茶しないかい?」
「え、ええと…」
「そうですね…」
「ああもう!あんたら自由すぎんのよ! ほら! まもなく女神からお呼びが掛かるのよ!! 二人とも道草は程々にそろそろ向かうわよ!」
「やれやれ、僕の出会いも容易くないなぁ…」
「フッ…また会おう、鮮明なる異次元の旅人よ」
「異次元? それはお前のじゃないのかな…?」
「フッ、さてな……では! 良き旅を!」
「さよなら! ポテチ美味かったわ!!」
「またね〜」
何かの手違いなのかわからないが、この世界にやってきた三人を見送って俺は天幕に戻る。
周りの様子を確認しながら仲間に声を掛ける。
しかしそれはほんの数人程度では無い。
大人に子供、そして赤子も含めて100人近い。
それもその筈。
フォドラで最大規模と言われている旅する演劇団だからだ。
そして俺事、ユークリッド・ラライヤはこの旅団を束ねる若き団長であり、平和になったフォドラに演劇を見せるために旅をしている。
とある人は「8年前の復活だ!」と言って喜び、熱烈なファンだったものはラライヤの名を聞いて驚き喜んでいた。
「ユークリッド団長はいるか?」
とあるこの領土の有力者が天幕に入ってくる。
「俺だ」
「そうか」
案内した者を天幕の外に出す。
俺と有力者の二人きりになると…
緊張感が解かれ、二人で抱きしめ合った。
「久しいなアケロン!!」
「いや〜、ユークちゃん、ほんとだよねぇ!」
「確か3年ぶりか? ここに来たのは2回目だが…いやぁ、あの頃よりもかなり発展したな? 漁業と商業が賑わって、更に外界に向けて貿易捗ってんな? パルミラ人もチラホラ見られるし」
「ほんとだよねぇ〜? 僕ちんもここまでやれるとは思わなんだ。 でも、発展させるのと同時に問題も増えるし、小領の者はなにかと問題を起こして面倒なんだよねぇ? 本当になんなのぉ?」
「お前がそれを言うか風見鶏」
「うっ……も、もう5年も前じゃないか、忘れてくれよなぁ? これでもこの口調は許された者しか知らなくて、外ではちゃんとしてんのよぉ?」
「そのイケメン面でその口調は面白すぎるけどな」
「僕ちんも正直辛いよぉ。 でも、そうして行くと決めたのは僕だからね。 僕は最後までこの覚悟と贖罪を背負って成していくよ。 ……見えるかい? あの塔を」
「ああ。 下にあるんだよな?」
「うん、あの時三人で埋めた物があそこにあるよ…」
「"風"になびく髪の毛は結束の意味で、"見"し忘れぬ爪の傷跡は記憶の意味で、"
「!!…あの塔の文字を解読したんだ。 その通りだよぉ。 覚悟と記憶と決意を知ってもらうために作ったんだ。 まぁ外界から来た人達は読めないし、仮に読めてもその意味が分からなくて首を傾げる。 けれと僕はあの形で置いておくんだ。 僕の意志の現れだからね」
「……アケロンしか知らない素敵な引き出しの中身だな」
「そうだよぉ? 茶葉の引き出しは自分だけのとっておきを隠しておくから美味しいんだ。 お酒と同じようにね」
「賢いな」
「だるぉぉ?」
「うざい」
懐かしいやり取りで俺たち思わず笑う。
もう、あれから5年も経ったのか。
家族を探し回っていた3年よりも長いのか…
「それじゃ、挨拶もできて僕ちんは満足したよん。 またね、ユークリッド」
そう言ってアケロンは天幕を出て、大きな街中に消えて行く。
すると入れ替わるようにとある女性が入ってきた。
「あなた、もうすぐご飯にしますよ?」
「お、おい! 身重だろ!? あ、あまり無理すんなよ…?」
「ふふっ、大丈夫ですよ。 せっかく天気良く晴れた秋空にあまり引きこもってると勿体ないですからね」
「……5年前と思えないセリフ」
「もう! ユーク様ぁ!!」
「あ、それも5年前…いや、8年前か?」
「ふふっ、冗談です。 けれど懐かしさに耽るにはまだ若いですよ? と、言ってもあなたはもうすぐお父さんになるんですね。 わたしもまもなくお腹の子のお母さんです」
「そうだな、俺とお前の子か。 ならしっかり産んで貰わないとな。 今年はこの街で冬を越すから体を休めて大事にしてくれ、ベルナデッタ」
「はい、ユークリッド………っ!? ぁ、ぁぁっ!!」
「ど、どうした!? ………ッ!? おいおい!? ま、まさか!!? 此処でか!?」
「お、お腹が…ぁ、ぁあ!!」
「ちょちょちょ!!? このタイミングでか!? あ"あ“あ"!! とりあえず!いそげぇええ!!!」
ポテチの袋をぶちまけながら近くの仲間に呼んで事態を知らせる。
普段見せない俺の焦りように仲間は集まり、そして仲間達が急いで街の助産師などを呼んだりと騒ぎは激しくなる。 俺は近くの天幕の布を剥がし、藁を引き、ベルナデッタを寝転ばせる。 慌てそうになる気持ちを何とか抑える。 演劇団は毛布やお湯を大量に早急に用意させたりともう練習どころではない。
そしてベルナデッタの手を握りしめる。
「ベルナデッタッ! ベルナデッタ!」
ああ!
どうか!
どうか……!!
彼女に力を……!!
__ええ、もちろんですわ。
「「!!?」」
俺とベルナデッタは聞こえた。
するとベルナデッタからはインデッハの紋章。
俺には体から消えたはずの"セスリーンの紋章"が共鳴する。
そして微かにもう一つ別の紋章も現れた…
それが何なのか分かるがしかし今はどうでも良い。
ベルナデッタは守られるように祝福される。
そして…
一つの生命がフォドラで生まれた。
「ぁ…ぁぁ……!!!」
「おめでとうございます!元気な赤ちゃんですよ!」
赤子の泣声と、仲間達の歓声が聞こえる。
…
…
ベルナデッタは涙を流しながら、俺とベルナデッタの赤ちゃんに喜び「可愛い女の子だね」と笑っていた。 俺もベルナデッタの手を握りしめながら赤子の泣き声に負けぬように泣き崩れ、今だけは団長であることを忘れていた。 人生でこれまでにないほどの疲労感と緊張感から解放されて 、フラつきながら立ち上がり、天幕を出ると仲間からは抱きしめられて大いに祝福される。 そしてベルナデッタは疲れて赤子と眠りだし、俺は外に出て一人になる。
もう夜だ。
昼ごはんは既に冷めているが、お腹よりも満たされる物でいっぱいだった。
「………セスリーン、ありがとうな」
___
……………声は聞こえない。
でも確かに俺にはあの時聞こえた。
消えた紋章と一緒に俺を助けてくれた。
彼女は女神として見守ってくれていたんだ。
俺にはそれがよくわかっていた。
「………」
フォドラの夜空を見て、思い出す。
8年前にこうして涙を流しながら夜空を見上げたものだ。
ヴァーリ伯の兵から逃げて、家族や仲間さら孤立して夜空を見上げて一人で泣いたあの夜から始まった。
フォドラの残酷が始まった。
今はもうあれから時が経ったのだと理解する。
けど、やはりこれだけは今も思う。
「……本当に…」
ほんとうに…
「フォドラの暁風はイタズラ好きだなぁ…」
この言葉にどれだけの想いが積もっているのか?
多分数え切れない数をこの言葉にして吐いてきた。
でもわかることはそこに残酷はなくて…
残酷を乗り越えた先の
【ファイアーエムブレム】をしていたんだ。
♢
「?…何かしら…」
「どうしましたか主人?」
「……いや、大したことはないわ。 ただ少し、体の紋章が…………いえ、やはりなんでもないわ、忘れて」
「??」
「それよりも、たまに主人って言う癖はどうにかならないのかしら?」
「これはご無礼を。 だが、少しだけですが、あの頃のような眼差しをフォドラにしてましたから、思い出しまして…つい」
「そう……」
「あ、エディー、ヒュー、此処にいたんだ。 ごはんするよー」
「ハピちゃーん! 早くお姉ちゃん達を呼んで! お昼ご飯が冷めちゃうよ!」
「やれやれ、数年たっても変わりませんな妹君は」
「それがあの子よ。 さぁ、行きましょう。 明日にはまた別のところに旅立つんだから」
「そうですね。 此処はいささか元気すぎてもう少し静かなところが良いものです。 しかし今でもこんなに世間が狭いとは思いませんでしたがね」
「本当よね。 息子に続いて親に出会うなんて、違う意味で嫌になるわ。 世話になってる身で言うのは失礼だけど」
「くっくっ、そうですな」
フレスベルクの少女は歩く。
まだ自分が少女であるか…
それともまだ覇王であるか…
それを確かめるためにこれからも三人で…
「……」
フレスベルクの少女は歩く。
時間が許す限り。
この炎の紋章とともに…
♢
おや?
何じゃ?
どうしたのじゃ?
…眠れない?
仕方ない、少し昔話でもするかのぉ。
む?
なんじゃお主、またこれを聞きたいのか?
やれやれ、あの小娘に似て物好きじゃのぉ。
さて、どこから話そうか…
そうじゃない。
これはとある世界線の物語じゃ。
本来はこんなことは大層ありえぬ話じゃよ。
しかしのぉ、時の縁をたどりて見出したのは一人の青年を交えて始まるフォドラの物語じゃった。
それが凶星だの、彗星だの、厄災から恐れられていたが、ただただ成すため生きてきた独裁者であり、独りよがりでもあり、一人の少女のためだけに現れたご都合主義でもあるものじゃ。
それはもう恐ろしいと思う。
しかし儂はこう思えなくもない。
もし、引きこもりなインデッハの小娘のために全てを投げ打ってでもフォドラを奔走する主人公がいたとする。
それが例え、紋章持ちだろうが、火葬のように燃え上がる中だろうが、そこに
それは、こんな"タイトル"かな…
「飛んで火に入るインデッハの火葬式」
かぁぁ!まったく…
変な見出しじゃわい。
何でこのような表紙にして書いたものか…
器を手に入れてフォドラに足を着けれた今、200年前に戻ってあの異端な小童に直接問い詰めたいくらいじゃわい。
はぁ、もっとマシのは無かったんかのぉ…
やれやれじゃな…
原初の女神すらも頭を悩ますような物語。
けれど、幾千、幾万の中で、一つか二つはそんな世界線があり得るかもしれない。
その世界で一人のキャラクターの
それもまた良い…と、一人のプレイヤーは物語の
そう…
まるで…
ゲームの ファイアーエムブレム のように…ね?