やはりこの世界は間違っている。   作:フラットテスト

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二話

どこだ?どこへ行った。

「くそっ」

俺は今焦っている。俺は常に小町があの戦いで遺した唯一のもの、プラグを探している。

だが、明らかに2本足りない。元より4本なのだから、半分無くなっているのだ。気付かない筈もない。俺はあれをいつも机の横に置いている。昨日までは土、日と休みを貰っていた。金曜の帰り際に眺めた記憶があるから、無くなったのはこの二日間だ。サソリの前科があり、盗みそうなのは鈴屋だが最近は大人しい。そもそも盗まれたかも分からず、俺の不注意がもしれないので大事にしたくもない。

すると、電話が掛かってくる。

「こんな時に誰だ?」

電話の主を確認すると真戸二等だった。クインケが遂に完成したのだろうか?だが、そんな事よりも優先すべき事がある。しかし、鳴っているのが分かっていて出ないのも失礼だろう。取り敢えず電話に出てみる。

「もしもし、比企谷ですが」

「比企谷二等か。クインケが完成した。見てみるといい」

「そんな場合じゃないんだ。プラグが小町のクインケが」

クインケは後でも見れるだろう。それより、プラグが先だ。

「早くラボに来い。では」

聞いて無かったのかよ。これ行くしか無いやつじゃん。すまん小町、すぐに見つける。そう思いながら足早にラボへと向かった。

ラボに到着すると、真戸二等と地行博士がいた。

「比企谷君、遂に完成したよ」

そうしてクインケが運ばれてくる。

平塚上等の時と変わった事は見た目では良く分からない。厚くなったような感じはする。

よく見るとボタンがあった。

「このボタンは新しいギミックですか?」

「ああ、押してみたまえ」

真戸二等に言われ、ボタンを押す。

すると、コードのようなものが伸びてきた。

「なんだこれ、攻撃に使えそうでもないし」

「これとセットで使うものだからな」

そう言われて渡されたのは電化製品のプラグを大きくしたようなものだった。

てか、

「小町のプラグじゃねぇか!」

「サプライズだ。いつまでも眺めてないで使った方が妹も喜ぶと思うが」

ホントこの娘は父親に似てるな。

一緒に捜査していた頃の話だ。俺は真戸上等から試作のクインケを見て欲しいと頼まれた。その日は亜門さんも平塚上等も忙しいからと俺一人で行ったのだ。

そこには、銃型のクインケを持った、真戸上等がいた。そして、それを俺に向けて撃ってきたのだ。俺は死んだなと思ったが痛くない。死んだら痛みも感じないのかと自己完結していると、誕生日の歌が聞こえてきた。亜門さんと平塚上等だった。走馬灯かと思ったが、こんな経験はない。

比企谷誕生日おめでとうという声が聴こえた。そうか、今日は俺の誕生日か、と思いやっと気が付いた。真戸上等が撃ったのはクラッカーだと。誕生日のサプライズだそうだ。俺はその場にへたりこんでしまい、笑われてしまった。

後から聞けば真戸上等が考えたらしい。

真戸父娘はなんだかんだ優しいサプライズをしてくれるのだ。だから、これも優しさなんだろう。そう思うと、真戸上等の事を思い出してしまったことも合わさり、勝手に持ち出したことも怒れなかった。

「で、これはどう使う?」

使用方法を聞いてみる。

「このコードとプラグを繋げる。コンセントは喰種だ。弾の補充が出来る。喰種ならば、死んでいても使える」

悪趣味なギミックだな......父親は賞賛しそうだが。

「そもそも、この義手のクインケはサイズ的に弾数があまり多くなく、短期決戦にしか向かない。そこをカバーする為だから、短期決戦なら使わなくとも良い。いざと言う時はプラグをナイフ型の時の様に取り外して使えるようになっている」

なるほど。なかなか便利だな。これならいい感じに使えそうだ。

「ありがとう。これなら真戸上等も認めそうだな」

素直に言ってみるが、

「父なら、まだここが甘いだのあそこが甘いだのと言われそうだ」

確かにな。当然だがさすがに娘の方が良く分かっている。

「じゃあ」

そうして、新しいクインケを手に入れ俺はラボを後にした。

雪ノ下にも報告しておこうと思い、電話をかける。

「はい、雪ノ下です」

「比企谷だ」

「比企谷君?どうしたの?」

「新しいクインケが完成した」

「それは良かったわね。どうも、女性に頼んだみたいじゃない」

なんで空気が冷たくなっているのだろう。

「いや、それはほら知り合いに勧められたからで」

やべぇなんでか言い訳みたいに。

「そう、別に良いけれど」

「ホントに何もないからな?尊敬してる人の部下だから変な事をすると怒られちまう」

本当に怒ってくれたら良いんだけどな。

「あら、誰も変な事してるかなんて聞いてないのだけれど」

うっわやべぇめんどくせぇ。何とかして電話を切る理由

を探さねぇと。

「あ、性能試したいからもう切るわ」

そうして切った訳だが、良く考えたら性能なんていつでも試せる。切る理由になってないのではないか。不味い、怒ってそうだなー。くわばらくわばら。

まあ、一応試してみるか。いい感じの的はないかなー。そう言えば射撃訓練のとこがあった気がする。Qバレット用だろうが大丈夫だろうか?

俺は訓練所で左手を構える。

「ちょっと!何してるんですか!クインケ使用禁止ですよ!」

「はい、すいませんでした」

やっぱクインケはだめか。いい的になると思ったんだが。やっぱ実践じゃないとか。早く上司がつくとやりやすいんだがな。早く仕事しろよ。とは、言えない。局内でも、まだ梟戦の事後処理は続いていて混乱状態にあるのだから。

そう思っていると、近くの局員から連絡があった。俺の上司が決まったようだ。今まで聞いた事のない名前だ。その後すぐに会って話したが悪い人でも無さそうだ。

リハビリ感覚ではあるが、俺の通常の捜査が始まった。




上司はモブにしました。原作のどこかの班に入れるのも崩し過ぎかと思ったので。

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