やはりこの世界は間違っている。   作:フラットテスト

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三話

俺が新たな上司と共にした捜査は、大した喰種ではない。高くてB+だ。戦闘はすぐに終わってしまうし、集団の喰種相手でもないため、プラグを使う機会など無かった。

せっかく小町のも使って捜査をする気分であったのに期待外れであった。

そんな時に都合のいい報せが入った。モグラ叩きに参加しないか、という話だ。雪ノ下上等と捜査していた頃から雪ノ下班の参加の話がでていたが、話が出た頃に梟戦が決まったそうだ。そして、今回雪ノ下班で戦闘が可能な状態で残っている俺に声がかかったそうだ。

俺は参加しようと思い、上司に相談した。彼は反対をした訳ではないが、薦めるようでは無かった。部下を失うかも知れないのだから、おかしな反応でもない。だが、俺は行くといった。連携の訓練もするため、上司もついてくるようだ。

やっと、小町と戦える。小町だけじゃない、居なくなってしまった人達と共に戦える。そう思って本当に良いのだろうか。

喰種捜査官の戦う理由でも多いのが、殺された人のため、そしてこれから殺されるかも知れない誰かのため、だろう。俺には喰種を殺して、殺された人のためになるかは分からない。だから、きっとこれは俺のためだ。俺は、気付かないうちに喰種を恨んでいたんだ。喰種にだって家族や仲間がいる。でも、俺にだって、家族や仲間がいるんだ。多くの喰種は、俺の家族にも仲間にも関係ない奴だろう。だけど、もしかしたらという事がある。

だから、俺のために殺す、全部俺の責任だ。もう居ないやつや、親しいやつに押し付けるつもりは無い。俺だけが、俺のために戦うのだ。

 

✕ ✕ ✕

 

次の休日、俺は雪ノ下上等に報告に行った。モグラ叩きに参加するなんて言ったら自分も参加するなんて言って起きたりするんじゃないかとか下らない、願っても叶わない妄想を浮かべながら。

病室には、雪ノ下がいた。飾っている花を変えているようだ。こまめに取り替えているのだろう。取り替えた花の方も古いようにはみえない。

雪ノ下もこちらに気が付いたようだ。

「あら、比企谷君。珍しいわね」

「ああ、モグラ叩きに参加するのを報告しようかと思ってな」

「モグラ叩き、ね。姉さんが聞いたら羨ましがりそうね」

俺は先程の妄想を言いかけたがやめた。馬鹿な妄想は俺だけが持っていればいい。

「比企谷君、気を付けるのよ」

「お前がCCGに来るまで死ぬ気はねぇよ」

死ぬ気はない、死ぬために戦うやつなんていない。居なくなったやつに会うのはまだ先だ。

「そう、では私が行くのをやめればあなたは不死身ね。普通に生きてみようかしら」

「勘弁してくれよ。多分ゾンビみたいになるぞ。それ死んでね?」

「似合ってるんじゃないかしら。既になりかけてるかも」

「おい」

「ふふっ」

雪ノ下はそう楽しそうに笑った。

その後、俺は雪ノ下上等に報告を済ませた。結局妄想は妄想だった。

「それじゃあな。雪ノ下」

「ええ、また」

雪ノ下が小さく手を振っている。また、があるかは知らないが、俺は手を振り病室を後にした。

 

✕ ✕ ✕

 

そして、モグラ叩きの日がやって来た。周りは準特等や上等が多くいる。俺と同年代らしい者もいるが、将来は準特等以上になるような期待をされているのだろう。

俺は雪ノ下上等のお零れでここにいる。あまり、出しゃばるつもりもない。突っ込んで来たのを対処する程度で良いだろう。

そうして俺達は地下道を進んで行く。今出ている喰種は強くてAレートだろうか?こんな所にいる喰種にいちいちレートを付けるのも馬鹿らしい。すぐに殺されてしまうのだから。俺は後ろから援護射撃をしつつ進んでいた。そろそろ充電をしようと思い、プラグを喰種の死体に刺す。

「君?なにをやっているんだい?」

顔も知らないがベテランらしい捜査官のおじさんが問うてくる。このクインケのギミックを知らない人からすれば、当然の疑問と言える。何せ死体に攻撃しているようにしか見えない。

「このクインケのギミックで、羽赫の補給を喰種から行う事が出来るんですよ」

「なるほど面白いな。誰の発案だい?」

「真戸二等です」

「ああ、あの人の娘さんか、父娘でクインケマニアだなぁ」

どうやら彼は真戸上等の事も知っているようだ。

俺はプラグを抜いて立ち上がる。充電完了だ。

「では、私も少し狩ってくるよ」

俺が立ち上がるとその人は前方へと向かった。

暫くして、喰種の集団が現れたらしく、前の陣形が崩れ、こちらにも喰種が向かってくる。Sレートぐらいも居るのだろうか?有馬特等は、こんなミスはしないだろうから訓練のためにわざとやったのだろう。あの人は多分Sだ。だが、せっかくある程度強い喰種と戦えそうだ。感謝しなければ。なんか、Sの人に感謝って俺がMみたいで嫌だ......

俺に近か付こうとする喰種を撃ちつつ距離を詰められたら、オブシで防ぐ。周りの協力もありつつ、Aレート程の喰種を4体倒せた。しかし、周りの動きが凄すぎる。実力のある喰種相手に触れさせず確実に倒して行く。もし、俺ではなく葉山ならあそこまで出来ていたのだろう。

ある程度片付いたところで、俺達は地上に戻ることとなった。地上が近付くと気が抜けて、血の匂いが気になってくる。早くシャワーが浴びたい。

俺は局に戻りシャワーを浴びていた。今回の反省はクインケの切り替えだろう。接近された時の切り替えがまだ遅いために、他の捜査官の人から庇って貰う事が多かった。モグラ叩きは一回では無いそうだし、これから慣れていくしかないだろう。

そうして、俺は定期的にモグラ叩きに参加しながら普通に捜査もしていた。暫くして、真戸二等が一等捜査官になった。上等になったらなんて呼べばいいんだろう。

まどむす上等?真戸上等A?まあ、その時に決めれば良いだろう。そして、ある捜査官の指導を任されたようだ。佐々木琲世というそうだが、普通では無いらしい。

写真を見た限りでは変な髪の色だな、としか思えなかった。

時間が経ち佐々木琲世は驚くようなスピードで一等捜査官となった。俺抜かされてね?あっけねぇな。そして、恐れていた事が起きた。真戸一等が上等になっている。まどむすはアレなので、真戸上等Aにしよう。

そして、俺も誘われたQsがついに配備された。佐々木琲世が指導をするようだ。佐々木琲世は元人間で赫子を移植された半喰種だそうで、暴走した際はSSレート喰種として駆逐するらしい。Qsと半喰種は近いものを感じる。理にかなっているだろう。

そして、雪ノ下も入局した。もちろん首席だった。俺は雪ノ下のために取っておいた例の赫包をクインケにするため、真戸上等Aに頼みに行った、のだが......

「交換条件として、比企谷二等には佐々木とQsに協力してもらう」

なんですと......

「そちらの捜査もあるだろうからたまにで良い」

俺が出来ることなんて多分無いと思うが、アイツのクインケのためだ。

「分かった。何とかやってみる」

「助かる」

何だか母性が出てるな、と思いながら俺は真戸上等Aのもとを後にした。もう、真戸暁上等で良くね?

「待ちたまえ、比企谷二等。これは君のクインケか?」

そう呼び止められる。

「いや、新しく入った知り合いのやつだ」

「ならその人を連れて来てくれ」

俺は雪ノ下に電話をして、明日は空いている事を聞いた。明日は俺は要らないだろうから、二人で会えば良いだろう。

そう、思ったのだが......

「あなたも来なさい、比企谷君」

俺も行く事になったらしい。二日もまともな捜査してねえじゃん。いや、サボれる事を喜ぶべきか?......良く考えなくてもやらない分溜まる一方なんだよな。

少し憂鬱になりながらも俺は雪ノ下のクインケを作る為について行ったのだが、案の定俺は空気だった。いや、空気超大事だけどね?居なきゃみんな困るでしょ?

雪ノ下のクインケは俺のオブシと似ていた。剣道をやっていた経験から、刀型が扱いやすいらしい。完成するまでは支給されたクインケを使うそうだ。当然違う班で捜査をする。俺すぐに階級抜かされそうだな。アイツは間違いなく活躍するだろう。そして、流石に二日休むのは不味いと思い、戻って仕事をしようとすると、雪ノ下が呼び止める。

「比企谷君、お待たせ」

それは、彼女が喰種捜査官になったことだろう。

「ああ」

俺は右手を振りながら答えた。




琲世やクインクス達に絡ませたいと思いましたが、考えるのが難しくなりそうです。
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