サインちょうだい!   作:ryanzi

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里見灯火の場合

はい、ぶっぶー!不正解だよ!

SFマニアなのに、理科できないなんて恥ずかしくないの?

えっ、恥ずかしくないの??国語さえできればSFは書ける???

お兄様みたいなのが増えてきてるから日本のSFは衰退したの!

罰として、プリン抜き!

許してって?いや!ゆるさないもん!

あれ?その手に持ってるのって、確か翠屋の限定シュークリームじゃん!

プリン抜きを取り消してくれたら、くれるって?

もう!今回だけは特別にゆるしてあげるにゃ!

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お兄様に会ったのはホテルフェントホープの中だった。

お茶を飲んでいたわたくしの前に現れると、三体というSFを布教してきた。

礼儀正しく薦めてきたから、気分は悪くなかった。試しに読んでみた。

でも、さっそく酷いシーンが展開された!

相対性理論を教えてた人が文革で殺されるという始まり方!

さすがに今でも激おこなんだから!

でも、読み進めてみると本当に面白かった。

三体問題をテーマにしたVRゲーム、主人公を襲うゴーストカウントダウン。

さらには存在が明らかになる未知の文明。

ここまで面白いSFがあるだなんて考えたこともなかった。

お兄様は私の反応を見るや否や、第二部と第三部も薦めてきた。

でも、そこを黒羽根の子たちに見つかってしまった。

黒羽根の子たちはお兄様のことを知っていた。

彼女たちにとって、お兄様は一般人なのにキュゥべえが見えたり、

なぜかキュゥべえに好意的だったり、急に三体を薦めてきたりと、

とにかく要注意人物でしかなかった。そういうわけで、追っ払われてしまった。

第二部と第三部を受け取ることはできなかった。

仕方ないので、ねむに頼んで続きを書かせてみようと思ったけど、断られた。

ねむでも三体は手に負えないような作品だったらしい。

仕方ないので、白羽根に頼んで誘拐させようしたけど、珍しく彼女たちが拒否した。

どうやらお兄様は白羽根にも布教してたようで腫物扱いだったのだ。

とりあえず、何とか探し出してお兄様に第二部と第三部を要求した。

結論を言うと、研究材料にしなくてはならなくなった。

お兄様は第二部と第三部を文字通り生成したのだ。

羽根たちからの報告で度々見られた転生者の一人だというのがわかってしまった。

転生者というのは謎に満ちているうえに、こちらの計画を邪魔してくる。

そんな邪魔者の一人があっけなく見つかった。しかも、弱い。

わたくしも最初は実験台にするのを躊躇った。でも、黒羽根の子たちが強く訴えた。

彼女たちはお兄様以外の転生者にひどい目に遭わされることがあった。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、なのかな?とにかく、お兄様は実験台になることになった。

むしろ、事情を聴いたお兄様が自分から申し出た。

お兄様は純粋というか、その・・・少し正直すぎるというか・・・。

お兄様は自分以外の転生者にも悪意を持っていなかった。

それどころか、他の転生者の罪すら背負うつもりだったのだ。

・・・わたくしたちの警戒を解くことで三体を配布するという打算もあったと思うけど。

お兄様がそう考えていたかどうかわからないけど、実験は一瞬で済ますことになった。

ちなみに、アリナお姉さまは三体に芸術性を見出して、新しい作品を作ってた。

スライスされるタンカーとか、水滴とか色々作ってた。

二次化された人間のオブジェの件に関しては許さないんだから。

グロいから怒ってるんじゃないの。ネタバレされたから怒ってるの。

黒羽根の子たちもお兄様のばか・・・純粋さに心を打たれた。

マギウスの翼の平均読書時間が倍になった。

わたしくしもいつしか、お兄様と楽しくお茶を楽しむようになった。

お兄様と話しているうちに、計画もだんだん犠牲が少ないものに変更された。

今では死人もでないような計画になり、ういの事もなぜか思い出せた。

それで、イブを使う計画は中止して、ういを復活させた。

全てはお兄様に会えたおかげといっても過言ではない。

 

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そういえばさー、最近お兄様お出かけが多いけど、どうしたの?

えっ、科学者の知り合いができた?三体の話題で盛り上がったの?

それで、新しい実験のための準備が必要なの?ふーん。

実験が成功したら、わたくしにも教えてほしいにゃ!

ところでね、第三部読み終わったんだ!

本当に劉慈欣さんってすごい人だよね!この世界にいないのが残念だよ!

・・・どうしたの?お兄様?

どうして、泣いてるの?ねえ、どうして?

あっ、待って!

 

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それがお兄様との最後の会話になった。

あの後、お兄様は行方不明になった。

いろはお姉さまも、ういも、ねむも、皆で探した。

でも、海鳴だか鳴海とかいう街でお兄様は行方をくらました。

あれから十年。わたくしはずっとお兄様の帰りを待っている。

この十年でたくさんの変化があった。

いろはお姉さまが結婚した。少し心が軽くなった。

ういにもねむにも良い彼氏さんができた。おめでとう。

そういった話がないのはわたくしとマミさんぐらいだ。

マミさんは何をとは言わないけど、逃してしまった。

多分、わたくしもマミさんみたいになるのだろう。

でも、わたくしはずっとお兄様を待つつもりだ。

今日もこうして一日が過ぎて・・・誰か来たみたい。

・・・どなたでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはよう!よく眠れたかい?ここは十年後だ!

一言で言おう!すまん!バレた!

私の娘たちが君の妹分に話してしまったようなんだ!

これは自動メッセージだ!幸運を祈るよ!私は逃げさせて・・・。

ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!待って!助けて!待って下さい!お願いします!アアアアアアアア!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはようございます!お兄様!

いえ、今は・・・なんてお呼びすればいいのかな?あなたって呼ぶね!

これからあなたって呼ぶ関係になるんだもの。まあ、それはいいや!

親切なお姉さんたちが色々と教えてくれたんだ。

あなたがあのクソ科学者と結託して二百年後まで冬眠するって。

これは許せないかな?外で皆が待ってるよ?もちろん怖い表情で。

えっ、許してほしいって?今回ばかりは許せないよ・・・!

怖いでしょ・・・?そりゃ、怖い表情してるんだもん・・・!

さて、ここに署名してくれるかにゃ・・・?

『婚姻届』だよ?そうだよ?じゃあ、書いて。

有無は言わさないよ・・・?十年間、わたくしをひとりぼっちにさせたんだもの・・・?

 

もうどこにも行かないでね・・・?




今回の教訓:二回目ですが、冬眠する前に人間関係の清算を!

ちなみに、オリ主を冬眠させた科学者は『環ういの場合』の科学者と同じです。
誰リエッティなんでしょうね?
彼が一体何リエッティなのか・・・それは読者の皆様のご想像にお任せします。
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