サインちょうだい!   作:ryanzi

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オリ主くんは実は意外と大変です


都ひなのの場合

おーい!伝道師!またみかづき荘の屋根の上で三体読んでんのか?

まったく!またやちよに怒られるぞ!・・・今日は別のを読んでるから大丈夫?

そういう問題じゃないんだ。やちよはお前が三体読んでたから起こったわけじゃない。

屋根の上っていう危険な場所で本を読んでたから怒ってたんだ。

そういうわけでさっさと降りろってんだ。中で読め。

うん。やっぱ理解してないだろお前?飛び降りるなっての。

綺麗な着地だって?まったく・・・。後ろ見ろ。

そうだ。そこにやちよがいるだろ?

 

逃走中・・・

 

アタシもつい逃げちまったが、どうすんだよ?

えっ、みかづき荘に住んでるわけじゃないから大丈夫?

伝道師くんよ、それは甘い。アイツは絶対にお前の家で待ち構えてる。

いくらなんでもバク転しながら屋根から飛び降りたのはマズいぞ?

確かにお前だったら無事に済みそうだが、毎回そうとは限らないだろ?

少しは自分の身体を大事にしろよな・・・。

SFの次に自分の身体が大事?優先順位間違えてるぞ。

お前が死んだら三体を誰が布教するんだよ?

えっ?コピーすればいいだろって?作者も出版社もないから?

はあ・・・。そういう問題じゃないんだよ・・・。

今のところ、この世界で三体の魅力を一番伝えれるのはお前だけだ。

お前がいなくなってもアタシたちが伝えられるって?

・・・無茶振りしやがって。

うん?何も言ってないぞ?さあ、とりあえずどっか行くか!

 

 

私は目の前のコイツを伝道師と呼んでいる。

聞けば聞くほど、伝道師というにふさわしかったからだ。

フランシスコだかサンフランシスコだかもそうだった。

そういった連中はその世界に今までなかった概念を何とか広めようとする。

この伝道師の場合だったら三体が当てはまるだろう。

作品も作者も出版社もこの世界にはない。

誰も知らない本をコイツは諦めずに布教しようとした。

魔女の使い魔に追われながらも、コイツは三体を布教してた。

ある時はマギウスの翼の黒羽根に追われていた。

それなのに、コイツは自分を追っている奴に布教しようとしていた。

マギウスの翼だけじゃない。他の魔法少女もコイツを殺そうとしてた。

理由は単純だ。邪魔だったからだ。

何度も懲りずに魔女空間に入り込んだり、組織のトップに布教したり・・・。

ある魔法少女はその鬱陶しさから、ある魔法少女は危機感から。

一時期、ネオ・マギウスからのコイツに対する感情は最悪なものだった。

仕方ないともいえる。ネオ・マギウスは魔法少女至上主義だ。

それなのに、コイツは魔法少女に「布教」しようとしているのだ。

一般人を見下しているアイツらからすれば屈辱そのものだっただろう。

それでも、コイツはネオ・マギウスにも「布教」を試みた。

ああ、あの時は大変だったな。ユニオンの一部でさえも堪忍袋の緒が切れた。

ネオ・マギウスとそいつらがコイツをリンチしようとした。

もちろん、やちよたちがそれを何とか阻止した。アタシも手伝った。

それでコイツは一命を取り留めた。罰として、みかづき荘の家事をすることになった。

あの時のやちよは怖かった。・・・うん、怖かった。あんな怖い説教は始めて見た。

推定年齢だったらアタシを上回るのに、泣きじゃくってたんだけど?

ある日、アタシはコイツに聞いてみた。どうして三体の布教にそこまでこだわるのかと。

 

「自分の好きな小説を薦めたいのは当たり前」

 

よくわかった。コイツは良くも悪くも純粋なのだ。

だからこそ、この世界で三体の布教に打ち込めたのだ。

どれほど罵られようと、どれほど暴力を振るわれようと。

コイツは決して諦めなかった。純粋だからだ。

その純粋さがあったからこそ、今ではネオ・マギウスも三体を読んでいる。

コイツは三体という小説で魔法少女たちを平和に導いたのだ。

共通の価値観を有した私達は相手をようやく理解できるようにもなった。

三体の話題で盛り上がって、それで本題に入る。

ムードがいいから、お互いに妥協できるようにもなった。

だからといって、コイツはそのために三体を布教したわけじゃない。

おそらく、コイツは次の転生とやらでも同じことをするだろう。

・・・いつからか、コイツに恋心みたいなのが芽生え始めた。

でも、今までの恋とは違って、アタシはしどろもどろにならなかった。

もともと、雑な感じに付き合ってたというのも手伝ったのだろう。

だけど、それだけじゃない。コイツは私がいないと駄目だ。

おこがましいと思われるかもしれない。でも、孤独に戦うのは辛いのだ。

私達魔法少女はそれをよく知っている。

コイツは放っとくと、いくつもの世界で孤独に戦うのだ。

そして、孤独に死んでいくかもしれない。そんなのは嫌だ。

だから、今日、私は行動に出ることにした。

 

 

・・・『婚姻届』だ。さ、サインしてくれ!

あっ、もちろん今じゃなくていい!

まだ四年もあるだろ?だから、それまでゆっくり考えてくれ!

そのさ、確かに順序を間違えてるのはわかってるよ!

でも・・・でも・・・。おい!何書いてんだよ!?

四年後に提出するって・・・・ばか!恥ずかしいじゃねえか!

いやだね!今回ばかりは許さないからな!

さあ、ここにホテルがあるだろ!さっそくご休憩だ!

早すぎるって?お前が言うんじゃねえ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だからさ、次お前が死んだら、私も死ぬことにする。

それだったら一緒に三体を次の世界でも布教できるだろ?

何が不満なんだ?これは自分の戦いだって?

もういいんだ。一人で戦うのはやめるんだ。

それにさ、本当はもうお前に危険な目に遭って欲しくない。

お前が死ねば私も死ぬ。そうすりゃお前は危険なことをしなくなるはずだ。

やめてくれって?だったら、先にお前が危険な真似をやめろ。

 

だからさ・・・一緒に生きてくれよ・・・!




今回の教訓:人に心配をかけてはいけない
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