やはりこの世界は間違っている。   作:フラットテスト

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十四話

アオギリと戦って半年が過ぎた。そして、今昇任式が行われている。今回、亜門さんは上等捜査官になった。俺はまだ昇進した事が無いが年齢的にはそれが普通なのだ。やはり、あの人は凄い人だったのだと改めて感じる。

そして、鈴屋什造も二等捜査官になった。有馬特等の他にはこんなに早い昇進は無いらしい。ヤバイ奴にしか見えないが天才ってやつだろう。

数日後、亜門さんと久しぶりに夕食を共にする事になった。亜門さんは上等になって部下を持つこととなったらしいのだが......

「真戸上等の娘さんが新しい部下ですか」

「ああ、優秀だが俺は信頼されてないように感じる。篠原さんにアドバイスを貰いメシにも誘ったが断られた」

「ぷっ」

落ち込んでいる亜門さんが面白く少し吹き出してしまう。そのせいで少し睨まれてしまった。

「比企谷......」

「あっすいませ......ぷふっ」

イケメンがフラれるのはやっぱ面白いな。でも、そろそろマジで怒られそうなので深呼吸をする。すーはー。

「すいません。でも、心配する事無いのでは?実力や人格は申し分無いですし徐々に信頼してくれますよ」

「だと良いが......」

俺も教官だったからといえ最初から平塚上等を信頼出来ていたかは微妙だ。だが、捜査を共にしてきて信頼していたと言えるだろう。命の懸かる仕事だ、普通の仕事の何倍も信頼が必要になる。中途半端な信条や大したこと無い実力ではなかなか信頼出来ない。その点、亜門さんは信頼出来る人間だと言える。

そうして、互いの近況報告をして俺達は別れた。

 

✕ ✕ ✕

 

その後も俺は捜査をしていた。いつも通り、ではなかった。

「なぜ私とあなたの二人だけなのかしら」

「知らねぇよ、自分の姉に聞けよ」

「「はぁ」」

二人してため息が漏れる。なぜか俺は雪ノ下と二人で捜査をする事になっていた。

俺達が捜査しているのはアオギリの構成員だ。あの日俺達が戦った喰種は11区のアジトで見つかっていない。マスクで判断しているからマスクが紛失した可能性もあるし、見逃しているかも知れないが、生き延びた可能性があるという。そのため、俺や雪ノ下が捜査するのは分かる。直接戦っているからな。だが、なんで二人だけなんだよ!「私達はもっと良いの追うから頑張ってね」じゃないだろ!ウインクされたって俺の心は揺れないからな。不動の八幡だ。むしろ不働の八幡になるまである。そんな事を言えば隣の美少女に殺されそうだが......

「ここら辺が喰場の可能性がある所ね、自殺者が多くリスクが低い場所のようよ」

そうして俺達は物陰へと隠れた。こうしていると平塚上等との捜査を思い出す。

暫くすると喰種らしきやつがやってきた。あのマスクだ。間違いない、奴らは生きていた。あれから半年経つ、弟の方も怪我は治っているようだ。上等が重症を負うくらいだ。俺達二人だけではきついだろう。そう思い雪ノ下にアイコンタクトをしようとした。

その時

「誰かいるのか?」

気配を察されたのか?クインケをいつでも出せるよう、スイッチに指をかざす。

するともう一つ足音が聞こえてきた。

見たことの無い喰種だ。もしかしたらあの時の羽赫かも知れないという考えがよぎる。これでは勝機がほとんど無いだろう。しかし、逃げようにも逃げられない。すると姉の方がこちらに近づいて来てしまった。

頼む、こっちを見るな。

「鳩か!」

そんな願いは届かずすぐバレてしまう。俺はクインケを起動し、構える。

「雪ノ下!撤退を優先する。援護頼む」

「ええ、任せてちょうだい」

すると喰種も赫子を出す。弟の方も赫子を出して近づいてくる。もう一人は赫子を出さず後ろで見ている。そして、俺達は戦闘を始めた。どちらも強く二人相手ではすぐに限界が来そうだ。雪ノ下のQバレットでは相手をしきれないだろう。俺は防戦一方で押されていく。すると後ろからナイフが飛んできた。それは喰種の体に刺さる。クインケのようだ。

「姉さんから渡されていたのよ。万が一に備えてとか言われてね」

雪ノ下が持っていたようだ。違法では無いのかとかそんな事はどうでもいい。これで勝てるかも知れないとそう思った。

俺達は押されていた分押し返し、浅いが傷を付けられるようになる。

すると、後ろの喰種が動いた。羽赫だ。俺達は防御体制を取る。ルビーの様な赫子、あの時の羽赫だ。そして、それに混じって姉弟喰種の赫子の攻撃がくる。防ぎきれず、俺達のクインケは飛ばされ。羽赫を喰らってしまい跪く。

殺されるのだろう。平塚上等や真戸上等、両親の仇も討てず、大したこともしていない、そんなまま殺されてしまうのかと思った。最初に殺した喰種の声が聞こえる。狂いそうだ。今まで殺した喰種が蘇る。

俺は普通の人間だ。物語の主人公でも登場人物でもない。特別な力なんて与えられてなんか無いから、ここで強くなることもない。翼も生えないし武器も作り出せない。魔法も超能力も何もかもなく、拳で喰種と戦えるような力も持っていない。クインケを使うことでやっとの事で喰種と戦ってきたのだ。俺は物に頼っていただけだ。もうすぐ俺は赫子に貫かれるだろう。雪ノ下も殺されてしまう。そうはさせない。

「くっ、うう」

俺は立ち上がる。喰種達の声ももう聞こえない。俺が攻撃を受ければ雪ノ下は助かるかも知れない、と淡い希望を持ちながら雪ノ下の前に立つ。

「何を......やって......いるの」

「雪ノ下......逃げてくれ」

俺が喰らったところでどのくらい稼げるのだろう。神様がもしいるなら、こんな間違った世界を作った奴だろうがせめてこいつだけでも助けてほしい。

喰種の赫子がこちらへと向けられる。

「待って!お願い」

羽赫の喰種が叫ぶ。その声はとても優しい声だった。なぜ止めたのか俺にも分からない。

「何でだよ!コイツらはあたしらを殺そうとしたんだ!死んで当たり前だろ!」

「そうだ、仲間が何人も殺されてるっていうのに何でだよ!」

喰種からしたら最もだろう。俺が殺される理由は殺そうとしたから、当然だ。

「ここで殺したら仲間がもっと殺されるよ、恨みの怖さは二人も分かってるでしょ?向こうも同じだと思う。なんのためにここを確保したか忘れちゃった?」

諭すように優しく、それでも厳しく羽赫の喰種が言う。

その時、後ろから足音がした。

「雪乃ちゃん、比企谷君、大丈夫?」

雪ノ下上等と葉山だ。

「ほら早く逃げないと」

そうして喰種は逃げていった。姉弟の喰種はこちらを睨んでいた。マスク越しでも恨みの深さを感じた、

「あーあ、逃がしちゃったか」

「やっぱ無茶ですよ、二人だけなんて」

「そうよ、姉さんこの男と二人なんて危険だわ」

「なんか、違う意味混ざってませんかね?」

「あら、邪な考えがあるからそう感じるのでは無くて?」

そうして雪ノ下は胸もとを隠すようにする。

別にお前の胸は平塚上等と比べて隠れやすそうとか一緒に隠れる時余裕があるとか思ってねぇからな。

すると雪ノ下から睨まれる。この子もエスパーなの?

「二人とも怪我してるから見てもらって来てね。私達はまだ捜査してくるから」

そういって二人は去っていった。このタイミングでくるなんてあり得るのか?まさか、監視されてたり?案外有り得るのかも知れない。怖いので考えないよえにしよう。

あの喰種は俺達を殺そうとしなかった。諭していた台詞から察するに自殺者を喰って生活していたのだろう。喰種にも色々な奴がいるんだな。アカデミーで習った、ただ残酷な生き物だという事とのズレを感じる。

そう思っていると雪ノ下が話しかけてくる。

「あなたは何であの時立ち上がったの?」

「逃げるには立ってた方が速いだろ?」

「なら、何で私の前に立ったのよ逃げるなら後ろに行くべきでは無いの?」

「混乱してたんだよ」

「素直じゃないわね。でも、ありがとう私なんかのために......」

「そんなんじゃねぇよ」

なんだか物語の主人公のような事をしようとした自分が恥ずかしくなってくる。俺が主人公だったら今のコイツは......頭によぎったカタカナ四文字を否定するように首を振った。そんな事は有り得ないのだ。




原作で関われそうな所が無いと難しいです。そろそろ梟戦です。
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