やはりこの世界は間違っている。   作:フラットテスト

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七話

俺が捜査官となって一年以上が過ぎた。ずいぶんとこのクインケにも慣れてきて、真戸上等らとの共同捜査はしなくなったが、まだ食事も一緒に行くことがある。なかなか親しくなったと思う。真戸上等の娘さんも俺の一つ下で今年CCGに入ったそうだ。主席らしい。流石真戸上等の娘だ。真戸上等の奥さんの微さんも凄い人だったと聞いている。仇はかの隻眼の梟だとも。それはそうとついに喰種集団との戦闘に俺は駆り出される事となった。そこまで大規模ではないものの遺書は書く決まりだ。家で遺書を書いていると

「は?お兄ちゃんなんで自殺しようとしてるの?バカなの?死ぬの?あ、死ぬから書いてるのか」

とか言われた。遺書書くことはアカデミーで習ったよね?うちの妹大丈夫かしら?三十分ほど説得してやっと誤解が解けた。

「つまり、お兄ちゃんはついに殺し捲れる訳だね!」

小町が嬉しそうに言う。来年からは小町も捜査官だ。突っ走らないといいが......

「そういうことだ。お兄ちゃん頑張るぞ!」

意気込んで見せるもののあまり行きたくは無い。

「頑張ってきてね!」

俺は遺書を書き終えると鞄の中に突っ込んだ。この遺書がこのままラ・フランス......じゃねえや用無しになることを祈りながら。

✕ ✕ ✕

 

「これより黒十字掃討作戦の計画を説明する」

今回の指揮官である丸手特等が宣言する。黒十字と言うのは喰種組織の名前で構成員のマスクには黒い十字が書かれていたからだ。結構安直なんだよな。

「黒十字は戦闘に長けた喰種集団で組織のトップはSレートだ。Aレートも複数体確認されている。13区の白スーツなんかに近いと思ってくれていい。アジトは廃工場であり、広い駐車場があるためそこに陣をしく。羽赫とQバレットで距離をつめて射撃役以外が工場内に突撃、殲滅してもらう。事務所側にも何人か行って貰おう。」

ながったらしい説明だが資料を後で見ればいいだろう。

そうしてぼーっとしたまま会議は終わり。五日後に作戦は開始された。

 

✕ ✕ ✕

 

「撃てっ!撃てっ!」

Qバレットや双方の羽赫の放たれる音が響く。

「比企谷、我々は重要な役割だ。しっかりしろよ」

重要な役割、それは事務所側への突撃だった。事務所側は狭いため大人数では行けないのだ。そしてこのチームには......

「よろしくねー。静ちゃん」

「陽乃、ちゃんはよせ。上等とよべ上等と」

「固いなー静ちゃん上等はー」

「姉さん、緊張感を持ちなさい」

「雪乃ちゃんも固いー」

雪ノ下姉妹がいる。姉の方がうるさい。

「ねぇねぇ、君が静ちゃんのパートナー?」

怖いほど満面の笑みを張り付けて雪ノ下姉が聴いてくる。

「はい、比企谷八幡二等捜査官です。」

「よろしくね比企谷君」

「はあ」

この人うさんくさそうで苦手だ。しかも近いしいい匂いするし、ホントに苦手。

その時通信機がなる。

「陽乃をこっちによこせ!火力不足だ!」

丸手特等からだ。

「あらら、残念せっかく一緒に戦えると思ったのに」

口を尖らせてそう言いながら陽乃上等は工場側へ向かった。

「陽乃が居ないとキツくなるかもしれん」

そう平塚上等が呟いた。

暫くすると突入準備の指示がでる。俺達はクインケやQバレットを構える。そして突入を開始した。

 

✕ ✕ ✕

事務所側には大したことのない喰種ばかりだった。報告されていたAレートは向こうに行っているのだろう。ここは、特に重要な場所では無いのか。

そして俺達は会議室らしき場所にたどり着いた。そのとき、大きな音と共に天井が崩れた。

「ようこそパーティー会場へ!」

少年のような少女よような声が響くと同時に何人かの捜査官の首が宙を舞った。

「こんにちは皆さんっ」

「アイツはダーククロス、黒十字の首領だ!」

平塚上等が叫ぶ。

「下がれ比企谷!君にはまだ勝てん!」

俺は下がると同時に周囲を確認する。雪ノ下も生きているようだ。アイツはSレートだ。俺にはどうしようもない。

「比企谷二等クインケを貸しなさい」

そう雪ノ下に言われた。局員捜査官がクインケを使う事など無いはずだ。

「お前なに言ってんの?」

「いいから早く」

困惑しつつも言われるがままにクインケを渡す。その時、平塚上等の体を喰種のクインケが貫いた。

「ガッ!アッ!」

「平塚上等!」

俺が叫んだのと同時に雪ノ下が飛び出し喰種を切り付けようとする。

「うわぁ。危ない娘だなぁ。この人もだけど女の子はもっとお淑やかにしないと」

喰種は平塚上等から赫子を抜いて応戦した。俺は平塚上等に駆け寄る。

「平塚上等無事ですか!」

平塚上等は絶え絶えの声で

「比企、谷もう、私は、死ぬ、すま、ん、生き残れ、よ」

そう笑いかけて平塚上等はぐったりとした。

未だに雪ノ下は戦い続けている。いつまでもぼうっとしてる訳にはいかない。

「雪ノ下!そのボタンを押せば刀身が伸びてしなり鞭になる!」

「分かったわ」

そうして雪ノ下は鞭としても使いつつ戦う。

「面白い玩具だね。それ」

喰種は愉しそうに笑っている。

雪ノ下の攻撃はどんどん鋭くなっていきついに喰種の仮面を叩き割った。

「少女......いや少年か?」

そこには美しい少女かはたまた美しい少年のような顔があった。その顔が歪んだかと思えば、

「面白いなぁ。当ててくるのか」

そういってもう二本赫子を生やして雪ノ下を弾き飛ばした。

「きゃっ」

雪ノ下は壁に激突して意識を失う。喰種は俺に話しかけて来た。

「君はこの二人より弱そうだけど生きてはいるし、運がいいのかな?名前でも聴いておこうかな?」

俺は精一杯に虚勢を張る。ナメられてたまるか。

「人に名前を聴く時は自分から名乗るものだろ?」

すると喰種は笑いだした。

「アハハッ、面白いね。僕は黒十字首領ダーククロスって呼ばれてるけどね。本名はトツカサイカ。男だよ?」

「俺は比企谷八幡だ。いつかお前を殺してやるよ」

「フフッ面白いなぁ。じゃあそれまでたくさん殺して待ってるよ。じゃあね八幡」

そうしてトツカサイカと名乗る喰種は穴の空いた天井から出ていった。俺は救護班に連絡し気を失った雪ノ下に駆け寄る。どうやら生きてはいるようだ。

すると天井の穴からからパラパラ粉が落ちてくる。

「不味い崩れるな」

柱もひび割れている。建物も老朽化しているらしいしすぐにでも崩れてしまいそうだ。

平塚上等の体が傷ついてしまうかもしれんが俺は雪ノ下を優先し、両手で抱えて事務所から脱出した。俺達が出て一分も経たぬうちに事務所は崩れてしまった。

すると腕の中で雪ノ下が目を冷ましたようだ。

「うっ」

「やっと起きたか」

「貴方は......比企谷二等。なぜ貴方の腕の中に私はいるのかしら」

そう聴いてくる。

「喰種には逃げられてな。建物が崩れそうだったからお前を運んで逃げてきたんだ」

「そう......ありがとう」

そうして気まずそうに礼を言う姿はとても可愛らしかった。美少女はずるい。

「その......腰の骨が折れてしまっているみたいで立てそうにないからその......医療班が来るまでお願いできるかしら?」

「わ......分かった」

そうして俺は医療班の担架に雪ノ下を乗せるまで抱え続ける事になった。妙な光景だろう。

医療班がきて、俺は雪ノ下を引き渡した。平塚上等含む遺体が事務所に残っている事を伝え、その後俺の傷も見ると言われ体を見られている時にアナウンスが入る。

こうして黒十字掃討作戦は終わった。首領含め何人か取り逃がしたもののほとんどの構成員を殲滅した。しかし、事務所側で多くの犠牲を出したことは大きな失敗と言えるだろう。犠牲者の葬儀まで俺は休暇を命じられた。上司を失った者へのケアのような物だろうか。俺はその休暇を雪ノ下の見舞いと読書に費やした。雪ノ下とは本などの事である程度話すようにはなった。亜門さんからのメールも簡単に返しておいた。同情されてもうまく返せる気がしなかった。




平塚上等は亡くなってしまいました。好きな方はすいません。戸塚は悪役というか喰種として出しました。これからも関わると思います。
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