平塚上等の葬儀の日がやってきた。参列者には捜査官だけでなく平塚上等の教え子だった者も参列していた。おそらく俺の同級生もいるだろう。亜門さんや真戸上等の姿もあった。小町も俺に着いてきている。
「ホントに死んじゃったんだね」
小町は悲しそうに目を伏せている。
雪ノ下姉妹も参列しておりこちらに近付いて来た。妹の方は車椅子だ。
「ごめんね。比企谷君。私が工場側に行ったせいで......」
雪ノ下上等も明るさはなくとても落ち込んでいた。
「いえ、あれは命令でしたし、仕方無いと思います」
こんな励ましはなんの意味も持たないと思いながらも励まそうとしてみる。
「比企谷君も平塚上等と挨拶を済ませてきたら?この後人がどんどん来るからゆっくり出来なさそうだし」
雪ノ下が空気を察してなんとかしようとしている。今はありがたい。
「では俺も平塚上等に挨拶してきます。小町行くぞ」
こうして俺は平塚上等のもとへ向かった。
平塚上等の顔はきれいだったが崩れた時にずいぶんと汚れていて大変だっただろう。俺にとって平塚上等は初めてのパートナーだ。他の先輩方もパートナーを失った人が多く励ましてくれた。いつか俺もパートナーを失ったやつを励ます事が出来るだろうか。
平塚上等はとても優しくて厳しい人だった。俺をしっかりと見てくれて、的確にアドバイスをくれたしミスをフォローしてくれた。下らない口答えをしては何度も殴られり、関節をキメられたりした。そんな風にずっとやっていくものだと、死んでしまうなんて考えてもいなかった。俺は助ける事どころか助けようとする事も出来なかった。
動いたのは雪ノ下だった。俺が飛び出しても犠牲者が増えていただけなのは分かっているが、それでも何かしないより何かしたかった。そんな事を思いながら俺は手を合わせ続けた。誰かの死を乗り越えて強くなるなんて現実では起きない。悲しむ事しか出来ないのだ。少なくとも俺は。
平塚上等のもとを離れると亜門さんが近いて来た。
「比企谷、本当に残念だったな。平塚上等は俺にとっても理想の先輩だった」
亜門さんは怒りと悔しさの混じった表情でそう言った。
「亜門さん、この後真戸上等も一緒に食べに行きませんか?4人で捜査した時の話をしましょう」
そんな提案を俺はしてみた。
「比企谷は平気なのか?」
心配そうに亜門さんが聞いてくる。
「こうやってしっかりと区切りを付けたいので」
そう答えると、
「そうか分かった。俺から真戸さんに声をかけておこう」
そう言って真戸さんのもとへと向かって行った。
その後は真戸上等も含め三人で食べに行く事になった。小町には悪いが先に帰って食べていてもらう事にした。小町もそれは分かるようで
「しっかり区切り付けてくるんだよ?引き摺りすぎないようにね?」
と言われた。
わかったと返事をしたが、約束は出来そうもない。
そうして俺達三人は三時間はずっと語り続けた。そろそろ時間も遅くなる。真戸さんが娘のためにそろそろ帰らねばと言ったためお開きとなった。語っても語っても、キリがなかったから、助かった。俺は本当にこんなことだけで区切りを付けられたのだろうか。そんな疑問を頭から追い出すように俺は駆け足で帰宅した。帰ると小町にどうだったか聞かれたがどう答えたかも覚えていない。区切りを付ける事の出来ない弱い自分を認めたく無かった。だからすぐにシャワーを浴びて眠りに付いた。一瞬でも早く思考を止める為に。
八幡が雪乃を雪ノ下と呼んでいて雪乃が八幡を比企谷君と呼んでいるのは見舞いである程度仲良くなったからです。それと、もうそろそろで原作開始の時間にたどり着けそうです。