やはりこの世界は間違っている。   作:フラットテスト

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九話

翌日、命じられていた休暇も終わり、俺は久しぶりにCCGへ足を踏み入れる。久しぶりと言えど一週間ほどだが。俺のパートナーは新しい人になるのだろうか。平塚上等はアカデミーでも知っていたからああしてやってこれたのだと思う。知っていたから、だけではないのかも知れない。知っているとて俺と上手くやっていける人間など殆ど存在しないだろう。そんな事を考えながら歩いていたが、ふと気が付いた。平塚上等はもう居ないならデスクへ向かっても意味がない、と。あまりにも当たり前だったその行為は一瞬にして意味を成さなくなる。俺が呆然と立っていると後ろから話しかけられた。

「お葬式ぶりだね。比企谷君」

その声の主は雪ノ下陽乃上等だった。平塚上等の葬儀の時より随分と明るくなっている。

「おはようございます。雪ノ下上等」

俺は何か話題に触れる訳でもなく、挨拶をする。

「うん、おはよう比企谷君。早速だけど付いてきてもらっていいかな?」

何の用なのだろうか、仕事モードらしい顔になる。お叱りを受ける訳でも無さそうだが重要そうな雰囲気がある。

「何処へ行くんです?」

行き先だけは知っておきたい。変な事をするとは思わないがそんなに信用している訳でもない。

「局長室だよ、比企谷君の新しいパートナーについて」

なるほど、しかしなぜ雪ノ下上等に連れていかれなくてはならないのだろうか?そんな疑問を浮かべつつもついて行く。

「ほら着いたよ比企谷君」

俺はノックをして部屋へと入る。

「し、失礼します」

局長とはほとんど会話をしたことが無いためとても緊張する。何せ古来から喰種と渡りあって来たというあの和修家の人間だ。

「君が比企谷八幡君だね?」

「はい。私が、比企谷八幡二等捜査官です」

俺は失礼の無いよう丁寧に挨拶をする。

「先ずは、平塚上等捜査官の事は残念だったね」

「はい、とても良い上司で私の目標でした。私の力が無いばかりに上司を失ってしまいました」

「そうか、励ましという訳では無いがあの喰種のレートを見直す事が決まった。あの強さでは仕方ないと言える。そして、彼女は君が入局すると聞いた時真っ先に志願していた。アカデミーの時から気に入った生徒だったんだろうね。彼女にとって君は特別な生徒だったのだろう。君はこれから期待に答えて行けばいい」

それを聞いて俺は泣きそうになる。あの人にとって俺は何度も経験したような問題児の一人に過ぎないと思っていた。誰かが元生徒だからと勧めたと思っていた。あの人は話さなかった、もし話されていたら今よりもさらに憎しみは大きくなっていただろうか。

「はい...」

その声はきっと掠れてしまっていただろう。

局長が腕を組み換え、不意に空気が変わる。

「君には新しいパートナーが必要なのは分かっているだろう?入って来なさい」

局長室の扉が開く。その扉から入ってきたのは美しく妖しい女性だった。

「さっきぶりだね、比企谷君」

そういって笑いかけてくる。さっきまでの雰囲気を無かったようにするような明るい雰囲気を持ってきた。

「彼女が君のパートナーとなる雪ノ下陽乃上等捜査官だ。」

何となく感づいていた。なんで、俺を呼んだのが彼女だったのかとか。この人は平塚上等と仲の良い様子であったがそこまで話した事がない。ただ何度も噂を聞くほどに強いらしい。

妹ですら、初見の俺のクインケを俺より上手く扱っていた。その姉とあらばそれ以上の実力は間違いない。実力としては上等も低いのではと思ってしまった程だ。

「分かりました。よろしくお願いします。雪ノ下上等」

俺は丁寧に挨拶をする。あまり関わっていない美人の前で緊張した訳では決して無い。

「比企谷君固いなー。陽乃でいいんだよ。陽乃で」

「いえ、そういう訳にはいきません。雪ノ下上等」

「強情だなー比企谷君は」

ぶーぶー言っているが気にしなくて良いだろう。それを無視しながら俺は局長に挨拶を済ませ局長室を出ていく。

「待ってよ。比企谷君」

雪ノ下上等は慌てて付いてくる。

「君、私のデスク分からないでしょ?付いてきて」

そう言われ俺は付いていく事にした。

「比企谷君、そういえば言ってなかったけどね。私にはもう一人パートナーが居るんだ」

なにそれ聞いてねぇよ......もっと早く言ってくれれば丁重にお断りしましたよ?ぜってぇ上手くやってける訳ないじゃん。

そして、俺は雪ノ下上等のデスクらしい所に来た。

横には知ってるイケメンが立っている。なんであいつが居るんだ......

「彼が私のパートナー第1号、葉山隼人二等捜査官だよ」

こいつは、俺と同じアカデミーの同期で主席だった奴だ。一番に昇進するのはほぼ間違いなくこいつだろう。イケメンで優秀とか舐めとんのか。とか思っているので俺はこいつが苦手だ。一方的に嫌って悪いなイケメン君。へっ。

「ヒキタニ君が新しいパートナーかい?陽乃さん」

このイケメン俺の名前間違えやがった。でも覚えられてるから良しか?いや、やっぱ許さん、俺が喰種だったら間違いなく襲い掛かって駆逐されてるぞ。駆逐されちゃうのかよ......俺弱ぇ。

「今日から雪ノ下上等のパートナーとなります。比企谷八幡二等捜査官です」

さりげなく名前の訂正をする。

「ああ、同じアカデミーだから分かると思うが、葉山隼人二等捜査官だ。よろしくな。ヒキタニ君。」

わかったこいつわざとやってる。わざと名前間違えていいのは迷子の小学生の幽霊だけだぞ。

「二人とも挨拶済んだならこれからの捜査について説明するよ」

そうして俺は説明を聞いた。葉山の方が今のところ強いため俺はアシストに回るらしい。これは事実なので納得の采配だ。コイツを助けるとか嫌だが仕方あるまい。仕事だからな。嫌な事は仕事だからって理由で飲み込めちゃうあたり俺の社畜適正の高さが伺える。

こうして新たな上司のもとで俺の捜査官生活が再開した。大丈夫かな?俺。




葉山も入れて三人での捜査となりますが捜査中の出来事はほぼカットになるかと思います。次からは原作の時間に入っていきます。と言っても亜門さんや真戸さん、噂なんかを通してしかしばらくは原作喰種キャラは出てきません。
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