やはりこの世界は間違っている。   作:フラットテスト

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五話

俺はある喫茶店に来ていた。少し前から気に入っている店だ。店の名前の読み方は分からんが、大して重要でもないだろう。

そういえばこの前のトルソーはアオギリと繋がっていたそうだ。アオギリは既に巨大な組織となっている。あそこには、トツカサイカや、あの羽赫の喰種と姉弟の喰種がいた。俺にとっても因縁がある。また、戦う事にもなるかもしれない。その時は誰が奪われるのだろう。

......違う。そうならないようにするんだ。今度こそ。

そんな事を考えていると、カップから湯気が既に昇っていない事に気付く。

すると、誰かが店に入ってきたようだ。

騒がしいな。そう思いちらと見ると佐々木一等とQsだった。お店ではもう少し静かにしてくれよ。

すると、佐々木一等の動きが止まった。念が通じたのか?俺って超能力者?な訳もない。

あの店員を見て止まったのか。もしや一目惚れか?確かに美人だなとは思う。

青春しやがって、リア充爆発しろ。

心の中で唱えながら一気にコーヒーを飲み干した。佐々木一等が来るよりも前に湯気が消えていたため、猫舌の俺も火傷する事はなかった。

まあ、誰が誰を好きになるかなんていちいち揶揄うのは、ジュニア生までだ。俺はそんな事する相手が居なかったが。

彼等は俺には気付いていないようだ。俺はステルス機能でも付いているらしい。

すると、男の店員が佐々木一等の隣りにどかっと座った。何をするかと思えば、注文を取りに来たようだ。

あの人、無口過ぎて前から来てる俺も恐い。何者なんだろうか。いや、店員なのは分かってるけどね?

コーヒーも飲んだし帰るとしよう。佐々木一等は、ウザイ絡み方をするタイプでは無さそうだが、わざわざ関わる必要もあるまい。

そうして、俺は喫茶店を後にした。

暫くして、佐々木一等から連絡があった。

「一緒に女になって下さい」

と。

最初は意味が分からなかったが、説明を聞いて理解した。

どうやら、佐々木一等達が捜査をしている、ナッツクラッカーと言う喰種は喰種達の間で行われる、人間オークションに出品する商品を探しているようだ。そして、その商品は10代から20代の女性らしい。ナッツクラッカーはクラブで品定めをしていて、そこで囮捜査をするそうだ。その為の女装らしい。

当然女装などした事はない。断ろうとすると、女装の用意は向こうですると言われた。逃げ道を探っても塞がれる。どうやらYESしか選べないようだ。どこの王様だよ。

そして、俺はシャトーに行く事になった。

シャトーに着くと、美人さんが出迎えてくれた。

しかし、残念な事にこれは佐々木一等らしい。なんでこんなに美人なんだよ。

「じゃあ始めるわよ」

コイツ、喋り方から入ってやがる。

そうして、俺はメイクをされた。

と言うか、目のとこ弄り過ぎだろ。なんでイマイチ納得していないような顔で目をいじり続けるんだよ。そんなに俺の目は酷いのか?

そして、最終的に伊達眼鏡で解決した。メイクじゃダメだったかー。

「よし、はっちゃんも完成ね」

俺は八刀流じゃねえよ。

鏡を見ればそこそこ整った顔の女性がいた。これが......私?試しに眼鏡を外すと一気に残念になった。マジかよ。俺が現実に打ちひしがれていると、佐々木一等が出発の号令を出した。

移動中はQs達とも話した。あの不良っぽいのは不知吟士と言うらしい。赫子は羽赫だそうで、今はQs班の班長らしい。

そして、この前のトルソーの時にいた、眼帯をしている子は、六月透と言うらしい。まだ、赫子は出せていないそうだ。

この前、居なかったこの丸っこいのは米林才子と言うらしい。オタク趣味らしく、結構話が合うかもしれない。

今は居ないが、もう1人瓜江久生というQsが居るらしく、アカデミー首席で優秀だったようだ。

それにしても、六月という子は女装が似合うが、不知はなぁ......無理あるだろこれ。

そして、クラブへと着いた。

クラブには俺は行った事がなく、人の多さや騒がしさに気分が悪くなってくる。

もう帰って良いのだろうか。まあ、無理だろうな。真戸暁上等に知られると面倒だ。いい性格してそうだし。

すると、ナッツクラッカーが一般の人を誘い始めた。そこを観察していると、佐々木一等と不知が話し始める。

米林の事のようだ。

米林は望んでQsになった訳では無く、親に勝手にやらされたようだ。そもそも、捜査官になる気も無かったようで、勝手な親も居るもんだと思った。

俺は親が小さい頃に居なくなっているから、親なんてどんなものかを良く知らないが、少なくとも俺の親が生きていたら、そういった人間では無かったと思いたい。

全てを親の都合で決められるのは御免だ。

そういえば、雪ノ下も似たような境遇だったと思う。親の決めた道しか選べないで親の勝手で決められているのだから。

ただ、雪ノ下は喰種捜査官にやり甲斐を感じてはいるようだ。そこは大きな違いだろう、

俺は別に喰種捜査官しか選択が無かった訳ではない。誰かに縛られている訳ではない。ただ、他の道もよく分からずに続けているだけだ。彼女達に選択権があったら彼女達はどんな選択をしていたのだろうか。

そう思いながらぼうっとしていると、笑い声が聞こえる。

その方向を見ると、六月がナッツクラッカーと接触していた。大胆だな、酔ってんのか?未成年じゃないっけ?

米林が言うにはマジで飲んだっぽい。大丈夫かよ、公務員。

警戒されないか心配だったが、六月が胸を張って戻ってきた。成功したらしい。

なかなかやるなと思うのと同時に、俺要らなくね?と思ってしまった。

六月は勝利の舞を踊るらしい。まだ、これからだろうに......

米林も何故か踊り始めるし......

それを見ていると米林が俺を呼ぶ。

「ゾンビズアイの人もカモーン」

失礼の呼び方だな。

「俺は踊らないぞ」

「ノリが悪いと友達出来んぞ?ゾンビさん」

「余計なお世話だ」

そうして、俺は壁にずっと寄りかかっていた。ふと、佐々木一等を見ると、まるで聖母子像のマリア様のような顔でQs達を見ていた。何を考えているのだろう。

ところで、もう帰っていい?

少しして、俺達は帰る事となった。目標は達成した。俺はなんにもして無いが佐々木一等にはお礼を言われた。なんにもしてないのでお礼を言われるのは変な感じだ。

ついでに、米林とはフレンドコードを交換した。

今回の作戦結果により、オークションに突入する事になるかも知れない。

今度も、何も失いたく無いと思っているが、いつもの事だ。きっと、俺の決意には何の力もない。




次はオークション戦に入ると思います。
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