捜査ゲートをくぐり、すぐに平塚上等のデスクへ向かった。随分と素直に行くじゃないかって?初日ので学んだんだ、奴からは逃げられぬと。部屋に入るとすぐに平塚上等が話しかけてきた。
「比企谷、お前が戦闘馴れするのにちょうど良い喰種が見つかったぞ。ラッキーだな」
マジかよ......早すぎだろ。デスクワークするふりして、睡眠しようと思ってたのに......この人の前だと無理だろうなー。講義中眠れた試しがない。
「レートはB-の尾赫だよ、先輩の上等がな、新人を馴れさせるのに使うと良いと譲ってくれたよ」
譲ってくれるなんて事もあるのか。大抵は自分の功績を優先するもんだと思ってたんだが。......ということは大体の場所とか分かってるからすぐに戦闘に行くんだろうか?
「比企谷、準備運動をしておけ」
やっぱりかよ......
「いきなり戦うなんて大丈夫ですかね?めっちゃ怖いんですけど......」
「安心したまえ、危なくなったらすぐに助ける。相性も良いしすぐに対応出来る羽赫を持っていくしな」
これからこの仕事をしていく以上心配してもキリがない気がするし、やるしか無いんだろうなぁ。やだなぁ。怖いなぁ。
「オブシをもう一本やろう。この方が良いだろう。」
そして二本になった手元のオブシを見る。やはり二本でもこの短さがものすごい不安だ。
「オブシは三本とも性能を少し変えてある。最初に渡したのは固さ重視、今渡したのは軽さ重視、もう一本はギミックがあるが慣れないと難しいだろうな」
最後の一本のギミックが気になるが恐らく俺にはまだ扱えないだろう。かっけえよなーギミックって。
「では、早く準備体操をしたまえ、三分間だけ待ってやる」
この仕事してたらジブリ祭り見れないだろうな、とか思いながら準備体操を始めた。
✕ ✕ ✕
「よし準備体操も終わっただろ?行くぞ」
まだ首を回して無いです、とは言えず俺は支度をする。移動中に首回したら変な目で見られないかな?あ、俺を見るやつ居ねえじゃんと脳内で下らない事を考えながら平塚上等に着いていった。首を回しながら。
「あれ?」
「ん、どうした比企谷?」
平塚上等は持つべき物を持っていなかった。誰だお前もだろって思った奴、友達は必ずしも持つべきものじゃねえぞ!
「クインケはどうしたんです?」
平塚上等は手ぶらで服にもクインケを忍ばせている様子は無かった。
「ああ、私のクインケはこれだよ」
そう言って平塚上等は自身の左腕を指差した。
「私がなぜアカデミーの教官をやっていたと思う?」
「怪我の療養ついでとは聞きましたが......」
まさか......俺の表情で察したのか平塚上等は頷いた。
「私の腕は喰種に落とされてね。普段は義手なんだが今回はクインケを着けてみたんだよ。少し前に完成してね」
平塚上等が義手だった事に全く気付かなかった。というか義手の武器とかカッコよすぎでしょ。自分で言い出したのかな?言い出したんだろうなぁ......
「だから手ぶらという訳ではないから安心しなさい」
「なら良いですよ。カッコイイすね」
「そうだろ?」
やっぱこの人の笑顔は少年だろ。
✕ ✕ ✕
そして俺達はその喰種の出没するという場所に到着した。
「ここが奴の喰場のようだな。ここに女を誘って喰っているらしい。二週に一回のペースらしいが、今日がその日に当たるらしい」
ナンパ野郎の喰種かよ。やる気出てきた気がする。
「比企谷、待ち伏せするぞ」
こうして俺は大人な女性(中身は少年)と息を潜めて隠れる事になった。声は女性なのでドキがムネムネする。
「ここに何があるのー?」
甘ったるい女性の声がする。今回の喰種のターゲットだろう。
「ああ、良いもんがあるんだ」
喰種らしき声も聞こえる。
「比企谷、喰種と確認出来たら私が喰種を撃つ。奴が動揺しているすきに女性を喰種から離して喰種と戦え」
「はい」
小声で打ち合わせわ済ませると彼らの動きを用心深く見る。
「こんな良いものが有るんだよぉ!」
男に赫眼が現れ赫子が生えてくる。途端に平塚上等の左腕から弾が放たれ、喰種に辺り奴は仰け反る。女性の叫び声も響くなか俺は飛び出して女性を後ろに下がらせつつクインケを構える。
「早く逃げて下さい!」
女性に声を掛けつつ喰種を警戒する。平塚上等は俺の後ろに回り女性を気にしながらも左腕を喰種に向ける。
「なんだテメェらは!人の食事邪魔しやがって死ねよぉぉぉぉ!!」
喰種の赫子がこちらに飛んでくる。単純なので弾きつつ攻撃を与えるために距離を詰めていく。相手は一本だが近づくほどに防ぐのが精一杯になっていく。このリーチではキツそうだ。
「アァッ!死ね!」
喰種うるせぇな。だがやはり人と喰種の差は大きい。攻撃が激しくて当てれそうにない。そこで平塚上等から声が掛かる。
「下がれ比企谷、後は私がやろう」
俺が下がるとすぐに平塚上等は連射し始めた。喰種に穴が空いていく。
「グッ、アァッ!」
喰種は叫ぶが尚も攻撃は止まらない。
しばらくすると叫び声が止み喰種は倒れた。平塚上等が左腕を下ろす。
「比企谷、回収班を呼べ。それと、この後反省会をする、飯を食べに行こう、奢ってやる」
反省会か......嫌な響きなので断っておこう。
「俺には大事な妹の作ったディナーが待っているので」
家族愛を表現しつつ断るという素晴らしい技法で鮮やかに俺が誘いを断ろうとすると、
「安心しろ、反省会はもとよりするつもりだったからもう小町君には連絡している」
先回りされている......だと。そういや小町の事も知ってたなこの人。
「では、問題ないな?」
俺の逃げ道はないようだ。そして俺達は回収班が来た後に反省会へと向かった。
オブシ三本目の事もすぐに出そうと思います。それと、義手とかのギミックは凄いカッコイイと思います。